もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
531 / 850
連載

木材確認③

しおりを挟む
「すみません、到着したばかりなのに」
「構いませんよ」
 私はエドワルドさんとツヴァイクさんに謝罪。
「ホークさんもすみません、ゆっくり休んで欲しいんですけど」
「俺は大丈夫ですから」
 申し訳ない。本当にうちらブラック臭してきた。
 冷蔵庫ダンジョンに向かいながら、話をする。
 エドワルドさん達ラスチャーニエは改修される前の冷蔵庫ダンジョン、最高階に挑んでいる。
「もう。10年ほど前じゃったかな」
 懐かしそうにツヴァイクさんが笑う。
 おそらくその次に最高階に挑んだのは、私達だ。フェリクスさん達蒼の麓は、21階で引き返したそうだ。引き際大事よね。我らには全く縁のない言葉。
「姉ちゃん、何階から行くと?」
「木材の出る25階やね。せっかくやもん、材料手に入れよう」
「そうやな」
 後ろでこそこそとツヴァイクさんがホークさんとおしゃべり。
「当たり前のようにスキップシステム使うようじゃが、いつもこんな感じか?」
「はい。そうです」
「ルーティのダンジョンでも最下層に一気に行ったが、ここでも大丈夫なのか? 冷蔵庫ダンジョンのスキップは他より魔力を消費するはずじゃが」
「アレスさんなら問題ないですよ。ビアンカさんやルージュさんでも人数絞れば最高階まで、行けますから」
 なんせ、厄災クラスですから。
「そうじゃったな。聞いた儂がいかんかったな」
 あはは、みたいな。
 ホークさんとツヴァイクさんの話を聞いていると、お久しぶりの冷蔵庫ダンジョン。顔見知りとなっている警備の人が、さ、と魔法陣のある小屋のドアを空けてくれる。それを見て、エドワルドさんが、えー、と呟く。
『主よ、主よ、早く行くのだ』
「くうっ、くうっ」
「はいはい」
 アレスは鼻先で、オシリスは嘴で私をちょんちょん。分かっとるがな、私達はぞろぞろと小屋に。
「皆さん、明けましておめでとうございます。寒い中お疲れ様です」
 まずはご挨拶。
「テイマー様。明けましておめでとうございます。年明けよりお疲れ様です。我々が心配する事はないでしょうが、お気をつけて」
「ありがとうございます」
『主よ、主よ』
「くうっ、くうっ」
「はいはい」
 バトルジャンキーにせっつかれて、魔法陣の上に。
「アレス、この階よ。分かった? この階やからね」
 私は25階を示す。
『分かっているのだっ』
 私と晃太は疑いの眼差し。
『だ、大丈夫なのだっ』
「分かった。頼むよ」
 全員魔法陣に乗ったね。
 アレスが魔力を流すと、景色が変わった。

「うん、25階やな」
 見慣れたセーフティゾーンに、近くには木製の扉。セーフティにある果物はお持ち帰りやな。ノワールにね。
「ほう、ここが新しい階層か」
 ツヴァイクさんがキョロキョロ。
「はい。ここはのボス部屋で試練の」

 ちゅどどどどどんっ
 ちゅどどどどどんっ
 ちゅどどどどどんっ
 ちゅどんっ、ちゅどんっ、ちゅどんっ。
 ドカーンッ、ドカーンッ、ドカーンッ。

 ………………………………
 一斉に視線がボス部屋に。
『終わったのだっ』
「…………………そうね」
 今、今、ダンジョンに入ったばっかりよ。
「はあ、わい、ドロップ品回収する」
「そうやね。ツヴァイクさん、木材の選別お願いします」
 ぽかん、としていたツヴァイクさん。頭を振り、頷いてくれる。ドロップ品回収にエドワルドさんやホークさん達も参加する。
「回収したら、帰るよ」
 無駄だと思うが、通達。
「くうっ、くうっ、くうっ」
 オシリスが必死にすり寄ってくる。
 多分さっきのアレス単体で突っ込んだんでしょ。当のアレスは水を飲んでる。
「帰らんと、遅くなるし」
「くうっ、くうっ、くううぅっ」
 必死に前肢を交互にだしている。
 そこにアレスが戻ってくる。
『次なのだっ』
「一回って、言ったよね?」
『えーっ』
「くうーっ」
 ブーイングが飛ぶ。
「あのね。アレス、あんたアリスが心配やないと?」
『妻は一週間ほど行って来いと言ったのだっ。それにこの人の巣で、妻に勝てる個体はいないのだっ』
 そうでしょうよ、アーマークイーンウルフなんやから。
 しかし、一週間って、アリスさんや、あんたね。
 すりすり、と来るアレスとオシリス。
 どうせ、一回って言っても、聞かんと思っていたけど、明後日はギルドに行かないといけんから。
 今日はダンジョンにお泊まりやな。
「ユイさん。宝箱出ました」
 エマちゃんが教えてくれる。
 じっとしとって、が、効かんやろうからアレスとオシリスを連れてボス部屋に。
 中ではツヴァイクさんが山積みとなっている木材を厳選している。厳選しているが、ううーん、と悩んでいる。
「姉ちゃん、なんや、今回はドロップ品が」
 晃太が示した先には、木材が。あら、なんや、ツヴァイクさんが見ているのとは色が違う。
「あれはカラーのトレント木材ですよ」
 エドワルドさんが説明してくれる。
「カラー?」
「属性魔法を使う木の魔物から取れる素材で、凄く貴重なんですよ」
「へー」
 イメージが湧かない。魔法を使う木の魔物。魔の森の奥、魔境にしかいないし、この辺りではシーラかクラインのダンジョンで出るそうだ。
「物凄く、珍しいんですよ」
「へー」
 実感が。ドラゴンやら見てるしいまいちピンとこない。
「あの、ユイさん。宝箱には罠はありません」
 と、マデリーンさんが教えてくれる。チェックしてくれたんやね。
『主よ、上に行くのだ』 
「やめて」
 階段に向かって尻尾ぷりぷりのアレス。
 私は定番となっている宝箱オープン。はい、定番ビロードの箱。それから薄紫のポーションが5本。見たことあるー。下級エリクサーやん。
「エドワルドさん。どうぞ」
 覗き込んでいたエドワルドさんに下級エリクサーを差し出すと、へ? みたいな顔。
「それ、エリクサーですよね?」
「多分」
「………………」
 眉間に指を当てるエドワルドさん。
「俺の一存で受け取れませんよ」
 と、お断りされてしまった。
 仕方ない、これは引き取り。
 で、ビロードの箱は、細長いタイプだ。ペンダントかな? ぱかり、と開けると、キラキラッと光る宝石達。赤や、青や、黄色や、緑や、ピンク。真珠もある。サイズもでっかいし、透明感も素人が見ただけやけど、すごいし。
 なんや、いつもに増して豪華やな。閉めよう。タージェルさんに見て貰おう。
「いつも、こんな感じですか?」
「今回はいつもより豪華ですよ」
 この階でエリクサーは初めて。
 多分、ボス部屋の扉、アレスが開けたね。レベル500台のビアンカやルージュが開けた時より、レベル700のアレスが開けたから宝箱も豪華なんやろう。その分、ボス部屋の中も凄かったはず。晃太がアイテムボックスに入れる。
「さて」
 どうしようかな。
 エドワルドさんとツヴァイクさんの取り分。
『主よっ、主よっ』
「くうっ、くうっ」
 ちょっとまってよ。ツヴァイクさんがまだ木材見てるやん。
 そわそわしているアレスとオシリスに、ホークさん達はなんとなく察している。 
「姉ちゃんどうする? あれ」
 晃太がアレスとオシリスを指す。
「それなんやけど」
 木材チェック中のツヴァイクさんは除いて、ミニ会議。
「アレスとオシリスがああなので、またボス部屋に挑みたいのですが。おそらく1泊するかと」
 ホークさん達は異論なし。エドワルドさんも肩をすくめて、了解してくれる。
 それからほどなくしてツヴァイクさんのチェック終了。晃太が作成したリストを確認しながらアイテムボックスに。
「流石ダンジョン産じゃな。どれも品質はいい」
「桶出来ます?」
「もちろん。任せてくれ。ただ、幾つか試作をせんといかんが」
「はい、大丈夫ですよ」
 早速、ルームの中庭で作業する事に。
「姉ちゃん、次はどうする? 上にいく?」
「今回は止めとこ」
 26階に上がってボス部屋まで移動になれば、2時間以上かかる。寒いしね。ここには、他に冒険者さんがいないから、いつもならノワールに乗って、さっさと移動出きるけど、今回ノワールお留守番やし。
「アレス、オシリス、今回は上には行かんよ」
『ぶーなのだっ』
「くうーっ」
 はい、受け付けません。
「一旦休憩しよう」
 私はブーイングのアレスとオシリスを呼び、セーフティゾーンでルームを開けた。
しおりを挟む
感想 667

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

復讐はちゃんとしておりますから、安心してお休みください、陛下

七辻ゆゆ
ファンタジー
「フィオネよ、すまな……かった……」 死の床で陛下はわたくしに謝りました。 「陛下、お気が弱くなっておいでなのですね。今更になって、地獄に落とされるのが恐ろしくおなりかしら?」 でも、謝る必要なんてありません。陛下の死をもって復讐は完成するのですから。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。