もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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カルーラで年越し~春まで⑩

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 指定された日。
 少し早めに役場に到着。案内してくれた御用聞きの方に挨拶してお帰りいただく。寒いから馬車で移動したが、ご厚意で役場の倉庫にノワールと共に預かってくれた。ホークさんとチュアンさん、ビアンカとイシスが着いてきてくれた。ミゲル君はしっかり防寒してからノワールと倉庫だ。
 うん、重厚感のあるレンガ造りの建物だ。
 直ぐに役場の人が案内してくれる。こちらは初めてなので、ちらほら見られてしまうが、騒ぎにならない。慣れってやつね。役場に入る前に、ビアンカとイシスの足を拭く。雪道なのでやっぱり濡れていた。
 歴史建造物な雰囲気の役場の一階の奥に通される。室内は暖かく、落ち着いた感じで、家具も柔らかい色合いの茶色で統一されている。ビアンカとイシスでもゆったり出きるほど広い。
 既にモーガン夫妻が、護衛騎士二名とあの時の侍従さんといた。護衛騎士はあの日のベテラン感のある騎士と、がっちりとした体格の丸耳の獣人の騎士だ。ファングさん達虎系ではなさそうやけど、気になる丸耳。しかし、凄い隈。まさか、まさか、ね。
 直ぐにモーガン夫妻が立ち上がり、私達の前に。さ、とホークさんとチュアンさんがさりげなく庇うように立つ。ビアンカとイシスは敵意なしと思ったのか思い思いに座っている。
「ミズサワ様、先日は本当にありがとうございます。妻共々今こうしていられるのは、すべてミズサワ様のおかげです。深く深く感謝申し上げます」
 ジャスパーさんは深く腰をおり、モーヴさんはこれでもかと深く膝をおり頭を下げる。後ろにいた護衛騎士と侍従さんもだ。これはアスラ王国貴族の最大級の感謝を示す時のものだと後で聞いた。
「どうぞ頭を上げてください。ビアンカとルージュが駆け付けるまで頑張ってくれた護衛騎士さんがいたからですよ。あの、重症と聞いた若い騎士の方は?」
 一段と深く頭を下げてから、
「大事を取り、本日は大使館に詰めております。あれだけの重症でしたが、ミズサワ様の戦闘奴隷による処置が適切だったおかげで、何の後遺症もなく過ごせております」
「良かったです」
 役場の人が上着を預かってくれて、かけてくれた。VIP対応やな。
 私と晃太はソファーに座る。後ろにホークさんとチュアンさんが控え、対面にはモーガン夫妻。
「ミズサワ様、早速で申し訳ないのですが、護衛騎士達と魔法馬の治療代を」
 最初に話が来たが、これは予測出来ていた。
「先日の面会自体が非公式のはずです。私は『たまたま』異常を察知したビアンカとルージュに『こちらの判断』で救助に向かわせただけです」
「し、しかし。重症の騎士に使用したのは最低でも上級ポーションのはず」
「でしたら治療代はすべて孤児院に寄付を。ルーティの孤児院では、マーランからの流れてきた難民達が泣く泣く子供達を預けていき、パンク寸前でした。おそらく、マーランと隣接しているアスラ王国の町の孤児院でも同じようになっていると思います。お手数ですがそういった所に寄付をお願いします」
 私は治療代は受け付けませんの姿勢を崩さない。
「承知しました、その様に手配いたします」
 良かった。
 その話が終る頃に、パーヴェルさんがやってきた。本日はあの軍服みたいな正装で、かっちり髪も後ろに撫で付けているので、パーヴェル様ね。パーヴェル様にはロマンスグレーみたいなおじさまが着いている。胸のポケットにイコスティ辺境伯の紋章が刺繍されているので、辺境伯の執事さんだろう。ハルスフォン侯爵家の執事さん、スチュワートさんの胸のポケットも刺繍があった。
「申し訳ない、お待たせしました」
「時間きっかりですよ」
 席は上座しか残ってなくて、パーヴェル様はお断りしながら着席。役場の人が手早くお茶を配ってくれる。
 パーヴェル様のご挨拶の後に、本日の本題に入る。
「先日のアスラ王国大使夫妻襲撃に関してですが、金銭目的や営利誘拐目的でありません。襲撃犯の半数は恥ずかしながら、カルーラの破落戸でした。使い捨ての駒、囮に使われたようです」
 実際に、ベテラン感のある騎士さんが数人斬り伏せていたらしい。
「ミズサワ殿のご協力のおかげで、かなりの数の襲撃犯を生け捕りにでき、情報を聞き出せました」
 もしあの時、ビアンカやルージュが行かなければ、大多数は逃がしてしまったと。その中には、この襲撃事件の核を知っている人物がいたと。どうやったか手段は私には分からないが、情報を引き出したそうだ。
「それで主犯はアスラ王国に籍がある貴族が、モーガン夫妻を狙った、と」
 やっぱりアスラ王国の貴族か。それはある程度予測はしていたが、その襲撃の理由だ。
「モーガン夫妻、心当たりがあるのでは?」
 パーヴェル様が少し俯いてしまったモーガン夫妻に話を振る。
「はい。我々があの法案に一番関わっているからでしょう」
 ため息混じりに、そして申し訳ない顔でジャスパーさんが呟く。
「イコスティ辺境伯ご子息様、私的な騒ぎを隣国であるカルーラで引き起こしてしまい申し訳ありません」
「いえ、我々イコスティとしてもあの法案は、アスラ王国をよい方向に変えてくれるものだと信じております」
 何だろう? 凄く気になる。
「あの、その法案って?」
 私はそっと挙手。
 ちら、とジャスパーさんは、パーヴェル様に目で確認し、許可があり。
「ミズサワ様は、『呪い持ち』と言う病をご存じでしょうか?」
 まさか。
「はい、知っています」
「私達モーガン伯爵は、この『呪い持ち』に関する法案が立ち上がった時より支持しておりました。そして、法案の立ち上げに、王太子殿下ご夫妻がご尽力頂き、12年前にやっと可決、施行されました。光栄にもその時に、国王陛下からもお褒めの言葉を頂き、私達モーガン伯爵は、その法案の立役者になったのです。原案を考えた学者は高齢のために、可決する前に亡くなってしまいまして、我々がそれを引き継いだのもありますが」
 思い出すように話すジャスパーさん。
「しかし、これには未だに反対するものが後を絶ちません。どうにかして廃棄したい法案です。なので、立役者である我々をどうにかして排して、きっかけにしたいのだと思います」
 とんでもない話しになりそうや。
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