もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
756 / 852
連載

カルーラで年明け~春まで⑩

しおりを挟む
 うんうん悩んでジェフリーさんが決断する。
「ミズサワ様、お願いいたします」
「はい。いつでもいらしてください」
 それからちょっとだけ、建設最中の修道院について話す。私が寄贈した宝飾品や鰐部屋のナイフ等で、かなり予算に余裕ができて、現在建設準備と平行しスタッフ教育が前倒しで始められたそうだ。スタッフの為の寮もクラスアップした設備できると。もともとの寮は複数人で一部屋使用し、トイレは共同。まるで学生寮。キッチンは食堂、社員食堂を一軒、お風呂は共同浴場を一つ建てる予定だった。それをグレードアップすると。今は何人かの建築士が設計図を立ち上げている段階だと。
 スタッフの寮か。そういえば、父もマーファの孤児院の設計に携わったなあ。詰めるシスターさんの部屋。あの頃、書斎にこもって熱心に図面を引いてた。基本的な構造を聞くと、最有力の構図は部屋を大きめにした四人部屋で、大きなクローゼットが一つ。二階建で各階に洗面所とトイレ完備、一階にはミニキッチン。四人部屋って。あくまでこれが単身者の寮。日本の学校の寮でも個室なのに。私はちょっといびきかくから気を遣う。
「あの差し出がましいのですが、この設計に参加するのは決められた人達だけですか?」
「まあ、そうですね。経験者を優先しています。どなたかおすすめの建築士が?」
「はい。父がマーファの孤児院再建に携わりまして」
「ミズサワ様のご家族の皆様は、多彩でいらっしゃいますね。勿論、孤児院再建に携わった実績があるのでしたら、是非にご参加ください。しかし、これは協議にかけられ採用されるかは、分かりませんが」
「はい、それは分かっています」
 実際に寮の予定サイズ、建てた時の日の光がどんなふうになるか、どちらから光が入るかなど。寮も一つや二つではないから、いくつものタイプがある。単身寮、家族寮がある。
「左様でございますか、では、寮の簡略した基礎図面をお渡ししておきましょう。こちらにお父上にお渡しください。期限は申し訳ございません、三週間しかございません」
「わざわざありがとうございます。父に渡してみます。モーガンさん、三週間後にいらっしゃいますか?」
「よろしいのですか?」
「はい」
 話がトントン拍子に進む。私は基礎図面の書類を預かる。寝る場所がしっかりしていれば、疲れた体をゆっくり休ませる事ができる。休息、必要や。
 ここで私達はお暇することになる。なんだかんだと話し込んでしまった。
 来た時よりかなり打ち解けてくれたケイシーちゃん達が、ビアンカとルージュにバイバイしている。
「ミズサワ様、本日はありがとうございます。デリックの事ではご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、気にしてませんよ。では三週間後に、いらっしゃる前にくらいに連絡いただけると」
「承知しました」
 私の後ろで、げふっ、と言ってるビアンカとルージュ。ノワールを預かってくれていた担当者さんは、最後までノワールを惚れ惚れと見上げている。
 モーガンさん一家に見送られて、私達はパーティーハウスに戻った。

 その日の夕御飯。
 ぶるぶる震えているビアンカとルージュ。たっぷりサラダに、ウサギの蒸した胸肉がちょっぴり乗ってる。
『す、少ないのですっ』
『少ないわっ、肉が少ないわっ』
「んー?」
 にっこり笑う母。
「今日、ずいぶんモーガンさんのお家でお菓子食べたんやって?」
『『……………ユイッ、裏切り者ーっ』』
「私、結局、お菓子食べとらんのよ」
 そう、ケイシーちゃん達がわいわいと全部ビアンカとルージュに食べさせていた。あまりにも平和的で、のほほん、と眺めていたら、準備してくれていたお菓子がなくなっていた。それを聞いた母が何かしないわけない。
「なんね、この肉は?」
 ビアンカとルージュの肩を、もにっ、と掴む母は、有無を言わせない迫力。ひーん、となる魔の森の守護者フォレストガーディアンウルフと通った後は血の道となるクリムゾンジャガー。
 形無し。うちの母にかかれば形無しなのよ。
 私はモーガンさん一家の現状、特に子供達がストレスかかっていそうな事、修道院のスタッフ寮の件を両親に報告。
 母は二つ返事でオッケー。父には基礎図面を見せる。
「四人部屋予定なんやって。でもさ、学生でもないのに、相部屋はないかなって」
「そうやな、せめて二人部屋やなあ。そうなると、かなり手狭になるかなあ。優衣、これいつまで?」
「三週間」
「分かった、ちょっと考えようかね」
 父が思案顔になる。
『ユイ~、せめてチーズ乗せてなのです~』
『エビ~』
「お母さんに聞き」
『そんななのです』
『コウタ~』
「お母さんに聞き」
『『そんな~』』
 あれだけお菓子食べてよう言うよ。
しおりを挟む
感想 677

あなたにおすすめの小説

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

ある、義妹にすべてを奪われて魔獣の生贄になった令嬢のその後

オレンジ方解石
ファンタジー
 異母妹セリアに虐げられた挙げ句、婚約者のルイ王太子まで奪われて世を儚み、魔獣の生贄となったはずの侯爵令嬢レナエル。  ある夜、王宮にレナエルと魔獣が現れて…………。  

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

『完結済』ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!

甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

精霊王の愛し子

百合咲 桜凜
ファンタジー
家族からいないものとして扱われてきたリト。 魔法騎士団の副団長となりやっと居場所ができたと思ったら… この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。