672 / 820
連載
出来るだけの準備⑤
しおりを挟む
私はホークさん、エマちゃん、テオ君、ビアンカ、アレス、アリス、シルフィ達でダンジョンに。
一回だけ、もし長い待ちがあるようなら諦める。お泊まりなし。
ダンジョンの警備の人に説明すると、すんなり通してくれた。
「3階のボス部屋近くのセーフティゾーンに繋がっています。ただ、現在多くの冒険者パーティーが入っていますので、ボス部屋は列になっている可能性があります」
丁寧に教えてくれる。ありがたい。私はお礼を言って魔法陣のある小屋へ。
シルフィ達のバギーはエマちゃんが押す。シルフィ達もすくすく育っているので、バギー内ぎっちぎちだ。
『いいのですね』
ビアンカが確認して、魔力を流すと、お馴染み景色が変わる。あ、原っぱだ。休んでいた冒険者の皆さんがびっくりしている。
どうもどうもとご挨拶する。
「ボス部屋ってどっちですかね?」
「あ、あっちだ」
体格のいい犬耳の獣人男性が教えてくれる。
さ、行きましょ。
「すげえ、初めて見た」
「でっけえなあ」
「なんでこんな階層に? もっと上に行かねえの?」
こそこそ話しているのが聞こえたが、スルー。
あ、やっぱり並んでいる。
冒険者パーティーは三つ。
アレスに、ビアンカ、アリスにびっくりされた。そうだわなあ、おっきいもんねえ。
ここはまず、ご挨拶。
「ど、どうも」
と、すぐ前の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。
「素通りですか?」
「いえ、この仔達の訓練を兼ねてまして」
ちょうど、シルフィがバギーから飛び降りる。アリスが飛び出さないように鼻先で誘導する。並んでいる冒険者から、かわいい、と歓声が上がる。私の鼻が、びーん、と伸びる。
「そうなんですね。えっと、多分3時間は待ちますよ」
やっぱりかー。
『主よ、主よ、ボス部屋なのだ』
「アレス」
『はい、ごめんなさいなのだ』
直ぐに服従の姿勢。
(えっ? 腹出したよ)
(あんなでっかいウルフが?)
こそこそ。それから、ちょっと後退りして、わぁ、引くぅ、みたいな目で私を見てくる。なんか、なんか、刺さる。
「こほん。ビアンカ、アリスどうする?」
『そうなのですね』
「わふーん」
ビアンカとアリスが話し合っている間に、イフリィとノームもバギーから飛び降りている。服従の姿勢のアレスに、尻尾ぷりぷりしながら寄っている。
「ユイさん、ちょっと」
ホークさんがちょいちょいと手招き。なんやろ?
「これは奥の手と言うか……………」
ゴニョゴニョ。あ、なるほど。
「あのー、並んでいる皆さん」
「「「はいっ」」」
ピシャッ、ときおつけ、みたいにならんで。
「えっと、皆さんと交渉をしたいと思います。私達はあまり遅くなりたくないので、次にボス部屋が開いて譲って頂いたら、すべてのドロップ品と宝箱を進呈します。うちの従魔が開けるので、軽く10倍は出ますので」
これは高ランクの冒険者パーティーがするらしい。ケルンさんとフェリクスさんから聞いたそうだ。
先にボス部屋を挑む代わりに、ドロップ品や宝箱を渡す。高ランク冒険者パーティーは、低階層のボス部屋でウォーミングアップして、先に進むんだって。まだ、先の階層で稼げるからね。
さ、各パーティーのリーダーさんが話し合い。
「「「どうぞ」」」
「ありがとうございます」
ラッキー。
ペコペコしながら、前に。服従の姿勢だったアレスが、起き上がり、いそいそとついてくる。
やっと、バギーから降りたウィンディは、案の定情けない顔で私にすがりつく。
「きゅーん、きゅーんっ」
「ウィンディ、避けられん道よ」
「きゅーんっ」
よしよし。シルフィは譲ってくれた冒険者パーティーの皆さんから、かわいいと撫でられている。そこに、イフリィとノームも加わり、わいわい。
程なくして、ボス部屋の扉が閉まる。
復活したね。
シルフィ、イフリィ、ノームは尻尾ぷりぷり。ウィンディはシルフィのうしろにくっついている。
ボス部屋はアリスが開ける予定。私でもいいような気がしたが、話し合いこうなった。情報では角装備のウサギが、7~10匹出る。多分、3桁行くか行かないかかな?
『開けるのだー』
止めるまもなくアレスが呑気に前足で、黒っぽい扉を押し開ける。ちょっとちょっとっ。シルフィ達が弾けるようなビー玉の様に飛び出していく。ウィンディまで釣られて行ってしまった。
『父が守るから、おもいっきり魔力を使ってみるのだー』
『はぁ、仕方ないのです』
「わふーん」
ビアンカとアリスが続く。
私も慌ててボス部屋に。
ひーっ、目のつり上がったウサギがーっ。でもってあからさまにサイズのでかっ、でっかいのがっ。あれ、18階のボス部屋に出るやつやないっ?
そんな気が回らないっ。私はフライパンを抜く。
『大丈夫なのです。ユイは私が守るのです』
ビアンカが冷静に水の矢を連射。次々に命中、さすがっ。
ホークさん、テオ君、エマちゃんはそれぞれ剣を持ち、落ち着いて対応している。私はビアンカにしっかり守られて出番無し。
デカイウサギ? アレスが、ふんっ、と言ったら首がちょんと飛ぶ。恐ろしか。
シルフィ達はそれぞれの属性の色のラインを体に浮かばせながら、ウサギにパンチを食らわしている。ウィンディだけは逃げながら、水の玉を放っている。きゅんきゅん鳴いているが、ちゃんと出来てるやん。アリスは徹底的に見守り姿勢。アレスも尻尾ぷりぷりで見守り姿勢だが、ウサギが必死に角で攻撃しているのに、アレスの身体に刺さらない。なんでや、ふわふわもふもふボディなのに。アレスのぷりぷり尻尾が、角ウサギを薙ぎ払うと、吹っ飛んでドロップ品になっていった。
一回だけ、もし長い待ちがあるようなら諦める。お泊まりなし。
ダンジョンの警備の人に説明すると、すんなり通してくれた。
「3階のボス部屋近くのセーフティゾーンに繋がっています。ただ、現在多くの冒険者パーティーが入っていますので、ボス部屋は列になっている可能性があります」
丁寧に教えてくれる。ありがたい。私はお礼を言って魔法陣のある小屋へ。
シルフィ達のバギーはエマちゃんが押す。シルフィ達もすくすく育っているので、バギー内ぎっちぎちだ。
『いいのですね』
ビアンカが確認して、魔力を流すと、お馴染み景色が変わる。あ、原っぱだ。休んでいた冒険者の皆さんがびっくりしている。
どうもどうもとご挨拶する。
「ボス部屋ってどっちですかね?」
「あ、あっちだ」
体格のいい犬耳の獣人男性が教えてくれる。
さ、行きましょ。
「すげえ、初めて見た」
「でっけえなあ」
「なんでこんな階層に? もっと上に行かねえの?」
こそこそ話しているのが聞こえたが、スルー。
あ、やっぱり並んでいる。
冒険者パーティーは三つ。
アレスに、ビアンカ、アリスにびっくりされた。そうだわなあ、おっきいもんねえ。
ここはまず、ご挨拶。
「ど、どうも」
と、すぐ前の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。
「素通りですか?」
「いえ、この仔達の訓練を兼ねてまして」
ちょうど、シルフィがバギーから飛び降りる。アリスが飛び出さないように鼻先で誘導する。並んでいる冒険者から、かわいい、と歓声が上がる。私の鼻が、びーん、と伸びる。
「そうなんですね。えっと、多分3時間は待ちますよ」
やっぱりかー。
『主よ、主よ、ボス部屋なのだ』
「アレス」
『はい、ごめんなさいなのだ』
直ぐに服従の姿勢。
(えっ? 腹出したよ)
(あんなでっかいウルフが?)
こそこそ。それから、ちょっと後退りして、わぁ、引くぅ、みたいな目で私を見てくる。なんか、なんか、刺さる。
「こほん。ビアンカ、アリスどうする?」
『そうなのですね』
「わふーん」
ビアンカとアリスが話し合っている間に、イフリィとノームもバギーから飛び降りている。服従の姿勢のアレスに、尻尾ぷりぷりしながら寄っている。
「ユイさん、ちょっと」
ホークさんがちょいちょいと手招き。なんやろ?
「これは奥の手と言うか……………」
ゴニョゴニョ。あ、なるほど。
「あのー、並んでいる皆さん」
「「「はいっ」」」
ピシャッ、ときおつけ、みたいにならんで。
「えっと、皆さんと交渉をしたいと思います。私達はあまり遅くなりたくないので、次にボス部屋が開いて譲って頂いたら、すべてのドロップ品と宝箱を進呈します。うちの従魔が開けるので、軽く10倍は出ますので」
これは高ランクの冒険者パーティーがするらしい。ケルンさんとフェリクスさんから聞いたそうだ。
先にボス部屋を挑む代わりに、ドロップ品や宝箱を渡す。高ランク冒険者パーティーは、低階層のボス部屋でウォーミングアップして、先に進むんだって。まだ、先の階層で稼げるからね。
さ、各パーティーのリーダーさんが話し合い。
「「「どうぞ」」」
「ありがとうございます」
ラッキー。
ペコペコしながら、前に。服従の姿勢だったアレスが、起き上がり、いそいそとついてくる。
やっと、バギーから降りたウィンディは、案の定情けない顔で私にすがりつく。
「きゅーん、きゅーんっ」
「ウィンディ、避けられん道よ」
「きゅーんっ」
よしよし。シルフィは譲ってくれた冒険者パーティーの皆さんから、かわいいと撫でられている。そこに、イフリィとノームも加わり、わいわい。
程なくして、ボス部屋の扉が閉まる。
復活したね。
シルフィ、イフリィ、ノームは尻尾ぷりぷり。ウィンディはシルフィのうしろにくっついている。
ボス部屋はアリスが開ける予定。私でもいいような気がしたが、話し合いこうなった。情報では角装備のウサギが、7~10匹出る。多分、3桁行くか行かないかかな?
『開けるのだー』
止めるまもなくアレスが呑気に前足で、黒っぽい扉を押し開ける。ちょっとちょっとっ。シルフィ達が弾けるようなビー玉の様に飛び出していく。ウィンディまで釣られて行ってしまった。
『父が守るから、おもいっきり魔力を使ってみるのだー』
『はぁ、仕方ないのです』
「わふーん」
ビアンカとアリスが続く。
私も慌ててボス部屋に。
ひーっ、目のつり上がったウサギがーっ。でもってあからさまにサイズのでかっ、でっかいのがっ。あれ、18階のボス部屋に出るやつやないっ?
そんな気が回らないっ。私はフライパンを抜く。
『大丈夫なのです。ユイは私が守るのです』
ビアンカが冷静に水の矢を連射。次々に命中、さすがっ。
ホークさん、テオ君、エマちゃんはそれぞれ剣を持ち、落ち着いて対応している。私はビアンカにしっかり守られて出番無し。
デカイウサギ? アレスが、ふんっ、と言ったら首がちょんと飛ぶ。恐ろしか。
シルフィ達はそれぞれの属性の色のラインを体に浮かばせながら、ウサギにパンチを食らわしている。ウィンディだけは逃げながら、水の玉を放っている。きゅんきゅん鳴いているが、ちゃんと出来てるやん。アリスは徹底的に見守り姿勢。アレスも尻尾ぷりぷりで見守り姿勢だが、ウサギが必死に角で攻撃しているのに、アレスの身体に刺さらない。なんでや、ふわふわもふもふボディなのに。アレスのぷりぷり尻尾が、角ウサギを薙ぎ払うと、吹っ飛んでドロップ品になっていった。
1,607
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。