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再び材料確保②

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 冷蔵庫ダンジョンに入って一週間。
 25階の木材部屋に何度も挑み、十分な数の木材をゲット出来た。ボス部屋復活を待てないメンバーが、わんわんぶひひんっくうくう言うので、26階のボス部屋に時折挑んだ。
 途中で鼻水君、違う、シヴァや補佐ウルフ、錆び落としのお母さんウルフ、お父さんウルフも参加したけど、終わった後、ひとしきりボス部屋をうろうろ。そして、ぶー、みたいな顔。木材部屋や化粧品部屋だから、お肉がドロップされないからね。ストックしてあるルーティの鎧貫通ウサギのお肉を渡して、納得してもらう。
 今回ご褒美部屋は残念な事に出なかったが、アレスが扉を開けると宝箱が豪華な事。宝石はギラギラだし、エリクサーは出るしね。マジックバッグも出るし。
 ツヴァイクさんより、もう十分だと言われた翌日から26階をメインに移動する。化粧品の材料はリティアさんが、ドーピング剤の材料はダワーさんが待ってるからね。
 化粧品部屋をちゅどん、ドカン、バキバキ。
 よしよし、紅花やアルガン、シアの実、マジックベリーもたくさんゲット。3日、化粧品部屋に集中する。
「皆さん、お疲れ様です。今日はこれくらいにしましょう」
 ドロップ品を拾い集め終わり、ルームに入る。
「アレス、今日はこれ以上はせんよ」
『わ、分かっているのだっ』
 疑いの眼差しになってしまう。
 アレスは中庭で爆走を始める。本当に、アレスって動いていないと、生きていけないのやないかな?
 ま、いいや。
 私は夕御飯の準備。皆さんそれぞれ嗽、手洗いしたり、装備品の整備。ホークさんはノワールのブラッシング。マデリーンさんはノワールの装備品を拭きあげる。チュアンさんとミゲル君はアリスとシルフィ達のブラッシングだ。
 今日はお好み焼きにした。今回の冷蔵庫ダンジョンアタックの準備の時にたくさんキャベツを刻んでもらったからね。私はおやつ時間の後くらいから、早めに準備に入り、アレス達の分を焼き上げている。かさ増しの千切りキャベツもお好み焼きの間に潜ませている。よし、こんなもんかな。
「アレスー、ご飯よー」
 呼ぶと、土煙を上げてアレスが帰って来た。げふっ。『腹が空いたのだっ』
「はいはい。出来たよ」
 従魔の足拭きタップ。チュアンさんとツヴァイクさんが山盛りのお皿を運んでくれる。
「熱いよ」
『あっついのだーっ』
「くうーっ」
「わふんっ」
 言ったやん。アリスまで。まあ、いい匂いやもんね。
 そろそろ我々かな。お好み焼きパーティーはこのメンバーでやったことがあるため、各テーブルにはホットプレートに生地やたくさんの具材が並ぶ。お好み焼きソース以外にも、ざく切りトマトが入ったソースもある。晃太的には、首を傾げるトマトソースだけど、こちらが好きな人もいる。
 具材は定番の豚バラ。エビ、貝柱、クラーケン、母が作ってくれたドラゴンのスジ煮。チーズもディレックスの四角のチーズに、冷蔵庫ダンジョンのモッツァレラ、ラクレット。ネギに目玉焼き。我が家はお好み焼きに餅はいれない。明太子はやはりまだ誰からも受け入れは悪い。仕方ない。こちらで食べる風習がないからね。
 私は豚バラとエビとクラーケンかな。エマちゃんとテオ君はそれにするって。晃太はドラゴンのスジ煮にエビ、貝柱、たっぷりネギを乗せて更に目玉焼きを飾る。
 ホークさんは豚バラ、エビ、目玉焼きにネギ。チュアンさんはエビ、クラーケン、たっぷりネギ。マデリーンさんはエビとクラーケン、貝柱、モッツァレラ、トマトソース。ミゲル君はドラゴンのスジ煮、たっぷりネギ、目玉焼き。
 エドワルドさんは豚バラ、エビ、クラーケン、四角のチーズにトマトソースを添えている。ツヴァイクさんはドラゴンのスジ煮、クラーケン、たっぷりネギ、目玉焼き。
 ロッシュさんは豚バラとエビとクラーケンにネギ。ラーヴさんはエビとクラーケン、貝柱とたっぷりトマトソースの上にラクレットをトロリ。うわあ、あれ、美味しそうや。シュタインさんはクラーケンとドラゴンのスジ煮、ネギと目玉焼き。マアデン君は豚バラとエビ、モッツァレラにトマトソースを添えている。ハジェル君はすべての具材が入り、ずいぶん大きいなあ。
 お好み焼きにはビールでしょ。一杯だけね。アルコール出すと、ミゲル君とツヴァイクさんが仲良く万歳。
「皆さん、今日もお疲れ様です。頂きまーす」
「「「「「頂きまーす」」」」」
 ぱくり。
 うん、母のレシピがきちんと再現出来てる。生地もふわふわや。私は小さめに焼いたので、2枚目どうしようかな?
「姉ちゃん、明太子混ぜて」
「はいはい」
 2枚目作成。私も明太子と、そうだなあ、クラーケンとモッツァレラと少しトマトソース添えてみよう。晃太はたっぷりのエビと貝柱。
「あの、ユイさん、俺もその赤いの食べてみたいっす」
 あのでっかいお好み焼きを食べたハジェル君がおずおずと自己主張。他の山風メンバーは、えっ? みたいな顔だ。
「ハジェル君、食べてみる?」
「はいっ。食べてみたいっす。あ、です」
「なら、小さめを焼いてあげるけん、こっちおいで」
「はいっす」
「こら、ハジェル」
 ロッシュさんが慌てて止めるが、私はいいですよ、とハジェル君を私達のテーブルにご招待。
 小さめに明太子とクラーケンのお好み焼きを出す。
「はい、熱いけんね」
「はいっ。頂きますっ、はふっ、はふっ」
 ハジェル君は明太子入りのお好み焼きに、豪快にかぶりつく。
「あふいっ、あふいっすっ」
「だから、言ったやん」
「はふっ、なんかちょっと塩味っすね」
「明太子やもん」
 ハジェル君はぺろりと食べてしまった。
「なんか、あんまり気にならないっす」
「たくさん入れてないからね。向こうでも苦手な人がおるしね」
 私も子供の時は明太子苦手だったし。
「向こうは米食やから、明太子はご飯のお供になる事が多いんよ。おにぎり作ろうか?」
「ありがとうございますっ」
「こらっ、ハジェルッ」
 ロッシュさんがビールで赤くなった顔で怒る。私はまあまあと言って、晃太に炊きたてのご飯を出してもらう。
「試したい方います? 小さめのおにぎりにしますよ」
 顔を見合わせて、数人がおずおずと手をあげる。
 私は小さめの明太子のおにぎりを握る。
 そう言えば、神様、明太子、大丈夫なのかな?

 あたたたたたたたっ
 はいはいっ、商いの神、食べれますっ
 鍛治の神、トマトソースのお好み焼きがいいっ
 うわーんっうわーんっうわーんっ

 賑やかあ。きっと時空神様に、商いの神様と鍛治の神様、魔法の三柱神様に突撃されたね。
「晃太」
「ん~」
「神様用に、お好み焼き焼いて」
「はあ?」
 話を聞いていた皆さんは慌てて神様用にお好み焼き作成。私は明太子おにぎり、ちょっと崩れたけど明太子いり卵焼きを作成した。
 明太子の反応はさまざま。大丈夫だったのはエドワルドさんとラーヴさん、マアデン君だった。
 多めに作っていたお好み焼きの生地が綺麗になくなる。じーっと皿を咥えて主張していたアレスとオシリスには、松ぼっくりのお好み焼きで我慢してもらった。
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