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白夜⑲

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 ふうっ、母のカツは美味しい。トッピングのウサギ肉以外にも、一緒になすびや蓮根、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸を揚げている。なんでこんなに美味しいんやろ? なすびがふかふかしている。後は準備したのはゆで卵だ、半分にカット。とろけるチーズもね。
 揚げ物にはお手伝いメンバーのおかげで、かなり多量に出来上がっていた。
 私はウサギ肉となすび、肉詰め椎茸にする。晃太はとろけるチーズ以外全種類のせ。父はウサギ肉となすびと蓮根、ピーマンだ。母はなすびと蓮根、肉詰め椎茸。
 好きにトッピングを選んでもらう。
 ホークさんはウサギ肉、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸。チュアンさんはウサギ肉、なすび、蓮根、ピーマン、肉詰め椎茸。マデリーンさんはウサギ肉、なすび、ピーマン、ゆで卵、とろけるチーズ。ミゲル君はウサギ肉、なすび、肉詰め椎茸、ゆで卵、とろけるチーズ。エマちゃんとテオ君は私と同じのをチョイス。
 ラスチャーニエは全員仲良く全種類載せ。ただし、とろけるチーズはヒェリさんだけ。魔法でとろっとさせてるら。便利や。
 蒼の麓は、フェリクスさんがウサギ肉、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸、ゆで卵。エリアンさんはなすび、玉ねぎ、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。ドーラさんはウサギ肉、なすび、玉ねぎ、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。ヘルト君はウサギ肉、なすび、蓮根、肉詰め椎茸、ゆで卵。ドロテアちゃんはウサギ肉、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。肉詰め椎茸人気やな。
 金の虎はファングさんがウサギ肉、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸、ゆで卵。ガリストさんはウサギ肉、なすび、玉ねぎ、肉詰め椎茸、ゆで卵。リィマさんがウサギ肉、なすび、蓮根、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。フリンダさんがなすび、玉ねぎ、ゆで卵、とろけるチーズ。アルスさん、全種類のせのてんこもり。
 山風はロッシュさんがウサギ肉、なすび、蓮根、肉詰め椎茸、ゆで卵。ラーヴさんがウサギ肉、玉ねぎ、ピーマン、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。シュタインさんはウサギ肉、なすび、玉ねぎ、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。マアデン君はウサギ肉、なすび、ピーマン、肉詰め椎茸、とろけるチーズ。ハジェル君は全種類のせ、てんこ盛り。
 思ったより肉詰め椎茸が好評で、母がびっくり。椎茸は好みが別れるかと思っていたからだそうだ。
「ケイコお母さんのご飯は何でも美味しいっ」
「椎茸って言っても、そのままは無理だけど、カレーとか肉とかで、味がはいってたら分かんないし、美味しい」
 と、エマちゃんとテオ君。母がニコニコ。
「ユイちゃんの母ちゃん、俺、野菜食べたよっ」
 口の端しにカレーをつけながら、ぱくぱく食べるアルスさん。アルスさんの野菜嫌いは、お姉さんのリィマさんが頭を悩ませているが、私達が提供するものは疑い無く食べている。事情をおそらく知っている母が更にニコニコ。
「そうね、えらかね。また、作ろうね」
「うんっ」
 気持ちよく食べていくアルスさん。
 わいわいと食事が進む。
 話が尽きない。心配だったレディ・ロストークだけど、まだ産まれてないって。するとホークさんが一気に心配顔。出産予定日を越えているようだからと。
「レディ・ロストークは初産ですし、あまり産まれるのがおそくなると、その分、胎児が大きくなりますから」 
 人もそうやね。
 なんや、心配、もどかしい。サブ・ドア使えば、カルーラに帰れるが、そうすると、サブ・ドアの存在がばれてしまう。
 もどかしい。
 ノワールも厩舎で、心配のぶひひん。
「あ、そうやった、優衣にアスラ王国から大使の人が訪ねてきたよ」
 と、なすびを齧っていた父が思い出したように話し出す。
「大使?」
 なにやら大事。
「ほら、アスラ王国にルビーば献上したやん? あれのお礼やって」
「あれは、これからもよしなにって意味で」
「そうやね。お父さんもそう言ったよ。やけどな、非公式に言葉だけでも、王家からのお礼の気持ちを伝えたいって。優衣達が帰って来たら、また来ますって」
 非公式ね。
 確か、クラインからももらったけど。今回はお言葉だけね。何か品をもらっても困り可能性あるし。
「分かった、帰ってからやね」
 変なことはせんやろう。そうなる前に、ビアンカとルージュが黙ってない。
 それからも話が弾む。
 孤児院や戦闘部隊への炊き出しは順調。修道院で保護されている子供達にもね。それから低階層の住民にたいして行われる不定期の炊き出しも順調みたい。必ず就労窓口を開設して、長い列ができているって。預けていた薪は、直ぐに働きに出れない炊き出しに来た片親家庭を中心に配布。後、子供だけで来たところは、必要時役人がお宅訪問。本当に子供が炊き出し目的だけで来た家庭もあるが、親が寝込んで動けなかったところもあり。寝込んでいた親は一時的に治療院で保護、子供は孤児院で一時預かり。回復後の就労相談をしている。そして、両親が失踪し、子供達だけで寄り添っていたところは、すべて孤児院で保護したと。
 ルーティのアーグレ伯爵からもお手紙が来ていた。個人的なお手紙なので、律儀に、後見人代理のアルベルトさんを経由してだ。本来のルールなんだって。
 内容は私の提供した資金で無料教室での給食提供が出きるようになった後の報告。一気に通う子供達が増えたって。なんと、アスラ王国の王太子妃殿下と、末のお姫様が興味を示し、わざわざ視察の為に首都から離れたルーティまで足を運び行われたと。アーグレ伯爵は、きっとこれが国のため、これからの子供達の未来の為にもっと頑張りますって。
 良かった、私が提供した資金が、良い方向に向かって。
 よし、このお手紙はお地蔵様にお供えや。
 賑やかカレーの夕御飯後、明日の仕込みをして、両親は花と共にカルーラのパーティーハウスに。
 私は明日お供え予定の花を、セレクションダリアでチョイス。
 バトルジャンキー達が、ルーティのダンジョンに軽く運動に行き、無事に帰って来たのを確認して、やっと休んだ。

 次の日、朝から賑やかなルーム内で、わいわいしていると、カルーラのパーティーハウスに来客が。
 慌てて両親が戻り対応。
 しばらくして、満面の笑みで帰って来た。
「無事にレディ・ロストークが女の子を産んだって」
「レディ・ロストークも赤ちゃんも元気やってよっ」
 きゃーっ、女の子ーっ。どうやら昨日の夜中に産まれたみたい。うちには産まれたら知らせてもらうよう言っていたが、さすがに夜中は避けて、朝イチで来てくれたんやね。
「そっかあ、女の子ね。レディ・ロストークも赤ちゃんも元気なら良かった」
「そうやなあ」
 と、私と晃太がほくほくと笑顔になる。
「わんっ」
「「あんたやないって」」
 元気が吠える。
 ああ、良かった。女の子かぁ。うわあ、どっち似だろう? やっぱりレディ・ロストーク似で美少女感溢れるのかなあ。いや、ノワールもなかなかイケメンやと思う。うーん、早く会ってみたか。あ、ホークさんも心底安心している。
「ノワール、良かったね、お父さんばい」
「ぶひひひーんっ」
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