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開花⑥
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よし、角煮の準備オッケー。
パオもこねこねしてくれてるしね。
夕飯は角煮メインで、サラダはみつよしからチョイスして、後何にしようかな? やっぱり中華かな? 紫竜から卵スープと海鮮XO醤炒めとかかな。
今、ダンジョンアタック中だが、幾つかのグループに分かれて行動している。
中庭ではツヴァイクさんが桶の作業に入り、アレスがアシスタントに着いている。お酒の投入作業には、山風の皆さんが行ってくれている。薬草採取グループのケルンさん、ヒェリさん、フェリクスさん、ドーラさんは薬草の選別作業、ビアンカが護衛として着いてくれている。金の虎の皆さんは、15階のボス部屋のドロップ品の回収作業。イシス監修で若手達が挑んでいる。サブ・ドアを12階のボス部屋付近に繋いだので、そちらにはルージュ、オシリス、ノワール、仔達、鷹の目の皆さんが向かっている。
ルームのダイニングキッチンでは、エドワルドさん、エリアンさん、アンドレアスさん、ヘルト君がパオをこねこねしている。私はドロテアちゃんとノワールと若手達のご飯の準備を済ませる。
晃太はドロップ品回収のお手伝いで、あっちこっちに移動している。
パオは微妙に歪んだけど、無事に出来上がったし、いいかな?
「姉ちゃん、姉ちゃん」
ドロップ品の回収に向かっていたはずの晃太が戻って来た。
「なんね?」
「ご褒美でたばい」
「どっちで?」
「12階の方で」
私は戻って来た鷹の目の皆さんの話を、今までメモに残していたボス部屋の情報と照らし合わせる。本日は八回挑んでご褒美が出た。これに関しては、ルーティのダンジョンが改修されて、今回が初めてのためにまだ出現率の予測はまだつかない。
「で、何が出たん?」
「真珠のアクセサリーや」
「ふーん」
てっきり、真珠が連なるネックレスとかピアスを連想したが、開けてびっくり。でっかい一粒で大粒のピンクの真珠にダイヤモンドやらピンク色の宝石が散りばめられたネックレスとピアス。それからバレッタだ。
うん、見ただけですごか。
「リィマさんば呼んで」
「ん」
呼ばれて来てくれたリィマさんは、じっと見て、うんと頷く。
「このピンクの真珠の価格が私じゃいまいち判断つかないけど、ダンジョン産だし、ご褒美部屋から出たんなら天然物だと仮定して、そうだね。最低三億だね」
このピンクの真珠がすごく珍しいんだって。
流石、ご褒美の宝箱。買い取りに出そう。
「さ、皆さんお疲れ様です。ご飯にしましょう」
「「「「はーい」」」」
夕食後、定例の会議を行う。
と、言っても短時間。
「明日から、16階に移動しようと思います」
晃太の作図も済んだしね。
「構いませんよ」
「私もです」
「俺もだ」
「俺もです」
と、快く了承してくれた。
ダイニングキッチンのテーブルにはずらーっと並んだ宝箱の中身をリィマさんが片っ端から査定してくれている。並んでいるのは、私達の取り分の宝石や宝飾品のみ。マジックアイテム系はすべて父の鑑定待ちだ。
キラキラしてる。
16階は実は先行してアレスが何度か若手達を引き連れてフィールド内を駆け抜けている。アレスはあまり当てにならないが、若手達が分担して地形や岩の位置、窪みなど覚えてくれている。上空ではイシスとオシリスが回ってくれているしね。おそらく早く作図がすすむかも知れないって。16階にはやはりボス部屋はなかった。
ありありと顔につまらないとアレスが帰って来た。
ちゅどん、ドカン。
開けっ放しのサブ・ドアから響く音。
ちゅどん、ドカン。
メインルームの扉の向こうからも聞こえてきた。
はぁ、毎日これや。
皆さん、慣れたもので、分かれてドロップ品回収に向かってくれる。
私はリィマさんにお茶を出してから、15階の方に向かった。
15階のボス部屋は以前爬虫類系が出たが、少し変わって来ている。爬虫類は出るが、複数種がでるようになった。レベルが三桁になると、必ずカエルが加わる。畑でぴょんぴょんしているやつやないよ。一抱えありそうな大きさで、毒ガエルだ。見ただけで逃げましたよ。だって気色悪いんやもん。皆さん、カエルには絶対距離を置き、距離を取り戦闘している。
皆さん曰く、ダンジョンの下層のボス部屋のカエルは録なカエルじゃないって分かっている。カエルの一番困るのは、飛びかかるのもそうだけど、一撃加えたら、体液撒き散らすのが、他の魔物に比べて広範囲。ビアンカとルージュ達は、臭いからと、魔法で撃破している。仔達にもしっかり言い聞かせている。よく理解しているのか、やはり匂いが分かるのか、元気ですら距離を置き魔法を放っている。
厄災クラスのイシスとアレスが開けたときは、ノワール並みにデカイのが出て、夢に出そうなフォルムだった。ま、イシスとアレスに勝てっこないけどね。
ドロップ品に毒ガエルの毒袋なんて出たけど、需要あるんかな?
これは麻酔薬や痛み止に使用される。ただ、濃度を間違うと、劇薬となるんだって、こわか。でも、ダワーさんならきっと正しく処理してくれる。幾つかマーファに持って帰ろう。
宝箱には罠があり、本職エリアンさんがてこずっていたので、ルージュが一発で解除した。
中身は上級解毒ポーションが出た。いつもなら普通の解毒ポーションなんだけど、初めて出た。
「上級解毒ポーションは、高濃縮の解毒ポーションですよ。これを通常の解毒ポーションと同じように飲んだら、一発でポーション中毒になります」
と、フェリクスさん。これは薄めて飲むんだって。
「後の使い道は、猛毒を宿す魔物に対しては有効な攻撃手段になりますよ」
なんでも、ノワール並みにデカイ毒ガエルにこれを投げて当たれば、強烈な酸を浴びたようにごっそり溶けるんだって、こわか。
ま、これはどうするか保留。薄めて飲めるなら、ギルドが欲しがるかもしれないって。
宝箱の中身はその上級解毒ポーションが五本。上級ポーションが三十本、中級ポーションが二十本、魔力回復ポーションが二十本だった。これは引き取ろう。
パオもこねこねしてくれてるしね。
夕飯は角煮メインで、サラダはみつよしからチョイスして、後何にしようかな? やっぱり中華かな? 紫竜から卵スープと海鮮XO醤炒めとかかな。
今、ダンジョンアタック中だが、幾つかのグループに分かれて行動している。
中庭ではツヴァイクさんが桶の作業に入り、アレスがアシスタントに着いている。お酒の投入作業には、山風の皆さんが行ってくれている。薬草採取グループのケルンさん、ヒェリさん、フェリクスさん、ドーラさんは薬草の選別作業、ビアンカが護衛として着いてくれている。金の虎の皆さんは、15階のボス部屋のドロップ品の回収作業。イシス監修で若手達が挑んでいる。サブ・ドアを12階のボス部屋付近に繋いだので、そちらにはルージュ、オシリス、ノワール、仔達、鷹の目の皆さんが向かっている。
ルームのダイニングキッチンでは、エドワルドさん、エリアンさん、アンドレアスさん、ヘルト君がパオをこねこねしている。私はドロテアちゃんとノワールと若手達のご飯の準備を済ませる。
晃太はドロップ品回収のお手伝いで、あっちこっちに移動している。
パオは微妙に歪んだけど、無事に出来上がったし、いいかな?
「姉ちゃん、姉ちゃん」
ドロップ品の回収に向かっていたはずの晃太が戻って来た。
「なんね?」
「ご褒美でたばい」
「どっちで?」
「12階の方で」
私は戻って来た鷹の目の皆さんの話を、今までメモに残していたボス部屋の情報と照らし合わせる。本日は八回挑んでご褒美が出た。これに関しては、ルーティのダンジョンが改修されて、今回が初めてのためにまだ出現率の予測はまだつかない。
「で、何が出たん?」
「真珠のアクセサリーや」
「ふーん」
てっきり、真珠が連なるネックレスとかピアスを連想したが、開けてびっくり。でっかい一粒で大粒のピンクの真珠にダイヤモンドやらピンク色の宝石が散りばめられたネックレスとピアス。それからバレッタだ。
うん、見ただけですごか。
「リィマさんば呼んで」
「ん」
呼ばれて来てくれたリィマさんは、じっと見て、うんと頷く。
「このピンクの真珠の価格が私じゃいまいち判断つかないけど、ダンジョン産だし、ご褒美部屋から出たんなら天然物だと仮定して、そうだね。最低三億だね」
このピンクの真珠がすごく珍しいんだって。
流石、ご褒美の宝箱。買い取りに出そう。
「さ、皆さんお疲れ様です。ご飯にしましょう」
「「「「はーい」」」」
夕食後、定例の会議を行う。
と、言っても短時間。
「明日から、16階に移動しようと思います」
晃太の作図も済んだしね。
「構いませんよ」
「私もです」
「俺もだ」
「俺もです」
と、快く了承してくれた。
ダイニングキッチンのテーブルにはずらーっと並んだ宝箱の中身をリィマさんが片っ端から査定してくれている。並んでいるのは、私達の取り分の宝石や宝飾品のみ。マジックアイテム系はすべて父の鑑定待ちだ。
キラキラしてる。
16階は実は先行してアレスが何度か若手達を引き連れてフィールド内を駆け抜けている。アレスはあまり当てにならないが、若手達が分担して地形や岩の位置、窪みなど覚えてくれている。上空ではイシスとオシリスが回ってくれているしね。おそらく早く作図がすすむかも知れないって。16階にはやはりボス部屋はなかった。
ありありと顔につまらないとアレスが帰って来た。
ちゅどん、ドカン。
開けっ放しのサブ・ドアから響く音。
ちゅどん、ドカン。
メインルームの扉の向こうからも聞こえてきた。
はぁ、毎日これや。
皆さん、慣れたもので、分かれてドロップ品回収に向かってくれる。
私はリィマさんにお茶を出してから、15階の方に向かった。
15階のボス部屋は以前爬虫類系が出たが、少し変わって来ている。爬虫類は出るが、複数種がでるようになった。レベルが三桁になると、必ずカエルが加わる。畑でぴょんぴょんしているやつやないよ。一抱えありそうな大きさで、毒ガエルだ。見ただけで逃げましたよ。だって気色悪いんやもん。皆さん、カエルには絶対距離を置き、距離を取り戦闘している。
皆さん曰く、ダンジョンの下層のボス部屋のカエルは録なカエルじゃないって分かっている。カエルの一番困るのは、飛びかかるのもそうだけど、一撃加えたら、体液撒き散らすのが、他の魔物に比べて広範囲。ビアンカとルージュ達は、臭いからと、魔法で撃破している。仔達にもしっかり言い聞かせている。よく理解しているのか、やはり匂いが分かるのか、元気ですら距離を置き魔法を放っている。
厄災クラスのイシスとアレスが開けたときは、ノワール並みにデカイのが出て、夢に出そうなフォルムだった。ま、イシスとアレスに勝てっこないけどね。
ドロップ品に毒ガエルの毒袋なんて出たけど、需要あるんかな?
これは麻酔薬や痛み止に使用される。ただ、濃度を間違うと、劇薬となるんだって、こわか。でも、ダワーさんならきっと正しく処理してくれる。幾つかマーファに持って帰ろう。
宝箱には罠があり、本職エリアンさんがてこずっていたので、ルージュが一発で解除した。
中身は上級解毒ポーションが出た。いつもなら普通の解毒ポーションなんだけど、初めて出た。
「上級解毒ポーションは、高濃縮の解毒ポーションですよ。これを通常の解毒ポーションと同じように飲んだら、一発でポーション中毒になります」
と、フェリクスさん。これは薄めて飲むんだって。
「後の使い道は、猛毒を宿す魔物に対しては有効な攻撃手段になりますよ」
なんでも、ノワール並みにデカイ毒ガエルにこれを投げて当たれば、強烈な酸を浴びたようにごっそり溶けるんだって、こわか。
ま、これはどうするか保留。薄めて飲めるなら、ギルドが欲しがるかもしれないって。
宝箱の中身はその上級解毒ポーションが五本。上級ポーションが三十本、中級ポーションが二十本、魔力回復ポーションが二十本だった。これは引き取ろう。
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