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一時の⑧
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ディッティを無事に出発する。
さっきの会議で、ホークさんが冒険者ギルドが、もし私達が華憐と同じ時期に召喚されたと分かったらどう対応するか、考えてくれた。
「ユイさん達に無体は働かないですよ。もともと今のギルド形態になるようにまとめあげたのが、異世界から来た勇者ですしね。それに今までユイさんがどれだけギルドやユリアレーナに貢献したか。その厄災の聖女と同類と決めつけたりして、責めたりはしないはず」
ほっ。
「まあ、ごちゃごちゃ言う輩は出るでしょうが、抑えるでしょうね。ビアンカさんとルージュさん達を敵に回す度胸はないですよ」
こくこく、と頷く鷹の目の皆さん。
ふふーん、と得意気なビアンカとルージュが視界に入る。
ギルドは味方になってくれそうやな。良かった。やけど、変なトラブルになって、色んな人達に迷惑かからないか心配。
「それくらいのトラブル、処理出来ますよ。それ以上の事を海千山千とこなしているはずですから」
「そうですか」
確かにマーファでも、あの貴族女性4人が私の噂を流した時、ギルドは冷静に対応してくれた。恐らく人海戦術で情報収集して、判断したんやろうけど。きっと私がビアンカやルージュ達を従魔にしているから、下手な事が出来ないから、慎重になってくれたんやね。ありがたい。
更にほっ。
エドワルドさんにはユリアレーナがどう動くか、サエキ様にどう相談するか、だ。いくら王家の皆様が守ってくれると言ってくれても、数で責められたらね。特に高齢なのに、足を引きずってまで社交界に復帰してくれたミッシェル王太后様が、体調崩さないか心配や。
私は馬車内で相談。馭者台には、ホークさんとミゲル君が座っている。
「厄災の聖女、ですか?」
「はい。時空神様からディレナスから逃亡したと。あいつの性格上、私達の話を耳にしたら、絶対嫌な感じに絡んできそうで」
地理的に、直ぐにって訳ではないだろうけど。
「華憐は口が達者と言うか、丸め込むのが上手いと言うか」
特に男性に対してはね。それは女性らしく言い寄っていくらしい。しかも人によって対応を変えるって。見てきた人が、その変わりようにびっくりしたって言ってた。
「ギルドは私達と敵対はしないと思えますが、華憐の口車に乗せられた人達が、敵視しないか心配で。一般の人は、ビアンカやルージュが怖いだろうからあからさまな事はしないでしょうが。その、立場のある人達が、権力振りかざして来たらどうしたらいいか。それにまだ、後見人になってくれたサエキ様にも、私達が異世界から召喚された事を打ち明けてなくてですね」
ふーん、とエドワルドさんは無表情に考えている。
「その口車に乗せられるのは、後先考えない無謀者か、聖女の肩書きに群がるアホか、貴女の活躍をやっかむバカか、従魔欲しさの愚か者ですよ」
エドワルドさんの口からトゲが。
「まあ、確かに、貴女が厄災の聖女と同時期に召喚されたと知られたら、多少トラブルになるかも知れませんが。恐らく、国の中枢部は貴女を敵に回しませんよ。貴女と厄災の聖女を天秤にかけたら、どちらに傾くか分かりきってる。もし、貴女にそれをネタに言い寄ってきたら、曾祖父の名前を出せばいいんですよ」
本当にすごか人なんやね。
「恐らく曾祖父は、貴女と厄災の聖女との関連は掴んでいるはず。滅多に国を空けることがないあの人が、わざわざディレナスに行ったのは、薄々勘づいて探りを入れるためでしょう。まあ、だからといって、貴女からわざわざ厄災の聖女と一緒に召喚されましたと告白する必要はないですよ。あの人なら、ちゃんとした判断をしますよ」
話しながら、エドワルドさん、丁寧に話すなあと思う。結構、ツヴァイクさんとかには、砕けた言い方してるけど。多分、あっちは地だよね。
「ですから、そんなに心配することはないでしょう。首都による時があれば、顔を出すくらいで」
良かった、大丈夫そうやな。
「ありがとうございます」
「いいえ」
いずれシーラに行くから、首都は通過地点にあるから、その時に挨拶くらいでいいかな。いや、お忙しいか、下手したら会えないかもしれないけど。
ぶひひん特急ノワールは順調に進んでいた。
アルブレンに到着。
「お帰りなさい、テイマーさん」
と、お変わりない様子でバラダーさんが出迎えてくれた。お帰りなさい、か、嬉しか。イシス達やアレス達の件は、カルーラから連絡が来ていたので、トラブルにはならなかったけど、ぎょっ、とはされたけどね。
アルブレンでは1泊した。ルーティのダンジョンドロップ品を買取りさせて欲しいと言われたしね。
うう、寒かっ。あと数日で年末や。マーファに帰る途中で年越しだから、母がしっかり準備している。私もこそこそお年玉の準備ね。今年はマアデン君とハジェル君がいるしね。
私室でせっせと袋詰め。なんや、内職してる気分。
色んなお菓子を袋に詰める。
よし、お年玉は準備万端。今日は銀の槌で、注文していたケーキの受け取りして、と。
ふう。
華憐の逃亡には驚かされたけど、今は落ち着いている。
それより、何より。
あと数日で、ビアンカとルージュが仔達を連れて魔境に籠る。
当の仔達には、何も言ってない。
いつもの魔の森の散歩程度と思わせて、連れていくって。
必要な事だと分かっているけど、私は心配でたまらなかった。
さっきの会議で、ホークさんが冒険者ギルドが、もし私達が華憐と同じ時期に召喚されたと分かったらどう対応するか、考えてくれた。
「ユイさん達に無体は働かないですよ。もともと今のギルド形態になるようにまとめあげたのが、異世界から来た勇者ですしね。それに今までユイさんがどれだけギルドやユリアレーナに貢献したか。その厄災の聖女と同類と決めつけたりして、責めたりはしないはず」
ほっ。
「まあ、ごちゃごちゃ言う輩は出るでしょうが、抑えるでしょうね。ビアンカさんとルージュさん達を敵に回す度胸はないですよ」
こくこく、と頷く鷹の目の皆さん。
ふふーん、と得意気なビアンカとルージュが視界に入る。
ギルドは味方になってくれそうやな。良かった。やけど、変なトラブルになって、色んな人達に迷惑かからないか心配。
「それくらいのトラブル、処理出来ますよ。それ以上の事を海千山千とこなしているはずですから」
「そうですか」
確かにマーファでも、あの貴族女性4人が私の噂を流した時、ギルドは冷静に対応してくれた。恐らく人海戦術で情報収集して、判断したんやろうけど。きっと私がビアンカやルージュ達を従魔にしているから、下手な事が出来ないから、慎重になってくれたんやね。ありがたい。
更にほっ。
エドワルドさんにはユリアレーナがどう動くか、サエキ様にどう相談するか、だ。いくら王家の皆様が守ってくれると言ってくれても、数で責められたらね。特に高齢なのに、足を引きずってまで社交界に復帰してくれたミッシェル王太后様が、体調崩さないか心配や。
私は馬車内で相談。馭者台には、ホークさんとミゲル君が座っている。
「厄災の聖女、ですか?」
「はい。時空神様からディレナスから逃亡したと。あいつの性格上、私達の話を耳にしたら、絶対嫌な感じに絡んできそうで」
地理的に、直ぐにって訳ではないだろうけど。
「華憐は口が達者と言うか、丸め込むのが上手いと言うか」
特に男性に対してはね。それは女性らしく言い寄っていくらしい。しかも人によって対応を変えるって。見てきた人が、その変わりようにびっくりしたって言ってた。
「ギルドは私達と敵対はしないと思えますが、華憐の口車に乗せられた人達が、敵視しないか心配で。一般の人は、ビアンカやルージュが怖いだろうからあからさまな事はしないでしょうが。その、立場のある人達が、権力振りかざして来たらどうしたらいいか。それにまだ、後見人になってくれたサエキ様にも、私達が異世界から召喚された事を打ち明けてなくてですね」
ふーん、とエドワルドさんは無表情に考えている。
「その口車に乗せられるのは、後先考えない無謀者か、聖女の肩書きに群がるアホか、貴女の活躍をやっかむバカか、従魔欲しさの愚か者ですよ」
エドワルドさんの口からトゲが。
「まあ、確かに、貴女が厄災の聖女と同時期に召喚されたと知られたら、多少トラブルになるかも知れませんが。恐らく、国の中枢部は貴女を敵に回しませんよ。貴女と厄災の聖女を天秤にかけたら、どちらに傾くか分かりきってる。もし、貴女にそれをネタに言い寄ってきたら、曾祖父の名前を出せばいいんですよ」
本当にすごか人なんやね。
「恐らく曾祖父は、貴女と厄災の聖女との関連は掴んでいるはず。滅多に国を空けることがないあの人が、わざわざディレナスに行ったのは、薄々勘づいて探りを入れるためでしょう。まあ、だからといって、貴女からわざわざ厄災の聖女と一緒に召喚されましたと告白する必要はないですよ。あの人なら、ちゃんとした判断をしますよ」
話しながら、エドワルドさん、丁寧に話すなあと思う。結構、ツヴァイクさんとかには、砕けた言い方してるけど。多分、あっちは地だよね。
「ですから、そんなに心配することはないでしょう。首都による時があれば、顔を出すくらいで」
良かった、大丈夫そうやな。
「ありがとうございます」
「いいえ」
いずれシーラに行くから、首都は通過地点にあるから、その時に挨拶くらいでいいかな。いや、お忙しいか、下手したら会えないかもしれないけど。
ぶひひん特急ノワールは順調に進んでいた。
アルブレンに到着。
「お帰りなさい、テイマーさん」
と、お変わりない様子でバラダーさんが出迎えてくれた。お帰りなさい、か、嬉しか。イシス達やアレス達の件は、カルーラから連絡が来ていたので、トラブルにはならなかったけど、ぎょっ、とはされたけどね。
アルブレンでは1泊した。ルーティのダンジョンドロップ品を買取りさせて欲しいと言われたしね。
うう、寒かっ。あと数日で年末や。マーファに帰る途中で年越しだから、母がしっかり準備している。私もこそこそお年玉の準備ね。今年はマアデン君とハジェル君がいるしね。
私室でせっせと袋詰め。なんや、内職してる気分。
色んなお菓子を袋に詰める。
よし、お年玉は準備万端。今日は銀の槌で、注文していたケーキの受け取りして、と。
ふう。
華憐の逃亡には驚かされたけど、今は落ち着いている。
それより、何より。
あと数日で、ビアンカとルージュが仔達を連れて魔境に籠る。
当の仔達には、何も言ってない。
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必要な事だと分かっているけど、私は心配でたまらなかった。
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