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お祝いからの⑩
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無事にパーティーハウスに戻れたが、5分と経たずに来客が。
花が歓迎モードから、わんわんモードに。
パーティーハウスには、私と両親、ホークさん、ミゲル君、エドワルドさん。ビアンカ、アリス、シルフィ達だ。戦力的には十分なんだけどね。
『ユイ、敵意はないわ。期待に満ち溢れているかんじね』
「そうね」
もしかしたら、自動補填矢筒が目当てかな。弓を扱うことが多いから、自動補填矢筒は夢のような矢筒だからね。ホークさんがそう言ってたし。
「お父さん、矢筒は?」
「準備しとるよ」
オッケーサインあり。
母と花、シルフィ達は奥に引っ込み、ミゲル君が着く。居間には私と父、ホークさん、エドワルドさん、ビアンカ。アリスはその間に陣取っている。私は何人来るか分からないが、おそらく三人だろうからと、エドワルドさんに言われて、さくら庵の日本産の紅茶を準備。
いいかな?
ルームを閉めて、と。
私がホークさんに目で合図。
無言で頷き、ホークさんが玄関に。
やはり、クラインからの騎士団の皆さんみたい。ちら、と私を振り返る。ビアンカからは特に注意ないので、目で合図。
ホークさんの案内で、入ってきたのは3人。
ケルンさんの娘さんシェリデアさんと、他2名、わあ、綺麗ー。1人はイケメンおじ様、もう一人は中性的な美しさがある男性。何故にエルフってこんなに顔面偏差値高いんやろう? 小顔で、足も長いし、羨ましい。
イケメンおじ様と男性は一瞬ビアンカに目を奪われるが、こちらを向く。
「突然の訪問を受けていただきありがとうございます」
と、一斉に胸に手を当ててお辞儀。
「私、クライン王国騎士団第三騎士団、副団長を務めますベガリス・ダラズと申します」
ご丁寧にどうも。
「どうぞ、お座りください」
と、父が着席を促す。私はお茶の準備ね。座ったのはベガリスさんだけ。シェリデアさんと男性はぴしっ、とベガリスさんの後ろに立つ。ど、どうしようお茶。直ぐにエドワルドさんが囁くように教えてくれる。
私と、父、ベガリスさんの前に紅茶を置く。で、私は父の隣に。奥で花のわんわんが響く。
「こちらも急なお話を持っていき、冷蔵庫ダンジョンに挑む前のお忙しい時期に、ご迷惑をおかけしました」
いえいえ、と。
「まずは、我々から感謝の意を。大量のバーザタイラントの確保、本当にありがとうございます。どれだけの民が救われたことか」
「ビアンカやルージュ達が優秀なので」
アレスやイシスもね。あのジャイアントな蛇はこの2人がボス部屋開けないと出ない。
ふふ、とイケメンおじ様が微笑み。イケメンは、イケメン。
「それを管理なさっているのは、紛れもなく貴女です。実はクライン王国からこの度の件で、貴女にお渡ししたいものがあります」
え? なんやろ?
「話の途中で失礼」
すると黙っていたエドワルドさんが割って入る。ちらり、と一瞥するベガリスさん。
「ミズサワ殿には、無用な接触は避けるようにハルスフォン侯爵より通達があったはず」
「ええ。存じていますよ」
『嘘ではないのですよ』
ビアンカがそう言うのなら。
それを知って私に渡すのってのは何だろう。
「ものによりますが…………」
ほら、感謝のお手紙とかならね。
「これは王家より非公式な謝礼になります。エドワルド・ウルガー殿なら、これが何か分かるはず」
す、とテーブルに差し出したのは、小さな箱。
開けてみると、緑の紅葉の様な形をしたブローチだ。
え、高そう。
「エドワルドさん、これって」
「免税証ですよ。うちのリーダーも持ってます」
クライン王国は入国するのに結構な入国税がかかる。冒険者や商人ギルドのカードがあっても免除なんてならない。減額されるのみ。ランクが高ければ、更に減額されるけど。理由は自然保全やシンボルツリーである世界樹の管理費なんだって。
「これがあれば、貴女の名前でご家族と従魔すべての入国税が免除されます」
ありがたい。
「同行される冒険者パーティーもね。裏を見てください」
「はい」
ひっくり返すと『ポーション ラシーヌ』と刻まれている。
「これは?」
「ダンジョンの優先入場権ですよ」
と、エドワルドさん。
クラインの有名なダンジョンは2つ。ポーションダンジョンとラシーヌダンジョンだ。どちらも地下に下っていくタイプで、下層は難易度は高い。ただしどちらも人気の高いダンジョンで、入場制限あり、しかも入場審査まである。そこまでして入るのには、採れる薬草の品質がいい上に、初心者向けエリアだけでもそこそこの稼ぎができるからだ。
他にも階層の浅いダンジョンがあるけど、すべて一桁の階層しかない。
「ボス部屋もランダムですし、改装された後、まだ誰も最下層の踏破はしていません」
『面白そうなのです』
伏せていたビアンカが頭を上げる。鼻から、ふしゅー、だって。やめて。
「ユイさん」
そっと耳元で囁くのはホークさん。
「意図を聞いてください」
「あ、はい。これは何故?」
聞いてみる。
「いつか、クラインにも足を運んで頂けるかと思いまして。貴女の従魔なら、クラインのダンジョンで満足できるのはこの2つ。いくら依頼とはいえ、我々なら十年はかかる量のバーザタイラントを確保していただきました。であれば、これくらいは」
入国税免除に、ダンジョン入場優先権ね。
これはクラインに対して功績を上げた人に、クラインがご褒美として上げるんだって。
やめて、ビアンカさんや、鼻息が首にかかってる。
『行ってみたいのです。行ってみたいのです』
「試練のダンジョンはどうするん? それにまずはカルーラが先よ」
『なら、試練のダンジョンの次なのです』
「はいはい、考えようね」
とりあえず、頂こう。エルフの国かあ。行ってみたいなあ。
「ありがとうございます」
それから自動補填矢筒のお話に入る。父とバトンタッチ。
「これが改良版の自動補填矢筒です」
「おおおっ、これがっ」
さっきまで落ち着いて話していたベガリスさんが興奮。そして前のめりで聴いてる。シェリデアさんと男性も目がギラギラ。
『興奮しているのです』
うわあ、みたいなビアンカ。
「あんたが言うね」
私は紅茶を飲んだ。
花が歓迎モードから、わんわんモードに。
パーティーハウスには、私と両親、ホークさん、ミゲル君、エドワルドさん。ビアンカ、アリス、シルフィ達だ。戦力的には十分なんだけどね。
『ユイ、敵意はないわ。期待に満ち溢れているかんじね』
「そうね」
もしかしたら、自動補填矢筒が目当てかな。弓を扱うことが多いから、自動補填矢筒は夢のような矢筒だからね。ホークさんがそう言ってたし。
「お父さん、矢筒は?」
「準備しとるよ」
オッケーサインあり。
母と花、シルフィ達は奥に引っ込み、ミゲル君が着く。居間には私と父、ホークさん、エドワルドさん、ビアンカ。アリスはその間に陣取っている。私は何人来るか分からないが、おそらく三人だろうからと、エドワルドさんに言われて、さくら庵の日本産の紅茶を準備。
いいかな?
ルームを閉めて、と。
私がホークさんに目で合図。
無言で頷き、ホークさんが玄関に。
やはり、クラインからの騎士団の皆さんみたい。ちら、と私を振り返る。ビアンカからは特に注意ないので、目で合図。
ホークさんの案内で、入ってきたのは3人。
ケルンさんの娘さんシェリデアさんと、他2名、わあ、綺麗ー。1人はイケメンおじ様、もう一人は中性的な美しさがある男性。何故にエルフってこんなに顔面偏差値高いんやろう? 小顔で、足も長いし、羨ましい。
イケメンおじ様と男性は一瞬ビアンカに目を奪われるが、こちらを向く。
「突然の訪問を受けていただきありがとうございます」
と、一斉に胸に手を当ててお辞儀。
「私、クライン王国騎士団第三騎士団、副団長を務めますベガリス・ダラズと申します」
ご丁寧にどうも。
「どうぞ、お座りください」
と、父が着席を促す。私はお茶の準備ね。座ったのはベガリスさんだけ。シェリデアさんと男性はぴしっ、とベガリスさんの後ろに立つ。ど、どうしようお茶。直ぐにエドワルドさんが囁くように教えてくれる。
私と、父、ベガリスさんの前に紅茶を置く。で、私は父の隣に。奥で花のわんわんが響く。
「こちらも急なお話を持っていき、冷蔵庫ダンジョンに挑む前のお忙しい時期に、ご迷惑をおかけしました」
いえいえ、と。
「まずは、我々から感謝の意を。大量のバーザタイラントの確保、本当にありがとうございます。どれだけの民が救われたことか」
「ビアンカやルージュ達が優秀なので」
アレスやイシスもね。あのジャイアントな蛇はこの2人がボス部屋開けないと出ない。
ふふ、とイケメンおじ様が微笑み。イケメンは、イケメン。
「それを管理なさっているのは、紛れもなく貴女です。実はクライン王国からこの度の件で、貴女にお渡ししたいものがあります」
え? なんやろ?
「話の途中で失礼」
すると黙っていたエドワルドさんが割って入る。ちらり、と一瞥するベガリスさん。
「ミズサワ殿には、無用な接触は避けるようにハルスフォン侯爵より通達があったはず」
「ええ。存じていますよ」
『嘘ではないのですよ』
ビアンカがそう言うのなら。
それを知って私に渡すのってのは何だろう。
「ものによりますが…………」
ほら、感謝のお手紙とかならね。
「これは王家より非公式な謝礼になります。エドワルド・ウルガー殿なら、これが何か分かるはず」
す、とテーブルに差し出したのは、小さな箱。
開けてみると、緑の紅葉の様な形をしたブローチだ。
え、高そう。
「エドワルドさん、これって」
「免税証ですよ。うちのリーダーも持ってます」
クライン王国は入国するのに結構な入国税がかかる。冒険者や商人ギルドのカードがあっても免除なんてならない。減額されるのみ。ランクが高ければ、更に減額されるけど。理由は自然保全やシンボルツリーである世界樹の管理費なんだって。
「これがあれば、貴女の名前でご家族と従魔すべての入国税が免除されます」
ありがたい。
「同行される冒険者パーティーもね。裏を見てください」
「はい」
ひっくり返すと『ポーション ラシーヌ』と刻まれている。
「これは?」
「ダンジョンの優先入場権ですよ」
と、エドワルドさん。
クラインの有名なダンジョンは2つ。ポーションダンジョンとラシーヌダンジョンだ。どちらも地下に下っていくタイプで、下層は難易度は高い。ただしどちらも人気の高いダンジョンで、入場制限あり、しかも入場審査まである。そこまでして入るのには、採れる薬草の品質がいい上に、初心者向けエリアだけでもそこそこの稼ぎができるからだ。
他にも階層の浅いダンジョンがあるけど、すべて一桁の階層しかない。
「ボス部屋もランダムですし、改装された後、まだ誰も最下層の踏破はしていません」
『面白そうなのです』
伏せていたビアンカが頭を上げる。鼻から、ふしゅー、だって。やめて。
「ユイさん」
そっと耳元で囁くのはホークさん。
「意図を聞いてください」
「あ、はい。これは何故?」
聞いてみる。
「いつか、クラインにも足を運んで頂けるかと思いまして。貴女の従魔なら、クラインのダンジョンで満足できるのはこの2つ。いくら依頼とはいえ、我々なら十年はかかる量のバーザタイラントを確保していただきました。であれば、これくらいは」
入国税免除に、ダンジョン入場優先権ね。
これはクラインに対して功績を上げた人に、クラインがご褒美として上げるんだって。
やめて、ビアンカさんや、鼻息が首にかかってる。
『行ってみたいのです。行ってみたいのです』
「試練のダンジョンはどうするん? それにまずはカルーラが先よ」
『なら、試練のダンジョンの次なのです』
「はいはい、考えようね」
とりあえず、頂こう。エルフの国かあ。行ってみたいなあ。
「ありがとうございます」
それから自動補填矢筒のお話に入る。父とバトンタッチ。
「これが改良版の自動補填矢筒です」
「おおおっ、これがっ」
さっきまで落ち着いて話していたベガリスさんが興奮。そして前のめりで聴いてる。シェリデアさんと男性も目がギラギラ。
『興奮しているのです』
うわあ、みたいなビアンカ。
「あんたが言うね」
私は紅茶を飲んだ。
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