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三度目の首都⑱

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 イシスが無事に帰って来た。ビアンカが魔法で作った氷の山にアスィミイールの頭を乗せて、イシスはてっぺんに着地している。
 わー、でっかーい、そしておそらく全長は数十メートル超えで、フォルムはうなぎやー。牙が凄かっ、軽自動車くらいなら丸飲みしそう。銀色でまだらにピンクの斑点模様。なんとも言えない配色だけど、これがシーサーペントを捕食するうなぎかあ。確かにサイズを見たらそうなのかな?
『食エルカ?』
「みたいよ、お母さんに焼いてもらおうね」
「わい、白焼きがよか」
「あのテイマー様っ、どうかこちらにもーっ」
 船長さん必死。
 このアスィミイールは可食部分は三~五割ほど。骨や牙は武具や付与に必要な薬剤の材料になり。不可過食部分は堆肥になるそうだ。毒袋は破棄するしかないそうだけど。
「あー、食べられない部分はどうぞ」
「せめて、せめて、ここからここまでーっ」
 船長さんがお祈りのポーズで、私の前にしゅたっ、と正座しきゅるんと見上げてくる。やめて。
「分かりましたから、立ってください」
「ありがとうございますっ」
 アスィミイールは晃太のアイテムボックスに。
 このアスィミイールは専門の解体職人が揃わないと対応出来ないため、数日は晃太のアイテムボックスで保管だ。
「イシス、ケガはなか?」
『ナイ、アレハスグニハ食エヌノカ?』
「解体してもらわんと、流石のお母さんも料理できんよ」
『ヌッ、ナラバ待ツカ』
 水分補給と休息後、やっと帰路に着く。
 港に到着した後、晃太がアイテムボックス内のブラックツナ類を提出の為にベテラン船員さんと、ルージュ、ミゲル君とテオ君で向かう。私はホークさん、ビアンカとヒスイ、オスヴァルドさんと船長さんで、ギルドの応接室に。私達がどれだけ引き取るか既に決めてある。手続きして、と。よし、ブラックツナたっぷり手に入ったね。もちろん他にも色々獲れたので、解体をお願いしている。ただ、アスィミイールに関しては、専門の解体職人さんを集めるのと、処理に必要なものを揃えるのに三日間はかかると言われた。ちょうど次の船が三日後なので、問題ないと伝える。それからこちらに引き取り予定のブラックツナ一匹を、お世話になっている赤騎士団に寄贈することに。オスヴァルドさんはお断りの姿勢だけど、次はアレスが同行する。穏やかに終わるわけない、ブラックツナの大漁祭りになるはず。
 ブラックツナだけで、終わるはず、きっと。
 なので、一匹くらいね。
 そう言うと、オスヴァルドさんもそうですね、だって。
 もろもろの手続きを終えて、クレイ港を出る。
「テイマー様っ、三日後お待ちしておりますっ」
「「「「「お待ちしてまーすっ」」」」」
 船長さんと船員さん達に見送られて、帰るとき、元気が寝てしまい、馬車に乗せるのが一苦労だった。お腹丸出しで、呑気に寝てるが、何せ場所を取る。しかも300キロ越えの体で、気まぐれに寝返りをするので、私達は端っこによって座った。
 パーティーハウスに帰り着き、まだ寝ている元気を、ルージュが闇の触手で運び出す。そこにオスヴァルドさんに駆けよる赤騎士団の方。そっと耳打ちしている。
『あ、ばあばっ、ただいまーっ』
『ばぁばーっ』
『わーいっ、ばーばーっ』
 エプロン姿の母が出迎えてくれて、三人娘が走りよる。花も飛び出してきた。
「お帰りー」
『ばあば、ブラックツナ、いっぱいとったよ』
『わぁい、カレーの匂いがするー』
『クリス、お腹減った、ばーばっ』
 母が三人娘をもふもふ。私と晃太はおかえるローリングを披露する花を撫で回す。
『妹よっ、寂しくなかったのだっ、兄なのだぞっ』
『あー、はいはい』
『元気を運んで頂戴、重いから』
『ん? 疲れて寝ているのだなっ、仕方のないやつなのだっ』
 わっはっはっ、と笑うアレス。
 ビアンカとルージュが、お前がそれを言うか? みたいな顔している。おそらくアレスも元気くらいの時には、色々やらかしているのを知っているからだろうね。
「ミズサワ殿、少しよろしいでしょうか?」
 元気を背中に乗せて落としもせず進むアレスの後ろ姿を眺めていると、オスヴァルドさんが声をかけてくる。
「はい、なんでしょう」
「ご意見番より明日15時に面会をと」
 よかった、ご挨拶できる。
「はい、分かりました」
「ではそのように。明日の午前中はどうさます?」
「明日は、ギルドに行って、それから、あ、教会に行きたいです」
「承知しました」
 時間を確認して、オスヴァルドさんが、母にお弁当のお礼を言っている。
「今日はながながとありがとうございました」
 私も晃太とならんでご挨拶する。
『ねーちゃん、にーちゃん、わい、腹が減ったねんっ、早く来てーなっ』
 コハクががうがう呼ぶので、私と晃太はもう一度オスヴァルドさん達にペコリして、パーティーハウスに入った。
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