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ランクアップ⑨
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父はおやつの最中に帰宅してきた。
「下層でドラゴンが出たと?」
嗽、手洗いを済ませて定位置に着く父に説明。
「そう。やけん、前みたいに零れ落ちんか見てくれん?」
「よかよ」
軽く了承してくれる。帰って来たばかりだし、母が温かいお茶を出している。
父の姿を確認したバトルジャンキー達はいそいそとおやつを食べて、サブ・ドアの向こうに。父はのんびりお茶とかりんとうをぽりぽり。
「アルスさん達が無事に出発したけん、カルーラに着いたら頼むね」
「ん」
お茶を一口。
「なあ、アルスさんのあの『呪い持ち』って、優衣はどう思う?」
なんて聞いてくる。
「まあ、そうやね。向こうでも似たような症状はあるやろうけど、私は内外系やったけん、あんまり詳しくないけん、なんとも」
学生時代にある程度は勉強はしているが。所謂発達障害。私自身教本や実習生として接した事はあるが、その程度なので、あれこれ言えない。
「お父さん、アルスさんの『呪い持ち』ば鑑定したんやなかった?」
昨日、保護者の金の虎の皆さんの許可を取り、アルスさんの鑑定をしていた。『呪い持ち』に関してと、肉体的な問題がないかだ。『呪い持ち』は総じて短命って言うのがどうにかならんかなって。父はその時は、短命になるような疾患や内臓的な問題が、現在のアルスさんからはわからなかったと。
金の虎の皆さんは、それは今すぐっていうのではないと思っていたみたいで、安心してはいたが。
私はその時、父が言葉を濁しているのを感じていた。
「ねえお父さん、夕御飯の後にでもゆっくり話さん? 今から、移動とかあるし」
「そうやな」
昨日は昨日でバタバタしていたので、鑑定の後、父は父で考え込んでいたし、じっくり話せなかった。明日にはルーティのダンジョンに行くため、ゆっくり話すのは、今日しかない。
それからもろもろ準備をして、いざ、サブ・ドアの向こう。
宿の方にメインのルームを開けっ放しにして、はホークさん、ノワールとサブ・ドアの向こう。シルフィ達は従魔の部屋で寝ている。心配なので、アリスはルームに残る事に。若手はオフィーリア、エアリース、トーレスヴァルゴとティエンが同行。残りはお留守番組だ。イシス、ビアンカ、ルージュ、アレス、オシリス、仔達は当然同行する。
何時ものように、チュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗。ホークさんがマントに包んでくれて、はい、餃子の出来上がり。
「ユイさん、お気をつけてください」
「チュアンさん。留守をお願いします」
「はい」
私はサブ・ドアを閉めて、解除する。
『主よ、行くのだ』
「はいはい。アレス、ノワールのペースに合わせてよ」
『分かっているのだっ』
ちょっと心配だけど。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「はい」
「ぶひひんっ」
ぶひひん特急ノワールが、厄災レベルのイシスやアレスを筆頭に守られて、空になっている18階のボス部屋を抜けて、階段を器用に降り進んだ。
ルーティのダンジョン19階。
はっきり言おう、ジャングルや。
なんかいそうやなあ、あれが。
『とにかく下に向かうのだ』
先頭はアレス。その直ぐ後ろをイシスとルージュ。真ん中をノワール。最後尾はビアンカだ。オシリス、仔達とオフィーリア達若手は、左右をしっかり固めている。
私はこの階層は覗いたが、入ったのは初めて。なんだか、怖か。たったか進むアレスに着いていくノワール。
これだけの戦力があるから、心配ないはず。
心配ないはず、ないはず。
ギャーッ、キターッ。
虫や虫、サイズがおかしな虫、花サイズやっ、あれ、蜂? 蜂のようなフォルムで羽が高速で羽ばたいている。前肢はカマキリのようで、おっかないっ。でもって、大量発生。耳障りな、びぃー、みたいな音が耳に届く。
私を包んでいたホークさんの腕に力が入る。
『フンッ、羽虫程度ダナッ』
『ノワール、無視よっ』
「虫だけにねっ」
イシスとルージュに突っ込む。イシスとルージュはお馴染みの光のリンゴを景気よく出していく。
光のリンゴは高速で動き、羽虫?を撃ち落としていく。光のリンゴは、一個でGが10匹倒せる。光のリンゴはバチバチ言いながら、羽虫?何匹も撃ち落としている。もしかしたら、あの羽虫?1匹1匹はあんまり強くないのかな?
なんて呑気に考えられるのは、しっかり守ってもらえているから。後方のビアンカからも激が飛ぶ。
『無駄弾は許さないのですよっ、必ず当てるのですっ。ユイには近付けさせないのですっ』
答えるように仔達と若手達が魔法を放ち出す。ノワールから全く動揺を感じない。ひたすらにアレスの後をおう。
火やら風から水やら土やら、縦横無尽に放たれて、羽虫?達はあっという間にいなくなった。
ほっ。
『次が出たのだっ』
『アレス、下がってっ、私が前に出るわっ』
何々?
走るノワールの上だからぶれる視界の中で、黒い物体が私達の周囲を囲むようにして、木々の隙間から姿を表した。まるで包囲網のようにして徐々に距離を詰めてきたのは。
『ブラックハウリングなのだっ』
真っ黒な毛並み、そしてその姿はアレスやビアンカ達のようなウルフの姿だった。
「下層でドラゴンが出たと?」
嗽、手洗いを済ませて定位置に着く父に説明。
「そう。やけん、前みたいに零れ落ちんか見てくれん?」
「よかよ」
軽く了承してくれる。帰って来たばかりだし、母が温かいお茶を出している。
父の姿を確認したバトルジャンキー達はいそいそとおやつを食べて、サブ・ドアの向こうに。父はのんびりお茶とかりんとうをぽりぽり。
「アルスさん達が無事に出発したけん、カルーラに着いたら頼むね」
「ん」
お茶を一口。
「なあ、アルスさんのあの『呪い持ち』って、優衣はどう思う?」
なんて聞いてくる。
「まあ、そうやね。向こうでも似たような症状はあるやろうけど、私は内外系やったけん、あんまり詳しくないけん、なんとも」
学生時代にある程度は勉強はしているが。所謂発達障害。私自身教本や実習生として接した事はあるが、その程度なので、あれこれ言えない。
「お父さん、アルスさんの『呪い持ち』ば鑑定したんやなかった?」
昨日、保護者の金の虎の皆さんの許可を取り、アルスさんの鑑定をしていた。『呪い持ち』に関してと、肉体的な問題がないかだ。『呪い持ち』は総じて短命って言うのがどうにかならんかなって。父はその時は、短命になるような疾患や内臓的な問題が、現在のアルスさんからはわからなかったと。
金の虎の皆さんは、それは今すぐっていうのではないと思っていたみたいで、安心してはいたが。
私はその時、父が言葉を濁しているのを感じていた。
「ねえお父さん、夕御飯の後にでもゆっくり話さん? 今から、移動とかあるし」
「そうやな」
昨日は昨日でバタバタしていたので、鑑定の後、父は父で考え込んでいたし、じっくり話せなかった。明日にはルーティのダンジョンに行くため、ゆっくり話すのは、今日しかない。
それからもろもろ準備をして、いざ、サブ・ドアの向こう。
宿の方にメインのルームを開けっ放しにして、はホークさん、ノワールとサブ・ドアの向こう。シルフィ達は従魔の部屋で寝ている。心配なので、アリスはルームに残る事に。若手はオフィーリア、エアリース、トーレスヴァルゴとティエンが同行。残りはお留守番組だ。イシス、ビアンカ、ルージュ、アレス、オシリス、仔達は当然同行する。
何時ものように、チュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗。ホークさんがマントに包んでくれて、はい、餃子の出来上がり。
「ユイさん、お気をつけてください」
「チュアンさん。留守をお願いします」
「はい」
私はサブ・ドアを閉めて、解除する。
『主よ、行くのだ』
「はいはい。アレス、ノワールのペースに合わせてよ」
『分かっているのだっ』
ちょっと心配だけど。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「はい」
「ぶひひんっ」
ぶひひん特急ノワールが、厄災レベルのイシスやアレスを筆頭に守られて、空になっている18階のボス部屋を抜けて、階段を器用に降り進んだ。
ルーティのダンジョン19階。
はっきり言おう、ジャングルや。
なんかいそうやなあ、あれが。
『とにかく下に向かうのだ』
先頭はアレス。その直ぐ後ろをイシスとルージュ。真ん中をノワール。最後尾はビアンカだ。オシリス、仔達とオフィーリア達若手は、左右をしっかり固めている。
私はこの階層は覗いたが、入ったのは初めて。なんだか、怖か。たったか進むアレスに着いていくノワール。
これだけの戦力があるから、心配ないはず。
心配ないはず、ないはず。
ギャーッ、キターッ。
虫や虫、サイズがおかしな虫、花サイズやっ、あれ、蜂? 蜂のようなフォルムで羽が高速で羽ばたいている。前肢はカマキリのようで、おっかないっ。でもって、大量発生。耳障りな、びぃー、みたいな音が耳に届く。
私を包んでいたホークさんの腕に力が入る。
『フンッ、羽虫程度ダナッ』
『ノワール、無視よっ』
「虫だけにねっ」
イシスとルージュに突っ込む。イシスとルージュはお馴染みの光のリンゴを景気よく出していく。
光のリンゴは高速で動き、羽虫?を撃ち落としていく。光のリンゴは、一個でGが10匹倒せる。光のリンゴはバチバチ言いながら、羽虫?何匹も撃ち落としている。もしかしたら、あの羽虫?1匹1匹はあんまり強くないのかな?
なんて呑気に考えられるのは、しっかり守ってもらえているから。後方のビアンカからも激が飛ぶ。
『無駄弾は許さないのですよっ、必ず当てるのですっ。ユイには近付けさせないのですっ』
答えるように仔達と若手達が魔法を放ち出す。ノワールから全く動揺を感じない。ひたすらにアレスの後をおう。
火やら風から水やら土やら、縦横無尽に放たれて、羽虫?達はあっという間にいなくなった。
ほっ。
『次が出たのだっ』
『アレス、下がってっ、私が前に出るわっ』
何々?
走るノワールの上だからぶれる視界の中で、黒い物体が私達の周囲を囲むようにして、木々の隙間から姿を表した。まるで包囲網のようにして徐々に距離を詰めてきたのは。
『ブラックハウリングなのだっ』
真っ黒な毛並み、そしてその姿はアレスやビアンカ達のようなウルフの姿だった。
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