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開花⑮
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お知らせ。
ストックがなくなったので、明日より数日間隔の投稿になります。
私と母は、ルリとクリスに連れられてサブ・ドアの向こう、ルーティのダンジョン18階に。ボス部屋は先ほどちゅどんドカンしてクールダウン中。あ、向こうで土煙が上がってる。アレスがバトルジャンキー達を引き連れていったな。若手達が近くで休んでる。
『ねぇね、こっちこっち』
『早く早く~』
「はいはい」
母もニコニコと続く。
ルリとクリスの行く先に、元気がお座りしている。なんや、私と母が来たらいつもならぷりぷりと尻尾を振って来てくれるか、こっちを見てくれるのに。じーっと、何やら地面を見ている。側にビアンカがいるから、大丈夫よね?
………………なんや、おとなしい元気って、不安になるのはなんでやろ。
でも、軽やかに走るルリとクリスのお尻がかわいか。ぷりぷりや。のほほん、と続く。
のほほん、としていると、到着する直前に不安が的中。
「わおおおぉぉぉぉーんっ」
やおら元気が遠吠え。何故に遠吠え?
で、元気の足元から、にょきにょきと木が伸びてきた。あっ、まさか、元気も属性魔法が覚醒したんやね。きっと木属性、なんせフォレストガーディアンウルフやし。本当に元気は凄かねえ、イシスも元気は特別だって言ってたし、のほほん。
すると、軽やかに走っていたルリとクリスが止まった。
「ん? どうしたん?」
ぶるぶるしているルリとクリス。
その間も元気の遠吠えが続き、木がにょきにょき伸びてる。
『『うわーんっ、元気のばかーっ』』
な、なんやっ。
ぶるぶる震えていたルリとクリスが私と母に訴える。
『ねぇねっ、あれねっ、ルリが生やしたんだよっ、本当だよっ、うわーんっ』
『クリスがっ、クリスがっ、ちゃんと出来たもんっ、出来たんだもんっ、本当だもんっ、うわーんっ』
うわーんっ、と泣き出すルリとクリス。
母が困った顔でよしよししている。
ちら、とビアンカを見る。ビアンカもちょっと困った顔だ。元気はいつもの尻尾ぷりぷりで、満足そうに伸びた木を見て、こっちにとことこやって来た。
『『っ』』
きっ、とかわいか顔で元気を見るルリとクリス。基本的にかわいかな顔なので、まだビアンカの様な鬼気迫るような迫力がない。
『なんで勝手に伸ばしたのっ、あれはルリがっルリがっ』
『ねーねにっ、ばーばに見てもらいたかったのにっ、なんで伸ばすのっ』
「くっ、くうーん?」
きゃんきゃん怒るルリとクリス。元気は、え? なんで、どうして? みたいな顔だ。
あー、分かってきた。
ルリとクリスは、木属性魔法が覚醒して、あのにょきにょき伸ばした木を、苗木くらいまで生やしたのを、私と母に見せたかった。やけど、元気がそれを伸ばしたんかね。約1メートルくらいまで伸ばしたねー。自分が新しい属性魔法の覚醒し苗木を生やしたのを、私や母に見せたかったんやね。うーん、いじらしか。それを勝手に伸ばした元気に怒っているんやね。
『ぐすっ、ぐすっ、ねぇね、ルリね、ちゃんと出来たんだよっ』
『うぅっ、クリスも出来たもん。出来たもんっ』
よしよし。
きっ、と元気を見るルリとクリス。うっ、と元気が怯む。
『『元気のばかーっ』』
「こらこら、そんな言葉使わんの」
私が宥めるが、ルリとクリスは母にぴたあ、とくっつく。
『ルリ、クリス、落ち着くのです』
ビアンカがやって来て、ルリとクリスを諫める。
『『だって』』
『ユイを呼びに行く前に、元気に手を出さないように言ったのですか?』
『『うっ』』
そうだ、元気の性格だ、生えたばかりの苗木に興味津々で、よく考えずに手を出したんかな。
言い淀むルリとクリス。
『私はちゃんと見ていたのです。ちゃんとルリとクリスは、木属性魔法を使えたのです』
『『むーっ』』
『出来たのを、ちゃんと分かっているのです。ユイだってお母さんだって分かってくれるのです。今からもう一度してみせるのです』
不服顔のルリとクリス。ビアンカはそれが分からない顔だ。
「多分ね、初めて生やした木を、見て欲しかったやないかね。ルリとクリスが初めての木属性魔法覚醒した記念やからね」
『『うえーんっ』』
よしよし。
「くうーん、くうーん」
ぺた、と耳を倒した元気がルリとクリスにすり寄る。
『ふんっ』
『もう元気と遊ばないっ』
ぷいっ、とするルリとクリス。うーん、成体となってもかわいか。元気は、ショック、みたいな顔だ。
『ほら、元気が謝っているのです』
ぷいっ、のままのルリとクリス。情けない顔の元気。間に立つのは困った顔のビアンカ。
「そのうち、忘れるよ」
と、母がよしよし。
母の言葉は現実となる。数日後には、仲良く遊んでいた。
ルリとクリスの初の木は、ビアンカの魔法でちょちょいのちょいで、ルームの中庭に植え替えた。
ストックがなくなったので、明日より数日間隔の投稿になります。
私と母は、ルリとクリスに連れられてサブ・ドアの向こう、ルーティのダンジョン18階に。ボス部屋は先ほどちゅどんドカンしてクールダウン中。あ、向こうで土煙が上がってる。アレスがバトルジャンキー達を引き連れていったな。若手達が近くで休んでる。
『ねぇね、こっちこっち』
『早く早く~』
「はいはい」
母もニコニコと続く。
ルリとクリスの行く先に、元気がお座りしている。なんや、私と母が来たらいつもならぷりぷりと尻尾を振って来てくれるか、こっちを見てくれるのに。じーっと、何やら地面を見ている。側にビアンカがいるから、大丈夫よね?
………………なんや、おとなしい元気って、不安になるのはなんでやろ。
でも、軽やかに走るルリとクリスのお尻がかわいか。ぷりぷりや。のほほん、と続く。
のほほん、としていると、到着する直前に不安が的中。
「わおおおぉぉぉぉーんっ」
やおら元気が遠吠え。何故に遠吠え?
で、元気の足元から、にょきにょきと木が伸びてきた。あっ、まさか、元気も属性魔法が覚醒したんやね。きっと木属性、なんせフォレストガーディアンウルフやし。本当に元気は凄かねえ、イシスも元気は特別だって言ってたし、のほほん。
すると、軽やかに走っていたルリとクリスが止まった。
「ん? どうしたん?」
ぶるぶるしているルリとクリス。
その間も元気の遠吠えが続き、木がにょきにょき伸びてる。
『『うわーんっ、元気のばかーっ』』
な、なんやっ。
ぶるぶる震えていたルリとクリスが私と母に訴える。
『ねぇねっ、あれねっ、ルリが生やしたんだよっ、本当だよっ、うわーんっ』
『クリスがっ、クリスがっ、ちゃんと出来たもんっ、出来たんだもんっ、本当だもんっ、うわーんっ』
うわーんっ、と泣き出すルリとクリス。
母が困った顔でよしよししている。
ちら、とビアンカを見る。ビアンカもちょっと困った顔だ。元気はいつもの尻尾ぷりぷりで、満足そうに伸びた木を見て、こっちにとことこやって来た。
『『っ』』
きっ、とかわいか顔で元気を見るルリとクリス。基本的にかわいかな顔なので、まだビアンカの様な鬼気迫るような迫力がない。
『なんで勝手に伸ばしたのっ、あれはルリがっルリがっ』
『ねーねにっ、ばーばに見てもらいたかったのにっ、なんで伸ばすのっ』
「くっ、くうーん?」
きゃんきゃん怒るルリとクリス。元気は、え? なんで、どうして? みたいな顔だ。
あー、分かってきた。
ルリとクリスは、木属性魔法が覚醒して、あのにょきにょき伸ばした木を、苗木くらいまで生やしたのを、私と母に見せたかった。やけど、元気がそれを伸ばしたんかね。約1メートルくらいまで伸ばしたねー。自分が新しい属性魔法の覚醒し苗木を生やしたのを、私や母に見せたかったんやね。うーん、いじらしか。それを勝手に伸ばした元気に怒っているんやね。
『ぐすっ、ぐすっ、ねぇね、ルリね、ちゃんと出来たんだよっ』
『うぅっ、クリスも出来たもん。出来たもんっ』
よしよし。
きっ、と元気を見るルリとクリス。うっ、と元気が怯む。
『『元気のばかーっ』』
「こらこら、そんな言葉使わんの」
私が宥めるが、ルリとクリスは母にぴたあ、とくっつく。
『ルリ、クリス、落ち着くのです』
ビアンカがやって来て、ルリとクリスを諫める。
『『だって』』
『ユイを呼びに行く前に、元気に手を出さないように言ったのですか?』
『『うっ』』
そうだ、元気の性格だ、生えたばかりの苗木に興味津々で、よく考えずに手を出したんかな。
言い淀むルリとクリス。
『私はちゃんと見ていたのです。ちゃんとルリとクリスは、木属性魔法を使えたのです』
『『むーっ』』
『出来たのを、ちゃんと分かっているのです。ユイだってお母さんだって分かってくれるのです。今からもう一度してみせるのです』
不服顔のルリとクリス。ビアンカはそれが分からない顔だ。
「多分ね、初めて生やした木を、見て欲しかったやないかね。ルリとクリスが初めての木属性魔法覚醒した記念やからね」
『『うえーんっ』』
よしよし。
「くうーん、くうーん」
ぺた、と耳を倒した元気がルリとクリスにすり寄る。
『ふんっ』
『もう元気と遊ばないっ』
ぷいっ、とするルリとクリス。うーん、成体となってもかわいか。元気は、ショック、みたいな顔だ。
『ほら、元気が謝っているのです』
ぷいっ、のままのルリとクリス。情けない顔の元気。間に立つのは困った顔のビアンカ。
「そのうち、忘れるよ」
と、母がよしよし。
母の言葉は現実となる。数日後には、仲良く遊んでいた。
ルリとクリスの初の木は、ビアンカの魔法でちょちょいのちょいで、ルームの中庭に植え替えた。
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