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カルーラで合流①

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 いよいよ出発の日を迎える。
 まずはパーティーハウスの鍵を返す。リティアさんが対応してくれた。
「ミズサワ様、無事のお戻りをお待ちしています」
「はい」
 そう言ってくれるとありがたい。
 ギリギリまで、晃太達が一泊した際に出た宝箱の中身を査定してくれたタージェルさんまで、見送りに来てくれた。宝石と宝飾品は、かるーく、億を越えましたよ。私はこの内の3000万のダイヤモンドとエメラルドのイヤリングと、2800万の真珠のカチューシャとイヤリング、ネックレスのセット。こっそりルーティのウサギ部屋から出た、1000万~500万の宝石をいくつも混ぜて10点を秋のグーテオークションに提出した。
「今年の秋のグーテオークションも、きっと大盛況に違いありませんな」
 と、タージェルさんがお墨付きを頂いた。
 今回は山風の皆さんも一緒だからね。それぞれのご家族がお見送りに来ていた。私達もご挨拶しておく。
 警備の人達からもお見送りを受ける。
「ハルスフォン侯爵より、お気をつけて、無事のお戻りをお待ちしています、と」
「ありがとうございます」
 いつも、ありがたい。
 私はご挨拶してから、馭者台にホークさんと並ぶ。
 ホークさんが手綱を操りぶひひん特急ノワールが発進。左右をビアンカとアレスが固め、上空はイシス飛行部隊。馬車の後ろにはルージュ、アリス、仔達、若手が続く。シルフィ達は馬車の中ね。
 誤解を受けそうな感じだけど、何度も通った町を通過するから大丈夫かな。晃太は変わらず搬送の依頼を受けている。
 私達はいろんな人達に見送られてマーファを出発した。

 レクスを経由、アルブレンに到着したのは一週間後だった。
 真っ先に出てきてくれたのは、バラダーさんだ。お元気そう。
「お帰りなさい、テイマーさん」
「ありがとうございます」
 お帰りなさい、嬉か。
 ただ、ぞろぞろ続く若手達には、びっくりされたけどね。
 あ、あのウサギ肉の屋台のご主人が。また、来ますとご挨拶。
 まっすぐ、ギルドに向かうも、久しぶりの注目の的だ。最初にアルブレンに来たときは、ビアンカとルージュに対しての恐怖の対象だったけど。今回は、えっ? こんなに増えているけど、大丈夫なの? みたいな感じね。
 分かりますよ。皆、賢いから、私は主人やってますー。
 ギルドでは到着報告して、晃太は搬送物を出すため倉庫に。チュアンさんとルージュ、コハクがついていく。それから、冷蔵庫ダンジョンから得た、チーズやお肉やお魚、革等を卸す。
 私は宿の確保だ。出来れば、山風の皆さんも一緒もいい。それに若手がいるから、大きな倉庫があるといいなあ。
 宿の案内所に聞くと、一番大きなコテージが空いているからそこにした。ルームがあるから、どうにでも出きるけど、建前上に大きなコテージにした。
 晃太達と合流して、係の人に案内される。
 立派な一軒家だ。庭も広か。シルフィ達が走り出す。尻尾ぷりぷりかわいか。
 一軒家の中も広いが、倉庫も広い。うちの馬車が余裕をもって入れる。
 まだ、15時過ぎだし、さ、お茶してから、お買い物かな。
 ………………………………はっ、嫌な予感っ。
『ユイ、ユイ』
『ボス部屋行きたいわ』
「今、到着したんやけど」
 結局、ダンジョン組と、お買い物組で別れる。残るのは私と両親と花。ホークさん、エドワルドさん、アリスとシルフィ達。残りは全員ダンジョン組だ。ノワールや、あんた、疲れとらんとね? ぶひぶひ言いながら生き生きと付いていったけど。
 私はホークさんとエドワルドさん、アリスとお買い物に回る。バギーにはシルフィ達がみっちり詰まってる。
 マルシェでお買い物に回る。
 アルブレンには何度も来ているし、先程大挙して並んでいた従魔もアリスだけになり、落ち着いている。シルフィ達には、かわいいって言って貰えるので、鼻が高い。
 ウサギ肉の屋台で、たくさん購入。それからパンやお惣菜を購入する。Bサイズのマジックバッグに入れる。若手達のご飯にしようかな。買い物を済ませて帰ると既に夕方。花がわがままボディでお出迎えしてくれる。はみはみからのローリング、かわいか。
 一軒家の中、一番奥、台所ではルームを開けっ放しにしてある。バギーから降りたシルフィ達がまっしぐらに向かう。私はホークさんとエドワルドさんに歓迎のローリングを披露した花を抱える。
「ただいま」
「あ、お帰り」
 母がルームのダイニングキッチンから顔を出す。シルフィ達が、わらわら行くので当然ウェルカムもふもふ。シルフィ達はそれから父にも群がる。
 アリスの足を拭いていると、サブ・ドアから晃太達が帰って来た。一気に賑やかに。
『ご飯の後にも行くのです』
『そうね、ちょっと不完全燃焼ね』
『妻よっ、寂しくなかった、げふっ』
『主ヨ、戻ッタカ』
「くうっ」
「ブヒヒーンッ」
「わふーん」
『ねーちゃん、わいなー、まだ火の魔法使いたいねん~』
『ばあば、ヒスイお腹減った~』
『ルリ、卵がいいなあ』
『クリスも~』
「くるっ」
 若手達も控えめに自己主張。
「はいはい、ご飯にしようね~」
 母の指揮が飛ぶ。一斉に手分けして別れる。ブラッシング組と夕御飯組。私は父と魔境のお母さんウルフ達の元に。ビアンカが付いてきてくれた。向かうとシヴァがすっ飛んできて、鼻水垂らして尻尾ブンブン。相変わらずやね。私と父はエリアボスの奥、お母さんウルフや赤ちゃんウルフ達が過ごしているスペースに。一番寒い時期は抜けているが、寒いもんは寒い。暖房器具は既に起動している。ウルフ達に指導した甲斐があり、今では問題なくonし、昼間はoff出来ている。
 一時的に狩りをしても、あまり栄養的によろしくない魔物ばかりの当たり年だったが、現在徐々に戻ってきているみたい。赤ちゃんウルフ達もすくすく育ってきているし、体調不良だったお母さんウルフも回復している。
「優衣、このお母さんウルフがやや衰弱傾向や。こっまちのお母さんウルフもな」
「はいはい」
 私は母に持たされた、フレアタートルの滋養たっぷりの鍋を出して、食べさせる。
 私がやっているのは、自己満足で、本来の自然の流れに反する事だけど。だけど、この現状を知り、知らん振りができなかった。一心不乱に鍋を食べてるお母さんウルフ、そのお腹にはぴったりと張り付くように眠る生まれて間もない赤ちゃんウルフが3匹。父の鑑定で、赤ちゃんもやや栄養不足なそうで、私は哺乳瓶で赤ちゃんウルフの補食のお手伝い。もちろんお母さんウルフには、ビアンカが説明してくれる。ちゅ、ちゅ、と必死に吸い付く赤ちゃんウルフ。うはははーん、かわいかあ。もう一体のお母さんウルフにも、フレアタートルの滋養たっぷりの鍋。そのお母さんウルフの子供は赤ちゃんではなく、ゼリーで補食する。
 よし、いいかな? 鍋は綺麗に洗わなくてもいいくらいに舐めていた。
 最近、獲物がとれ出した事、春に向かっていることから、私は魔境には隔日で通っている。本来は私なんかの援助なくやらなくとはならないのに、私のおせっかいで暖房器具の設置や水呑場の確保、栄養となる食事の提供をしている。イシス曰く、あまり、私がやり過ぎると慢心になるからと言われている。そのうち隔日から、2日、3日と空けていこうと思っている。
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