526 / 820
連載
一時の⑨
しおりを挟む
「はい、確認しました。合計で6612万5000になります」
ウルススさんが私のサインと魔力の済んだ書類を確認する。うん、色んな物が色々売れた。なんで蛇のお肉、需要があるんやろ? しりたくないけど、ウルススさんが教えてくれた。ルーティダンジョンの最下層に出る蛇の肉は、保存食にするには適しているそうだ。ふーん。私には、異世界への扉があるし、異世界のメニューあるし、晃太のアイテムボックス内には、それこそ大量のお肉がある。私達、水澤家は決して口にしないだろう。その晃太は倉庫だ。途中で通過予定の町への搬送品を受け取ってる。これが結構な数と額らしい。
「1%を鷹の目に」
「はい、承知しました」
手早くウルススさんが手続きしてくれた。
手続きしている中で、建設中の無料教室と給食センターの話を聞く。
「完成は来年の秋頃になります」
ニコニコと報告してくれる。今、アルブレンはこの2つの建設が話題みたいだ。仮の無料教室にも通う子供が少しだけど増えていると。やっぱり、1食が大きいみたい。パンとスープの提供だけど、中にはパンを隠して持ち帰る子がいる。理由は家にお腹を空かせた弟妹達の為に持ち帰る為。皆、それが分かっているから、多少は目をつむるって。優しい子がおるね。スープはどうしようもないから、それは食べているけど、足りないんやないかな。そうや、仮の調理場に、お肉寄付しよう。
「そんな子供が少なくなるように、社会を整えるのが、我等大人の使命ですからね」
ウルススさんがそう締めた。かっこいいなあ。
私は挨拶して、晃太と合流。馬車で待っていた両親とエドワルドさん、ツヴァイクさん、山風の皆さんに寄付の説明をすると、快く承諾してくれた。
仮の調理場は以前聞いていたのでスムーズに到着。ドアをこんこんノックする。
「はい、なんで、しょぉぉぉぉぉっ」
ドアを開けた男性の言葉の最後が悲鳴になる。私の後ろにいたビアンカとルージュにね。あははん、新鮮。いつもは、絶句してからのこそこそっ、だもんね。
「急にお訪ねしてすみません。テイマーのユイ・ミズサワです」
ぺこり。
「はっ、あのっ。わ、わたくゅし、せ、責任者の、ライスュと申します。どの様なご用件で?」
かみかみ、やけど、美味しそうな名前。
「はい。実はダンジョンからお肉をたくさん手にする事が出来まして。僅かですが、子供の給食の足しにでもしていただければと思いまして」
「それはっ、ありがとうございますっ」
あまり時間をかけるわけにもいかないので、晃太が指定されたテーブルにてきぱきお肉を出していく。てきぱき出しながらも、ライスュさんにリクエストがないか聞いてる。私は他のスタッフさん達にもご挨拶。どうもどうも。お忙しい時間にすみません。
晃太が出した例の鎧貫通のウサギの骨は、すぐにスープに投入されている。後は地下にある保存庫に入る分のお肉を寄付することができた。みっしりと保存庫にお肉と骨が詰め込まれる。
「たくさんありがとうございますっ」
「「「ありがとうございますっ」」」
ライスュさんとスタッフさん達に見送られて、私達はアルブレンを出発した。
こちらに来て三度目の年末。
我が家の年末はすき焼きとなっている。
お肉は冷蔵庫ダンジョンの21階のお肉。野菜や玉子、豆腐、白滝、冷凍うどん、お酒もいいかな。
カセットコンロに、大皿に野菜、お肉を盛る。
『油淋鶏がいいのです~』
『エビがいいわ~』
『ピザヲ所望スル』
「我が家の年末はすき焼きよ」
相変わらずやね。イシスさんや、あんた本当にぽちゃぽちゃグリフォンになるばい。そのイシスの後ろからぴょこんとオシリスが顔を出して、訴えの姿勢。
『我は旨い肉ならなんでもいいのだ~』
母よ~、とアレスがきゅるんと訴えてる。左右には元気とコハクもきゅるん。後ろからホルスもぴょこんと、顔を出してる。かわいか。
母が揚げ物をたくさん揚げている。年越しそば用の天麩羅ね。最後の貝柱を使ってのかき揚げがいい匂い。定番のエビ。ルージュの『エビ、エビ、エビ~』の掛け声。牛蒡のかき揚げ、豚のロース、クラーケン、温泉卵、ドラゴンのスジ煮。後はとろろ昆布に、セレクトショップダリアの高級さつまいもも天麩羅になる。
『ばあば~、甘い匂いがする~』
『るり、たべちゃい~』
『くりちゅも~、あまいの~』
三人娘も甘えた声で母におねだり。
「もう、かわいかね~」
と、さつまいもの天麩羅を1枚ずつ。三人娘は熱いので慎重。それをみて三人衆も慎重に。だけど、がっつくメンバー。
『あっついのですーっ』
『熱いわっ』
『熱イナッ』
『熱いのだーっ』
「ぐうーっ」
大人よね? 従魔の部屋で、大人しくしているアリスには、ふーふー、と。
「「「「くぅーんっ」」」」
シルフィ達まで来るけど、ダメよ、まだおっぱいでしょうもんっ。赤ちゃんなのにパワー半端ないっ。もふもふっ。
さつまいもの天麩羅は、無事にアリスがぱくり。
「美味しい?」
「わふんっ」
花の尻尾と比べ物にならない程にデカイ尻尾がパタパタ。お気に召して頂いたようやな。
そうこうしていると、すき焼きパーティーの時間に。しっかり従魔ズにはすき焼き丼にした。ビアンカとルージュの丼には、白滝がましましのましまし。
『美味しいのですっ』
『肉もいいわねっ』
ばれてない。
「テオ君、エマちゃん、皆さん呼んできて」
「「はーい」」
今回、マーファに帰るにあたり、コテージの使用料を頂いている。マーファまで約1ヶ月。朝と昼は自炊。もし、お昼で異世界のメニュー使用時は500頂き、夕御飯はこちらが提供。いつものパターンね。エドワルドさんとツヴァイクさんからは15万。山風からは30万頂いている。これはいずれ寄付に回すことにした。
ルーム内に、すき焼きの薫りが漂う。
カセットコンロの上のは、すぐに食べられるように作ってある。おかわり用のお肉や野菜もろもろオッケー、と。
「ユイさん、皆さんお連れしましたっ」
エマちゃんとテオ君が、皆さんをご案内。
「わあっ、めっちゃいい匂いっ」
「よ、涎出てきたっ」
うん、反応上々。
「うちの年末はすき焼きなんよ。さ、食べ方はね」
簡単にカセットコンロとすき焼きの説明。分からなかったら言ってもらうようにする。だって皆さん食べたそうだもん。
私はチューハイ、両親と晃太、ホークさん、ミゲル君はビール。マデリーンさんは赤ワイン、チュアンさんとテオ君、エマちゃんはお茶。
エドワルドさんとツヴァイクさん、山風成人組はビール。マアデン君とハジェル君はお茶ね。きゅーん、な視線が来るけど、ルーム内では、二十歳未満は未成年です。
「では、今年一年ありがとうございます。来年も色々お願いします」
父の音頭で。
「頂きます」
「「「「「「頂きまーすっ」」」」」」
まずは、21階のお肉。玉子を絡めて、ぱくり。うん、安定の美味しさ。うどんも味が染み込んで美味しい。ちゃんと、ずー、って文化は説明してますからね。
「うまっ。この甘味のあるスープが、野菜に染み込んでっ、あちっ、うまっ」
「かーっ、どれも絶品ーっ」
エドワルドさんとツヴァイクさんはビールグビグビ。
「はあ、本当にユイさん所の食事は美味しいなあ」
「あつっ、酒が進むし、いくらでも入るな」
しみじみとロッシュさんとラーヴさん。フォークが止まらない。
「とても美味しいです」
シュタインさんが、にこっ、と私に言ってくる。あ、いかん、白滝食べよ。
「お前、肉ばっか食うなよっ」
「モグモグ、野菜も食べてるっす」
「器から肉が溢れてるじゃんっ」
仲良し。
何だかんだと、皆さん和気藹々とすき焼きを楽しんだ。アルコールも進む。従魔の部屋から、ジー、と視線が来るけど、無視。
意外と肉の次に人気になったのは冷凍うどんだった。味が染み込んで美味しいからね。私もずー、と。
最後にドラゴンのお肉を出す。
「お一人様、2枚ですよー」
と、お皿に盛って出す。私の両の手のひらサイズだ。
「綺麗な肉ですね」
「そうじゃな。透き通る、赤い宝石のようじゃな」
ドラゴンですもん。綺麗な鰹の刺身のような、透明感のあるお肉。
「年末の特別仕様です」
教えたら食べないかもしれないから、内緒。
「な、何の肉ですか?」
アルコールで真っ赤になってるロッシュさん、なんとなく勘づいた様子だけど。
「もし当てたら、更に2枚追加しますよ~」
って、誤魔化す。
すき焼き鍋で軽く火を通す。鷹の目の皆さんも慣れた手つきで煮ている。
さて、私もぱくり。
あははははーん、上品な甘さー、溶けるー。2枚はせこかったかなあ。すぐに無くなったよ。
「わい、もうちょっと食べたか」
と、こちらも真っ赤な晃太がリクエスト。
「そうやね。もうちょっと出そうかね。お父さんとお母さんは?」
「お父さんももうちょっとかな」
「お母さんはお腹一杯や」
『私も食べたいのですー』
『私もー』
しれっと来たリクエスト。散々すき焼き丼食べたろうに。ちゃんとドラゴンのお肉だって入れてたのよ。
「ビアンカ、ルージュ、年越しそばあるけん、我慢し」
『『ぶー』』
仔達も。
「わふんっ」
「がるうっ」
『『『ぶー』』』
はいはい。かわいかね。
「皆さん、どうします?」
鷹の目の皆さんに確認。遠慮してたけど、おかわりね。来年もお世話になるからね。
「皆さん、分かりました?」
振り返ると、エドワルドさんとツヴァイクさんが、あー、みたいな感じ。分かったかな。反対に、山風は大にぎわいだ。
「う、旨いっ。や、柔らかいっ、旨いっ」
「溶けるみたいだっ、あ、甘味があるっ」
「……………な、無くなった……………」
「美味しいっ、なにこれ、美味しいっ」
「足りないっすーっ」
大興奮。
「ミズサワ殿、まさかと思いますが、ドラゴン、ですか?」
エドワルドさんがおずおずと聞いてくる。同意するようにツヴァイクさんがそっと挙手。大興奮の山風の皆さんが、ピタリと止まる。
「山風の皆さんは?」
ぴしっ、と手を上げたのはハジェル君。
「エドワルドさんと一緒っす」
はい、正解。
「あ、なら俺もっ」
マアデン君はも挙手。
残りの山風ビール組もおずおずと挙手。
「はい。皆さん正解ですよー。お肉ですよー」
「「わーいっ」」
と、素直に喜んだのは未成年2名。
悩む仕草のビール組。だけど、お肉出したら素直に食べてました。
すき焼きは、残ること無く綺麗に捌けました。
ウルススさんが私のサインと魔力の済んだ書類を確認する。うん、色んな物が色々売れた。なんで蛇のお肉、需要があるんやろ? しりたくないけど、ウルススさんが教えてくれた。ルーティダンジョンの最下層に出る蛇の肉は、保存食にするには適しているそうだ。ふーん。私には、異世界への扉があるし、異世界のメニューあるし、晃太のアイテムボックス内には、それこそ大量のお肉がある。私達、水澤家は決して口にしないだろう。その晃太は倉庫だ。途中で通過予定の町への搬送品を受け取ってる。これが結構な数と額らしい。
「1%を鷹の目に」
「はい、承知しました」
手早くウルススさんが手続きしてくれた。
手続きしている中で、建設中の無料教室と給食センターの話を聞く。
「完成は来年の秋頃になります」
ニコニコと報告してくれる。今、アルブレンはこの2つの建設が話題みたいだ。仮の無料教室にも通う子供が少しだけど増えていると。やっぱり、1食が大きいみたい。パンとスープの提供だけど、中にはパンを隠して持ち帰る子がいる。理由は家にお腹を空かせた弟妹達の為に持ち帰る為。皆、それが分かっているから、多少は目をつむるって。優しい子がおるね。スープはどうしようもないから、それは食べているけど、足りないんやないかな。そうや、仮の調理場に、お肉寄付しよう。
「そんな子供が少なくなるように、社会を整えるのが、我等大人の使命ですからね」
ウルススさんがそう締めた。かっこいいなあ。
私は挨拶して、晃太と合流。馬車で待っていた両親とエドワルドさん、ツヴァイクさん、山風の皆さんに寄付の説明をすると、快く承諾してくれた。
仮の調理場は以前聞いていたのでスムーズに到着。ドアをこんこんノックする。
「はい、なんで、しょぉぉぉぉぉっ」
ドアを開けた男性の言葉の最後が悲鳴になる。私の後ろにいたビアンカとルージュにね。あははん、新鮮。いつもは、絶句してからのこそこそっ、だもんね。
「急にお訪ねしてすみません。テイマーのユイ・ミズサワです」
ぺこり。
「はっ、あのっ。わ、わたくゅし、せ、責任者の、ライスュと申します。どの様なご用件で?」
かみかみ、やけど、美味しそうな名前。
「はい。実はダンジョンからお肉をたくさん手にする事が出来まして。僅かですが、子供の給食の足しにでもしていただければと思いまして」
「それはっ、ありがとうございますっ」
あまり時間をかけるわけにもいかないので、晃太が指定されたテーブルにてきぱきお肉を出していく。てきぱき出しながらも、ライスュさんにリクエストがないか聞いてる。私は他のスタッフさん達にもご挨拶。どうもどうも。お忙しい時間にすみません。
晃太が出した例の鎧貫通のウサギの骨は、すぐにスープに投入されている。後は地下にある保存庫に入る分のお肉を寄付することができた。みっしりと保存庫にお肉と骨が詰め込まれる。
「たくさんありがとうございますっ」
「「「ありがとうございますっ」」」
ライスュさんとスタッフさん達に見送られて、私達はアルブレンを出発した。
こちらに来て三度目の年末。
我が家の年末はすき焼きとなっている。
お肉は冷蔵庫ダンジョンの21階のお肉。野菜や玉子、豆腐、白滝、冷凍うどん、お酒もいいかな。
カセットコンロに、大皿に野菜、お肉を盛る。
『油淋鶏がいいのです~』
『エビがいいわ~』
『ピザヲ所望スル』
「我が家の年末はすき焼きよ」
相変わらずやね。イシスさんや、あんた本当にぽちゃぽちゃグリフォンになるばい。そのイシスの後ろからぴょこんとオシリスが顔を出して、訴えの姿勢。
『我は旨い肉ならなんでもいいのだ~』
母よ~、とアレスがきゅるんと訴えてる。左右には元気とコハクもきゅるん。後ろからホルスもぴょこんと、顔を出してる。かわいか。
母が揚げ物をたくさん揚げている。年越しそば用の天麩羅ね。最後の貝柱を使ってのかき揚げがいい匂い。定番のエビ。ルージュの『エビ、エビ、エビ~』の掛け声。牛蒡のかき揚げ、豚のロース、クラーケン、温泉卵、ドラゴンのスジ煮。後はとろろ昆布に、セレクトショップダリアの高級さつまいもも天麩羅になる。
『ばあば~、甘い匂いがする~』
『るり、たべちゃい~』
『くりちゅも~、あまいの~』
三人娘も甘えた声で母におねだり。
「もう、かわいかね~」
と、さつまいもの天麩羅を1枚ずつ。三人娘は熱いので慎重。それをみて三人衆も慎重に。だけど、がっつくメンバー。
『あっついのですーっ』
『熱いわっ』
『熱イナッ』
『熱いのだーっ』
「ぐうーっ」
大人よね? 従魔の部屋で、大人しくしているアリスには、ふーふー、と。
「「「「くぅーんっ」」」」
シルフィ達まで来るけど、ダメよ、まだおっぱいでしょうもんっ。赤ちゃんなのにパワー半端ないっ。もふもふっ。
さつまいもの天麩羅は、無事にアリスがぱくり。
「美味しい?」
「わふんっ」
花の尻尾と比べ物にならない程にデカイ尻尾がパタパタ。お気に召して頂いたようやな。
そうこうしていると、すき焼きパーティーの時間に。しっかり従魔ズにはすき焼き丼にした。ビアンカとルージュの丼には、白滝がましましのましまし。
『美味しいのですっ』
『肉もいいわねっ』
ばれてない。
「テオ君、エマちゃん、皆さん呼んできて」
「「はーい」」
今回、マーファに帰るにあたり、コテージの使用料を頂いている。マーファまで約1ヶ月。朝と昼は自炊。もし、お昼で異世界のメニュー使用時は500頂き、夕御飯はこちらが提供。いつものパターンね。エドワルドさんとツヴァイクさんからは15万。山風からは30万頂いている。これはいずれ寄付に回すことにした。
ルーム内に、すき焼きの薫りが漂う。
カセットコンロの上のは、すぐに食べられるように作ってある。おかわり用のお肉や野菜もろもろオッケー、と。
「ユイさん、皆さんお連れしましたっ」
エマちゃんとテオ君が、皆さんをご案内。
「わあっ、めっちゃいい匂いっ」
「よ、涎出てきたっ」
うん、反応上々。
「うちの年末はすき焼きなんよ。さ、食べ方はね」
簡単にカセットコンロとすき焼きの説明。分からなかったら言ってもらうようにする。だって皆さん食べたそうだもん。
私はチューハイ、両親と晃太、ホークさん、ミゲル君はビール。マデリーンさんは赤ワイン、チュアンさんとテオ君、エマちゃんはお茶。
エドワルドさんとツヴァイクさん、山風成人組はビール。マアデン君とハジェル君はお茶ね。きゅーん、な視線が来るけど、ルーム内では、二十歳未満は未成年です。
「では、今年一年ありがとうございます。来年も色々お願いします」
父の音頭で。
「頂きます」
「「「「「「頂きまーすっ」」」」」」
まずは、21階のお肉。玉子を絡めて、ぱくり。うん、安定の美味しさ。うどんも味が染み込んで美味しい。ちゃんと、ずー、って文化は説明してますからね。
「うまっ。この甘味のあるスープが、野菜に染み込んでっ、あちっ、うまっ」
「かーっ、どれも絶品ーっ」
エドワルドさんとツヴァイクさんはビールグビグビ。
「はあ、本当にユイさん所の食事は美味しいなあ」
「あつっ、酒が進むし、いくらでも入るな」
しみじみとロッシュさんとラーヴさん。フォークが止まらない。
「とても美味しいです」
シュタインさんが、にこっ、と私に言ってくる。あ、いかん、白滝食べよ。
「お前、肉ばっか食うなよっ」
「モグモグ、野菜も食べてるっす」
「器から肉が溢れてるじゃんっ」
仲良し。
何だかんだと、皆さん和気藹々とすき焼きを楽しんだ。アルコールも進む。従魔の部屋から、ジー、と視線が来るけど、無視。
意外と肉の次に人気になったのは冷凍うどんだった。味が染み込んで美味しいからね。私もずー、と。
最後にドラゴンのお肉を出す。
「お一人様、2枚ですよー」
と、お皿に盛って出す。私の両の手のひらサイズだ。
「綺麗な肉ですね」
「そうじゃな。透き通る、赤い宝石のようじゃな」
ドラゴンですもん。綺麗な鰹の刺身のような、透明感のあるお肉。
「年末の特別仕様です」
教えたら食べないかもしれないから、内緒。
「な、何の肉ですか?」
アルコールで真っ赤になってるロッシュさん、なんとなく勘づいた様子だけど。
「もし当てたら、更に2枚追加しますよ~」
って、誤魔化す。
すき焼き鍋で軽く火を通す。鷹の目の皆さんも慣れた手つきで煮ている。
さて、私もぱくり。
あははははーん、上品な甘さー、溶けるー。2枚はせこかったかなあ。すぐに無くなったよ。
「わい、もうちょっと食べたか」
と、こちらも真っ赤な晃太がリクエスト。
「そうやね。もうちょっと出そうかね。お父さんとお母さんは?」
「お父さんももうちょっとかな」
「お母さんはお腹一杯や」
『私も食べたいのですー』
『私もー』
しれっと来たリクエスト。散々すき焼き丼食べたろうに。ちゃんとドラゴンのお肉だって入れてたのよ。
「ビアンカ、ルージュ、年越しそばあるけん、我慢し」
『『ぶー』』
仔達も。
「わふんっ」
「がるうっ」
『『『ぶー』』』
はいはい。かわいかね。
「皆さん、どうします?」
鷹の目の皆さんに確認。遠慮してたけど、おかわりね。来年もお世話になるからね。
「皆さん、分かりました?」
振り返ると、エドワルドさんとツヴァイクさんが、あー、みたいな感じ。分かったかな。反対に、山風は大にぎわいだ。
「う、旨いっ。や、柔らかいっ、旨いっ」
「溶けるみたいだっ、あ、甘味があるっ」
「……………な、無くなった……………」
「美味しいっ、なにこれ、美味しいっ」
「足りないっすーっ」
大興奮。
「ミズサワ殿、まさかと思いますが、ドラゴン、ですか?」
エドワルドさんがおずおずと聞いてくる。同意するようにツヴァイクさんがそっと挙手。大興奮の山風の皆さんが、ピタリと止まる。
「山風の皆さんは?」
ぴしっ、と手を上げたのはハジェル君。
「エドワルドさんと一緒っす」
はい、正解。
「あ、なら俺もっ」
マアデン君はも挙手。
残りの山風ビール組もおずおずと挙手。
「はい。皆さん正解ですよー。お肉ですよー」
「「わーいっ」」
と、素直に喜んだのは未成年2名。
悩む仕草のビール組。だけど、お肉出したら素直に食べてました。
すき焼きは、残ること無く綺麗に捌けました。
1,654
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。