もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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総仕上げ⑧

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 リティアさんに挨拶してギルドを後にする。
 ロッシュさん達山風と初対面の若手達は、トラブルはない。
「ズ、ズボンが下がるっすっ」
 元気がハジェル君のポケットはみはみ。相変わらず好きね、こらこら。
 とりあえず、紹介する。
「このウルフの目、綺麗ですね」
 シュタインさんがオフィーリアの目を覗いている。
「本当だ」
「綺麗ですね」
 ロッシュさんとラーヴさんもそう言ってくれる。短期間の主人やけど、嬉しい。
「オフィーリアはとっても優秀なんですよ」
 へへん、みたいに説明。
 詳しく話したいが、バトルジャンキー達から、ダンジョンビームが飛ぶので移動開始。
 移動しながら、皆さんに20階スタートの説明をする。
「視力障害を起こす微弱な毒ですか。クラインからわざわざ騎士団を派遣してくるのなら、かなり大騒ぎなんでしょうな」
 と、ツヴァイクさん。
 もともとはクラインのお隣の国、シーラ出身のツヴァイクさんが思い出すように話してくれる。
 何でも何百年か前に、似たような事があって、クラインは友好国であるシーラのダンジョンに騎士団を派遣したって。
「儂のじいさんが子供の頃の話ですからな、300年以上前でしょうな」
 うむ、江戸時代や。
 だけど、バーザタイラントがいるエリアは、かなり難易度の高い為に、無事で済むはずもない。当時、シーラの騎士団は友好国の為にと同行し、両国は更に絆を深めたそうだ。
 しかし、それでも足りなかったそうだ。当時冷蔵庫ダンジョンはまだ15階までしかなかったそう。改修されてやっと20階のバーザタイラントのボス部屋が出来たのは、150年前だって。
 こちらの時間感覚、慣れんなあ。
 ぞろぞろと移動する。諦めずハジェル君のポケット狙う元気を、ビアンカに制してもらい、冷蔵庫ダンジョンに到着。
 警備の皆さんに、え? て、顔はされたけど、受け入れ早い。さ、といつものドアを開けてくれる。
『ユイ、行きたいのです』
『行きましょう』
 鼻息荒い、爛々としたビアンカとルージュ。
「晃太達がまだやん」
『もうじき来るのです~』
『アレス置いて行きましょう~』
 あんたらね。ノワールや、あんたまで哀愁攻撃せんで。
 私はホークさんとロッシュさんと相談する。
「ユイさん、俺がここに残ります」
「スキップするにも、時間かかるでしょうし」
「すみません」
 イシスも残ってくれるって。アレスだけ残すのも、あれだしね。
「頼むねイシス」
『任セロ。後デピザヲ所望スル』
「分かった、夕御飯そうしようかね」
 残されると分かったアレスは、ビアンカとルージュにべたべた。数日前に再会して、暇があればべたべたしてる。
『妹よっ、我がいなくてもっ』
『うざいのですっ』
『鬱陶しいわっ』
 パンチ、パンチ。連日のべたべたが溜まっていたかな。牛の首でもへし折るパンチが飛ぶ。
 よよよ、と倒れるアレス。多分、効いてないけどね。私の足元に、崩れるように踞る。
『い、妹がっ、恥ずかしがり屋なのだっ』
「多分、違うよアレス君」
 よしよし。これしたら、母ならおやつまでくれるけん、よくやってる。
「アリスが来るけん、ここで待っとって」
『ぐすんっ、分かったのだっ』
「ホークさん、お願いしますね」
「はい」
 転移の魔法陣のある小屋の前で、ウキウキして待っているビアンカとルージュ。はいはい。
 私は警備の人に挨拶して、魔法陣に乗った。
 
 第一陣のちゅどん、ドカンが済む。
 まず移動したのが私とエマちゃん、テオ君、ツヴァイクさん、ノワール。魔力はビアンカが流した。次の便は山風、仔達。魔力はルージュが流した。無事に到着して、第一陣終了。
 あー、すっきりしたー、みたいな顔のビアンカとルージュ。
 私達はドロップ品を拾う。ルーム経由で、ケルンさん達も参加してくれた。
 晃太がいないので、空のマジックバッグに詰めていく。ただ、ご不満なノワールと仔達は、ビアンカが連れて20階を爆走しにいった。
『角煮のためなのですっ』
 はいはい。いってらっしゃい。ドロップ品は相変わらず凄か数、よし、いいかな。宝箱はルージュがチェックしてくれる。
『いいわよ』
「ありがとうルージュ」
 いつもこれはワクワク。ぱかり、うん、定番化しているビロードの箱。ハートの形をした緑の石。ハートって初めてやなあ。だいたい、丸とか、涙型、楕円形や四角とかやけど。
 リィマさんが見てくれた。
「エメラルドだね。カットが繊細だから、そうだね、200~300かね」
 買い取りに出そう。
 そろそろイシス達が来るかな。

 0時25分
「流石に終わろうね」
 くったくた。
 いくらなんでも、ちゅどん、ドカンしすぎや。
 仔達と若手達、ノワールは既に夢の中。シルフィ達とアリスもね。
 確かに、何回でも良いって言ったけどさっ。
 あの後、イシスやアレス達も加わりちゅどん、ドカン祭りが始まった。魔境からもシヴァ達まで来たので誘導係の私はバタバタ。しかも、ルーティのうさぎ部屋まで行くので晃太があっちこっちに移動。一息ついたらマジックバッグを膨らませて帰って来るしね。
『そうなのですね』
『そろそろ寝ましょう』
『妻よ、我がそばに行くのだ~』
『ナラバ寝ルカ』
「くうっ」
 やっと従魔の部屋に行ってくれた。
 晃太は必死にリストを加筆。冒険者の皆さんは装備品の点検に入る。
 はぁ、疲れた。
『ユイ~、角煮食べたいのです~』
『煮卵も~』
『我も~』
『ウム、アノ卵は旨カッタナ、所望スル』
「くうっ」
 従魔の部屋からリクエストが飛ぶ。
 ……………………………………あんたらね。今、何時やと。
 仕方ないかあ。クラインで蛇のポーション待っている人達がおるし。
 私は母のレシピを引き出しから出して、準備を始めた。
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