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白夜④
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「神様っ、シヴァの火魔法の力を上げてっ」
私は神への祈りを発動。
やはり首を二つも落とされて、ヤマタノオロチは黙っていなかった。
残りの首をまさに鎌首を上げる。まだ、半覚醒以下のようだ。
それぞれ最強戦闘モードのイシスとアレスが攻撃の手を休めず、次の首を切り飛ばす。ルージュが全くの狂いなく1メートルを超す火の玉を繰り出し、切断面に命中させていく。
そんな中、一つの首が、ルージュを丸飲みしようと迫っていた。大きく開いた口に飛び込んでいくのは、全身から炎を迸らせたシヴァだ。おそらく体内から炎で攻撃するつもりだろうが、私に沸き上がる嫌な予感。とっさに神への祈りを発動する。魔力が引き抜かれた瞬間、シヴァの身体、飲み込まれる。
一瞬肝が冷えたが、飲み込んだ、首、黒い肌が一ヶ所だけ、赤く色付いた。
ボウンッ
赤い、と認識したら、その箇所が一気に膨れ上がり、破裂する。血を撒き散らしながら飛び出してくるのはシヴァだ。ああ、良かった。シヴァは全くスピードを緩めず駆け抜けていく。かろうじてくっついていたところに、ルージュの容赦ない火の玉が直撃。完全に落ちる。
イシスとアレスが首を落とし、シヴァとルージュの火魔法が炸裂していく。
凄い、さすが、そう思ったが、予想以上にエグい光景。
お酒でベロベロに酔わせて、動きが鈍くなった所をぼこぼこにする。仕方ないとはいえ、よく考えたら、まるで卑怯者のようなやり方。
だが、ここでヤマタノオロチを抑えないと、いずれ這い出す。そうなれば、この辺一体が大惨事になる。
分かっている、分かっている事だ。
ここで、私達が失敗したら、どれだけの被害が出るか。
分かっていたのに。
目の前で、必死に戦ってくれているイシス達を見ながら、怪我をして欲しくないと言う思いと、ぼろぼろになっていくヤマタノオロチに、私は言い難い感情が浮かぶ。
かつて、魔境のウルフの巣を襲いながら、同族を撤退させるために、たった一匹残ったワゴン車蜘蛛。ビアンカとルージュの立て続いた攻撃に耐えていた、あのワゴン車蜘蛛が脳裏に過る。
もし、ヤマタノオロチと共にこちらに来た人達が今も生き繋いでいたら、こうにならなかった?
こんな痛々しい事に、ならなかった?
今も、穏やかに人々と生きていた?
そんな考えが、一瞬、頭を過った。
なんだろう、胸元が熱い。
熱い、熱い、熱い。
あ、物理的に熱かっ。
咄嗟に服の上から握るのは、始祖神様から頂いた、お守り。神秘の紫水晶(ミスティック・アメジスト)だ。
チェーンを引っ張り出すと、確かに熱を持っている。
なんで? 石が熱を?
始祖神様が言っていた、これは移住してきた人達のまとめ役のような人、神子が持っていた。これは始祖神様が作った寸分違わぬ偽物、つまり、本物だと。
「あと一つやっ」
晃太が声を上げた瞬間。
私の視界が、真っ白になった。
え?
白い世界で、私のすぐそばを誰かが走り抜ける。違う駈けていく。
「みこさまーっ」
小さな子供達、黒い髪、薄茶の服の子供達が走り抜けていく。薄茶の服は、まるで弥生時代のような印象を受ける。
白い世界が、徐々に視界が開けていく。色が入っていく。まるで映画の特殊効果みたいに。白い世界、無機質な世界から、息ずく世界に。
足元が、土の地面に草が生え、あちこちに木製の家が立っている。なんというか、昔話に出てくるような集落だ。
子供達の姿を目で追うと、丈の長い白い装束を身に纏った黒髪の女性が。
「みこさまっ、あげるっ」
子供達は手にした野花を女性に差し出している。
「まあ、ありがとう。まさか、村の外にいってないわよね?」
女性がにこやかに受けとるが、聞くと分かりやすく動揺する子供達。
「まっ、外に出たのねっ。なんて危ない事を」
優しく叱責する女性。
「だってえ」
と、ぶー、となる子供達。
「何もなかったからいいけど、次にしたら一晩、蔵にいれますからね」
「「「はーいっ」」」
「はい、約束よ。さ、行きなさい」
子供達が再び走る。
見送るその女性の胸元には、神秘の紫水晶が光っている。
「神子様っ、神子様っ」
そこへ、若い男性が駈けてくる。
「神子様っ、○○様がお帰りですっ。大物を仕留めておられますっ」
「直ぐに行きます」
これって何? 何の光景?
今ここで関連するとした、ヤマタノオロチと一緒にこつらに来た人達との記憶? つまり、ずっと昔の光景見てるの?
あの女性が神子で、あの神秘の紫水晶(ミスティック・アメジスト)が本物なら、まさか。
神子様と呼ばれた黒髪の女性は、全く私には気がつかず。隣を通りすぎていく。私は反射的に女性の後ろ姿を追う。
この先には、歓声を上げる村人達、私と同じ背丈があるような猪だ。猪は事切れている。その側にいるのは、映画で見た。アナ○ンダの様な大型の白蛇だった。
私は神への祈りを発動。
やはり首を二つも落とされて、ヤマタノオロチは黙っていなかった。
残りの首をまさに鎌首を上げる。まだ、半覚醒以下のようだ。
それぞれ最強戦闘モードのイシスとアレスが攻撃の手を休めず、次の首を切り飛ばす。ルージュが全くの狂いなく1メートルを超す火の玉を繰り出し、切断面に命中させていく。
そんな中、一つの首が、ルージュを丸飲みしようと迫っていた。大きく開いた口に飛び込んでいくのは、全身から炎を迸らせたシヴァだ。おそらく体内から炎で攻撃するつもりだろうが、私に沸き上がる嫌な予感。とっさに神への祈りを発動する。魔力が引き抜かれた瞬間、シヴァの身体、飲み込まれる。
一瞬肝が冷えたが、飲み込んだ、首、黒い肌が一ヶ所だけ、赤く色付いた。
ボウンッ
赤い、と認識したら、その箇所が一気に膨れ上がり、破裂する。血を撒き散らしながら飛び出してくるのはシヴァだ。ああ、良かった。シヴァは全くスピードを緩めず駆け抜けていく。かろうじてくっついていたところに、ルージュの容赦ない火の玉が直撃。完全に落ちる。
イシスとアレスが首を落とし、シヴァとルージュの火魔法が炸裂していく。
凄い、さすが、そう思ったが、予想以上にエグい光景。
お酒でベロベロに酔わせて、動きが鈍くなった所をぼこぼこにする。仕方ないとはいえ、よく考えたら、まるで卑怯者のようなやり方。
だが、ここでヤマタノオロチを抑えないと、いずれ這い出す。そうなれば、この辺一体が大惨事になる。
分かっている、分かっている事だ。
ここで、私達が失敗したら、どれだけの被害が出るか。
分かっていたのに。
目の前で、必死に戦ってくれているイシス達を見ながら、怪我をして欲しくないと言う思いと、ぼろぼろになっていくヤマタノオロチに、私は言い難い感情が浮かぶ。
かつて、魔境のウルフの巣を襲いながら、同族を撤退させるために、たった一匹残ったワゴン車蜘蛛。ビアンカとルージュの立て続いた攻撃に耐えていた、あのワゴン車蜘蛛が脳裏に過る。
もし、ヤマタノオロチと共にこちらに来た人達が今も生き繋いでいたら、こうにならなかった?
こんな痛々しい事に、ならなかった?
今も、穏やかに人々と生きていた?
そんな考えが、一瞬、頭を過った。
なんだろう、胸元が熱い。
熱い、熱い、熱い。
あ、物理的に熱かっ。
咄嗟に服の上から握るのは、始祖神様から頂いた、お守り。神秘の紫水晶(ミスティック・アメジスト)だ。
チェーンを引っ張り出すと、確かに熱を持っている。
なんで? 石が熱を?
始祖神様が言っていた、これは移住してきた人達のまとめ役のような人、神子が持っていた。これは始祖神様が作った寸分違わぬ偽物、つまり、本物だと。
「あと一つやっ」
晃太が声を上げた瞬間。
私の視界が、真っ白になった。
え?
白い世界で、私のすぐそばを誰かが走り抜ける。違う駈けていく。
「みこさまーっ」
小さな子供達、黒い髪、薄茶の服の子供達が走り抜けていく。薄茶の服は、まるで弥生時代のような印象を受ける。
白い世界が、徐々に視界が開けていく。色が入っていく。まるで映画の特殊効果みたいに。白い世界、無機質な世界から、息ずく世界に。
足元が、土の地面に草が生え、あちこちに木製の家が立っている。なんというか、昔話に出てくるような集落だ。
子供達の姿を目で追うと、丈の長い白い装束を身に纏った黒髪の女性が。
「みこさまっ、あげるっ」
子供達は手にした野花を女性に差し出している。
「まあ、ありがとう。まさか、村の外にいってないわよね?」
女性がにこやかに受けとるが、聞くと分かりやすく動揺する子供達。
「まっ、外に出たのねっ。なんて危ない事を」
優しく叱責する女性。
「だってえ」
と、ぶー、となる子供達。
「何もなかったからいいけど、次にしたら一晩、蔵にいれますからね」
「「「はーいっ」」」
「はい、約束よ。さ、行きなさい」
子供達が再び走る。
見送るその女性の胸元には、神秘の紫水晶が光っている。
「神子様っ、神子様っ」
そこへ、若い男性が駈けてくる。
「神子様っ、○○様がお帰りですっ。大物を仕留めておられますっ」
「直ぐに行きます」
これって何? 何の光景?
今ここで関連するとした、ヤマタノオロチと一緒にこつらに来た人達との記憶? つまり、ずっと昔の光景見てるの?
あの女性が神子で、あの神秘の紫水晶(ミスティック・アメジスト)が本物なら、まさか。
神子様と呼ばれた黒髪の女性は、全く私には気がつかず。隣を通りすぎていく。私は反射的に女性の後ろ姿を追う。
この先には、歓声を上げる村人達、私と同じ背丈があるような猪だ。猪は事切れている。その側にいるのは、映画で見た。アナ○ンダの様な大型の白蛇だった。
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