790 / 820
連載
三度目の首都⑤
しおりを挟む
私はレティちゃんとジーク君を交代で抱っこさせてもらう。コロンちゃんぶりの赤ちゃん。首が座ったとはいえ、よそのおうちの赤ちゃん。ちょっとこわか、かわいかけどね。ジーク君が、うわわん、となりだしそうなので、ルイシさんにバトンタッチする。
くるくるパーティーは次の段階に入ろうとしていた。しかし、受けが非常にいい。次々にお皿が積み上がっていく。メティシラさんもルイシさんも赤ちゃん片手に果物メインに食べている。すごか、私では必死に両手で支えたのに、腰かけて膝に乗せているとはいえ、赤ちゃん片手に食べている。
「あ、あのビアンカさん、頭がめり込みそうなんですが……」
ロッシュさんの頭にビアンカが顎をズシンと、乗せている。たぶん、モーガンさん達のお孫さんみたいに、はい、あーん、しなさいと言うつもりなんだろう。
「ちょ、ル、ルージュさん、首がもげそうです……」
ラーヴさんの顔に、ルージュが自分の顔をグリグリと押し付けている。きっと理由はビアンカと一緒。
こんなことされたら普通の人は悲鳴をあげるか、気絶するんやろうけど。ロッシュさんもラーヴさんも、常日頃のビアンカとルージュを知っているので落ち着いている。ただ、見ていたメティシラさんとルイシさんは吹き出していたけどね。
「ビアンカ、ルージュ、やめんね」
『だって、いい匂いなのです』
『一つくらいダメ?』
「ダメよ」
『『ぶー』』
仕方なく、くるくる回るお皿に釘付けの子供達に、ジーッ、と見つめているが、全く気が付いてもらえない。きゅーん、と鳴こうとするが、いかんせん低音になってしまい。びくり、とするのはメティシラさんとルイシさん。アレスのように笛のような、ぴー、をビアンカとルージュは出せない。母に、め、されてすごすごと下がる。
次に出されたのは、ミニの肉まんとチャーシューまんだ。母特製の肉餡とチャーシューが入っている。
「熱いので、気をつけてくださいね」
と、母が小皿のレーンに乗せる。
これが大好評。
「まあ、美味しいっ。この中のお肉と、なんの野菜かしら? 臭みがないわ」
肉まんをはふっ、と食べたメティシラさんが感動した様な声を出し、中の肉餡の材料を考えている。
「あつっ、味がしっかりしているけど、いくらでも食べれそう。ああ、お酒が進みそうな味だわ」
なんとも言えないため息をつくルイシさん、まだ、授乳期だよね。
「メッテ、熱いからな」
と、ラーヴさんが肉まんをふーふーして、食べさせている。
「んっ、んっ、たべるゅっ」
かわいいお口を汚しながら食べている姿がかわいか。
マシュー君とマティアス君は熱かったようだけど、次から慎重に食べている。
「お父さんっ、これ美味しいっ」
「熱いけどっ、美味しいっ」
「ケイコさんの手料理は、何でも美味しいからな」
「あら? 聞き捨てならないわね」
ロッシュさんの一言に、メティシラさんが目ざとく拾い、意地悪な視線。違うな、ちょっとからかうような言い方だ。
「いや、ほら、ケイコさんは、何て言うか」
しどろもどろのロッシュさん。わあ、珍しい。
「ふふっ、わかっているわよ。確かに、お菓子もこのお肉料理も、どれも絶妙に美味しいし、きっと香味野菜の使い方が素晴らしいのね。なんであなたが言っていたかよくわかったわ。私ではまだ出せない塩梅ね」
母が嬉そうにニコニコしながら、肉まんとチャーシューまんが乗ったお皿をレーンに乗せる。ビアンカとルージュが諦めずに、エアーお手している。
「本当にどれも美味しいわ。ラーヴったら、ミズサワさん達との同行を楽しみにしていたのはこれね」
「はは、まあ、な」
ラーヴさんはメッテちゃんのお口を拭いている。
「良かったら、レシピありますよ。それに簡単に出来る魔道具もあるし」
きらっ、と光るメティシラさんとルイシさんの目。
魔道具っていうのは保温ジャーみたいなやつね。使い方次第では蒸し物も出来る。うちにある大型のサイズは気軽に買えないが、改良型小型サイズが出来上がり、現在いくつかモニターをしている。
そして始まる父による魔道具の説明と、母の料理教室が始まる。レティちゃんはロッシュさん、ラーヴさんがジーク君を抱っこ。
「これは保温メインの魔道具です。釜の様に高温加熱には向きませんが、じっくり時間がかかるような料理に向きます。希望する温度にした料理を中に入れて、蓋を閉めて、ここに魔力を流します。中に入れる料理の種類は家内に聞いてください。稼働最中は多少熱を持ちます、ひっくり返したり、落としたりすると当然壊れますし、中身が飛び出し火傷の恐れがあります、気をつけてください。これはまだモニター最中です。使用した感想を職人ギルドまで言っていただけたら助かります。こちらの木札をお願いします」
そっと木札を渡す父、しっかり受けとるメティシラさんとルイシさん。
次に母の料理教室。
まずは、ウサギ肉のハム、猪肉の角煮、ローストビーフ、蒸しパン、シチュー等の煮込み料理等々。
母の説明を熱心に聞いている奥様方。私はマシュー君とマティアス君の、空になったグラスに、ジュースを注いだ。
くるくるパーティーは次の段階に入ろうとしていた。しかし、受けが非常にいい。次々にお皿が積み上がっていく。メティシラさんもルイシさんも赤ちゃん片手に果物メインに食べている。すごか、私では必死に両手で支えたのに、腰かけて膝に乗せているとはいえ、赤ちゃん片手に食べている。
「あ、あのビアンカさん、頭がめり込みそうなんですが……」
ロッシュさんの頭にビアンカが顎をズシンと、乗せている。たぶん、モーガンさん達のお孫さんみたいに、はい、あーん、しなさいと言うつもりなんだろう。
「ちょ、ル、ルージュさん、首がもげそうです……」
ラーヴさんの顔に、ルージュが自分の顔をグリグリと押し付けている。きっと理由はビアンカと一緒。
こんなことされたら普通の人は悲鳴をあげるか、気絶するんやろうけど。ロッシュさんもラーヴさんも、常日頃のビアンカとルージュを知っているので落ち着いている。ただ、見ていたメティシラさんとルイシさんは吹き出していたけどね。
「ビアンカ、ルージュ、やめんね」
『だって、いい匂いなのです』
『一つくらいダメ?』
「ダメよ」
『『ぶー』』
仕方なく、くるくる回るお皿に釘付けの子供達に、ジーッ、と見つめているが、全く気が付いてもらえない。きゅーん、と鳴こうとするが、いかんせん低音になってしまい。びくり、とするのはメティシラさんとルイシさん。アレスのように笛のような、ぴー、をビアンカとルージュは出せない。母に、め、されてすごすごと下がる。
次に出されたのは、ミニの肉まんとチャーシューまんだ。母特製の肉餡とチャーシューが入っている。
「熱いので、気をつけてくださいね」
と、母が小皿のレーンに乗せる。
これが大好評。
「まあ、美味しいっ。この中のお肉と、なんの野菜かしら? 臭みがないわ」
肉まんをはふっ、と食べたメティシラさんが感動した様な声を出し、中の肉餡の材料を考えている。
「あつっ、味がしっかりしているけど、いくらでも食べれそう。ああ、お酒が進みそうな味だわ」
なんとも言えないため息をつくルイシさん、まだ、授乳期だよね。
「メッテ、熱いからな」
と、ラーヴさんが肉まんをふーふーして、食べさせている。
「んっ、んっ、たべるゅっ」
かわいいお口を汚しながら食べている姿がかわいか。
マシュー君とマティアス君は熱かったようだけど、次から慎重に食べている。
「お父さんっ、これ美味しいっ」
「熱いけどっ、美味しいっ」
「ケイコさんの手料理は、何でも美味しいからな」
「あら? 聞き捨てならないわね」
ロッシュさんの一言に、メティシラさんが目ざとく拾い、意地悪な視線。違うな、ちょっとからかうような言い方だ。
「いや、ほら、ケイコさんは、何て言うか」
しどろもどろのロッシュさん。わあ、珍しい。
「ふふっ、わかっているわよ。確かに、お菓子もこのお肉料理も、どれも絶妙に美味しいし、きっと香味野菜の使い方が素晴らしいのね。なんであなたが言っていたかよくわかったわ。私ではまだ出せない塩梅ね」
母が嬉そうにニコニコしながら、肉まんとチャーシューまんが乗ったお皿をレーンに乗せる。ビアンカとルージュが諦めずに、エアーお手している。
「本当にどれも美味しいわ。ラーヴったら、ミズサワさん達との同行を楽しみにしていたのはこれね」
「はは、まあ、な」
ラーヴさんはメッテちゃんのお口を拭いている。
「良かったら、レシピありますよ。それに簡単に出来る魔道具もあるし」
きらっ、と光るメティシラさんとルイシさんの目。
魔道具っていうのは保温ジャーみたいなやつね。使い方次第では蒸し物も出来る。うちにある大型のサイズは気軽に買えないが、改良型小型サイズが出来上がり、現在いくつかモニターをしている。
そして始まる父による魔道具の説明と、母の料理教室が始まる。レティちゃんはロッシュさん、ラーヴさんがジーク君を抱っこ。
「これは保温メインの魔道具です。釜の様に高温加熱には向きませんが、じっくり時間がかかるような料理に向きます。希望する温度にした料理を中に入れて、蓋を閉めて、ここに魔力を流します。中に入れる料理の種類は家内に聞いてください。稼働最中は多少熱を持ちます、ひっくり返したり、落としたりすると当然壊れますし、中身が飛び出し火傷の恐れがあります、気をつけてください。これはまだモニター最中です。使用した感想を職人ギルドまで言っていただけたら助かります。こちらの木札をお願いします」
そっと木札を渡す父、しっかり受けとるメティシラさんとルイシさん。
次に母の料理教室。
まずは、ウサギ肉のハム、猪肉の角煮、ローストビーフ、蒸しパン、シチュー等の煮込み料理等々。
母の説明を熱心に聞いている奥様方。私はマシュー君とマティアス君の、空になったグラスに、ジュースを注いだ。
3,080
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。