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○○説⑪

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 次の日。
 晃太はドロップ品を卸しにギルドに向かう。チュアンさんとマデリーンさんが付いていってくれた。オシリスもね。それからホークさんが牧場に向かう。お母さん馬とまだらちゃんの様子を見に行った。
 朝からまあ大変。モザイクかけるのが大量だったよ。若手ウルフ達が増えたからね。はい、清掃タップ。
 私が出てくると、わふん、と整列してご挨拶してくれた。うん、躾られた感が。
 よしよし、もふもふ。
 予想していたけど、ご飯の準備が大変。あまり手が込んだものができない。母は私達の食事と父のお弁当準備。私達はせっせと手分けして準備。ご飯盛って、ハム並べて、玉子をのせて。目玉焼きはホットプレートに片っ端から焼いた。生焼きやらしっかり焼けたやつからご愛嬌ってことで。
 皆ご飯もりもり食べてた。大きなお皿たくさん買っておいて良かった。
 ご飯食べたらビアンカとルージュが仔達と若手ウルフ達を引き連れてルーティのダンジョンに。ノワールも付いていった。あるだけのマジックバッグを持ったエマちゃんとテオ君が付いていった。ミゲル君は母のお手伝いね。来月に行われる春祭りのバザーの準備ね。母の最新作はワインレッドのワンピースだ。スカートの裾が、歩くと綺麗に翻る。着るものを選ぶやつね。
 …………………美魔女イザベラ様が着たら、映えるやろうなあ。
 ミゲル君の最新作は水色のワンピース。胸元には同系色のレースがあり、お洒落。大人用ではなく、中学生くらいの子が着るやつね。ちなみにモデルはエマちゃん。エマちゃんには緑色のチュニックを作ってた。
 男性用には通気性のいい生地を使ったシャツ。サイズ様々。カッターシャツみたいのから、普段着のシャツまで。もへじ生活でサイズのないチュアンさんの普段着用は、すべてミゲル君が作ってる。
 アレスはツヴァイクさんと一緒に桶の作業だ。
 私はシルフィ達がお昼寝を確認し、お買い物やら、なんやらで忙しい。うーん、天気がよか。まだ寒いけどね。
 ふふふーん、と花やシルフィ達のクッションを天日干し。ふっかふか。
 ふかふかしながら、考える。あの13体のウルフ達の名前どうしようかな。
 うーん、うーん、うーん。13って数がなあ。干支にするわけにもいかんし。星座も足りんし。
「あ、そうや、確か13番の星座があったなあ」
 なんやったかあ。確か、そう、蛇使い座。
 …………………蛇かー、いやや。
 なんて思っていると、あ、もうお昼やん。本日の移動販売車は、メロンパンだ。よし、あるだけ買おう。
 購入していると、何故か父と一緒に晃太と帰って来た。あら? ずいぶん早いね。花がお出迎えローリング。
「お帰り、早かったね」
 花のローリングから顔を上げた晃太と父。なんや、変な顔。
「あ、姉ちゃん」
「優衣」
「どうしたん?」
 なんとも言えない顔やけど。
「姉ちゃん、外に出た方がよか。姉ちゃん死亡説が出とる」
「はあっ?」
 し、死亡説って。
「こっちは重症説や」
「はあっ? なんで?」
 なんでそんな事にっ。いくらなんでも飛躍しすぎやない? 後ろにいるチュアンさんとマデリーンさんも微妙な顔。
「ほら、気絶した姉ちゃんを運んだのあったやん」
「つい最近ね」
 連打された警報器の音に耐えきれなかった時ね。
「あれ、何人かに見られて。あれから姉ちゃん外出とらんやろ。それで勘違いされてるみたい」
 しかも、私が出歩く時に必ず付く戦闘奴隷リーダーのホークさんと、建前上、私が色々心配だからと付いてくれているエドワルドさんもパーティーハウスに籠ったままなのが、変な方に噂を曲げたみたい。しかも、パーティーハウスからアレス達ウルフ系従魔が姿を見せないのもね。
「しかも、お母さんもあれから出歩いてないやろ? 優衣の看病しとるからとか、優衣の状況があまりよくないから精神的ショックで起きれんとか、とにかく変な噂が出とるんよ」
「たった2、3日出なかっただけでっ」
「それだけ姉ちゃんは注目されとるって事や」
「優衣がビアンカやルージュ達の主人ってだけやけど、他の人達からしたら脅威やけんね。主人である優衣に何かあったら、って思われたんやろうな」
「そりゃそうやけど…………」
 安易に風邪も引けない。自覚はしていたが、今回はちょっと色々勘違い要素が多すぎたね。
 はあ、仕方ない。
 花がメロンパンの入ってるビニール袋を狙うが、足が短いからね。
「なら、午後から出かけるかね」
 いつものマルシェでお買い物でもするかね。メロンパンの入った袋をチュアンさんが受け取ってくれると。

 ジリィィィィィィィィッ

 ひーっ、警報器がーっ。
「いつぅっ」
「姉ちゃんっ」
「優衣っ」
「ユイさんっ」
 あの時の痛みが脳裏に走ったけど、一回だけ。きっとイシスやっ。思ったより早かったね。
「だ、大丈夫よ、警報器がなったんよ」
 マデリーンさんがそっと体を支えてくれる。
「イシスの方や、行こう」
 軽く頭を振って、立ち上がる。
 急いで魔境側のサブ・ドアを開けると、どーん、と鎮座しているイシスが。その後ろにシヴァや補佐ウルフが整列している。
「イシス」
 ざっと見た感じ、ケガはないようやね。
『主ヨ、各エリアボスニ警告ハスンダ』
「お疲れ様イシス、ありがとう。ケガはないね」
『問題ナイ』
 良かった。するっとオシリスも来て、ピタッとイシスに張り付く。奥さん心配やったんやね。
「なら、今から合流の手筈を整えようかね」
 丁度出かける理由にもなるし。冒険者ギルドに伝えよう。今からマーファを出たら、レクスに夕方には着くかな。
「あ、イシス、今ねビアンカとルージュ達はルーティのダンジョンなんよ。とにかくルームに入り、ちょっと休むね?」
『イヤ、私モボス部屋ニ挑ミタイ』
「そ、そう」
 イシスを誘導している間に、シヴァや補佐ウルフ達の視線が、チュアンさんのビニール袋に突き刺さる。しょうがないね。一個よ。ビニール袋からメロンパンを取り出すと、尻尾ぷりぷり。
「シヴァ、ちょっとダンジョンにウルフ達を連れて行けないかも知れないけど、よか?」
「わふん、へっくしょんっ」
 はーなーみーずー。
 私はハンカチでシヴァの鼻を拭いて上げる。
「頼むね」
「わふん」
 ルームに戻ると、丁度ホークさんも帰って来た。
 よし、全員に集合をかける。
 ぞろぞろとルーティのサブ・ドアから、ビアンカやルージュ達が帰って来る。
『あ、イシス、帰って来たのですね』
『あいつら言うこと聞いたの?』
『フンッ、問題ナイ』
 ですって。
『ねえね、お腹減った~』
『ねーちゃん、わいなー、腹がな』
『ねぇね、ルリ甘いの食べたい~』
『クリス、パンケーキ~』
「わふん、わふん」
「くるっ、くるっ」
 賑やか。
『油淋鶏~』
『エビ~』
『ピザヲ所望スル』
 賑やか~。
 中庭のツヴァイクさんやアレスも来たし、お昼にしよう。

 てってれってー
【従魔 30体同時在室確認 ボーナスポイント300000追加 従魔の部屋追加されます】

 ぽわん、と壁に入り口が。新しい従魔の部屋が現れる。ラッキー、13体のウルフ達の寝床にしよう。水呑場もあるし、広さもよかね。
 私は帰って来たばかりの皆さんと相談して、お昼ご飯食べた後に、レクスに向かうことになる。ただ、例のピンクの女性達との決着があと数日かかるそうで、晃太とエドワルドさんはお留守番組だ。ミゲル君も母のお手伝いで残る事になる。それからアリスとシルフィ達もだ。ルームがあるから、全く会えないわけではないし。予定としては、4、5日で帰って来れるしね。
 よし、いいかな。
 メロンパンは結局、仔達や若手達のおやつにした。ビアンカとルージュがきゅるん、と来た、一個よ。
 お昼は松ぼっくりのピザとお好み焼き、うららのパンケーキをチョイス。
 凄まじい額になったのは言うまでもない。
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