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短期の滞在予定?⑯
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ご挨拶して、お店を出る。
「お姉ちゃん、また来てね」
「マーファを出る前に会いに来るね」
「うんっ」
名残惜しいが、バイバイと手を振るダイアナちゃんとさよなら。
パーティーハウスに戻ると、母の手伝い、魔境の様子を見に行く。
シヴァがぷりぷりと出迎えてくれる。
よしよし、もふもふ。
『ビアンカ、ビアンカ』
あ、久しぶりのシヴァの声。
「ビアンカはダンジョンでおらんよ」
「きゅうん」
情けない顔で鼻水垂らす。かわいかね。鼻水を拭いてあげる。
「明明後日にはダンジョンから繋ぐけん、ここにおり、ビアンカに会えるよ」
「きゅうんっ」
ペロッ、とされる、うっ、くさいが、かわいか。よしよし。
それから奥のお母さんウルフや赤ちゃんウルフ達のところに向かうと、すくすくと成長した赤ちゃんウルフや子供ウルフ達に囲まれる。くっ、もふもふっ、幸せっ。
おやつを上げて、引き上げる。シヴァや補佐ウルフ、慌てて帰って来たエアリーズとトーレスにもおやつを上げてパーティーハウスに戻る。
晃太達の帰りを待ちながら、私はフェリアレーナ様のお茶会の手土産に頭を悩ませる。
ハンカチなんてきっとたくさんあるだろうし、なんせ元王女様だし、大概のものは珍しくないだろうし。うーん、どうしよう。
母と悩みながら、セレクトショップダリアのメニューをみるが、ピンと来ない。頼りだったフリンダさんも、時期侯爵夫人で、元王女様の内々のお茶会の手土産なんて想像がつかないと言われた。母特製アップルパイも考えなかった訳ではないが、違う気がする。
うーん、どうしよう。
悩みがら、次のダンジョンアタックの食事の準備をしていると、海鮮太平燕の芳しい香りが。あ、そうや、これってルーティのダンジョンから出たマルブル貝とルーティ鮑を使用している。フェリクスさんの話では、王家にも献上されるって。この王家ってのはアスラ王国のね。もしかしたら、フェリアレーナ様でも珍しいかも。それに、フェリアレーナ様が召し上がらなくても、使用人の皆さんの賄いにでもしてくれたらいいし、これでもいいかな? なんと言っても、元手はタダ。
「ねえ、お母さん、この乾燥貝柱と鮑まだある?」
「あるよ、たっぷり」
「これば手土産に出来んかなって。これってアスラ王国では献上品やし、もし、フェリアレーナ様が食べなくても、使用人さんの賄いの出汁にならん? ほかに思い付かんし」
「そうやね、ほかに思い付かんなら、瓶に綺麗に入れて、ラッピングしたらいいんやない」
「なら、そうしようかね」
早速詰めよう。えーっと大きめの瓶は、と、あったジャムの瓶。しっかり母が浄化して、二つの瓶に、びっしりマルブル貝とルーティ鮑を詰める。マルブル貝は白のリボン、ルーティ鮑にはピンク色のリボンで飾ってと。あ、入れ物がいる。バギーを頼んだ事があるお店に、マデリーンさんと行き、サイズのよい、深い茶色の藤の籠を購入した。よし、準備ばっちり。
それからも野菜の下拵えと、戦闘部隊への炊き出しの料理を母の指示のもと作る。大量にあるルーティのウサギ肉だ。炊飯器で作るハム、鍋で作るチーズ巻きハム、これまた大量にルーティで購入したピラルクに似た白身魚の香草焼き。これはアレスがやらかした時にも300キロを越える大型、すでに魚とは言えないサイズがいて、たくさんある。母がチェックしてオーブンに。結局、業務用オーブンをポイントでゲットした。ハンバーグなんて、一気に焼ける優れもの。ミゲル君が慎重に天板をオーブンに入れてくれる。それから果物は冷蔵庫ダンジョンでたわわに実っていたリンゴ、青リンゴ、オレンジ、洋梨、桃も準備したしいいかな。
うーん、白身魚の香草焼き、いい香りやあ。せっかくだからと、私達の夕食メニューに加わる。白身魚より青魚の人もいるから、鯵でも作られる。
わあ、ご馳走になった。
夕方になると、晃太達が帰って来て、わいわいとなる。マアデン君はご家族が、ハジェル君はお兄さんが待っているので、冷蔵庫ダンジョン脱出してから別れたと。
「おかえり、大丈夫ね」
花のおかえりローリングを堪能していた晃太。私はねえねただいまと来たヒスイをもふもふ。
「ん、大丈夫よ。羊の毛も山羊の毛、結構手に入ったよ」
「1日で?」
「フェリクスさんから裏技聞いてな」
以前、ルーティのダンジョンでシルフィ達の訓練の為にやった裏技ね。
「そうな。とにかく皆さんお疲れ様です。うがいと手洗いしてください、食事にしましょう」
ルームに入り、従魔の足拭きタップ。うがいと手洗いを済ませて、勝手知ってるなんとかで、あっという間に準備が整う。アルコールは、どうしようかな? あ、ミゲル君とツヴァイクさんの目に、ジョッキの柄が。はいはい、いいですよ。私も飲んじゃえ。
『ユイ、お腹減ったのです』
『エビはないのかしら?』
『我は肉がいいのだ』
『ピザヲ所望スル』
「くうっ」
「わふんっ」
仔達も大合唱。はいはい。予め準備していた大皿を手分けして運んでもらう。途端にガツガツ。シルフィ達もノワールももりもり食べている。そこにやっと父が帰って来た。最近遅かね。花のおかえりローリングを撫で回している。
さ、父も帰って来たし、飲み物いいかな。
「皆さん、今日はバタバタでしたがありがとうございます」
はい、乾杯。
「お姉ちゃん、また来てね」
「マーファを出る前に会いに来るね」
「うんっ」
名残惜しいが、バイバイと手を振るダイアナちゃんとさよなら。
パーティーハウスに戻ると、母の手伝い、魔境の様子を見に行く。
シヴァがぷりぷりと出迎えてくれる。
よしよし、もふもふ。
『ビアンカ、ビアンカ』
あ、久しぶりのシヴァの声。
「ビアンカはダンジョンでおらんよ」
「きゅうん」
情けない顔で鼻水垂らす。かわいかね。鼻水を拭いてあげる。
「明明後日にはダンジョンから繋ぐけん、ここにおり、ビアンカに会えるよ」
「きゅうんっ」
ペロッ、とされる、うっ、くさいが、かわいか。よしよし。
それから奥のお母さんウルフや赤ちゃんウルフ達のところに向かうと、すくすくと成長した赤ちゃんウルフや子供ウルフ達に囲まれる。くっ、もふもふっ、幸せっ。
おやつを上げて、引き上げる。シヴァや補佐ウルフ、慌てて帰って来たエアリーズとトーレスにもおやつを上げてパーティーハウスに戻る。
晃太達の帰りを待ちながら、私はフェリアレーナ様のお茶会の手土産に頭を悩ませる。
ハンカチなんてきっとたくさんあるだろうし、なんせ元王女様だし、大概のものは珍しくないだろうし。うーん、どうしよう。
母と悩みながら、セレクトショップダリアのメニューをみるが、ピンと来ない。頼りだったフリンダさんも、時期侯爵夫人で、元王女様の内々のお茶会の手土産なんて想像がつかないと言われた。母特製アップルパイも考えなかった訳ではないが、違う気がする。
うーん、どうしよう。
悩みがら、次のダンジョンアタックの食事の準備をしていると、海鮮太平燕の芳しい香りが。あ、そうや、これってルーティのダンジョンから出たマルブル貝とルーティ鮑を使用している。フェリクスさんの話では、王家にも献上されるって。この王家ってのはアスラ王国のね。もしかしたら、フェリアレーナ様でも珍しいかも。それに、フェリアレーナ様が召し上がらなくても、使用人の皆さんの賄いにでもしてくれたらいいし、これでもいいかな? なんと言っても、元手はタダ。
「ねえ、お母さん、この乾燥貝柱と鮑まだある?」
「あるよ、たっぷり」
「これば手土産に出来んかなって。これってアスラ王国では献上品やし、もし、フェリアレーナ様が食べなくても、使用人さんの賄いの出汁にならん? ほかに思い付かんし」
「そうやね、ほかに思い付かんなら、瓶に綺麗に入れて、ラッピングしたらいいんやない」
「なら、そうしようかね」
早速詰めよう。えーっと大きめの瓶は、と、あったジャムの瓶。しっかり母が浄化して、二つの瓶に、びっしりマルブル貝とルーティ鮑を詰める。マルブル貝は白のリボン、ルーティ鮑にはピンク色のリボンで飾ってと。あ、入れ物がいる。バギーを頼んだ事があるお店に、マデリーンさんと行き、サイズのよい、深い茶色の藤の籠を購入した。よし、準備ばっちり。
それからも野菜の下拵えと、戦闘部隊への炊き出しの料理を母の指示のもと作る。大量にあるルーティのウサギ肉だ。炊飯器で作るハム、鍋で作るチーズ巻きハム、これまた大量にルーティで購入したピラルクに似た白身魚の香草焼き。これはアレスがやらかした時にも300キロを越える大型、すでに魚とは言えないサイズがいて、たくさんある。母がチェックしてオーブンに。結局、業務用オーブンをポイントでゲットした。ハンバーグなんて、一気に焼ける優れもの。ミゲル君が慎重に天板をオーブンに入れてくれる。それから果物は冷蔵庫ダンジョンでたわわに実っていたリンゴ、青リンゴ、オレンジ、洋梨、桃も準備したしいいかな。
うーん、白身魚の香草焼き、いい香りやあ。せっかくだからと、私達の夕食メニューに加わる。白身魚より青魚の人もいるから、鯵でも作られる。
わあ、ご馳走になった。
夕方になると、晃太達が帰って来て、わいわいとなる。マアデン君はご家族が、ハジェル君はお兄さんが待っているので、冷蔵庫ダンジョン脱出してから別れたと。
「おかえり、大丈夫ね」
花のおかえりローリングを堪能していた晃太。私はねえねただいまと来たヒスイをもふもふ。
「ん、大丈夫よ。羊の毛も山羊の毛、結構手に入ったよ」
「1日で?」
「フェリクスさんから裏技聞いてな」
以前、ルーティのダンジョンでシルフィ達の訓練の為にやった裏技ね。
「そうな。とにかく皆さんお疲れ様です。うがいと手洗いしてください、食事にしましょう」
ルームに入り、従魔の足拭きタップ。うがいと手洗いを済ませて、勝手知ってるなんとかで、あっという間に準備が整う。アルコールは、どうしようかな? あ、ミゲル君とツヴァイクさんの目に、ジョッキの柄が。はいはい、いいですよ。私も飲んじゃえ。
『ユイ、お腹減ったのです』
『エビはないのかしら?』
『我は肉がいいのだ』
『ピザヲ所望スル』
「くうっ」
「わふんっ」
仔達も大合唱。はいはい。予め準備していた大皿を手分けして運んでもらう。途端にガツガツ。シルフィ達もノワールももりもり食べている。そこにやっと父が帰って来た。最近遅かね。花のおかえりローリングを撫で回している。
さ、父も帰って来たし、飲み物いいかな。
「皆さん、今日はバタバタでしたがありがとうございます」
はい、乾杯。
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