542 / 852
連載
布確保③
しおりを挟む
冷蔵庫ダンジョンに向かうと、いつもの様に警備の方が魔法陣のある小屋の扉を開けてくれる。
どうも、ありがとうございます。
『主よ、主よ』
ソワソワとアレスが呼ぶ。
「はいはい」
私達4人とアレスが魔法陣の上に。
「アレス、最高階はここよ」
『分かったのだっ』
えいっ、と魔力を流すアレス。
あっという間に景色が変わる。27階と28階を繋ぐ階段の踊場だ。
『主よっ、行ってくるのだっ』
アレス君や疲れてないん?
「いいけど、一回だけよ? 大丈夫ね? フレアタートル一杯出るよ?」
『………………鍋なのだなっ』
「………………そうね」
今日は鍋ね。
「姉ちゃん、ルーム開けた方がよくないね?」
「そうやね」
私はパーティーハウスで開けっ放しにしている、ルームの扉をゆっくり閉めるイメージをする。急に閉めたら、誰かが挟まるといけないからね。
アレスがソワソワしているが、ゆっくり閉める。よし。改めてルームを開けると、チュアンさん、マデリーンさんが待機していた。暖かい従魔の部屋ではシルフィ達がお昼寝。アリスもいる。しゅばっ、とアリスにすり寄るアレス。あー、みたいな顔をするアリス。
「ユイさん、どうされました?」
チュアンさんが心配そうに聞いてきた。
「アレスのリクエストで、冷蔵庫ダンジョンです。最上階の踊場です」
「そうですか」
『主よっ、主よっ』
ルームの外の踊場でアレスがソワソワ。
「はいはい。ドア閉めたらよかよ。終わったら呼んでね」
『分かったのだっ』
アレスがいそいそと出ていき、ルームのドアを閉める。
尻尾ぷりぷりと階段を上がっていくアレス。駆け上がりながら、戦闘モードに。
『戦闘モード 牙風神(クロ・テンペスト)』
はい。風の最上位の戦闘モードで、アレスがコラーゲン部屋に突っ込んでいく。
ちゅどどどどどんっ
ちゅどどどどどんっ
ドカンッ、ドカンッ、ドカーンッ
ズバッ、ズバッ、ズバババババンッ
相変わらずな音やね。
フレアタートル、恐らくビアンカやルージュが開けた時より数は多いはずなのに。音にびっくりしたシルフィ達が起きたけど、アリスが優しく抱き込んでいる。
『終わったのだー』
早かね。
きっと始祖神様のブーストのお陰やね。
ルームを出て、階段を上がる。
うわあ、転がるドロップ品。私と晃太、ホークさん、チュアンさん、マデリーンさん、エドワルドさんで拾い集める。
やっぱり多いなあ。
アレスがモグモグしてるけどね。1つ2つはよかよか。たくさんあるし。肝はいくつか確保ね。
最後の甲羅を晃太がアイテムボックスに入れると、出てきました宝箱。細長いタイプね。マデリーンさんがチェック。
「ユイさん、罠ありますね」
「あ、やっぱり」
上階になればなる程罠率は高い。
仕方なか。アリスを呼ぶと、とっとこ来てくれた。
『主よ、これで今日はこれだけなのだな?』
「一回って言ったやん。今、アリスが罠解除しとるから、しーっ、よ」
『分かったのだぁ』
ぷうっ、みたいなアレス。かわいかね。でも、君は疲れるとかないんね?
しばらくして、ぱきり、と音がする。
「わふんっ」
どやっ、とアリスが振り返る。
「お疲れ様、ありがとうアリス」
さ、いつもこれはワクワクする。宝箱オープン。晃太が蓋を開ける。
「あ、槍や。それとエリクサーやね」
どれどれ。宝箱の中には一振りの槍。これは、ハルバートやね。
「チュアンさん、使えますか?」
「私には、まだ、あの槍がありますし」
軍隊ダンジョンで出たやつね。まあまあ、試しにどうぞ、と言うと、慎重に取り出す。
「お、重いです…………」
えっ、チュアンさんが重いって、相当重いんじゃない?
「身体強化、武器強化を」
エドワルドさんが指示を出し、チュアンさんが従うが、どうもしっくり来ないようす。
「私のレベルでは扱いきれません。私がこの槍に相応しくないようです」
「そうですか、残念。なら、しばらく保管して扱えるようになるまで待ちましょう」
「ユイさん、それより相応しい方に渡した方が宜しいかと思います。ヤマタノオロチの後のモンスターボックスに、必要になるかと思います。そのときに使いこなせる方に」
「そうですね……………」
チュアンさんの言うのが最もかな。チュアンさんが使いこなせるまで間に合わないかもしれないし。
「じゃあ、これは引き取りにしましょう。エドワルドさんは槍は?」
「俺は専ら剣です。ツヴァイクなら使えると」
「なら、まず、ツヴァイクさんに確認しますね」
よし、そうしよう。
槍の下には布が束のように纏まっている。なんやろ? いつもならシルクとか、おしゃれな柄物やけど、薄茶の少し厚い生地だ。おしゃれな服に使用されるなような感じやない、作業着とかに使われそうなやつ。これは引き取りにしよう。だいたい冷蔵庫ダンジョン最上階で普通の布が出るとは思えない。父の鑑定待ちや。
エリクサーは全部で5本。どうしよう、前回の25階でも出たし、まだ出てきそうだし。薬師ギルドにドーピング剤をお願いしたし。うーん、よし、今回は全部回そう。
「晃太、槍と肝3つ以外はギルドに」
「ん」
さっ、とリストに書き込む晃太。
さて、と。
「アレス君や」
『ぬっ、なんなのだ?』
アリスにべたべたしていたアレスがこちらを向く。
「雷魔法使える?」
『当然なのだ』
「大きめの、あそこに当てて」
私は耳を抑える。晃太も、ホークさん達も耳を抑える。
『任せろなのだっ、ふんっ』
鼻息一発。
ドガガガガガガンッ
雷がボス部屋の壁に直撃。
凄か音。
もくもくと上がる煙の向こうで、ぽっかりと壁に穴が空いていた。
久しぶりのご褒美部屋や。
どうも、ありがとうございます。
『主よ、主よ』
ソワソワとアレスが呼ぶ。
「はいはい」
私達4人とアレスが魔法陣の上に。
「アレス、最高階はここよ」
『分かったのだっ』
えいっ、と魔力を流すアレス。
あっという間に景色が変わる。27階と28階を繋ぐ階段の踊場だ。
『主よっ、行ってくるのだっ』
アレス君や疲れてないん?
「いいけど、一回だけよ? 大丈夫ね? フレアタートル一杯出るよ?」
『………………鍋なのだなっ』
「………………そうね」
今日は鍋ね。
「姉ちゃん、ルーム開けた方がよくないね?」
「そうやね」
私はパーティーハウスで開けっ放しにしている、ルームの扉をゆっくり閉めるイメージをする。急に閉めたら、誰かが挟まるといけないからね。
アレスがソワソワしているが、ゆっくり閉める。よし。改めてルームを開けると、チュアンさん、マデリーンさんが待機していた。暖かい従魔の部屋ではシルフィ達がお昼寝。アリスもいる。しゅばっ、とアリスにすり寄るアレス。あー、みたいな顔をするアリス。
「ユイさん、どうされました?」
チュアンさんが心配そうに聞いてきた。
「アレスのリクエストで、冷蔵庫ダンジョンです。最上階の踊場です」
「そうですか」
『主よっ、主よっ』
ルームの外の踊場でアレスがソワソワ。
「はいはい。ドア閉めたらよかよ。終わったら呼んでね」
『分かったのだっ』
アレスがいそいそと出ていき、ルームのドアを閉める。
尻尾ぷりぷりと階段を上がっていくアレス。駆け上がりながら、戦闘モードに。
『戦闘モード 牙風神(クロ・テンペスト)』
はい。風の最上位の戦闘モードで、アレスがコラーゲン部屋に突っ込んでいく。
ちゅどどどどどんっ
ちゅどどどどどんっ
ドカンッ、ドカンッ、ドカーンッ
ズバッ、ズバッ、ズバババババンッ
相変わらずな音やね。
フレアタートル、恐らくビアンカやルージュが開けた時より数は多いはずなのに。音にびっくりしたシルフィ達が起きたけど、アリスが優しく抱き込んでいる。
『終わったのだー』
早かね。
きっと始祖神様のブーストのお陰やね。
ルームを出て、階段を上がる。
うわあ、転がるドロップ品。私と晃太、ホークさん、チュアンさん、マデリーンさん、エドワルドさんで拾い集める。
やっぱり多いなあ。
アレスがモグモグしてるけどね。1つ2つはよかよか。たくさんあるし。肝はいくつか確保ね。
最後の甲羅を晃太がアイテムボックスに入れると、出てきました宝箱。細長いタイプね。マデリーンさんがチェック。
「ユイさん、罠ありますね」
「あ、やっぱり」
上階になればなる程罠率は高い。
仕方なか。アリスを呼ぶと、とっとこ来てくれた。
『主よ、これで今日はこれだけなのだな?』
「一回って言ったやん。今、アリスが罠解除しとるから、しーっ、よ」
『分かったのだぁ』
ぷうっ、みたいなアレス。かわいかね。でも、君は疲れるとかないんね?
しばらくして、ぱきり、と音がする。
「わふんっ」
どやっ、とアリスが振り返る。
「お疲れ様、ありがとうアリス」
さ、いつもこれはワクワクする。宝箱オープン。晃太が蓋を開ける。
「あ、槍や。それとエリクサーやね」
どれどれ。宝箱の中には一振りの槍。これは、ハルバートやね。
「チュアンさん、使えますか?」
「私には、まだ、あの槍がありますし」
軍隊ダンジョンで出たやつね。まあまあ、試しにどうぞ、と言うと、慎重に取り出す。
「お、重いです…………」
えっ、チュアンさんが重いって、相当重いんじゃない?
「身体強化、武器強化を」
エドワルドさんが指示を出し、チュアンさんが従うが、どうもしっくり来ないようす。
「私のレベルでは扱いきれません。私がこの槍に相応しくないようです」
「そうですか、残念。なら、しばらく保管して扱えるようになるまで待ちましょう」
「ユイさん、それより相応しい方に渡した方が宜しいかと思います。ヤマタノオロチの後のモンスターボックスに、必要になるかと思います。そのときに使いこなせる方に」
「そうですね……………」
チュアンさんの言うのが最もかな。チュアンさんが使いこなせるまで間に合わないかもしれないし。
「じゃあ、これは引き取りにしましょう。エドワルドさんは槍は?」
「俺は専ら剣です。ツヴァイクなら使えると」
「なら、まず、ツヴァイクさんに確認しますね」
よし、そうしよう。
槍の下には布が束のように纏まっている。なんやろ? いつもならシルクとか、おしゃれな柄物やけど、薄茶の少し厚い生地だ。おしゃれな服に使用されるなような感じやない、作業着とかに使われそうなやつ。これは引き取りにしよう。だいたい冷蔵庫ダンジョン最上階で普通の布が出るとは思えない。父の鑑定待ちや。
エリクサーは全部で5本。どうしよう、前回の25階でも出たし、まだ出てきそうだし。薬師ギルドにドーピング剤をお願いしたし。うーん、よし、今回は全部回そう。
「晃太、槍と肝3つ以外はギルドに」
「ん」
さっ、とリストに書き込む晃太。
さて、と。
「アレス君や」
『ぬっ、なんなのだ?』
アリスにべたべたしていたアレスがこちらを向く。
「雷魔法使える?」
『当然なのだ』
「大きめの、あそこに当てて」
私は耳を抑える。晃太も、ホークさん達も耳を抑える。
『任せろなのだっ、ふんっ』
鼻息一発。
ドガガガガガガンッ
雷がボス部屋の壁に直撃。
凄か音。
もくもくと上がる煙の向こうで、ぽっかりと壁に穴が空いていた。
久しぶりのご褒美部屋や。
2,158
お気に入りに追加
7,882
あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

『完結済』ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!


〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……

自分の家も婚約した相手の家も崩壊の危機だと分かったため自分だけ逃げました
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
ミネルヴァは伯爵家に養女として引き取られていたが、親に虐げられながら育っていた。
侯爵家の息子のレックスと婚約させられているが、レックスの行動を見て侯爵家は本当は危ないのでは?と嫌な予感を抱く。
調べたところレックスの侯爵家は破綻寸前であることがわかった。
そんな人と心中するつもりもないミネルヴァは、婚約解消をしようとするがどうしても許してもらえないため、家と縁を切り自分だけ逃げることにした。

ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。