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お祝いからの⑦
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すらっ、としたスレンダー美女のエルフのお姉さん。
うーん、こちらの顔面偏差値高いなあ。
エルフのお姉さんはにこ、と笑う。うむ、綺麗なお姉さん。こちらにまっすぐ来る、あ、やっぱり。ビアンカの言うように敵意はなさそうやけど。ミゲル君が私の前に立つ。あらっ、見えてなかったけど、動いた瞬間に、腰の所にナイフ忍ばせてるのが、ちらり。
私の前まで来た時に何故かエドワルドさんが奥から出てきた。
「ユイさん」
最近、エドワルドさんは私に名前を呼んでいいかと確認あり。ずっと『ミズサワ殿』だったからね。別にいいですよって答えてきた。こちらでは名前で、親しくないと男性が女性の呼ぶのは名字。貴族の感覚ね。生まれは貴族のエドワルドさん、律儀。
「この女性は知り合いの方です」
「え?」
エドワルドさんはミゲル君を下げる。
一瞬、場が凍りついたけど、すぐにざわざわと賑わいを取り戻す。
「ふふふ、やっぱり貴方が出てきましたね、エドワルド・ウルガー殿」
綺麗なお姉さんが笑っているけど、目、笑ってない。
『ユイ、意識がエドワルドの方に向いたのです』
ん? どういう事?
「あのエドワルドさん、この方は?」
「……………うちのリーダーの」
「ケルンさん? あ、妹さん」
ケルンさんも美形やったもんね、言われたら目元がよく似てる。見た目的には兄妹や。綺麗なお姉さんはにこっ。
「娘さんですよ」
「へ?」
見た目、二十歳のケルンさん。こちらの綺麗なお姉さんも二十歳くらい。
「え? 見た目が」
「うちのリーダー幾つだと? 二百歳は越えてますからね」
「詐欺や」
エルフ詐欺や。
女性はシェリデア・クルィーサと名乗った。
元々目的はエドワルドさんだったみたい。私に接触したら、手っ取り早くエドワルドさんが出てくると思ったみたい。実際に私にどうこうする気はなかったって。
立ち話もなんだから、奥の待機場所にご案内する。
どかーん、と寝ているビアンカに、流石にびっくり。当のビアンカは問題ないと思ったようで、寝ている。
「ホークお兄ちゃん、あの人綺麗だね」
「そ、そうだね」
ダイアナちゃんとホークさんは、ビアンカを挟んだ反対側であやとりしている。指に絡まってる。
話を聞きたいけど、お客様がいるからね。
「それは俺では…………」
「なんとか…………………」
気になるー。
「その、今のラスチャーニエの予定では……………」
「そこをなんとか…………………」
気になるー。
「俺の一存では…………………」
「父を……………」
気になるー。
「あの甘味バカはですね……………」
「分かってます、あの甘味バカは………………」
ちょっとちょっと。
あ、お客さん、途切れた。
私は素早く飲み物準備。セレクトショップダリアのお高い濃厚リンゴジュース。ダイアナちゃんにもね。パーカーさん達にも交代で飲んで貰おう。
「さ、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「まあっ、お気を使わせてしまって」
「いえいえどうぞどうぞ」
シェリデアさんは濃厚リンゴジュースを一口。
「まあっ、とても美味しいっ。なんて爽やかな甘さのリンゴジュースなんでしょう。クラインでもなかなか口に出来ないくらいだわっ」
大好評。こちらにもリンゴあるけど、向こうみたいに品種はそうない。向こうはジュースにふさわしいようなリンゴに色々品種改良しているからね。しかもそれをミックスしてからのジュースだから、酸味や甘味のいいところ取りジュース。
「おかわりいかがですか」
「まあっ、ありがとうございます」
ごくごく。
『ユイ、私も欲しいのです』
「はいはい」
ビアンカ用のお皿に注ぐ。
それをジーっと見ているシェリデアさん。
何だろう?
「いえ別に」
ですって。
それからもエドワルドさんとお話されていたけど、望む結果にはならなかったみたい。
残念そうに帰宅の途につくシェリデアさん。
最後に私にぺこり。なんやろ?
ずいぶん長くぺこりしてから、失礼します、と言って帰っていった。
「どうしたんやろ?」
「きっと、お礼を言いたかったと思いますよ」
テントを出て、一緒にお見送りしていたエドワルドさんがぽつり。
「お礼?」
「ユイさんには故意に接触をしないように通達は聞いていたはずですから」
「通達? あ、シェリデアさんは冒険者なんですね」
冒険者ギルドでは、私に無闇に突っかからないように通達がいってるし。
「違いますよ、シェリデアさんはクラインの騎士団に所属しています。かなり、階級は上のはず」
「え? 見えない」
エルフは種族的に華奢。当然、打たれ弱いが、そこは豊富な魔力で身体強化で補っている。なので、見た目華奢でも、凄く強い人がいる。
「きっとマーファの騎士団から釘を刺されているはず。なので、俺目当てって言って誤魔化したんでしょう。ただ、お礼何て言ったら、ユイさん目当てだって分かるから、無言で頭を下げたんですよ」
「お礼って言われても、思い当たる節は」
「バーザタイラントですよ」
「蛇?」
「どうやら、姪に視力障害が出たようで、バーザタイラントのポーションで回復したようです」
「それで」
なるほど。
「なら、シェリデアさん達も冷蔵庫ダンジョンに行くんですね」
「そうでしょうね。やはりクラインではまだ騒ぎが続いているようですから」
わざわざ遠いクラインから来て、危険な蛇部屋に挑むって、よく考えたら大変よね。うちにはビアンカやルージュ達がいるから、安全にやってるけど。
なんや、差し入れしようかな? さっきのジュース、好評やったし。
でも、どこに相談しよう?
そうこうしていると、一段とざわめきが起きてる。
あ、美魔女、いらっしゃいましたっ。
うーん、こちらの顔面偏差値高いなあ。
エルフのお姉さんはにこ、と笑う。うむ、綺麗なお姉さん。こちらにまっすぐ来る、あ、やっぱり。ビアンカの言うように敵意はなさそうやけど。ミゲル君が私の前に立つ。あらっ、見えてなかったけど、動いた瞬間に、腰の所にナイフ忍ばせてるのが、ちらり。
私の前まで来た時に何故かエドワルドさんが奥から出てきた。
「ユイさん」
最近、エドワルドさんは私に名前を呼んでいいかと確認あり。ずっと『ミズサワ殿』だったからね。別にいいですよって答えてきた。こちらでは名前で、親しくないと男性が女性の呼ぶのは名字。貴族の感覚ね。生まれは貴族のエドワルドさん、律儀。
「この女性は知り合いの方です」
「え?」
エドワルドさんはミゲル君を下げる。
一瞬、場が凍りついたけど、すぐにざわざわと賑わいを取り戻す。
「ふふふ、やっぱり貴方が出てきましたね、エドワルド・ウルガー殿」
綺麗なお姉さんが笑っているけど、目、笑ってない。
『ユイ、意識がエドワルドの方に向いたのです』
ん? どういう事?
「あのエドワルドさん、この方は?」
「……………うちのリーダーの」
「ケルンさん? あ、妹さん」
ケルンさんも美形やったもんね、言われたら目元がよく似てる。見た目的には兄妹や。綺麗なお姉さんはにこっ。
「娘さんですよ」
「へ?」
見た目、二十歳のケルンさん。こちらの綺麗なお姉さんも二十歳くらい。
「え? 見た目が」
「うちのリーダー幾つだと? 二百歳は越えてますからね」
「詐欺や」
エルフ詐欺や。
女性はシェリデア・クルィーサと名乗った。
元々目的はエドワルドさんだったみたい。私に接触したら、手っ取り早くエドワルドさんが出てくると思ったみたい。実際に私にどうこうする気はなかったって。
立ち話もなんだから、奥の待機場所にご案内する。
どかーん、と寝ているビアンカに、流石にびっくり。当のビアンカは問題ないと思ったようで、寝ている。
「ホークお兄ちゃん、あの人綺麗だね」
「そ、そうだね」
ダイアナちゃんとホークさんは、ビアンカを挟んだ反対側であやとりしている。指に絡まってる。
話を聞きたいけど、お客様がいるからね。
「それは俺では…………」
「なんとか…………………」
気になるー。
「その、今のラスチャーニエの予定では……………」
「そこをなんとか…………………」
気になるー。
「俺の一存では…………………」
「父を……………」
気になるー。
「あの甘味バカはですね……………」
「分かってます、あの甘味バカは………………」
ちょっとちょっと。
あ、お客さん、途切れた。
私は素早く飲み物準備。セレクトショップダリアのお高い濃厚リンゴジュース。ダイアナちゃんにもね。パーカーさん達にも交代で飲んで貰おう。
「さ、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「まあっ、お気を使わせてしまって」
「いえいえどうぞどうぞ」
シェリデアさんは濃厚リンゴジュースを一口。
「まあっ、とても美味しいっ。なんて爽やかな甘さのリンゴジュースなんでしょう。クラインでもなかなか口に出来ないくらいだわっ」
大好評。こちらにもリンゴあるけど、向こうみたいに品種はそうない。向こうはジュースにふさわしいようなリンゴに色々品種改良しているからね。しかもそれをミックスしてからのジュースだから、酸味や甘味のいいところ取りジュース。
「おかわりいかがですか」
「まあっ、ありがとうございます」
ごくごく。
『ユイ、私も欲しいのです』
「はいはい」
ビアンカ用のお皿に注ぐ。
それをジーっと見ているシェリデアさん。
何だろう?
「いえ別に」
ですって。
それからもエドワルドさんとお話されていたけど、望む結果にはならなかったみたい。
残念そうに帰宅の途につくシェリデアさん。
最後に私にぺこり。なんやろ?
ずいぶん長くぺこりしてから、失礼します、と言って帰っていった。
「どうしたんやろ?」
「きっと、お礼を言いたかったと思いますよ」
テントを出て、一緒にお見送りしていたエドワルドさんがぽつり。
「お礼?」
「ユイさんには故意に接触をしないように通達は聞いていたはずですから」
「通達? あ、シェリデアさんは冒険者なんですね」
冒険者ギルドでは、私に無闇に突っかからないように通達がいってるし。
「違いますよ、シェリデアさんはクラインの騎士団に所属しています。かなり、階級は上のはず」
「え? 見えない」
エルフは種族的に華奢。当然、打たれ弱いが、そこは豊富な魔力で身体強化で補っている。なので、見た目華奢でも、凄く強い人がいる。
「きっとマーファの騎士団から釘を刺されているはず。なので、俺目当てって言って誤魔化したんでしょう。ただ、お礼何て言ったら、ユイさん目当てだって分かるから、無言で頭を下げたんですよ」
「お礼って言われても、思い当たる節は」
「バーザタイラントですよ」
「蛇?」
「どうやら、姪に視力障害が出たようで、バーザタイラントのポーションで回復したようです」
「それで」
なるほど。
「なら、シェリデアさん達も冷蔵庫ダンジョンに行くんですね」
「そうでしょうね。やはりクラインではまだ騒ぎが続いているようですから」
わざわざ遠いクラインから来て、危険な蛇部屋に挑むって、よく考えたら大変よね。うちにはビアンカやルージュ達がいるから、安全にやってるけど。
なんや、差し入れしようかな? さっきのジュース、好評やったし。
でも、どこに相談しよう?
そうこうしていると、一段とざわめきが起きてる。
あ、美魔女、いらっしゃいましたっ。
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