もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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約一ヶ月⑤

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 やっと脱出用魔法陣が修復。
 直ぐに脱出した。その前にもう一度、集落跡に花を供えた。
 さ、帰ろう。
 脱出先は、フィールド型ダンジョンを挑んだ出発点。王冠山は水滴が落ちた時に出きるような形をしている、その窪みの部分だ。くわっ、寒かっ、痛かっ。風が痛かっ。
 慌てて、ルームに避難。避難したが、直ぐに移動開始。すでに眼下に広がる森は緑ではなく、真っ白、雪が降ったのだから当然だけどね。完全防寒でオシリスに騎乗して、移動開始。それでも寒か。カルーラに帰ったら、ホークさんのお休みせんと。かなり、確実にブラックぷんぷんやもん。
 途中でノワールに交代したが、やはり雪に足を取られ、思ったよりスピードが出ない。それでもなんとかかんとか移動する。
 数日かけて移動。森を抜ける前の日に、若手達とお別れ。お別れと言っても、バンダナ外しただけ、従魔契約はそのまま。サブ・ドアがあるから、いつでも会える。皆、母に自己主張している。母はよしよし。私もちゅ、ちゅ、としてサブ・ドアの向こうに見送る。そのうちアレスのへいへいいくぜ行軍すると言われて、鼻水垂れてたけどね。
 ノワールに馬車を繋ぐ。道は、アレスとビアンカが魔法で作ってくれると。
 私とホークさんはしっかり防寒して馭者台に座る。馬車内は鮨詰め状態の冒険者の皆さんと晃太。仔達は並走、シルフィ達も馬車の後ろをアリスと共に走る事に。シルフィ達のすくすく育ち、馬車ないがみっちみちになるからだ。ウィンディだけは乗りたそうだけどね。
 安全運転第一に、馬車が進む。
 車輪を新しくしてよかった。マーファの木材部屋から出た高級木材を使用した車輪には、シーサーペントの骨が覆ってある。
「材料だけなら侯爵様の馬車に負けませんっ」
 と、マーファで加工してくれた馬車職人さんが、隈を作ってどやっ、てしてた。
 ゆっくり馬車が進む。イシス達が先にカルーラの上空を飛び、姿を見せているから気がついているはず。
 アレスとビアンカが除雪車をしてくれて、左右に雪が払われていく。魔法って、便利。そんな中、元気だけが、わふわふわんわんと遊びながら走っている。除雪される雪の下で走り回っている。何時もならコハクも遊びながら行くが、寒がりの為に、ルージュに張り付いている。反対側はヒスイね。母が編んだセーターをしっかり着ている。本来野生ならセーターなんて着ないが、うちはしっかり箱入りジャガーですからね。
 雪道なので、ゆっくりノワールが進む。
「わんわんっ」
 元気が雪まみれで飛び出していく。
「こら、元気っ、あんまり遠くに行かんよ」
「わふんっ」
 大丈夫かね?
 雪まみれの元気は閉まっている門の前に到着して、わんわん言ってる。すると、門が開き出した。
「おそらく、イシスさんと元気君の姿を確認したんだと思います」
 そうか、元気みたいなウルフ系は時々、テイムされているらしいが、イシスのようなグリフォンは存在自体が珍しく、さらにテイムされているなんて、さらに珍しい。
 グリフォンを従魔にしているなんで、私くらいだろうし。気がついて、門を開けてくれたんやね。
 ノワールの馬車がやっと門まで到着。
 ずらっ、と出迎えてくれた警備の皆さんは一様に安心した表情だ。
「よくご無事でっ、テイマーさん、お帰りなさい」
 あ、嬉しか。
「通例で申し訳ありません。確認を」
「はい」
 私は馬車の内側に声をかけると、鮨詰め状態の中身の皆さんが溢れるように出てきた。
「あの、ウルフ達が少ないようですが」
 冒険者ギルドカードを出していると、おずおずと聞かれた。
 若手達の事ね。
「はい、無事に向こうのウルフ達にも受け入れられて、そのまま魔境で別れました」
 もともとの設定だ。
 本来はシヴァ達のウルフの巣がある魔境で、若手達を加えて仔達が修行する事にしたが、一旦マーファに帰るにあたり、諸問題が発生。
 カルーラで仔達を見送り、私達はマーファに帰る。で、サブ・ドアを経由していきなりマーファに仔達や若手達が姿を見せたら、いつ来たの? ってことになる。なので、マーファ近くの魔の森で修行します、そこで若手達をビアンカとルージュがスカウトしました、と言うことにした。若手達はサブ・ドア経由すればいいかなって思ったが、隠すのって疲れる。ただでさえ、ルームを隠すのも気を遣うのにね。
 若手達は体裁上、魔境に連れていくにあたり、嫁婿候補ですと言ってある。こちらのコミュニティの問題がある。例えるなら魔法馬。魔物蔓延る世界で、気軽に遠方に行けない。なので、どうしても近しい血縁で番になる事があり、あまり重ねるとよろしくない。これを例として話し、マーファ近くの魔の森から嫁婿候補のウルフ達を、シヴァがエリアボスを務める魔境に連れていくってね。
「ああ、そうなんですね」
 あらかじめ説明してあるので、直ぐになっとくしてくれた。
「では、皆さん全員ギルドにお願いできますか? 長期に魔の森にいらしたので、確認のために」
「はい」
 私達は4ヶ月ぶりの雪のカルーラの街に入った。
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