789 / 820
連載
三度目の首都④
しおりを挟む
「ロッシュさん、ラーヴさん、いらっしゃい」
「ユイさん、大勢で来てすみません」
「すみません」
ロッシュさんとラーヴさんは手土産として、マーファより北にある国営農場産のオリーブオイルを持ってきてくれた。ありがたくいただく。
「ありがとうございます。さ、入って入って」
花がいつもの歓迎のローリングを披露している。ロッシュさんとラーヴさんは知り合いだが、奥さんやお子さんはほぼ初めましてなので、わんわん吠えて後退り。
「すみません、騒がしくて」
ロッシュさんとラーヴさんに歓迎のローリングを披露してから、花は結局自分のケージに戻っていた。
びっくりしているメティシラさんとルイシさん。メティシラさんとは面識があるが、ルイシさんは初めましてだ。黒猫の獣人さんで、くりっとした目のかわいらしい女性だ。で、ラーヴさんの娘さん、三歳のメッテちゃんも黒猫の獣人さんで、お母さんそっくりのくりくりの目で、まあ、かわいいこと。花を興味津々で、視線で追いかけている。ラーヴさんが片手で抱っこしている。
「とにかく、皆さんどうぞ、あ、マシュー君、マティアス君、こんにちは」
花のわんわんで驚いているが、私が声をかけると、さ、と緊張した顔に。
「こんにちは」
「こんにちは」
はい、ちゃんと挨拶してくれた。本当にロッシュさんのミニチュアやな。
玄関先やし、パーティーハウスの居間にご案内。居間にはビアンカとルージュが寛いでいる。シルフィ達が庭でお昼寝、アリスが付いている。残りのメンバーはルーティのダンジョンだ。
ソファーに着席を促し、改めてご挨拶をする。
近くでビアンカとルージュが気ままに寝転がっているのには、奥様方には驚異かも知れないが、子供達は興味津々。
で、早速、赤ちゃん達のお披露目だ。
「レティです」
ロッシュさんの娘さん、レティちゃん。
「お母さんそっくりですねー」
「はい、本当に良かったです。俺に似ていたらどうしようかと」
ロッシュさんがしみじみ。お父さんに似たら幸せになるって逸話を聞いた事あるけど。レティちゃんは顔立ちはお母さんのメティシラさんだけど、色素の薄い茶色の髪と緑色の目はお父さんのロッシュさん譲りだ。レティちゃんはメティシラさんが抱っこしている。きょとん、とみてくる。ふふふ、かわいか。足、ちっちゃい。
「ユイさん、うちのジークです」
ラーヴさんの息子さん、ジーク君。
「ジーク君もお母さんそっくりですね」
「はい」
ジーク君もお母さんそっくりの顔立ちだけど、髪はラーヴさんのカーキ色の入った黒髪。こちらはすやすや寝ているので目の色はわからないけど、赤っぽい茶色だそうだ。ふふふ、かわいか。ほっぺたもちもち。
で、ご歓談タイムだ。
マデリーンさんとエマちゃんが、準備していたお茶とジュースを出してくれる。
マシュー君とマティアス君はよそのおうちだから、静かだったけど、くるくる寿司レーンが出ると、まあ喜ぶ喜ぶ。メッテちゃんも目を輝かせている。大人もびっくりだ。
「え? これどうしたんですか?」
ロッシュさんも何だろうと見ている。
「父が設計して、ツヴァイクさんが作ってくれました」
「本当にリュウタさん、何でも作れますね」
改めて感心しているラーヴさん、父は置き物のようにソファーに座りニコニコしている。メティシラさんとルイシさんも前のめりで見ている。
皆さんの感心もばっちりなので、早速くるくるしますかね。
「ねえねえ、これなーにっ?」
「なーにっ?」
マシュー君とマティアス君がキラキラウキウキと聞いてくる。
「これはね、仕掛けがあるんよ」
開発者の父がロックを外して、ハンドルを回すと、レーンが動き出す。
「「「「「おーっ」」」」」
大歓声。
「で、今からここにこうやってお皿を流します」
母がレーンに小皿を置くと、当然小皿が流れていく。
「「「「「おーっ」」」」」
食い付きがいい。
「いまからお菓子が乗ったお皿を流しますよー。食べたいお皿を手元に取っ手くださいねー。お皿は戻さないでくださいね。食べれるだけ、お皿を取っ手くださいね」
楽しいくるくるパーティーが始まった。
マシュー君、マティアス君、メッテちゃんは回るお皿に大興奮。メニューは果物メイン。苺や無花果、梨にマンゴー等々、子供でも食べやすいサイズだ。それから母特製ミルクプリンとゼリー、一口サイズのスポンジにクリームと小さく切った果物を乗せている。
次々にお皿を取り、パクパクと平らげていく。果物もミルクプリンとゼリー、ミニスポンジケーキも大好評だ。
私はせっせとお皿を乗せ、晃太はせっせとハンドルを回す。母はレティちゃんとジーク君を抱っこさせてもらい、「孫、孫」と繰り返す。聞かないふり。父はお菓子や果物を狙いのたうち回る花を抱っこしている。
途中で、子供達はハンドルを回したいと訴えてきた。まあ、分かる気がするし、予測も付いた。無理やり回すと壊れる可能性があるので、予防法を取ってロックが設置されてある。
ロックしているので、びくともしない。
メッテちゃんが、ぴえ、と見てくる。かわいか。私はこっそりロック解除。ラーヴさんにこうこうと説明する。ハンドルを握るメッテちゃんの手の上からラーヴさんが手を包み、ゆっくり回る。
「わぁっ、まわったぁっ」
にこおっ、と笑うメッテちゃん。そうなると、マシュー君とマティアス君も回したい。ロッシュさんが手を添えて回してもらう。
途中でビアンカとルージュが無言で見つめてくるのに、ロッシュさんとラーヴさんが気がついて、ギョッとしていた。だけど、母が気にせずニコニコとレティちゃんとジーク君を見ているので、気が付かなかった体を取っていた。
「ユイさん、大勢で来てすみません」
「すみません」
ロッシュさんとラーヴさんは手土産として、マーファより北にある国営農場産のオリーブオイルを持ってきてくれた。ありがたくいただく。
「ありがとうございます。さ、入って入って」
花がいつもの歓迎のローリングを披露している。ロッシュさんとラーヴさんは知り合いだが、奥さんやお子さんはほぼ初めましてなので、わんわん吠えて後退り。
「すみません、騒がしくて」
ロッシュさんとラーヴさんに歓迎のローリングを披露してから、花は結局自分のケージに戻っていた。
びっくりしているメティシラさんとルイシさん。メティシラさんとは面識があるが、ルイシさんは初めましてだ。黒猫の獣人さんで、くりっとした目のかわいらしい女性だ。で、ラーヴさんの娘さん、三歳のメッテちゃんも黒猫の獣人さんで、お母さんそっくりのくりくりの目で、まあ、かわいいこと。花を興味津々で、視線で追いかけている。ラーヴさんが片手で抱っこしている。
「とにかく、皆さんどうぞ、あ、マシュー君、マティアス君、こんにちは」
花のわんわんで驚いているが、私が声をかけると、さ、と緊張した顔に。
「こんにちは」
「こんにちは」
はい、ちゃんと挨拶してくれた。本当にロッシュさんのミニチュアやな。
玄関先やし、パーティーハウスの居間にご案内。居間にはビアンカとルージュが寛いでいる。シルフィ達が庭でお昼寝、アリスが付いている。残りのメンバーはルーティのダンジョンだ。
ソファーに着席を促し、改めてご挨拶をする。
近くでビアンカとルージュが気ままに寝転がっているのには、奥様方には驚異かも知れないが、子供達は興味津々。
で、早速、赤ちゃん達のお披露目だ。
「レティです」
ロッシュさんの娘さん、レティちゃん。
「お母さんそっくりですねー」
「はい、本当に良かったです。俺に似ていたらどうしようかと」
ロッシュさんがしみじみ。お父さんに似たら幸せになるって逸話を聞いた事あるけど。レティちゃんは顔立ちはお母さんのメティシラさんだけど、色素の薄い茶色の髪と緑色の目はお父さんのロッシュさん譲りだ。レティちゃんはメティシラさんが抱っこしている。きょとん、とみてくる。ふふふ、かわいか。足、ちっちゃい。
「ユイさん、うちのジークです」
ラーヴさんの息子さん、ジーク君。
「ジーク君もお母さんそっくりですね」
「はい」
ジーク君もお母さんそっくりの顔立ちだけど、髪はラーヴさんのカーキ色の入った黒髪。こちらはすやすや寝ているので目の色はわからないけど、赤っぽい茶色だそうだ。ふふふ、かわいか。ほっぺたもちもち。
で、ご歓談タイムだ。
マデリーンさんとエマちゃんが、準備していたお茶とジュースを出してくれる。
マシュー君とマティアス君はよそのおうちだから、静かだったけど、くるくる寿司レーンが出ると、まあ喜ぶ喜ぶ。メッテちゃんも目を輝かせている。大人もびっくりだ。
「え? これどうしたんですか?」
ロッシュさんも何だろうと見ている。
「父が設計して、ツヴァイクさんが作ってくれました」
「本当にリュウタさん、何でも作れますね」
改めて感心しているラーヴさん、父は置き物のようにソファーに座りニコニコしている。メティシラさんとルイシさんも前のめりで見ている。
皆さんの感心もばっちりなので、早速くるくるしますかね。
「ねえねえ、これなーにっ?」
「なーにっ?」
マシュー君とマティアス君がキラキラウキウキと聞いてくる。
「これはね、仕掛けがあるんよ」
開発者の父がロックを外して、ハンドルを回すと、レーンが動き出す。
「「「「「おーっ」」」」」
大歓声。
「で、今からここにこうやってお皿を流します」
母がレーンに小皿を置くと、当然小皿が流れていく。
「「「「「おーっ」」」」」
食い付きがいい。
「いまからお菓子が乗ったお皿を流しますよー。食べたいお皿を手元に取っ手くださいねー。お皿は戻さないでくださいね。食べれるだけ、お皿を取っ手くださいね」
楽しいくるくるパーティーが始まった。
マシュー君、マティアス君、メッテちゃんは回るお皿に大興奮。メニューは果物メイン。苺や無花果、梨にマンゴー等々、子供でも食べやすいサイズだ。それから母特製ミルクプリンとゼリー、一口サイズのスポンジにクリームと小さく切った果物を乗せている。
次々にお皿を取り、パクパクと平らげていく。果物もミルクプリンとゼリー、ミニスポンジケーキも大好評だ。
私はせっせとお皿を乗せ、晃太はせっせとハンドルを回す。母はレティちゃんとジーク君を抱っこさせてもらい、「孫、孫」と繰り返す。聞かないふり。父はお菓子や果物を狙いのたうち回る花を抱っこしている。
途中で、子供達はハンドルを回したいと訴えてきた。まあ、分かる気がするし、予測も付いた。無理やり回すと壊れる可能性があるので、予防法を取ってロックが設置されてある。
ロックしているので、びくともしない。
メッテちゃんが、ぴえ、と見てくる。かわいか。私はこっそりロック解除。ラーヴさんにこうこうと説明する。ハンドルを握るメッテちゃんの手の上からラーヴさんが手を包み、ゆっくり回る。
「わぁっ、まわったぁっ」
にこおっ、と笑うメッテちゃん。そうなると、マシュー君とマティアス君も回したい。ロッシュさんが手を添えて回してもらう。
途中でビアンカとルージュが無言で見つめてくるのに、ロッシュさんとラーヴさんが気がついて、ギョッとしていた。だけど、母が気にせずニコニコとレティちゃんとジーク君を見ているので、気が付かなかった体を取っていた。
3,044
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。