上 下
630 / 824
連載

カルーラで合流④

しおりを挟む
 宝箱は大きさで内容が比例しない。大きいと高額、小さいとしょぼい、とかではない。たまに、せこっ、と思う時があったけど、開けて調べてびっくりなんてことはしょっちゅうだった。
 並べられた5つの宝箱。
 まず、1つ目の宝箱にアリスが罠解除をする。
 ぱきり。
 すぐに解除できたみたいやね。
「わふんっ」
「ありがとうアリス。さて、と何かな」
 何時まで経っても、この瞬間はワクワクや。
 ぱかり、と開けると、ど定番のビロードの箱。
 キラキラよね、きっとキラキラ。
 開けると、粒の大きな緑の宝石をメインに、やや色味の薄めの緑と水色、透明の小粒の宝石が飾ってある、ネックレスと指輪のセットだ。豪華や。リィマさんがいたら、鑑定と査定してくれるんだけど。代わりにツヴァイクさんがみてくれる。
「えーっと、この大きいのは翡翠ですな。回りはペリドットやアクアマリン、後はダイヤモンドですなぁ」
 慣れたように、すごいですな~、とツヴァイクさん。
 これはカルーラに着いたら、リィマさんに査定額出してもらおう。価格次第ではグーテオークションに寄贈や。
 で、次の宝箱にアリスが取りかかる。
 ぱきり。
 これもすぐに解除できている。スピード上がってきてる。最近解除率ほぼ100%なんよね。
「アリス、ありがとう」
「わふんっ」
 では、ワクワクオープン。
 ずらっ、と並ぶのはポーション類。見慣れたポーション類は上級ポーションが10本、中級ポーションが10本、解毒ポーションが5本、魔力回復ポーションが10本。すべて引き取る。
 次の宝箱も時間もかからず解除。
 この宝箱は長持みたいな形で結構サイズがある。
 ワクワク、よいしょ、オープン。
 あら、更に麻のような袋がいくつもある。なんやろ? 触るとなんだか柔らかい。縛ってある口を開けると綿みたいなのがびっしり入っている。ダンジョン最下層で綿?
「これは、カラーシープの毛やなあ。無と火属性があるな」
 横から父が見てくれる。他の袋の中身も見てもらう。ホークさん、エドワルドさん、ツヴァイクさんが手分けして開けてくれる。袋は全部で6つ。カラーシープの毛は属性付与が付きやすく、また元が通気性がよく、丈夫なため、冒険者や騎士達が欲しがる一品。ある程度のレベルにある彼らは、無属性魔法があるので、戦闘職はもちろん魔法職でも欲しがる品となる。ちなみにマデリーンさんのワンピースには、カラーシープの毛が入っている。
 中身は無と火属性、水属性、風属性、土属性、無と土属性、闇属性の6つだ。
 これで、皆さんのシャツとか作ったらいいかも。やっぱり防御力がね。首都で買ったチュアンさんのシャツ、マデリーンさんのワンピース、大事に着てくれているけど、最近くたびれて来ているしね。
 ただ、このモコモコ状態からシャツやワンピースに作り上げるには、時間がかかるでしょうって。
 どれくらいかかるか分からないけど、工房に聞いてみてもいいかな。王冠山に挑んでいても、私にはサブ・ドアがある。母に代わりに受け取ってもらってもいいかも。よし、そうしよう。分厚く作って貰えれば、防御力アップだ。全部そうしよう。他の皆さんのサイズも測ってもらおう。
 4つ目の宝箱の解除には、少し時間がかかるが、無事にぱきり。アリスがどやっ。よしよし。
 はい、ワクワクオープン。
 あ、金属の塊、インゴットや。青みがかった銀色のインゴットが3つ。それから黒っぽいインゴットが3つ。
「ミスリルと魔鉄ですな」
 ツヴァイクさんが一目見てわかったみたい。
 これは一旦引き取りにしよう。実は晃太の新しいフライパンをどうしようか、なやんでいたからね。どうやら晃太はミスリルと相性がいいみたいで、最近では今のフライパンでは物足りなさを感じているよう。よし、作っちゃえ。カルーラの工房にお願いしよう。
 最後の宝箱には、苦戦している。ご褒美の宝箱だからかな。真剣な顔で、鼻先から黒い霞を出している。
 …………………………………………………………ぱきり。
「わふんっ」
 どややややっ、とアリス。
「ありがとうアリス、手強かったね」
「わふんっ」
 ワクワクオープンッ。
 はい、来ましたビロードの箱。全部で7つ。サイズバラバラ。3つは指輪サイズのビロードの箱、中にはシンプルな指輪が。ご褒美部屋の宝箱が普通の指輪なわけない。
「お父さん」
「これはなあ、全部体力回復と解毒の指輪やな」
 なら、引き取りやな。
 私の両の手のひらサイズが2つ。開けるとシンプルなブレスレット。それぞれペアみたい。
「お父さん」
「あー、と、これは条件の合うのが身につけたら、効果があるって」
「条件?」
 初めてなやつ。
「同じ父母を持つ兄弟が身につけたら、魔力回復と回避能力アップって」
「エマちゃんとテオ君用やね。兄弟やなかったらどうなるん?」
「効果が半減やな」
「ふーん」
 もう1つペアがあるから、これはエアリーズとトーレスのバンダナにつけよう。うーん、ヴァルゴとティエン、サジタリウスとカプリコーン用に出ないかなあ。
 残りはペンダントが入ってそうなサイズのビロードの箱。ここまで来たらマジックアイテムだよね。開けてみると、キラキラッ、がずらーっと一列で並んでいる。サイズ、小豆くらいかな?
「ダイヤモンドですなー」
 もう驚きもしないツヴァイクさん。リィマさんの査定待ち、と。
 次は、ぱかり、キラキラッ。薄い黄色の宝石がっ、ずらーっと。
「イエローダイヤモンドですなー」
 そ、そうですか。リィマさんの査定待ち、と。
 最後は。
 ぱかり、キラキラッ。水色とピンク色の宝石が、ずらーっと。
「ブルーダイヤモンドとピンクダイヤモンドですなー」
 リィマさんの査定待ちやな。
「いくらくらいになるんやろ」
 流石、ご褒美の宝箱やけど、毎回凄かなあ。
「そうですなぁ、儂は査定出来ませんが、かなり質がいいようですから、軽く数億行くのではないかと」
 あ、やっぱり。
 これは小出しにしてグーテオークションに寄贈やな。
「アリスお疲れ様、ご飯にしようね」
「わふんっ」
 大丈夫だと、尻尾ぷりぷり、かわいか。
 メインルームに戻ると、晃太達も帰ってきた。
「あ、姉ちゃん、宝箱エリクサーが出たばい」
「そうね」
 通常、エリクサーは年に数本しか出ないのに。レベルの高いビアンカやルージュ、更に厄災クラスのイシスとアレスが開けると高確率でエリクサーが出る。相応にわじゃわじゃなボス部屋になるけどね。
「エリクサーは引き取ろう」
「分かった」
 サブ・ドアから、あー、スッキリー、とした顔のビアンカとルージュが出てきた。

 てってれってー
【ルーム レベル40にアップしました HP5000追加 特別オプション追加されます】

 ぽわん、とルームの壁、サブ・ドアの隣に新しいドアが現れた。
 久しぶりにルームのレベルが上がったなあ。
 …………………………はっ、視線を感じるっ。
『これなら別のダンジョンに繋がるのですね』
『ウサギばかりじゃ飽きてしまうわ。別のボス部屋ね』
『ウム、近クデソコソコノダンジョンダナ。ヤハリ、人ノ巣ガ側二アルダンジョンノ方ガ食エルノガ多イナ』
「ちょっとこれは保留よ。ダンジョンにサブ・ドアを登録するのは考えてからね」
『『『えー』』』
「えー、やないよ、全く」
 バトルジャンキーやなあ、やっぱり。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~

秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」  妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。  ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。  どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。