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カルーラで年明け~春まで⑯
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いいね、70万越えましたありがとうございます。励みになります。いいね、くださった皆さんありがとうございます。
「きゃっきゃっ」
「かわいかぁ」
デボラさんの腕のなかで、赤ちゃんが笑う。かわいかぁ。ほっぺたもちもち、足、ちっちゃーい。
バーナーさんとコーディさん達の考えを聞いたお茶会から時間が経ち、私達はモーガンさん達と仲良くやっている。
今日は初めてコロンちゃんを連れてきた。はわわ、かわいかっ。
「孫、孫が欲しかっ」
母の呟きは無視。
私は母と女性陣で話が盛り上がる。父は寮の件で話が盛り上がる。
おそらく今日がお招きする最後になるはず。一番厳しい冬の時期が過ぎている。もちろんまだ雪はちらつく日はあるが、どか雪ってまではない。道にも残っているが、もう少しすれば、ノワールの馬車でも移動可能だ。そのもう少しの期間を、大討伐の最終確認と称して森に籠るつもりだ。それがすめさえすれば、やっとマーファに戻れる。
先日、マーファからロッシュさんに、ロッシュさんのお母さん、ラーヴさんのお母さんから手紙が来た。ロッシュさんの奥さんメティシラさん、ラーヴさんの奥さんルイシさんが無事に出産。メティシラさんは女の子、ルイシさんは男の子だって。産後も良好だと、良かった、出産予定日近くになったら、毎日お地蔵様にお祈りして。頑張ったのはメティシラさんとルイシさん、助産師さん、夫の不在時だからと全面サポートしてくれたロッシュさんとラーヴさんのお母さん達だけどね。
メティシラさんの産んだ女の子はレティ。ラーヴさんの産んだ男の子はジークとなった。これは先日行われたジークフリード王太子殿下と、レティシア嬢が無事に結婚できたのにあやかったものだ。うん、なんだか、分かる。ロッシュさんもラーヴさんも嬉しそうに報告に来てくれた。だけど、内心はすごく心配しているはずなので、早めにマーファに帰りたいのだ。森の調査が終われば、直ぐにでもカルーラを立つ予定になっている。調査は明日からだ。
「以前いただいたミズサワ伯殿の個室の寮の件ですが」
ジャスパーさんが切り出す。寮はやはり最有力の四人部屋になりそうだが、父の考えた個室の寮が別に建てられることになる。やはり、プライベートを考えたこと、予算があること等々。
「個室使用となるので、多少ですが家賃を取る形にはなりますが」
四人部屋は家賃なしなんだって。ただ、この個室の寮も月5000位しか取らないと。
「それからあの家具、収納付きのベッドですが、これはミズサワ卿が特許を取られた方がよろしいかと思います。学校の寄宿舎などに採用されるかと思います」
ジャスパーさんは父が書いた、収納付きベッドの設計図をわざわざ返却してくれる。
「ありがとうございます。明日、ギルドに行きますので申請します」
父の収入源が増えていく。
それからも話が弾む。
ケイシーちゃん達に作った服が大好評。セーラー服なんだけど、カール君もデリック君にも作って四人でお揃いとなった。あまりにも嬉しかったのか、プロ顔負けの腕を持つコーディさんが絵筆を取ったそうだ。
「ユイ様、明日から魔の森に調査とお聞きしましたが、大丈夫ですか? 夜の気温はまだまだ冷え込みますわ」
心配してくれるブレンダさん。ブレンダさんはアスラ王国内でも中堅の伯爵家のご令嬢。呪い持ちに関する法案を提言した学者、バリア子爵とは親戚関係にあり、そこからバーナーさんと知り合ったって。ご実家は法案や修道院建設に賛成派。一時ブレンダさんとその子供であるケイシーちゃんとカール君を実家に避難させるように言ったそうだが、ブレンダさんはバーナーさんと共に行くことを決意。自分達が実家にいけば、実家にも火の粉がかかるのを恐れたからだ。
「はい。調査と言っても、ビアンカやアレスがメインですから、私は待つだけなんですよ」
実際はもう心配ないんだけどね。体裁の為に行くだけ。魔の森で暖かいルームに籠るだけ。
「ユイ様、私、ジンジャーとハーブの飴を作って参りましたの。お役にたてればと思いまして」
おずおずとラッピングされた瓶を差し出したのはデボラさん。コロンちゃんは母がだっこしてにっこにっことしている。花が興味津々で覗こうとするが、小さいでも歯があるからね、届かないようにしている。
「わざわざありがとうございます」
デボラさんは私が受け取ったのに、ホッとしている。
デボラさんはアスラ王国の子爵家のご令嬢だけど、実家とは縁を切っていると。なんでもデボラさんは三女だが、子爵がメイドを出して生まれた子。上の二人はかなり華やかな容姿から比べられら、その生まれで、かなり冷遇されていたそうだ。年頃になるまえにかなり年上の成金に売られるのを知ったデボラさんは、バリア子爵が出した、呪い持ちを個人的にお世話している施設職員募集に飛び付いて家出。必死に働いている姿に、キュンとしたのがコーディさんね。コーディさんと結婚するに辺り、事情はすべて話したと。そこでバリア子爵、その時は爵位を引き継いだ娘さんがデボラさんに、実家が手を出せないように、自分の養女にしてからコーディさんの元に送り出した。デボラさん曰く、バリア子爵には言葉にならない感謝をしているし、モーガン伯爵家の皆さんといるだけで幸せだってさ。
楽しい時間はあっという間だ。
「いちゅあえるのー」
エリンちゃんが私にしがみつく。かわいかぁ。このお茶会の後、私達は忙しくなる。おそらく、モーガンさん達に会える日がないが。私達はまたカルーラに戻ってくる。
ノワールとチュアンさんの玄武の装備品を取りに来るからね。おそらく来年辺りかな? 出来上がり予想日が分かれば、連絡がくる。その頃、まだモーガンさん達は大使としてカルーラにいるからね。
「また、会えるよ」
はっきりいつと言えないのが辛い。
懐いてくれたケイシーちゃん、カール君、デリック君も寂しそう。
馬車の中からバイバイと手を振る姿に、胸がつかえるような思いだった。
「きゃっきゃっ」
「かわいかぁ」
デボラさんの腕のなかで、赤ちゃんが笑う。かわいかぁ。ほっぺたもちもち、足、ちっちゃーい。
バーナーさんとコーディさん達の考えを聞いたお茶会から時間が経ち、私達はモーガンさん達と仲良くやっている。
今日は初めてコロンちゃんを連れてきた。はわわ、かわいかっ。
「孫、孫が欲しかっ」
母の呟きは無視。
私は母と女性陣で話が盛り上がる。父は寮の件で話が盛り上がる。
おそらく今日がお招きする最後になるはず。一番厳しい冬の時期が過ぎている。もちろんまだ雪はちらつく日はあるが、どか雪ってまではない。道にも残っているが、もう少しすれば、ノワールの馬車でも移動可能だ。そのもう少しの期間を、大討伐の最終確認と称して森に籠るつもりだ。それがすめさえすれば、やっとマーファに戻れる。
先日、マーファからロッシュさんに、ロッシュさんのお母さん、ラーヴさんのお母さんから手紙が来た。ロッシュさんの奥さんメティシラさん、ラーヴさんの奥さんルイシさんが無事に出産。メティシラさんは女の子、ルイシさんは男の子だって。産後も良好だと、良かった、出産予定日近くになったら、毎日お地蔵様にお祈りして。頑張ったのはメティシラさんとルイシさん、助産師さん、夫の不在時だからと全面サポートしてくれたロッシュさんとラーヴさんのお母さん達だけどね。
メティシラさんの産んだ女の子はレティ。ラーヴさんの産んだ男の子はジークとなった。これは先日行われたジークフリード王太子殿下と、レティシア嬢が無事に結婚できたのにあやかったものだ。うん、なんだか、分かる。ロッシュさんもラーヴさんも嬉しそうに報告に来てくれた。だけど、内心はすごく心配しているはずなので、早めにマーファに帰りたいのだ。森の調査が終われば、直ぐにでもカルーラを立つ予定になっている。調査は明日からだ。
「以前いただいたミズサワ伯殿の個室の寮の件ですが」
ジャスパーさんが切り出す。寮はやはり最有力の四人部屋になりそうだが、父の考えた個室の寮が別に建てられることになる。やはり、プライベートを考えたこと、予算があること等々。
「個室使用となるので、多少ですが家賃を取る形にはなりますが」
四人部屋は家賃なしなんだって。ただ、この個室の寮も月5000位しか取らないと。
「それからあの家具、収納付きのベッドですが、これはミズサワ卿が特許を取られた方がよろしいかと思います。学校の寄宿舎などに採用されるかと思います」
ジャスパーさんは父が書いた、収納付きベッドの設計図をわざわざ返却してくれる。
「ありがとうございます。明日、ギルドに行きますので申請します」
父の収入源が増えていく。
それからも話が弾む。
ケイシーちゃん達に作った服が大好評。セーラー服なんだけど、カール君もデリック君にも作って四人でお揃いとなった。あまりにも嬉しかったのか、プロ顔負けの腕を持つコーディさんが絵筆を取ったそうだ。
「ユイ様、明日から魔の森に調査とお聞きしましたが、大丈夫ですか? 夜の気温はまだまだ冷え込みますわ」
心配してくれるブレンダさん。ブレンダさんはアスラ王国内でも中堅の伯爵家のご令嬢。呪い持ちに関する法案を提言した学者、バリア子爵とは親戚関係にあり、そこからバーナーさんと知り合ったって。ご実家は法案や修道院建設に賛成派。一時ブレンダさんとその子供であるケイシーちゃんとカール君を実家に避難させるように言ったそうだが、ブレンダさんはバーナーさんと共に行くことを決意。自分達が実家にいけば、実家にも火の粉がかかるのを恐れたからだ。
「はい。調査と言っても、ビアンカやアレスがメインですから、私は待つだけなんですよ」
実際はもう心配ないんだけどね。体裁の為に行くだけ。魔の森で暖かいルームに籠るだけ。
「ユイ様、私、ジンジャーとハーブの飴を作って参りましたの。お役にたてればと思いまして」
おずおずとラッピングされた瓶を差し出したのはデボラさん。コロンちゃんは母がだっこしてにっこにっことしている。花が興味津々で覗こうとするが、小さいでも歯があるからね、届かないようにしている。
「わざわざありがとうございます」
デボラさんは私が受け取ったのに、ホッとしている。
デボラさんはアスラ王国の子爵家のご令嬢だけど、実家とは縁を切っていると。なんでもデボラさんは三女だが、子爵がメイドを出して生まれた子。上の二人はかなり華やかな容姿から比べられら、その生まれで、かなり冷遇されていたそうだ。年頃になるまえにかなり年上の成金に売られるのを知ったデボラさんは、バリア子爵が出した、呪い持ちを個人的にお世話している施設職員募集に飛び付いて家出。必死に働いている姿に、キュンとしたのがコーディさんね。コーディさんと結婚するに辺り、事情はすべて話したと。そこでバリア子爵、その時は爵位を引き継いだ娘さんがデボラさんに、実家が手を出せないように、自分の養女にしてからコーディさんの元に送り出した。デボラさん曰く、バリア子爵には言葉にならない感謝をしているし、モーガン伯爵家の皆さんといるだけで幸せだってさ。
楽しい時間はあっという間だ。
「いちゅあえるのー」
エリンちゃんが私にしがみつく。かわいかぁ。このお茶会の後、私達は忙しくなる。おそらく、モーガンさん達に会える日がないが。私達はまたカルーラに戻ってくる。
ノワールとチュアンさんの玄武の装備品を取りに来るからね。おそらく来年辺りかな? 出来上がり予想日が分かれば、連絡がくる。その頃、まだモーガンさん達は大使としてカルーラにいるからね。
「また、会えるよ」
はっきりいつと言えないのが辛い。
懐いてくれたケイシーちゃん、カール君、デリック君も寂しそう。
馬車の中からバイバイと手を振る姿に、胸がつかえるような思いだった。
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