もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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三度目の首都⑩

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 ざわざわざわざわ

 赤騎士団の皆さんの同行が、あって良かった。前回よりも明らかにざわざわが多い。やはり目を引くのは、イシス達、グリフォンだ。アレスやアリスは、首都にはテイマー部隊がいて、ウルフはテイムされていることがあり、比較的身近な存在。ただ、アレスもアリスもサイズはテイムされているウルフより倍以上の体躯だけどね。
 オスヴァルドさん達のおかげで、賑わう町並みを問題なく抜けて、スムーズにギルドに到着。到着報告をそれぞれ済ませる。晃太は搬送品の為に倉庫に。チュアンさんとミゲル君、ビアンカが付いてくれる。
 さて、宿はどうしようかな。
「ミズサワ殿、前回と同じゲストハウスをご用意しています」
 宿の案内所どこだっけ? 大きめな宿があるといいけどと悩んでいると、オスヴァルドさんが声をかけてきた。
「え? 前回もお借りしたのに」
「混乱を避けるためです。どうか、ご理解を」
 そう言われるとなあ。初めて首都に来た時は、かわいか三人娘が拐かされる恐れがあるからと受けた。今では少々の事は撃破出来るようになってはきている。しかし、今回はシルフィとウィンディがいる。シルフィは何とか出来そうだけど、ウィンディがなあ、怖がって変な方向に逃げて、周囲を巻き込みパニックになりそう。
「ありがとうございます」
 ここは素直に受け取ろう。ラスチャーニエと金の虎が別の宿を探すと言ったが、オスヴァルドさんに許可をもらい、ゲストハウスにお誘いした。
「テイマーのミズサワ様、どうぞこちらに」
 私が呼ばれる。冷蔵庫ダンジョンのドロップ品や、まだまだ残っている王冠山のフィールド型ダンジョンのドロップ品、ルーティのダンジョンのドロップ品がある。晃太がダンジョン別にリストアップしてくれている。それの提出と、船に乗れるか、だ。
 私はホークさん、エマちゃん、ルージュとヒスイでギルド職員さんに案内される。オスヴァルドさんも来てくれた。
 品のよい落ち着いた感のある応接室に案内され、ソファーを進められる。ホークさん、エマちゃんはソファーの後ろに立ち、ルージュはごろり。ヒスイは私の足元に臥せる。
「ミズサワ様、ようこそ首都サエーキのギルドへ。本日担当します、ビアータと申します。早速で申し訳ないのですが」
 対応してくれたのは、中高年の女性だ。私もご挨拶。
「よろしくお願いします。こちらが冷蔵庫ダンジョンのドロップ品リスト、野良ダンジョンのドロップ品リスト、ルーティのダンジョンのドロップ品リストになります」
「拝見します」
 ビアータさんはリストをチェック。一瞬固まり、そして即決。
「すべて買い取らせて頂きます。依頼が出ているものもあるようですので、確認致します。それから残りのドロップ品の、査定させて頂きますので、数日お時間を頂きたいのですが」
「問題ありません。直ぐに首都を出ませんから。あの、また船にのせて頂くのは可能でしょうか?」
「直ぐに手配致します」
 ビアータさんは直ぐに手配してくれた。明後日の船だ。なら、明日はマルシェでお買い物だ、ノワールのとうもろこし買わなくては。船長さんはお元気だろうか。
 買い取り・査定待ちと焼き印が入った木札を預かる。
 かなりの数なので、ギルドに定期的に来てドロップ品を卸すことになる。
 よし、手続き済み。晃太は直接、ロビーに戻ったと。
 後は教会に寄付。首都でも行われている無料教室への寄付、こちらは給食に使用される食材の寄贈だ。クレイ港近くには修道院もあるし、そちらにもね。修道院にも色々ある。犯罪者を収監されているような刑務所みたいな所、チュアンさんやアクヴァ君のように色々あって保護が必要とされる子供達や、家庭内暴力から身を隠す女性達の受け皿になっている所。クレイ港にあるのは後者だ。あと、首都でも行われている下層住民への炊き出し+就労窓口で配布してもらうように、大量の薪も渡したし。
 あ、サエキ様にご挨拶できないかな? お忙しいかな?
「あの、オスヴァルドさん」
「はい」
「サエキ様にご挨拶したいのですが、難しいですかね?」
「いいえ、こちらから連絡しておきます。大丈夫だと思いますよ」
「ありがとうございます」
 良かった。
 ギルドからゲストハウスまでは馬車移動する。オスヴァルドさん達も魔法馬に騎乗して同行する。
「なあ、ミズサワさん、俺たちまでいいんだろうか? 北の区画は入場制限があるって聞いたことあるが」
 ファングさんがこそこそと心配そうに聞いてくる。
「大丈夫ですよ。オスヴァルドさんからも許可あるし。あ、エドワルドさんはご実家大丈夫ですか?」
 肩をすくめるエドワルドさん。
「その内顔を出します」
 いいの? それで? 久しぶりじゃないの? まあ、エドワルドさんの事情もあるやろうし。
 ホークさんがノワールの手綱を操り、ゆっくり馬車が進む。北の区画に入り、三度目のゲストハウス。
 マーファのパーティーハウスより大きく立派な建物に、両親がびっくり。シルフィ達と花は庭に駆け出していく。
「ミズサワさんっ、俺達、やっぱり別に宿を取るぞっ」
 ファングさんがあんぐりしてから現実に戻って来て、私に訴えてくる。その後ろでリィマさん、ガリストさん、フリンダさんもこくこく頷いている。
「そんな面倒な事せんでもよかやないですか。明後日の船ではお手伝いしてくれるんでしょう」
「そりゃもちろんするが、ちょっとここは、敷居が高いって言うか」
「もう、アルスさんは入ってますよ」
 両親の後に続いて自然にゲストハウスに入っている。追いかけるファングさんとリィマさん、うん、微笑ましいなあ。
 ノワールはホークさんが倉庫に誘導し、馬車は晃太のアイテムボックスに。
 その間にオスヴァルドさんから説明が行われる。食事やお掃除のメイドさんだけど、食事はお断りした。お掃除だけは、隔日で来てくれることになる。明日は早速マルシェに行きたい旨を伝えると、同行してくれるって。
「オスヴァルドさん、ありがとうございます」
「何かあればお呼びください」
 オスヴァルドさん達赤騎士団の皆さんは、ご挨拶して帰って行った。
『ねえね、ヒスイ、おやつ食べたい』
『ルリ、パンケーキがいい』
『クリスはね、どら焼き』
「はいはい、お腹減ったね」
 お昼まだだし。
「こらアルスッ、ベタベタ触るなっ、割れたらどうするんだっ」
 ゲストハウスでは、飾られた陶器の置物を触っているアルスさんに、ファングさん達がわいわいしていた。
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