631 / 820
連載
カルーラで合流⑤
しおりを挟む
「あら? 開かん」
朝早くから『ダンジョンダンジョン』言われて起こされた。欠伸をしている晃太と支度していると、案の定ホークさんが起きてきて、鷹の目のスペースに取っ手返した。毎朝すみません。
で、ダイニングキッチンでは、マデリーンさんとミゲル君、お手伝いでエドワルドさん、ラーヴさん、マアデン君が来てくれている。
バトルジャンキー達にツンツンされながら、ルーティのダンジョンに繋がるサブ・ドアを開けようとしたら、ドアノブが動かない。梃子でも動かない。
『どうしたのだ? 壊すのだ?』
「やめて」
駄目でもともと、晃太もやってみるが開かない。
「開かんよ」
「そうね。お父さんに見てもらおうかね」
サブ・ドアの前でわいわいやっていたので、父も近くまで来ていた。
「お父さん、サブ・ドアが開かんのよ、見てん」
「ん」
父がじーっとサブ・ドアを鑑定。私は心配なので、魔境に繋がるサブ・ドアを開けると、こちらはすんなり開いた、良かった。サブ・ドアの向こうには、補佐ウルフ達が何を勘違いしたのか、尻尾ぷりぷりで来たけど、ごめんね。おやつを上げる。よしよし。
「優衣分かったよ。ルーティのダンジョン、改修に入ったみたいや。それで開かんみたいや」
ダンジョン改修か、久しぶりやな。ダンジョンの改修には、いろんな条件があるそうだけど。
一つ、ダンジョン内の栄養状態が良い場合。
これはどれだけダンジョン内で、ちゅどん、ドカンしたかだ。心当たりがある、有りすぎる。
一つ、前回の改修から、ある程度時間が経過した場合。これはダンジョンによって差が激しい。何十年、何百年経っても変わらないダンジョンもあれば、軍隊ダンジョンみたいに定期的にちょっとずつ変わるダンジョンもある。
こればいい感じに合わさって改修になる場合が多い。ルーティのダンジョンの最終改修は、半世紀前だって。でもって最近うちらのバトルジャンキー達が非常にお世話になってるし。
『お父さん、改修はいつ終わるのです?』
『いつ? 明日かしら? 若手達の訓練も継続したいわ』
アレスは開かないと分かってから、中庭に走っていった。君はマグロか何かね?
「4日みたいやね」
「なら、改修終わったら、サブ・ドア開く?」
キラキラと期待の眼差しが父に集まる。
「開くかどうかは改修が終わらんと分からんみたいやな。それに改修後に開いたとしても場所が変わる可能性と、改修による歪みでサブ・ドア自体が開かなくなる可能性が半々やな」
「そうな。ありがとうお父さん。とにかく改修がおわるのを待とうかね」
そんなー、と呟いていたが、仕方ないと、ビアンカとルージュも諦めてくれた。
神様への毎日のお祈りをしてから、準備して出発。
ノワールの馬車はまったく問題なく進み、ホークさんの言う通り昼前にはカルーラが見えてきた。わあ、久しぶりや。
ずらずらと若手を引き連れていたので、案の定すごい目で見られたけどね。申し訳ないけど、先行通過させてもらおう。現状最高ランクがあるのは、エドワルドさんの冒険者ランクS。先行通過が出きるのはAランクからね。私も一応Aランク。ホークさんが走って行ってくれた。
「わんわんっ」
『ねえね、ヒスイお腹減った~』
『わいなー、あんぱん食べたいねーん』
『ルリね、パンケーキー』
『クリス、お饅頭ー』
『油淋鶏~』
『エビ~』
『ピザヲ所望スル』
『なんだ? 飯なのだ?』
賑やかやなー。
前方の商隊の皆さんからちらほら見られる。
「こんにちは」
と、にこやかにご挨拶。すると向こうもぎこちなくご挨拶してくれる。人見知りしない元気がぷりぷり。明らかにいぬ好きそうな男性に向かってぷりぷり。見ただけて分かるんだよねー。私がどうぞ、と言うと笑顔で元気をよしよししてくれた。
「うわあ、かわいいっ。ふわふわしてますねっ」
誉められて私は鼻が伸びる。
元気が男性をペロペロしていると、ホークさんが戻ってきた。
「ユイさん、先行通過の許可が出ました」
「ありがとうございます」
私は商隊にご挨拶してから、元気を回収する。
ホークさんが手綱を牽いて馬車が進み、城門に。その時点で全員馬車から降りる。身分証を提示して、オフィーリア達の紹介。連絡が来ていたのか、すんなり。ただ、これだけのウルフがいるので、混乱を避ける為、警備の方が数人ギルドまで付いてくれた。
受け付けにラソノさんが対応してくれた。
到着報告、晃太の搬送物提出、パーティーハウスの手続き、と。よし、いいかな。後は、工房を紹介して貰えないかお願いする。特にカラーシープの毛を糸にして、織ってもらわないとどうしようもないからね。後は晃太のフライパンの作成の為の工房ね。ラソノさんは考えて、2つの工房を提示してくれた。
カラーシープの加工してくれる工房はギルド直営工房。フライパンの工房はオリクトと言う名の鍛治工房だ。明日の午前中にギルド直営の工房にうかがう手筈を整え、その後にオリクト工房に伺うことになる。カラーシープはどれくらいの量になるかな? 出来れば、他の皆さんの分も出来たらいいんやけど。あ、ケルンさん達に伝言板残さんと。それから、ペッリル工房にご挨拶と、ネーブルサイズのスライスのコアも渡して、シスター・アモルとの面会予約と、レディ・ロストークの様子も気になるし。あ、あの白狼の少年はどうしとるかなあ。
結構、忙しか。
朝早くから『ダンジョンダンジョン』言われて起こされた。欠伸をしている晃太と支度していると、案の定ホークさんが起きてきて、鷹の目のスペースに取っ手返した。毎朝すみません。
で、ダイニングキッチンでは、マデリーンさんとミゲル君、お手伝いでエドワルドさん、ラーヴさん、マアデン君が来てくれている。
バトルジャンキー達にツンツンされながら、ルーティのダンジョンに繋がるサブ・ドアを開けようとしたら、ドアノブが動かない。梃子でも動かない。
『どうしたのだ? 壊すのだ?』
「やめて」
駄目でもともと、晃太もやってみるが開かない。
「開かんよ」
「そうね。お父さんに見てもらおうかね」
サブ・ドアの前でわいわいやっていたので、父も近くまで来ていた。
「お父さん、サブ・ドアが開かんのよ、見てん」
「ん」
父がじーっとサブ・ドアを鑑定。私は心配なので、魔境に繋がるサブ・ドアを開けると、こちらはすんなり開いた、良かった。サブ・ドアの向こうには、補佐ウルフ達が何を勘違いしたのか、尻尾ぷりぷりで来たけど、ごめんね。おやつを上げる。よしよし。
「優衣分かったよ。ルーティのダンジョン、改修に入ったみたいや。それで開かんみたいや」
ダンジョン改修か、久しぶりやな。ダンジョンの改修には、いろんな条件があるそうだけど。
一つ、ダンジョン内の栄養状態が良い場合。
これはどれだけダンジョン内で、ちゅどん、ドカンしたかだ。心当たりがある、有りすぎる。
一つ、前回の改修から、ある程度時間が経過した場合。これはダンジョンによって差が激しい。何十年、何百年経っても変わらないダンジョンもあれば、軍隊ダンジョンみたいに定期的にちょっとずつ変わるダンジョンもある。
こればいい感じに合わさって改修になる場合が多い。ルーティのダンジョンの最終改修は、半世紀前だって。でもって最近うちらのバトルジャンキー達が非常にお世話になってるし。
『お父さん、改修はいつ終わるのです?』
『いつ? 明日かしら? 若手達の訓練も継続したいわ』
アレスは開かないと分かってから、中庭に走っていった。君はマグロか何かね?
「4日みたいやね」
「なら、改修終わったら、サブ・ドア開く?」
キラキラと期待の眼差しが父に集まる。
「開くかどうかは改修が終わらんと分からんみたいやな。それに改修後に開いたとしても場所が変わる可能性と、改修による歪みでサブ・ドア自体が開かなくなる可能性が半々やな」
「そうな。ありがとうお父さん。とにかく改修がおわるのを待とうかね」
そんなー、と呟いていたが、仕方ないと、ビアンカとルージュも諦めてくれた。
神様への毎日のお祈りをしてから、準備して出発。
ノワールの馬車はまったく問題なく進み、ホークさんの言う通り昼前にはカルーラが見えてきた。わあ、久しぶりや。
ずらずらと若手を引き連れていたので、案の定すごい目で見られたけどね。申し訳ないけど、先行通過させてもらおう。現状最高ランクがあるのは、エドワルドさんの冒険者ランクS。先行通過が出きるのはAランクからね。私も一応Aランク。ホークさんが走って行ってくれた。
「わんわんっ」
『ねえね、ヒスイお腹減った~』
『わいなー、あんぱん食べたいねーん』
『ルリね、パンケーキー』
『クリス、お饅頭ー』
『油淋鶏~』
『エビ~』
『ピザヲ所望スル』
『なんだ? 飯なのだ?』
賑やかやなー。
前方の商隊の皆さんからちらほら見られる。
「こんにちは」
と、にこやかにご挨拶。すると向こうもぎこちなくご挨拶してくれる。人見知りしない元気がぷりぷり。明らかにいぬ好きそうな男性に向かってぷりぷり。見ただけて分かるんだよねー。私がどうぞ、と言うと笑顔で元気をよしよししてくれた。
「うわあ、かわいいっ。ふわふわしてますねっ」
誉められて私は鼻が伸びる。
元気が男性をペロペロしていると、ホークさんが戻ってきた。
「ユイさん、先行通過の許可が出ました」
「ありがとうございます」
私は商隊にご挨拶してから、元気を回収する。
ホークさんが手綱を牽いて馬車が進み、城門に。その時点で全員馬車から降りる。身分証を提示して、オフィーリア達の紹介。連絡が来ていたのか、すんなり。ただ、これだけのウルフがいるので、混乱を避ける為、警備の方が数人ギルドまで付いてくれた。
受け付けにラソノさんが対応してくれた。
到着報告、晃太の搬送物提出、パーティーハウスの手続き、と。よし、いいかな。後は、工房を紹介して貰えないかお願いする。特にカラーシープの毛を糸にして、織ってもらわないとどうしようもないからね。後は晃太のフライパンの作成の為の工房ね。ラソノさんは考えて、2つの工房を提示してくれた。
カラーシープの加工してくれる工房はギルド直営工房。フライパンの工房はオリクトと言う名の鍛治工房だ。明日の午前中にギルド直営の工房にうかがう手筈を整え、その後にオリクト工房に伺うことになる。カラーシープはどれくらいの量になるかな? 出来れば、他の皆さんの分も出来たらいいんやけど。あ、ケルンさん達に伝言板残さんと。それから、ペッリル工房にご挨拶と、ネーブルサイズのスライスのコアも渡して、シスター・アモルとの面会予約と、レディ・ロストークの様子も気になるし。あ、あの白狼の少年はどうしとるかなあ。
結構、忙しか。
1,613
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。