上 下
681 / 820
連載

フィールド型ダンジョン④

しおりを挟む
 よし、夕御飯の食器が片付いた。
 いまだに物騒な井戸端会議はやっているが。
「皆さん、お疲れ様です。明日もお願いします」
 と、皆さんをお見送り。
 さて、ホークさんとさっきのボス部屋の話聞こうかな。私もシルフィ達の成長具合が気になるし。晃太に先にお風呂にいってもらう。
「で、シルフィ達はどんな感じでした?」
「そうですね」
 シルフィ、イフリィ、ノームは問題なくゴブリンを倒していたが、ウインディは逃げてばかりだったそうだ。
「俺もゴブリン相手にしていたので、全部見たわけじゃないですが、ウインディちゃんが一番ゴブリン倒していたかも知れません」
「え?」
「ゴブリンから離れようとして、攻撃や魔法連発してました」
 どうやら、シルフィは逃げたいばかり、離れたいばかりにゴブリンを、手当たり次第に攻撃していたようだ。
 アリスは完全に見守り体勢だが、ジェネラルだけ、振り向き様に鼻息一発で、首をちょん。恐ろしか。
 シルフィはゴブリンより大きなナイトやルークも撃破。イフリィとノームはなんと連結して倒していたそうだ。
 うーん、つい最近まで、赤ちゃんで、ぽてぽて走っていたシルフィ達が。なんだか、子供の成長ってはやか。
 それから残ったジェネラルは、ドーラさんが杖から斧に武器を持ち変えて、ぼこぼこにしたと。綺麗な人なのに、斧でゴブリンジェネラルぼこぼこって。そう言えば、ドーラさんには闘神様のブーストあったよね? それの影響かな? きっとそうよね。たまに、訓練で組んでいるアンドレアスさんが、ひー、って言ってるのも、そのせいよね。ホークさんもゴブリンジェネラルは倒せないわけではないが、それは援護と現在の装備品があっての事。エドワルドさんなら、すぽーん、出きるけど。やはりSランクなのかな。
 あ、いけん、ホークさんばだらだら拘束したらいけんね。今日は移動のうえに、戦闘までしているんやから。
「お疲れ様ですホークさん、休んでください」
「はい、ユイさん、お休みなさい」
 本当はもうちょっと話したいのだけど、なごりおしいが、私はホークさんをお見送り。
『ねえ、ユイ』
『少しいいのですか?』
「わふん」
「なんね?」
 嫌な予感。
『明日朝イチで、シルフィ達の戦闘訓練をしたいのです』
『移動はその後でいいかしら?』
「わふーん」
「いやいや、今日実戦訓練したばっかりやん」
 くたくたで寝とるやん。
『もう少し追い込みたいのです』
『そうね、戦闘直後に気絶するくらいに』
「わふーん」
 鬼っ、鬼教官やっ。
『シルフィがしっかりした戦闘モードになりそうなのです』
『そうなのよ、あとちょっとなの』
「わふん、わふーん」
『主ヨ、続ケテヤルコトハ、シルフィ達ノ為ニナル』
 イシスまで来たっ。
 確かに、続けてやった方が覚えると言うか。仕事でもそうだ。続けて対応した処置とかは、時間をあけてやるより覚えるものだし。
「分かった、だけど誰か必ず付き添ってよ」
 こうして、シルフィ達の戦闘訓練が翌日も予定された。

「たのむけん、アレスとイシスが開けるのやめて」
 次の日。
 いざ、ゴブリン部屋に挑む際、見習い冒険者の訓練になるからと、未成年達が参加決定する。
 準備をごそごそしていると、アレスとイシスのどちらが開けると言う話になってた。
 やめて本当に。
 厄災クラスのアレスとイシスが開けると、とんでもない数が出るんやから。ヘビ部屋でも牛部屋でも木材部屋でも上位種が混ざっているやん。絶対キングだけじゃ済まされない事になる。変なの混じって出てこん? ほら、爬虫類の親玉とか。
 どうしよっかなー、と悩む鬼教官達。
『なら、元気、ルリ、クリス、行くのです』
『コハク、ヒスイもね』
『ホルス、上空カラノ援護二徹スルノダ』
 仔達が緊急参戦する事に。
「では、うちの一番若いエドワルドを出しましょう」
 と、ケルンさん。エドワルドさんは何か言いたそうだが、リーダーの指示なので黙って従っている。
「わいも行くよ、おらんより良かろ」
「ぶひひーんっ」
 晃太は支援魔法のスキルアップもあるけど、ノワールはこの後移動なんやけど。
「ぶひひん……………」
 くっ、久しぶりの哀愁攻撃っ。
 折れました。
 だけど、不安や。
 私は鬼教官達に相談し、ビアンカが着いてくれる事になる。もちろん光のリンゴ付きね。ボス部屋開けた瞬間に、中の気配分かるから、おかしいならイシスとアレスが出撃となる。
「エマちゃん、テオ君、大丈夫ね? エリクサー持った? 危ない時は使うんよ」
「「はい、ユイさん」」
「元気、たのむけん、単独で突っ込まんよ。回りを見てよ」
「わふーんっ」
「姉ちゃん、落ち着かんね」
 晃太が細々と支援魔法を発動していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

別に構いませんよ、離縁するので。

杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。 他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。 まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。

【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~

大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア 8さいの時、急に現れた義母に義姉。 あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。 侯爵家の娘なのに、使用人扱い。 お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。 義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする…… このままじゃ先の人生詰んでる。 私には 前世では25歳まで生きてた記憶がある! 義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから! 義母達にスカッとざまぁしたり 冒険の旅に出たり 主人公が妖精の愛し子だったり。 竜王の番だったり。 色々な無自覚チート能力発揮します。 竜王様との溺愛は後半第二章からになります。 ※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。 ※後半イチャイチャ多めです♡ ※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。