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三度目の首都⑤

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 私はレティちゃんとジーク君を交代で抱っこさせてもらう。コロンちゃんぶりの赤ちゃん。首が座ったとはいえ、よそのおうちの赤ちゃん。ちょっとこわか、かわいかけどね。ジーク君が、うわわん、となりだしそうなので、ルイシさんにバトンタッチする。
 くるくるパーティーは次の段階に入ろうとしていた。しかし、受けが非常にいい。次々にお皿が積み上がっていく。メティシラさんもルイシさんも赤ちゃん片手に果物メインに食べている。すごか、私では必死に両手で支えたのに、腰かけて膝に乗せているとはいえ、赤ちゃん片手に食べている。
「あ、あのビアンカさん、頭がめり込みそうなんですが……」
 ロッシュさんの頭にビアンカが顎をズシンと、乗せている。たぶん、モーガンさん達のお孫さんみたいに、はい、あーん、しなさいと言うつもりなんだろう。
「ちょ、ル、ルージュさん、首がもげそうです……」
 ラーヴさんの顔に、ルージュが自分の顔をグリグリと押し付けている。きっと理由はビアンカと一緒。
 こんなことされたら普通の人は悲鳴をあげるか、気絶するんやろうけど。ロッシュさんもラーヴさんも、常日頃のビアンカとルージュを知っているので落ち着いている。ただ、見ていたメティシラさんとルイシさんは吹き出していたけどね。
「ビアンカ、ルージュ、やめんね」
『だって、いい匂いなのです』
『一つくらいダメ?』
「ダメよ」
『『ぶー』』
 仕方なく、くるくる回るお皿に釘付けの子供達に、ジーッ、と見つめているが、全く気が付いてもらえない。きゅーん、と鳴こうとするが、いかんせん低音になってしまい。びくり、とするのはメティシラさんとルイシさん。アレスのように笛のような、ぴー、をビアンカとルージュは出せない。母に、め、されてすごすごと下がる。
 次に出されたのは、ミニの肉まんとチャーシューまんだ。母特製の肉餡とチャーシューが入っている。
「熱いので、気をつけてくださいね」
 と、母が小皿のレーンに乗せる。
 これが大好評。
「まあ、美味しいっ。この中のお肉と、なんの野菜かしら? 臭みがないわ」
 肉まんをはふっ、と食べたメティシラさんが感動した様な声を出し、中の肉餡の材料を考えている。
「あつっ、味がしっかりしているけど、いくらでも食べれそう。ああ、お酒が進みそうな味だわ」
 なんとも言えないため息をつくルイシさん、まだ、授乳期だよね。
「メッテ、熱いからな」
 と、ラーヴさんが肉まんをふーふーして、食べさせている。
「んっ、んっ、たべるゅっ」
 かわいいお口を汚しながら食べている姿がかわいか。
 マシュー君とマティアス君は熱かったようだけど、次から慎重に食べている。
「お父さんっ、これ美味しいっ」
「熱いけどっ、美味しいっ」
「ケイコさんの手料理は、何でも美味しいからな」
「あら? 聞き捨てならないわね」
 ロッシュさんの一言に、メティシラさんが目ざとく拾い、意地悪な視線。違うな、ちょっとからかうような言い方だ。
「いや、ほら、ケイコさんは、何て言うか」
 しどろもどろのロッシュさん。わあ、珍しい。
「ふふっ、わかっているわよ。確かに、お菓子もこのお肉料理も、どれも絶妙に美味しいし、きっと香味野菜の使い方が素晴らしいのね。なんであなたが言っていたかよくわかったわ。私ではまだ出せない塩梅ね」
 母が嬉そうにニコニコしながら、肉まんとチャーシューまんが乗ったお皿をレーンに乗せる。ビアンカとルージュが諦めずに、エアーお手している。
「本当にどれも美味しいわ。ラーヴったら、ミズサワさん達との同行を楽しみにしていたのはこれね」
「はは、まあ、な」
 ラーヴさんはメッテちゃんのお口を拭いている。
「良かったら、レシピありますよ。それに簡単に出来る魔道具もあるし」
 きらっ、と光るメティシラさんとルイシさんの目。
 魔道具っていうのは保温ジャーみたいなやつね。使い方次第では蒸し物も出来る。うちにある大型のサイズは気軽に買えないが、改良型小型サイズが出来上がり、現在いくつかモニターをしている。
 そして始まる父による魔道具の説明と、母の料理教室が始まる。レティちゃんはロッシュさん、ラーヴさんがジーク君を抱っこ。
「これは保温メインの魔道具です。釜の様に高温加熱には向きませんが、じっくり時間がかかるような料理に向きます。希望する温度にした料理を中に入れて、蓋を閉めて、ここに魔力を流します。中に入れる料理の種類は家内に聞いてください。稼働最中は多少熱を持ちます、ひっくり返したり、落としたりすると当然壊れますし、中身が飛び出し火傷の恐れがあります、気をつけてください。これはまだモニター最中です。使用した感想を職人ギルドまで言っていただけたら助かります。こちらの木札をお願いします」
 そっと木札を渡す父、しっかり受けとるメティシラさんとルイシさん。
 次に母の料理教室。
 まずは、ウサギ肉のハム、猪肉の角煮、ローストビーフ、蒸しパン、シチュー等の煮込み料理等々。
 母の説明を熱心に聞いている奥様方。私はマシュー君とマティアス君の、空になったグラスに、ジュースを注いだ。
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