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出来るだけの準備⑤
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私はホークさん、エマちゃん、テオ君、ビアンカ、アレス、アリス、シルフィ達でダンジョンに。
一回だけ、もし長い待ちがあるようなら諦める。お泊まりなし。
ダンジョンの警備の人に説明すると、すんなり通してくれた。
「3階のボス部屋近くのセーフティゾーンに繋がっています。ただ、現在多くの冒険者パーティーが入っていますので、ボス部屋は列になっている可能性があります」
丁寧に教えてくれる。ありがたい。私はお礼を言って魔法陣のある小屋へ。
シルフィ達のバギーはエマちゃんが押す。シルフィ達もすくすく育っているので、バギー内ぎっちぎちだ。
『いいのですね』
ビアンカが確認して、魔力を流すと、お馴染み景色が変わる。あ、原っぱだ。休んでいた冒険者の皆さんがびっくりしている。
どうもどうもとご挨拶する。
「ボス部屋ってどっちですかね?」
「あ、あっちだ」
体格のいい犬耳の獣人男性が教えてくれる。
さ、行きましょ。
「すげえ、初めて見た」
「でっけえなあ」
「なんでこんな階層に? もっと上に行かねえの?」
こそこそ話しているのが聞こえたが、スルー。
あ、やっぱり並んでいる。
冒険者パーティーは三つ。
アレスに、ビアンカ、アリスにびっくりされた。そうだわなあ、おっきいもんねえ。
ここはまず、ご挨拶。
「ど、どうも」
と、すぐ前の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。
「素通りですか?」
「いえ、この仔達の訓練を兼ねてまして」
ちょうど、シルフィがバギーから飛び降りる。アリスが飛び出さないように鼻先で誘導する。並んでいる冒険者から、かわいい、と歓声が上がる。私の鼻が、びーん、と伸びる。
「そうなんですね。えっと、多分3時間は待ちますよ」
やっぱりかー。
『主よ、主よ、ボス部屋なのだ』
「アレス」
『はい、ごめんなさいなのだ』
直ぐに服従の姿勢。
(えっ? 腹出したよ)
(あんなでっかいウルフが?)
こそこそ。それから、ちょっと後退りして、わぁ、引くぅ、みたいな目で私を見てくる。なんか、なんか、刺さる。
「こほん。ビアンカ、アリスどうする?」
『そうなのですね』
「わふーん」
ビアンカとアリスが話し合っている間に、イフリィとノームもバギーから飛び降りている。服従の姿勢のアレスに、尻尾ぷりぷりしながら寄っている。
「ユイさん、ちょっと」
ホークさんがちょいちょいと手招き。なんやろ?
「これは奥の手と言うか……………」
ゴニョゴニョ。あ、なるほど。
「あのー、並んでいる皆さん」
「「「はいっ」」」
ピシャッ、ときおつけ、みたいにならんで。
「えっと、皆さんと交渉をしたいと思います。私達はあまり遅くなりたくないので、次にボス部屋が開いて譲って頂いたら、すべてのドロップ品と宝箱を進呈します。うちの従魔が開けるので、軽く10倍は出ますので」
これは高ランクの冒険者パーティーがするらしい。ケルンさんとフェリクスさんから聞いたそうだ。
先にボス部屋を挑む代わりに、ドロップ品や宝箱を渡す。高ランク冒険者パーティーは、低階層のボス部屋でウォーミングアップして、先に進むんだって。まだ、先の階層で稼げるからね。
さ、各パーティーのリーダーさんが話し合い。
「「「どうぞ」」」
「ありがとうございます」
ラッキー。
ペコペコしながら、前に。服従の姿勢だったアレスが、起き上がり、いそいそとついてくる。
やっと、バギーから降りたウィンディは、案の定情けない顔で私にすがりつく。
「きゅーん、きゅーんっ」
「ウィンディ、避けられん道よ」
「きゅーんっ」
よしよし。シルフィは譲ってくれた冒険者パーティーの皆さんから、かわいいと撫でられている。そこに、イフリィとノームも加わり、わいわい。
程なくして、ボス部屋の扉が閉まる。
復活したね。
シルフィ、イフリィ、ノームは尻尾ぷりぷり。ウィンディはシルフィのうしろにくっついている。
ボス部屋はアリスが開ける予定。私でもいいような気がしたが、話し合いこうなった。情報では角装備のウサギが、7~10匹出る。多分、3桁行くか行かないかかな?
『開けるのだー』
止めるまもなくアレスが呑気に前足で、黒っぽい扉を押し開ける。ちょっとちょっとっ。シルフィ達が弾けるようなビー玉の様に飛び出していく。ウィンディまで釣られて行ってしまった。
『父が守るから、おもいっきり魔力を使ってみるのだー』
『はぁ、仕方ないのです』
「わふーん」
ビアンカとアリスが続く。
私も慌ててボス部屋に。
ひーっ、目のつり上がったウサギがーっ。でもってあからさまにサイズのでかっ、でっかいのがっ。あれ、18階のボス部屋に出るやつやないっ?
そんな気が回らないっ。私はフライパンを抜く。
『大丈夫なのです。ユイは私が守るのです』
ビアンカが冷静に水の矢を連射。次々に命中、さすがっ。
ホークさん、テオ君、エマちゃんはそれぞれ剣を持ち、落ち着いて対応している。私はビアンカにしっかり守られて出番無し。
デカイウサギ? アレスが、ふんっ、と言ったら首がちょんと飛ぶ。恐ろしか。
シルフィ達はそれぞれの属性の色のラインを体に浮かばせながら、ウサギにパンチを食らわしている。ウィンディだけは逃げながら、水の玉を放っている。きゅんきゅん鳴いているが、ちゃんと出来てるやん。アリスは徹底的に見守り姿勢。アレスも尻尾ぷりぷりで見守り姿勢だが、ウサギが必死に角で攻撃しているのに、アレスの身体に刺さらない。なんでや、ふわふわもふもふボディなのに。アレスのぷりぷり尻尾が、角ウサギを薙ぎ払うと、吹っ飛んでドロップ品になっていった。
一回だけ、もし長い待ちがあるようなら諦める。お泊まりなし。
ダンジョンの警備の人に説明すると、すんなり通してくれた。
「3階のボス部屋近くのセーフティゾーンに繋がっています。ただ、現在多くの冒険者パーティーが入っていますので、ボス部屋は列になっている可能性があります」
丁寧に教えてくれる。ありがたい。私はお礼を言って魔法陣のある小屋へ。
シルフィ達のバギーはエマちゃんが押す。シルフィ達もすくすく育っているので、バギー内ぎっちぎちだ。
『いいのですね』
ビアンカが確認して、魔力を流すと、お馴染み景色が変わる。あ、原っぱだ。休んでいた冒険者の皆さんがびっくりしている。
どうもどうもとご挨拶する。
「ボス部屋ってどっちですかね?」
「あ、あっちだ」
体格のいい犬耳の獣人男性が教えてくれる。
さ、行きましょ。
「すげえ、初めて見た」
「でっけえなあ」
「なんでこんな階層に? もっと上に行かねえの?」
こそこそ話しているのが聞こえたが、スルー。
あ、やっぱり並んでいる。
冒険者パーティーは三つ。
アレスに、ビアンカ、アリスにびっくりされた。そうだわなあ、おっきいもんねえ。
ここはまず、ご挨拶。
「ど、どうも」
と、すぐ前の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。
「素通りですか?」
「いえ、この仔達の訓練を兼ねてまして」
ちょうど、シルフィがバギーから飛び降りる。アリスが飛び出さないように鼻先で誘導する。並んでいる冒険者から、かわいい、と歓声が上がる。私の鼻が、びーん、と伸びる。
「そうなんですね。えっと、多分3時間は待ちますよ」
やっぱりかー。
『主よ、主よ、ボス部屋なのだ』
「アレス」
『はい、ごめんなさいなのだ』
直ぐに服従の姿勢。
(えっ? 腹出したよ)
(あんなでっかいウルフが?)
こそこそ。それから、ちょっと後退りして、わぁ、引くぅ、みたいな目で私を見てくる。なんか、なんか、刺さる。
「こほん。ビアンカ、アリスどうする?」
『そうなのですね』
「わふーん」
ビアンカとアリスが話し合っている間に、イフリィとノームもバギーから飛び降りている。服従の姿勢のアレスに、尻尾ぷりぷりしながら寄っている。
「ユイさん、ちょっと」
ホークさんがちょいちょいと手招き。なんやろ?
「これは奥の手と言うか……………」
ゴニョゴニョ。あ、なるほど。
「あのー、並んでいる皆さん」
「「「はいっ」」」
ピシャッ、ときおつけ、みたいにならんで。
「えっと、皆さんと交渉をしたいと思います。私達はあまり遅くなりたくないので、次にボス部屋が開いて譲って頂いたら、すべてのドロップ品と宝箱を進呈します。うちの従魔が開けるので、軽く10倍は出ますので」
これは高ランクの冒険者パーティーがするらしい。ケルンさんとフェリクスさんから聞いたそうだ。
先にボス部屋を挑む代わりに、ドロップ品や宝箱を渡す。高ランク冒険者パーティーは、低階層のボス部屋でウォーミングアップして、先に進むんだって。まだ、先の階層で稼げるからね。
さ、各パーティーのリーダーさんが話し合い。
「「「どうぞ」」」
「ありがとうございます」
ラッキー。
ペコペコしながら、前に。服従の姿勢だったアレスが、起き上がり、いそいそとついてくる。
やっと、バギーから降りたウィンディは、案の定情けない顔で私にすがりつく。
「きゅーん、きゅーんっ」
「ウィンディ、避けられん道よ」
「きゅーんっ」
よしよし。シルフィは譲ってくれた冒険者パーティーの皆さんから、かわいいと撫でられている。そこに、イフリィとノームも加わり、わいわい。
程なくして、ボス部屋の扉が閉まる。
復活したね。
シルフィ、イフリィ、ノームは尻尾ぷりぷり。ウィンディはシルフィのうしろにくっついている。
ボス部屋はアリスが開ける予定。私でもいいような気がしたが、話し合いこうなった。情報では角装備のウサギが、7~10匹出る。多分、3桁行くか行かないかかな?
『開けるのだー』
止めるまもなくアレスが呑気に前足で、黒っぽい扉を押し開ける。ちょっとちょっとっ。シルフィ達が弾けるようなビー玉の様に飛び出していく。ウィンディまで釣られて行ってしまった。
『父が守るから、おもいっきり魔力を使ってみるのだー』
『はぁ、仕方ないのです』
「わふーん」
ビアンカとアリスが続く。
私も慌ててボス部屋に。
ひーっ、目のつり上がったウサギがーっ。でもってあからさまにサイズのでかっ、でっかいのがっ。あれ、18階のボス部屋に出るやつやないっ?
そんな気が回らないっ。私はフライパンを抜く。
『大丈夫なのです。ユイは私が守るのです』
ビアンカが冷静に水の矢を連射。次々に命中、さすがっ。
ホークさん、テオ君、エマちゃんはそれぞれ剣を持ち、落ち着いて対応している。私はビアンカにしっかり守られて出番無し。
デカイウサギ? アレスが、ふんっ、と言ったら首がちょんと飛ぶ。恐ろしか。
シルフィ達はそれぞれの属性の色のラインを体に浮かばせながら、ウサギにパンチを食らわしている。ウィンディだけは逃げながら、水の玉を放っている。きゅんきゅん鳴いているが、ちゃんと出来てるやん。アリスは徹底的に見守り姿勢。アレスも尻尾ぷりぷりで見守り姿勢だが、ウサギが必死に角で攻撃しているのに、アレスの身体に刺さらない。なんでや、ふわふわもふもふボディなのに。アレスのぷりぷり尻尾が、角ウサギを薙ぎ払うと、吹っ飛んでドロップ品になっていった。
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