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短期の滞在予定?⑬
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次の日。
フェリアレーナ様のお茶会もあるが、とにかくエマちゃんとテオ君が帰って来るから、準備を怠らない。母が朝から準備に余念がない。朝から掃除を済ませて、唐揚げを早速揚げている。ヘルト君、ドロテアちゃん、アルスさんも帰って来るから、追加で人気のアップルパイの作成開始。
朝イチで、ノワールを連れて、私はホークさんとまず騎士団の牧場へ。マロンとブランに会いに行く。
ノワールはお母さん馬とまだらちゃんとちゅっちゅっとやってる。マロンは、ふゆふゆ言いながら顔を出してくれるが、やはりブランは出てきてくれなかった。嫌われたくないので、ずいずいいけない。くうっ、撫でてみたい。
「ふゆふゆ」
「マロン、ありがとう」
ふふふ、かわいか。なでなで。
ブランはまだらちゃんの影だけと、ちょろっ、と顔を出してくれた。こっちを伺うような感じだ。だけどもう時間や、また、来るけん、その時は触らせてね。
帰りながら、ホークさんとお話。
「ホークさん、マロンとブランは魔法馬ですよね?」
「そうですね。シルフィリアとは明らかに目が違います」
シルフィリアは綺麗な緑だった。
「属性魔法馬ってのは、シルフィリアの様に目や、もしくは鬣に属性の色が出るんです。ただ、色が出る訳じゃないんですよ」
「へー」
「わずかですが、色が出た目や鬣に、魔力を感じる事が出来ますよ」
「へー、私、分からなかったです」
「注意して接しないと分かりませんよ。今度教えますね」
わあ、楽しみ。
「あ、でもノワールは真っ黒のままですよね。どこにも色が出てない気がします」
「ノワールは珍しい戦車馬ですからね。俺自身も、子供の頃に少しだけしか触れ合ってないんです。それに詳しく生態を知っていた飼育員は、ほとんど、あの戦争で亡くなったり、誘拐されたりで、分かってないんですよ。もしノワールが戦車馬でなく、属性魔法馬に進化したら、色が変わっていたかもですね」
そうなんだ。
「もし、ノワールがペガサスに進化したら、翼も真っ黒になります?」
「そうなるでしょうね。ペガサスの翼の色は、体躯の色になりますから」
と、言う事はノワールの体躯の色、真っ黒なペガサスかあ。ペガサスって純白なイメージがあるんだけど。
「そう簡単に、進化なんてしませんよね?」
「しないですよ、そう簡単には」
なんだろう、変な間が空く。
「ぶひひん」
ノワールがホークさんの顔に、鼻を寄せる。
確か、ノワールの進化って、ちゅどんドカンの影響よね? 最近毎日アレスと一緒に爆走しているけど。
「ぶひひん」
ま、ペガサスになろうが、ノワールはノワールやね。
「ペガサスなんて、なったら、せっかくの玄武の装備品、デザイン変更しなくちゃですね」
「そうなりますね」
なんか、変な間が空く。得体の知れない何かの感覚。
「どうしてですかね、私、いやーな予感がします」
ぽろりと溢す。
「…………実は俺もなんです」
白状するように、ため息と共にホークさんが言う。
「ぶひひん、ぶひひん」
お母さん馬とまだらちゃんに会えて、機嫌の良いノワール。
私とホークさんの心配、まだ先のはなしとなる。
パーティーハウスに戻り、エマちゃん達の帰りを待つ。予定通りなら、今日帰って来る予定なんだけど、日程がずれるのはよくあることだけど。
お昼過ぎて、うーん、心配。
母も心配そうだ。
フェリクスさん、蒼の麓の皆さんは落ち着いているが、金の虎の皆さんはソワソワしている。
心配だけど、帰って来たら、美味しいご飯をたっぷり食べさせたい。母の指示で次々に料理が出来上がる。
『一口なのですー』
『エビエビー』
『ピザヲ所望スル』
母が華麗にかわしている。
アレスは朝早くからルーティのダンジョンに仔達と若手数体引き連れて爆走している。
ちら、ちら、と外が気になってしまう。
最後のアップルパイが焼き上がった頃に、エアーお手を繰り出していたビアンカとルージュが顔を上げる。
『あ、ユイ、エマ達なのです』
『帰って来たわよ』
私達はすぐに出迎え体勢に入る。やはり心配だったのだろうホースさん達もすぐに続く。はっ、いかん。
「ミゲル君、蒼の麓と金の虎に知らせてくれる?」
「はいっ」
パーティーハウスの玄関で待っていると、金の虎の皆さんが、ルームを経由してやってきた。もう、フリンダさん、泣きそうや。フェリクスさん達も来た。あ、帰って来たっ。
「ユイさんっ、ただいま帰りましたっ」
エマちゃんが私達の姿を見て、駆けてくる。良かった、皆おるし、目立ったケガはない。隣にいた、ホークさんが安堵の息をついている。
「お帰り、エマちゃん、お帰りテオ君」
「はい、ただいま帰りました」
ニコニコ笑うエマちゃんと、ほっとした顔のテオ君。足元を花のおかえりローリングが炸裂している。
「花ちゃん、ただいま」
「花ちゃん」
撫で回すと、花のローリングからはみはみに切り替わる。
「お帰りエマちゃん、テオ君。ケガはなかね?」
「あ、ケイコお母さんっ」
「はいっ、大丈夫です」
元気に返事をする姿に、母はほっとした笑顔を浮かべる。
「アルスちゃんっ」
「うん」
「アルス、けがはないかい?」
「うん、ないよ」
いつもの様子のアルスさん。フリンダさんはぎゅう、と抱き締めている。リィマさんは心配そうに聞いている。
「アルス、どうだった?」
ファングさんが心底安心した顔だ。
「うーん、難しかった」
「そうか」
ガリストさんは何も言わないが、ほっとした顔だ。
「リーダー、ただいま帰りました」
「帰りました」
「お帰り、ヘルト、ドロテア」
ああ、良かった、皆、無事やな。
話を聞きたいが、まず、ケガの有無の確認、それから。
「さ、中に入り、お風呂に先にする? ご飯いっぱいあるから、綺麗にして食べるね?」
「「「「はいっ」」」」
「うんっ」
元気やぁっ。
ああ、本当に良かった。
フェリアレーナ様のお茶会もあるが、とにかくエマちゃんとテオ君が帰って来るから、準備を怠らない。母が朝から準備に余念がない。朝から掃除を済ませて、唐揚げを早速揚げている。ヘルト君、ドロテアちゃん、アルスさんも帰って来るから、追加で人気のアップルパイの作成開始。
朝イチで、ノワールを連れて、私はホークさんとまず騎士団の牧場へ。マロンとブランに会いに行く。
ノワールはお母さん馬とまだらちゃんとちゅっちゅっとやってる。マロンは、ふゆふゆ言いながら顔を出してくれるが、やはりブランは出てきてくれなかった。嫌われたくないので、ずいずいいけない。くうっ、撫でてみたい。
「ふゆふゆ」
「マロン、ありがとう」
ふふふ、かわいか。なでなで。
ブランはまだらちゃんの影だけと、ちょろっ、と顔を出してくれた。こっちを伺うような感じだ。だけどもう時間や、また、来るけん、その時は触らせてね。
帰りながら、ホークさんとお話。
「ホークさん、マロンとブランは魔法馬ですよね?」
「そうですね。シルフィリアとは明らかに目が違います」
シルフィリアは綺麗な緑だった。
「属性魔法馬ってのは、シルフィリアの様に目や、もしくは鬣に属性の色が出るんです。ただ、色が出る訳じゃないんですよ」
「へー」
「わずかですが、色が出た目や鬣に、魔力を感じる事が出来ますよ」
「へー、私、分からなかったです」
「注意して接しないと分かりませんよ。今度教えますね」
わあ、楽しみ。
「あ、でもノワールは真っ黒のままですよね。どこにも色が出てない気がします」
「ノワールは珍しい戦車馬ですからね。俺自身も、子供の頃に少しだけしか触れ合ってないんです。それに詳しく生態を知っていた飼育員は、ほとんど、あの戦争で亡くなったり、誘拐されたりで、分かってないんですよ。もしノワールが戦車馬でなく、属性魔法馬に進化したら、色が変わっていたかもですね」
そうなんだ。
「もし、ノワールがペガサスに進化したら、翼も真っ黒になります?」
「そうなるでしょうね。ペガサスの翼の色は、体躯の色になりますから」
と、言う事はノワールの体躯の色、真っ黒なペガサスかあ。ペガサスって純白なイメージがあるんだけど。
「そう簡単に、進化なんてしませんよね?」
「しないですよ、そう簡単には」
なんだろう、変な間が空く。
「ぶひひん」
ノワールがホークさんの顔に、鼻を寄せる。
確か、ノワールの進化って、ちゅどんドカンの影響よね? 最近毎日アレスと一緒に爆走しているけど。
「ぶひひん」
ま、ペガサスになろうが、ノワールはノワールやね。
「ペガサスなんて、なったら、せっかくの玄武の装備品、デザイン変更しなくちゃですね」
「そうなりますね」
なんか、変な間が空く。得体の知れない何かの感覚。
「どうしてですかね、私、いやーな予感がします」
ぽろりと溢す。
「…………実は俺もなんです」
白状するように、ため息と共にホークさんが言う。
「ぶひひん、ぶひひん」
お母さん馬とまだらちゃんに会えて、機嫌の良いノワール。
私とホークさんの心配、まだ先のはなしとなる。
パーティーハウスに戻り、エマちゃん達の帰りを待つ。予定通りなら、今日帰って来る予定なんだけど、日程がずれるのはよくあることだけど。
お昼過ぎて、うーん、心配。
母も心配そうだ。
フェリクスさん、蒼の麓の皆さんは落ち着いているが、金の虎の皆さんはソワソワしている。
心配だけど、帰って来たら、美味しいご飯をたっぷり食べさせたい。母の指示で次々に料理が出来上がる。
『一口なのですー』
『エビエビー』
『ピザヲ所望スル』
母が華麗にかわしている。
アレスは朝早くからルーティのダンジョンに仔達と若手数体引き連れて爆走している。
ちら、ちら、と外が気になってしまう。
最後のアップルパイが焼き上がった頃に、エアーお手を繰り出していたビアンカとルージュが顔を上げる。
『あ、ユイ、エマ達なのです』
『帰って来たわよ』
私達はすぐに出迎え体勢に入る。やはり心配だったのだろうホースさん達もすぐに続く。はっ、いかん。
「ミゲル君、蒼の麓と金の虎に知らせてくれる?」
「はいっ」
パーティーハウスの玄関で待っていると、金の虎の皆さんが、ルームを経由してやってきた。もう、フリンダさん、泣きそうや。フェリクスさん達も来た。あ、帰って来たっ。
「ユイさんっ、ただいま帰りましたっ」
エマちゃんが私達の姿を見て、駆けてくる。良かった、皆おるし、目立ったケガはない。隣にいた、ホークさんが安堵の息をついている。
「お帰り、エマちゃん、お帰りテオ君」
「はい、ただいま帰りました」
ニコニコ笑うエマちゃんと、ほっとした顔のテオ君。足元を花のおかえりローリングが炸裂している。
「花ちゃん、ただいま」
「花ちゃん」
撫で回すと、花のローリングからはみはみに切り替わる。
「お帰りエマちゃん、テオ君。ケガはなかね?」
「あ、ケイコお母さんっ」
「はいっ、大丈夫です」
元気に返事をする姿に、母はほっとした笑顔を浮かべる。
「アルスちゃんっ」
「うん」
「アルス、けがはないかい?」
「うん、ないよ」
いつもの様子のアルスさん。フリンダさんはぎゅう、と抱き締めている。リィマさんは心配そうに聞いている。
「アルス、どうだった?」
ファングさんが心底安心した顔だ。
「うーん、難しかった」
「そうか」
ガリストさんは何も言わないが、ほっとした顔だ。
「リーダー、ただいま帰りました」
「帰りました」
「お帰り、ヘルト、ドロテア」
ああ、良かった、皆、無事やな。
話を聞きたいが、まず、ケガの有無の確認、それから。
「さ、中に入り、お風呂に先にする? ご飯いっぱいあるから、綺麗にして食べるね?」
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「うんっ」
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