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三度目の首都⑫
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温かいコメントありがとうございます。
魚が屋台を周り、旬のクレイ鱒、アップルシーブルーブを購入。ルージュのリクエストのエビもゲット。
『ユイ、ユイ、いい匂いがするのです』
『お母さん、あっちよ、あっち』
『ねえね、ヒスイお腹減っちゃった』
『わい、あれ、食べたいねん』
魚を調理している屋台から溢れる匂いに、ビアンカとルージュが必死に訴え、ヒスイとコハクがきゅるんする。もう、かわいかね。確かにいい匂い。前はのしのしやっていたビアンカとルージュは学習してくれて、必死に私と母に訴えてくる。
「美味しそうね」
クレイ鱒と野菜のジャン焼きの芳しい香りに、母が屋台を覗き込む。すかさずビアンカとルージュがぴったり張り付く。屋台の方は、ビアンカとルージュにびくり、とするが、切り換えが早く母に説明している。
『お母さん、いい匂いなのです』
『食べたいわ』
「はいはい」
母が購入手続きしている。私は別の屋台を覗く、トルティーヤみたいな感じ。包まれているのは、葉野菜と何かな?
「いらっしゃいませっ。こちらは鯵と黒玉ねぎをうち特製のハーブソースで焼いてますっ」
『ねえね、ヒスイこれ食べたーい』
『ねえちゃん、わいもわいも』
「はいはい。元気達にもお土産にしようかね」
出来るだけ購入する。ひとつだけよ、とヒスイとコハクがモグモグ。私は晃太と半分にして、エマちゃんとテオ君で半分にして食べてみた。母が向こうで買い物しているからこそこそね。なんだか、こっそり食べるの、ハラハラするけど、悪いことしているようで、ドキドキ。振り返ると、ビアンカとルージュがきゅるんきゅるんと母におねだりしている。母は買ったばかりの大きめな白パンにクレイ鱒と野菜のジャン焼きを挟み、半分にしている。それをペロリ、と食べている。母が内緒よ、と言っている声を拾う。
「コハク、ヒスイ、これも内緒やけど、今のお母さん達のも内緒やけんお互い様よ。内緒やけんね」
『よくわかんないけど、ヒスイ、ねえねの言うこと聞くー』
『わいもー』
「お利口さんやね」
よしよしもふもふ。
それからも色々買い込み、捌いてもらった魚を受け取る。ブエルさんおすすめの猫派夫婦は、手を洗ってから、私にお断りを入れてコハクとヒスイを撫でてくれた。
「ちょっと見ない間にこんなに大きくなってねえ」
「おお、よしよし。おおお、牙が凄いなあ」
と、言いながらももふもふ。コハクとヒスイは大人しく気持ち良さそうに撫でられている。
私はご挨拶して、マルシェを後にした。
ノワールを引き取り、ゲストハウスに戻る。
「オスヴァルドさん、ブエルさん、ゲオルグさん、ありがとうございます」
「我々はこれで失礼します。外出の際は、詰め所に詰めている者に声をかけてください。明日の船には、私とブエル、ゲオルグが同行します」
「よろしくお願いします」
お茶でもと思ったけど、オスヴァルドさん達は長居せず帰って行った。
花が母にお帰りローリングを披露してからのハミハミ。私の方にも来てくれて、お腹を出して尻尾ぷりぷり。
「お帰り」
父ものんびりと出てきた。
『じいじっ、ただいまー』
『じいちゃん、ただいまー』
ヒスイとコハクが父に群がり、当然我が父もふもふ。
「お父さん、誰か来た?」
「いや、誰も来とらんよ」
ゲストハウスがある区画は、入場制限がある。ある程度の身分と身元証明に、そして明確な理由がなくてはならない。なので、簡単には入れない。入れても警備の方が目的地まで同行するって。夜間の警護も厳重。その資金は、北区の住居を使用する人達が管理費として支払っている。私もと思ったが、向こうからの要請でゲストハウスにいるので、必要ないって。
いいのかなあ?
「優衣、ご飯にするよー」
『ねえね、ご飯だよー』
「あ、はーい」
私はゲストハウスに入った。
その日の夕御飯。海鮮尽くしの夕御飯となる。
「エドは大丈夫じゃろうか?」
と、クレイ鱒の味噌焼きを食べて、ビールをぐびい、とするツヴァイクさん。エドワルドさんは本日実家に帰り、明日クレイ港で合流となっている。
「日頃からきちんと手紙を出さないのエドが悪い。ツヴァイクを見習うべきですよ」
ケルンさんは白ワインを傾け、ヒェリさんはビールを片手にうんうんと頷いている。ツヴァイクさんは弟妹さん達にそれぞれに手紙を毎年送っているそうだ。自分の生存確認の為にね。
どうやら、エドワルドさんあまりご実家に手紙を出さなかったみたいで、前回首都、私達とオークション会場で会ったのが、十年以上ぶりの久しぶりの帰郷だったそうだ。その時、お兄さんのアルベルトさんとオスヴァルドさんにずいぶんお小言言われたそうだ。せめて帰って来るなら、事前連絡しなさいって。特にエドワルドさんは重度の後発成長だったため、冒険者として家を出た時エマちゃんより小柄でガリガリだったそうだ。今の細マッチョからは想像できないが、エドワルドさんのお母さん、心配したんやないかな? ちゃんとご飯食べているかとか、ケガしてないかとか。色々ね。
「母上から絞られれば、多少は反省するでしょうよ」
「「あー」」
ケルンさんの呟きに、ヒェリさんとツヴァイクさんはなんとも言えない顔に。
どうやらエドワルドさんのお母さんって、恐い方のようだ。
「それでもエドワルドさんを心配しとったと思ういますよ。今日くらい怒られんとね」
母が仔達のばあばおかわりコールに答えて、アップルシーブルーブのアクアパッツァをよそった。
魚が屋台を周り、旬のクレイ鱒、アップルシーブルーブを購入。ルージュのリクエストのエビもゲット。
『ユイ、ユイ、いい匂いがするのです』
『お母さん、あっちよ、あっち』
『ねえね、ヒスイお腹減っちゃった』
『わい、あれ、食べたいねん』
魚を調理している屋台から溢れる匂いに、ビアンカとルージュが必死に訴え、ヒスイとコハクがきゅるんする。もう、かわいかね。確かにいい匂い。前はのしのしやっていたビアンカとルージュは学習してくれて、必死に私と母に訴えてくる。
「美味しそうね」
クレイ鱒と野菜のジャン焼きの芳しい香りに、母が屋台を覗き込む。すかさずビアンカとルージュがぴったり張り付く。屋台の方は、ビアンカとルージュにびくり、とするが、切り換えが早く母に説明している。
『お母さん、いい匂いなのです』
『食べたいわ』
「はいはい」
母が購入手続きしている。私は別の屋台を覗く、トルティーヤみたいな感じ。包まれているのは、葉野菜と何かな?
「いらっしゃいませっ。こちらは鯵と黒玉ねぎをうち特製のハーブソースで焼いてますっ」
『ねえね、ヒスイこれ食べたーい』
『ねえちゃん、わいもわいも』
「はいはい。元気達にもお土産にしようかね」
出来るだけ購入する。ひとつだけよ、とヒスイとコハクがモグモグ。私は晃太と半分にして、エマちゃんとテオ君で半分にして食べてみた。母が向こうで買い物しているからこそこそね。なんだか、こっそり食べるの、ハラハラするけど、悪いことしているようで、ドキドキ。振り返ると、ビアンカとルージュがきゅるんきゅるんと母におねだりしている。母は買ったばかりの大きめな白パンにクレイ鱒と野菜のジャン焼きを挟み、半分にしている。それをペロリ、と食べている。母が内緒よ、と言っている声を拾う。
「コハク、ヒスイ、これも内緒やけど、今のお母さん達のも内緒やけんお互い様よ。内緒やけんね」
『よくわかんないけど、ヒスイ、ねえねの言うこと聞くー』
『わいもー』
「お利口さんやね」
よしよしもふもふ。
それからも色々買い込み、捌いてもらった魚を受け取る。ブエルさんおすすめの猫派夫婦は、手を洗ってから、私にお断りを入れてコハクとヒスイを撫でてくれた。
「ちょっと見ない間にこんなに大きくなってねえ」
「おお、よしよし。おおお、牙が凄いなあ」
と、言いながらももふもふ。コハクとヒスイは大人しく気持ち良さそうに撫でられている。
私はご挨拶して、マルシェを後にした。
ノワールを引き取り、ゲストハウスに戻る。
「オスヴァルドさん、ブエルさん、ゲオルグさん、ありがとうございます」
「我々はこれで失礼します。外出の際は、詰め所に詰めている者に声をかけてください。明日の船には、私とブエル、ゲオルグが同行します」
「よろしくお願いします」
お茶でもと思ったけど、オスヴァルドさん達は長居せず帰って行った。
花が母にお帰りローリングを披露してからのハミハミ。私の方にも来てくれて、お腹を出して尻尾ぷりぷり。
「お帰り」
父ものんびりと出てきた。
『じいじっ、ただいまー』
『じいちゃん、ただいまー』
ヒスイとコハクが父に群がり、当然我が父もふもふ。
「お父さん、誰か来た?」
「いや、誰も来とらんよ」
ゲストハウスがある区画は、入場制限がある。ある程度の身分と身元証明に、そして明確な理由がなくてはならない。なので、簡単には入れない。入れても警備の方が目的地まで同行するって。夜間の警護も厳重。その資金は、北区の住居を使用する人達が管理費として支払っている。私もと思ったが、向こうからの要請でゲストハウスにいるので、必要ないって。
いいのかなあ?
「優衣、ご飯にするよー」
『ねえね、ご飯だよー』
「あ、はーい」
私はゲストハウスに入った。
その日の夕御飯。海鮮尽くしの夕御飯となる。
「エドは大丈夫じゃろうか?」
と、クレイ鱒の味噌焼きを食べて、ビールをぐびい、とするツヴァイクさん。エドワルドさんは本日実家に帰り、明日クレイ港で合流となっている。
「日頃からきちんと手紙を出さないのエドが悪い。ツヴァイクを見習うべきですよ」
ケルンさんは白ワインを傾け、ヒェリさんはビールを片手にうんうんと頷いている。ツヴァイクさんは弟妹さん達にそれぞれに手紙を毎年送っているそうだ。自分の生存確認の為にね。
どうやら、エドワルドさんあまりご実家に手紙を出さなかったみたいで、前回首都、私達とオークション会場で会ったのが、十年以上ぶりの久しぶりの帰郷だったそうだ。その時、お兄さんのアルベルトさんとオスヴァルドさんにずいぶんお小言言われたそうだ。せめて帰って来るなら、事前連絡しなさいって。特にエドワルドさんは重度の後発成長だったため、冒険者として家を出た時エマちゃんより小柄でガリガリだったそうだ。今の細マッチョからは想像できないが、エドワルドさんのお母さん、心配したんやないかな? ちゃんとご飯食べているかとか、ケガしてないかとか。色々ね。
「母上から絞られれば、多少は反省するでしょうよ」
「「あー」」
ケルンさんの呟きに、ヒェリさんとツヴァイクさんはなんとも言えない顔に。
どうやらエドワルドさんのお母さんって、恐い方のようだ。
「それでもエドワルドさんを心配しとったと思ういますよ。今日くらい怒られんとね」
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