781 / 824
連載
短期の滞在予定?⑰
しおりを挟む
ビーフシチューを一口。ホロホロと崩れていく。柔らかーい。ピラルクに似た魚の香草焼きも、大味かなって思ったけど、弾力のある鱈に近い感じ。うん、美味しい。晃太と父は青魚の香草焼き、母は棒々鶏サラダを食べている。
「で、どうやったん?」
私が手酌で缶チューハイを愛用のグラスに入れる。
「ああ、あれね」
晃太がA県の大吟醸を一口。
「まず、15階の牛部屋は素通りしたんよ、そっからの移動は馬車にした」
「馬車? ダンジョン内なのに?」
他の冒険者の皆さんいたろうに。冷蔵庫ダンジョンは上級者向けは18階以上、つまり16階には稼ごうとする冒険者のパーティーが相応にいたはず。
「ノワールには、灯火の女神様のブーストあるし、うちの馬車は多少の悪路でもよかろ? 馬車が通れる道ば選んで行ったんよ。それに先にビアンカ達が先行してくれたけん大丈夫やったよ……………変な目で見られたけどな」
「でしょうよ」
晃太は次に棒々鶏サラダを皿によそう。
馬車なのでいつもの最短距離ではないが、ノワールの引いた馬車は、ものの15分で到着。平原フィールドだからできることだ。すでに冒険者パーティーが三つ待っていた。
「ここで奥の手ば使ったんよ」
先にボス部屋を譲ってくれたら羊毛以外のドロップ品と宝箱を譲り、ドロップ品拾いに協力してくれたパーティーにはポーション3本、魔力回復ポーション3本、解毒ポーション3本を進呈します、と。直ぐにオッケー出たって。
後でホークさんから聞いたら、晃太の後ろでイシスとアレスが、ずももももっ、みたいな迫力でたっていたらしい。イシスとピザヲ所望スルとか、アレスのきゅるんを知らない人達は、恐かったろうなあ。
で、ボス部屋はイシスが開けて、ちゅどん、ドカン。
それは大量に出たらしい。
ここで二手に別れたと。
羊部屋にはチュアンさん、エマちゃん。アレス、ルージュ、シルフィ達、ラスチャーニエ、金の虎が残った。山羊部屋には晃太、ホークさん、テオ君、ビアンカ、ノワール、イシスにオシリス、仔達。そして蒼の麓が行くことに。チュアンさんにはいくつかのマジックバッグと、配布用のポーション類を多めにを渡して17階に移動。ある程度の時間になれば、16階入り口で待ち合わせとした。ノワールがぶひひん、と馬車を引きイシス達は空を、ビアンカと仔達は地上を駆けてで移動、下手したら勘違いされるような感じ満載で移動。
で、17階の山羊部屋前には冒険者パーティーが二つ。なんと顔見知りのパーティー。クラベル、ルベル・アケルだった。ビアンカがいたのもそうだが、晃太の事も覚えていてくれて、交渉もスムーズだっと。
「で、山羊部屋には二回挑んで、帰ってきたんよ。リティアさんも喜びよったけん大丈夫やと思うよ」
「そうお疲れ様」
属性のある山羊の毛以外のドロップ品と宝箱は、すべてお渡しだが、持てるわけない。イシスが開けたので、それはたくさんの肉やら角やら出た。あまりの数に、クラベルもルベル・アケルの皆さんも、ちょっと引きぎみだったそうだ。宝箱の解除は、エリアンさんがちゃっちゃっとやってくれた。キラキラ輝く宝石だったらしい。ドロップ品は念のために持っていた、時間停止のサイズの大きなマジックバッグに入れて、代表でアーロンさんに渡したそうだ。私達がマーファを出る前に、リティアさんにでも預けてもらえたらいいし。
「明日は、あ、フェリアレーナ様やったね。終わったら、ギルドにサイン行って」
「わかった」
次の日。
私は支度を済ませる。
母が作ったシンプルな青いワンピースだ。髪はハーフアップにしてもらい、同じ青い生地で出来た小さなリボンの付いたゴムを使用。手土産オッケー、忘れ物なし、よし、いいかな。
「失礼のないようにね」
「はい、行ってきます」
母が見送ってくれる。
同行してくれるのは、ホークさんとチュアンさん、ビアンカとルージュだ。ノワールは馬車を引いてくれる。
晃太はギルドにドロップ品を卸しに行っている。
ちょっとドキドキしながら馬車が進む。お天気よくて良かった。
窓からマーファの町並みが見える。慣れたもので、ちらっと振り返られるくらいだ。
ノワールの馬車はスムーズに貴族街に入り、まっすぐハルスフォン侯爵家に向かう。この貴族街には、現在、ここに居住しているのは、伯爵家の屋敷が二つ、子爵家が四つあるそうだ。リティアさんのおうちは一般の人々が住まう場所なんだって。貴族と言っても、リティアさんのように平民と混じって働いている。正に貴族ですっ、て言うのは、ハルスフォン侯爵様のような人達だって。
あら、あちらのお庭で小さな子供達が、メイドさんに見守られながら、走り回っている。この風景、異世界だろうが、変わらないんだね。
あ、青い屋根が見えてきた、ハルスフォン侯爵様のお屋敷だ。
「で、どうやったん?」
私が手酌で缶チューハイを愛用のグラスに入れる。
「ああ、あれね」
晃太がA県の大吟醸を一口。
「まず、15階の牛部屋は素通りしたんよ、そっからの移動は馬車にした」
「馬車? ダンジョン内なのに?」
他の冒険者の皆さんいたろうに。冷蔵庫ダンジョンは上級者向けは18階以上、つまり16階には稼ごうとする冒険者のパーティーが相応にいたはず。
「ノワールには、灯火の女神様のブーストあるし、うちの馬車は多少の悪路でもよかろ? 馬車が通れる道ば選んで行ったんよ。それに先にビアンカ達が先行してくれたけん大丈夫やったよ……………変な目で見られたけどな」
「でしょうよ」
晃太は次に棒々鶏サラダを皿によそう。
馬車なのでいつもの最短距離ではないが、ノワールの引いた馬車は、ものの15分で到着。平原フィールドだからできることだ。すでに冒険者パーティーが三つ待っていた。
「ここで奥の手ば使ったんよ」
先にボス部屋を譲ってくれたら羊毛以外のドロップ品と宝箱を譲り、ドロップ品拾いに協力してくれたパーティーにはポーション3本、魔力回復ポーション3本、解毒ポーション3本を進呈します、と。直ぐにオッケー出たって。
後でホークさんから聞いたら、晃太の後ろでイシスとアレスが、ずももももっ、みたいな迫力でたっていたらしい。イシスとピザヲ所望スルとか、アレスのきゅるんを知らない人達は、恐かったろうなあ。
で、ボス部屋はイシスが開けて、ちゅどん、ドカン。
それは大量に出たらしい。
ここで二手に別れたと。
羊部屋にはチュアンさん、エマちゃん。アレス、ルージュ、シルフィ達、ラスチャーニエ、金の虎が残った。山羊部屋には晃太、ホークさん、テオ君、ビアンカ、ノワール、イシスにオシリス、仔達。そして蒼の麓が行くことに。チュアンさんにはいくつかのマジックバッグと、配布用のポーション類を多めにを渡して17階に移動。ある程度の時間になれば、16階入り口で待ち合わせとした。ノワールがぶひひん、と馬車を引きイシス達は空を、ビアンカと仔達は地上を駆けてで移動、下手したら勘違いされるような感じ満載で移動。
で、17階の山羊部屋前には冒険者パーティーが二つ。なんと顔見知りのパーティー。クラベル、ルベル・アケルだった。ビアンカがいたのもそうだが、晃太の事も覚えていてくれて、交渉もスムーズだっと。
「で、山羊部屋には二回挑んで、帰ってきたんよ。リティアさんも喜びよったけん大丈夫やと思うよ」
「そうお疲れ様」
属性のある山羊の毛以外のドロップ品と宝箱は、すべてお渡しだが、持てるわけない。イシスが開けたので、それはたくさんの肉やら角やら出た。あまりの数に、クラベルもルベル・アケルの皆さんも、ちょっと引きぎみだったそうだ。宝箱の解除は、エリアンさんがちゃっちゃっとやってくれた。キラキラ輝く宝石だったらしい。ドロップ品は念のために持っていた、時間停止のサイズの大きなマジックバッグに入れて、代表でアーロンさんに渡したそうだ。私達がマーファを出る前に、リティアさんにでも預けてもらえたらいいし。
「明日は、あ、フェリアレーナ様やったね。終わったら、ギルドにサイン行って」
「わかった」
次の日。
私は支度を済ませる。
母が作ったシンプルな青いワンピースだ。髪はハーフアップにしてもらい、同じ青い生地で出来た小さなリボンの付いたゴムを使用。手土産オッケー、忘れ物なし、よし、いいかな。
「失礼のないようにね」
「はい、行ってきます」
母が見送ってくれる。
同行してくれるのは、ホークさんとチュアンさん、ビアンカとルージュだ。ノワールは馬車を引いてくれる。
晃太はギルドにドロップ品を卸しに行っている。
ちょっとドキドキしながら馬車が進む。お天気よくて良かった。
窓からマーファの町並みが見える。慣れたもので、ちらっと振り返られるくらいだ。
ノワールの馬車はスムーズに貴族街に入り、まっすぐハルスフォン侯爵家に向かう。この貴族街には、現在、ここに居住しているのは、伯爵家の屋敷が二つ、子爵家が四つあるそうだ。リティアさんのおうちは一般の人々が住まう場所なんだって。貴族と言っても、リティアさんのように平民と混じって働いている。正に貴族ですっ、て言うのは、ハルスフォン侯爵様のような人達だって。
あら、あちらのお庭で小さな子供達が、メイドさんに見守られながら、走り回っている。この風景、異世界だろうが、変わらないんだね。
あ、青い屋根が見えてきた、ハルスフォン侯爵様のお屋敷だ。
3,275
お気に入りに追加
7,756
あなたにおすすめの小説
幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
婚約破棄を告げた瞬間に主神を祀る大聖堂が倒壊しました〜神様はお怒りのようです〜
和歌
ファンタジー
「アリシア・フィルハーリス、君の犯した罪はあまりに醜い。今日この場をもって私レオン・ウル・ゴルドとアリシア・フィルハーリスの婚約破棄を宣言する──」
王宮の夜会で王太子が声高に告げた直後に、凄まじい地響きと揺れが広間を襲った。
※恋愛要素が薄すぎる気がするので、恋愛→ファンタジーにカテゴリを変更しました(11/27)
※感想コメントありがとうございます。ネタバレせずに返信するのが難しい為、返信しておりませんが、色々予想しながら読んでいただけるのを励みにしております。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。