803 / 820
連載
三度目の首都⑱
しおりを挟む
イシスが無事に帰って来た。ビアンカが魔法で作った氷の山にアスィミイールの頭を乗せて、イシスはてっぺんに着地している。
わー、でっかーい、そしておそらく全長は数十メートル超えで、フォルムはうなぎやー。牙が凄かっ、軽自動車くらいなら丸飲みしそう。銀色でまだらにピンクの斑点模様。なんとも言えない配色だけど、これがシーサーペントを捕食するうなぎかあ。確かにサイズを見たらそうなのかな?
『食エルカ?』
「みたいよ、お母さんに焼いてもらおうね」
「わい、白焼きがよか」
「あのテイマー様っ、どうかこちらにもーっ」
船長さん必死。
このアスィミイールは可食部分は三~五割ほど。骨や牙は武具や付与に必要な薬剤の材料になり。不可過食部分は堆肥になるそうだ。毒袋は破棄するしかないそうだけど。
「あー、食べられない部分はどうぞ」
「せめて、せめて、ここからここまでーっ」
船長さんがお祈りのポーズで、私の前にしゅたっ、と正座しきゅるんと見上げてくる。やめて。
「分かりましたから、立ってください」
「ありがとうございますっ」
アスィミイールは晃太のアイテムボックスに。
このアスィミイールは専門の解体職人が揃わないと対応出来ないため、数日は晃太のアイテムボックスで保管だ。
「イシス、ケガはなか?」
『ナイ、アレハスグニハ食エヌノカ?』
「解体してもらわんと、流石のお母さんも料理できんよ」
『ヌッ、ナラバ待ツカ』
水分補給と休息後、やっと帰路に着く。
港に到着した後、晃太がアイテムボックス内のブラックツナ類を提出の為にベテラン船員さんと、ルージュ、ミゲル君とテオ君で向かう。私はホークさん、ビアンカとヒスイ、オスヴァルドさんと船長さんで、ギルドの応接室に。私達がどれだけ引き取るか既に決めてある。手続きして、と。よし、ブラックツナたっぷり手に入ったね。もちろん他にも色々獲れたので、解体をお願いしている。ただ、アスィミイールに関しては、専門の解体職人さんを集めるのと、処理に必要なものを揃えるのに三日間はかかると言われた。ちょうど次の船が三日後なので、問題ないと伝える。それからこちらに引き取り予定のブラックツナ一匹を、お世話になっている赤騎士団に寄贈することに。オスヴァルドさんはお断りの姿勢だけど、次はアレスが同行する。穏やかに終わるわけない、ブラックツナの大漁祭りになるはず。
ブラックツナだけで、終わるはず、きっと。
なので、一匹くらいね。
そう言うと、オスヴァルドさんもそうですね、だって。
もろもろの手続きを終えて、クレイ港を出る。
「テイマー様っ、三日後お待ちしておりますっ」
「「「「「お待ちしてまーすっ」」」」」
船長さんと船員さん達に見送られて、帰るとき、元気が寝てしまい、馬車に乗せるのが一苦労だった。お腹丸出しで、呑気に寝てるが、何せ場所を取る。しかも300キロ越えの体で、気まぐれに寝返りをするので、私達は端っこによって座った。
パーティーハウスに帰り着き、まだ寝ている元気を、ルージュが闇の触手で運び出す。そこにオスヴァルドさんに駆けよる赤騎士団の方。そっと耳打ちしている。
『あ、ばあばっ、ただいまーっ』
『ばぁばーっ』
『わーいっ、ばーばーっ』
エプロン姿の母が出迎えてくれて、三人娘が走りよる。花も飛び出してきた。
「お帰りー」
『ばあば、ブラックツナ、いっぱいとったよ』
『わぁい、カレーの匂いがするー』
『クリス、お腹減った、ばーばっ』
母が三人娘をもふもふ。私と晃太はおかえるローリングを披露する花を撫で回す。
『妹よっ、寂しくなかったのだっ、兄なのだぞっ』
『あー、はいはい』
『元気を運んで頂戴、重いから』
『ん? 疲れて寝ているのだなっ、仕方のないやつなのだっ』
わっはっはっ、と笑うアレス。
ビアンカとルージュが、お前がそれを言うか? みたいな顔している。おそらくアレスも元気くらいの時には、色々やらかしているのを知っているからだろうね。
「ミズサワ殿、少しよろしいでしょうか?」
元気を背中に乗せて落としもせず進むアレスの後ろ姿を眺めていると、オスヴァルドさんが声をかけてくる。
「はい、なんでしょう」
「ご意見番より明日15時に面会をと」
よかった、ご挨拶できる。
「はい、分かりました」
「ではそのように。明日の午前中はどうさます?」
「明日は、ギルドに行って、それから、あ、教会に行きたいです」
「承知しました」
時間を確認して、オスヴァルドさんが、母にお弁当のお礼を言っている。
「今日はながながとありがとうございました」
私も晃太とならんでご挨拶する。
『ねーちゃん、にーちゃん、わい、腹が減ったねんっ、早く来てーなっ』
コハクががうがう呼ぶので、私と晃太はもう一度オスヴァルドさん達にペコリして、パーティーハウスに入った。
わー、でっかーい、そしておそらく全長は数十メートル超えで、フォルムはうなぎやー。牙が凄かっ、軽自動車くらいなら丸飲みしそう。銀色でまだらにピンクの斑点模様。なんとも言えない配色だけど、これがシーサーペントを捕食するうなぎかあ。確かにサイズを見たらそうなのかな?
『食エルカ?』
「みたいよ、お母さんに焼いてもらおうね」
「わい、白焼きがよか」
「あのテイマー様っ、どうかこちらにもーっ」
船長さん必死。
このアスィミイールは可食部分は三~五割ほど。骨や牙は武具や付与に必要な薬剤の材料になり。不可過食部分は堆肥になるそうだ。毒袋は破棄するしかないそうだけど。
「あー、食べられない部分はどうぞ」
「せめて、せめて、ここからここまでーっ」
船長さんがお祈りのポーズで、私の前にしゅたっ、と正座しきゅるんと見上げてくる。やめて。
「分かりましたから、立ってください」
「ありがとうございますっ」
アスィミイールは晃太のアイテムボックスに。
このアスィミイールは専門の解体職人が揃わないと対応出来ないため、数日は晃太のアイテムボックスで保管だ。
「イシス、ケガはなか?」
『ナイ、アレハスグニハ食エヌノカ?』
「解体してもらわんと、流石のお母さんも料理できんよ」
『ヌッ、ナラバ待ツカ』
水分補給と休息後、やっと帰路に着く。
港に到着した後、晃太がアイテムボックス内のブラックツナ類を提出の為にベテラン船員さんと、ルージュ、ミゲル君とテオ君で向かう。私はホークさん、ビアンカとヒスイ、オスヴァルドさんと船長さんで、ギルドの応接室に。私達がどれだけ引き取るか既に決めてある。手続きして、と。よし、ブラックツナたっぷり手に入ったね。もちろん他にも色々獲れたので、解体をお願いしている。ただ、アスィミイールに関しては、専門の解体職人さんを集めるのと、処理に必要なものを揃えるのに三日間はかかると言われた。ちょうど次の船が三日後なので、問題ないと伝える。それからこちらに引き取り予定のブラックツナ一匹を、お世話になっている赤騎士団に寄贈することに。オスヴァルドさんはお断りの姿勢だけど、次はアレスが同行する。穏やかに終わるわけない、ブラックツナの大漁祭りになるはず。
ブラックツナだけで、終わるはず、きっと。
なので、一匹くらいね。
そう言うと、オスヴァルドさんもそうですね、だって。
もろもろの手続きを終えて、クレイ港を出る。
「テイマー様っ、三日後お待ちしておりますっ」
「「「「「お待ちしてまーすっ」」」」」
船長さんと船員さん達に見送られて、帰るとき、元気が寝てしまい、馬車に乗せるのが一苦労だった。お腹丸出しで、呑気に寝てるが、何せ場所を取る。しかも300キロ越えの体で、気まぐれに寝返りをするので、私達は端っこによって座った。
パーティーハウスに帰り着き、まだ寝ている元気を、ルージュが闇の触手で運び出す。そこにオスヴァルドさんに駆けよる赤騎士団の方。そっと耳打ちしている。
『あ、ばあばっ、ただいまーっ』
『ばぁばーっ』
『わーいっ、ばーばーっ』
エプロン姿の母が出迎えてくれて、三人娘が走りよる。花も飛び出してきた。
「お帰りー」
『ばあば、ブラックツナ、いっぱいとったよ』
『わぁい、カレーの匂いがするー』
『クリス、お腹減った、ばーばっ』
母が三人娘をもふもふ。私と晃太はおかえるローリングを披露する花を撫で回す。
『妹よっ、寂しくなかったのだっ、兄なのだぞっ』
『あー、はいはい』
『元気を運んで頂戴、重いから』
『ん? 疲れて寝ているのだなっ、仕方のないやつなのだっ』
わっはっはっ、と笑うアレス。
ビアンカとルージュが、お前がそれを言うか? みたいな顔している。おそらくアレスも元気くらいの時には、色々やらかしているのを知っているからだろうね。
「ミズサワ殿、少しよろしいでしょうか?」
元気を背中に乗せて落としもせず進むアレスの後ろ姿を眺めていると、オスヴァルドさんが声をかけてくる。
「はい、なんでしょう」
「ご意見番より明日15時に面会をと」
よかった、ご挨拶できる。
「はい、分かりました」
「ではそのように。明日の午前中はどうさます?」
「明日は、ギルドに行って、それから、あ、教会に行きたいです」
「承知しました」
時間を確認して、オスヴァルドさんが、母にお弁当のお礼を言っている。
「今日はながながとありがとうございました」
私も晃太とならんでご挨拶する。
『ねーちゃん、にーちゃん、わい、腹が減ったねんっ、早く来てーなっ』
コハクががうがう呼ぶので、私と晃太はもう一度オスヴァルドさん達にペコリして、パーティーハウスに入った。
3,061
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。