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帰る準備⑬
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私の目の前にいるのは、現状を受け入れきれてない白狼の獣人のアクヴァ君。
まだ、こちらでも庇護下にあるはずの子供なのに、死にたかったと発する程の思いをした。でも、アレスが気がついて、いろんな人達が協力してくれて、ルージュの闇魔法で阻害系の魔法を破壊して。現場で治療に携わってくれた人達、継続してくれた治療院の人達、そして、現在この修道院が受け入れ、ケアの継続をしてくれている。自立出来そうならば、受け入れ先をギルドが探してくれる。そんな環境にいる。
たくさんの人達の力で、現在がある。
それが分かっているのか、分かっていないのか。理解しているか、理解したくないのか。
アクヴァ君は、激変した環境に馴染めず、気持ちも付いていけず、混乱しているんやないかな。
その混乱は現状のきっかけとなる私達にあるって、怒りをぶつけてる。余計な事をして、って思っているんやろう。
ああ、あの時のケルンさんの言葉、ちょっと引っ掛かっていたのは。ケルンさんは「見つかった」と言った。何故、「助かった」と言わなかったのか。それはつまり、アクヴァ君の様に考える子供がいることが分かっていたんや。こんな風に、死にたかったと叫ぶと。救助したとしても、それを受け入れきれない子供がいるって。まだまだ長い時間がかかる問題があるから、安易に「助かった」なんて言わなかったんやないかな。
「なんだよっ、偉そうにっ」
アクヴァ君は叫ぶ。
発散しきれない、理不尽に受けてきた痛み、変わりすぎた環境にたいして、癇癪の様に叫ぶ。
「少なくとも、私は君より立場は偉いやろうね」
私は嫌な役をすることにした。
そうすれば、アクヴァ君だって、燻っていたろう怒りだって爆発させられる。一度膨らませて、弾けさせてあげないと、後々厄介な事になりそうな気がする。この後のことも考える。アクヴァ君の中で怒りの矛先を私に向けて、思っている事を吐き出させる必要がある。そうすれば、現在の状況を振り返るきっかけになる。そうしないと、周りが見えないままだ。その後の事は修道院の皆さんにお任せになってしまうが。
至極全うに感じさせるように放たれた私の言葉に、アクヴァ君は一瞬止まる。
「なんだよっ、なんだよっ、お、女の癖にっ」
うーん、子供やなあ。ボキャブラリーが乏しい。
「なら君は? ああ、男の子やねえ? それ以外、他の人に、自己紹介できるのあるね?」
「はあっ?」
「だから、君は何者かって事よ。なんね? ああ、種族は知っとるからせんでよかよ。なんね? 君は?」
私の問いに、言葉を絞り出そうとして、出てこないアクヴァ君。まさか、最近まで愛玩奴隷にされそうになって捕まってました。なんて言えないわな。
「え、えっ、と…………なんで、そんなこと聞くんだよっ」
「偉そうって言ったのそっちやん。私は君よりも社会的地位はあるよって話よ。なら、聞いた君には何あがるん?」
ぐ、と言葉に詰まるアクヴァ君。
「はぁ」
わざとらしく、私はため息を吐き出す。
「君さ、何がしたいと?」
「何?」
「そう。大声出して、修道院の人達困らせて、何がしたいと?」
私が少し首をかしげて聞いてみる。
小さな声で、何、を繰り返すアクヴァ君。
「何、何って、あ、俺は、俺は、死にたかったんだ。なのに、勝手に助けやがってっ。余計な事っ、しやがってっ」
「だから、私は間違ってないって言っとるやろ?」
「うるさいっ、うるさいっ、勝手に、しやがってっ」
アクヴァ君の叫びは怒りと悲痛さと、やはり混乱が混じっている。
「俺はっ、あんな目に会うくらいならっ、あのままっ、死にたかったんだっ」
最後に吐き出した言葉。吐き出して、アクヴァ君は少しうつむき、肩で息をしている。全部出たかな?
「誰にだってね、曲げられないと思う信念があるとよ」
私は静かに言う。
「それは他から見たら間違っていると受け取られる事はあるやろうね。特にアクヴァ君にはね。でもね、あの時、私はあのまま君をほったらかしに出来んかったんよ」
アクヴァ君はうつ向いたまま、先ほどより小さな声になってる。
「余計な、お世話なんだよ…………」
「アクヴァ君にはね。そうかもしれんね。やけど、君には私に、何これ言えるだけの立場はあるね?」
「う、うるさいっ、うるさいっ、うるさいっ」
「アクヴァ君が怒ってるのは私だけね?」
その言葉に、アクヴァ君は絶句。
いろんな理不尽な怒りの沸き上がる理由は、様々なはず。
自分を誘拐したあの商会、痛みを与えただろう商人達、そして、自分を売った親。なんで自分がこんな目に合うんだという境遇。そして、愛玩奴隷というものを望む、私にしてみたら悪人の見本のような連中。
向こうからしたら、私が悪人なんやろうけど。
綺麗なアクアマリンの目が、動揺している。
「ねえ、アクヴァ君。どうしたいの?」
「……………かんないよ……………そんなの………………分かんない…………………」
やろうね。混乱しているんやね。
「アクヴァ君。今の君は何ができる?」
「何って?」
「読み書き出来るね? 計算出来るね? かけ算引き算出来るね?」
私の視線から逃れるように、目をそらすから、出来ないんやね。
「この街の、社会の仕組みは分かるね? 身分証を持ったらどんな恩恵があるか分かるね? ギルドに所属している職業が何種類あるか知っとる?」
「わ、分かるわけないだろっ」
「なら、勉強し。まずはそれから」
私は淡白に言う。
「勉強して、出来るようになったら、改めて、私の所に文句ば言いにきい」
私の言葉に、意味が分からないと言う顔で見上げるアクヴァ君。
「私はテイマー、ユイ・ミズサワ。Aランク冒険者や。私は逃げも隠れもせん。やから、修道院の皆さんが、外に出てもいいって言って貰えるまで、勉強ばし」
「勉強?」
困惑気味のアクヴァ君。
「そう。世の中ね、力だけで生きていけると思っとる? そんなのおるわけないやん。力は使い方次第では単なる暴力や、犯罪や。それを正しく使わんといけん。それと知識がない事を補えるだけのカリスマ性がなければね、すぐに犯罪者や。生き抜くには最低限の知識が必要や。誰にも騙されないように、搾取されないように、迷惑かけないようにね」
先ほどとは異なり困惑しながらも、思案を始めたアクヴァ君。
「もう一度、よく考えり」
そう言うと、アクヴァ君は小さな声で聞いてくる。
「なんで、助けたんだよ」
「理由? ないよ、そんなの」
「なんで?」
「誰かを助けるのに、私には理由なんていらんと。アクヴァ君が迷惑やと思っているやろうけど。私は、結果として良かったと思っとる」
「なんで? 他人なのに?」
「だから、理由はなかと。強いていえば、アレスが子供達が怯えて泣いてるって、言ったからやね。なら、助けるのが、大人の役割や。私はそう思っとる」
「………………母ちゃんは、俺を売った………………」
ああ、まだ、残ってた。怒りの火種。
「そんなのと、一緒にせんでくれる? 不愉快や」
私は嫌味な役に徹する。
やけど、一緒にして欲しくはない。私には子供はいないけど、愛玩奴隷なんかにするために売ったりする親と一緒にして欲しくない。まあ、ちょっと無責任なのはあるよ。これからアクヴァ君を修道院にお任せするからね。ハッキリ言い放った言葉に、びくり、と震えるアクヴァ君。
「大人にはいろいろある。それはアクヴァ君だって分かっておるやろう? 君にはまだ選択権がある。どんな大人になるか、たくさんの未来があるんよ」
「未来……………」
「そう。だから、たくさん勉強し。そして、おいで」
私は少しだけ、いつもの顔になる。
「私はテイマー、ユイ・ミズサワや。文句言えるだけの立場になれば、いつでもおいで。私は逃げも隠れもせんけん」
私は言葉を切る。
「待っとるからね」
そう言うと、すう、とアクヴァ君の目が、付き物が落ちるように落ち着く。
ああ、少し冷静になれたかな。吐き出せたかな。
「さあ、アクヴァ」
見守ってくれていたシスター・アモルが声をかける。ちら、私を見て、視線を床に落とす。掴まれていた腕を払うと、ドアの向こうに走って行く。牧師さん達が追いかけていく。
「申し訳ありませんミズサワ様」
シスター・アモルが頭を下げる。
「ありがとうございます。あのシスター・アモル、あの子を焚き付ける様な事を言ってしまって」
「いいえ、あの子にはいずれ必要な事ですから。後のフォローをお任せください」
「お願いします」
私はシスター・アモルに見送られて、チュアンさんと修道院を出る。出るとドアの前にビアンカが鎮座している。
『ユイ、騒がしかったようなのですが』
「大丈夫よ、チュアンさんおったしね」
心配してくれたみたいや。
シスター・アモルに挨拶して修道院を後にする。
「チュアンさん」
「はい、ユイさん」
「さっき、黙って見ていてくれてありがとうございます」
「いいえ」
チュアンさんは首を振る。
「あの子の叫びたくなる気持ちは、分からない訳ではないので」
そうやった。チュアンさんも保護されたんやった。亡くなった弟さんを抱えて。
私には想像出来ないような辛い気持ちやったんやろう。
「きっとシスター・アモルがあの子を導いてくれます」
「そうですね」
私達は言葉少なくパーティーハウスに戻る。
明日はホークさんが帰って来る。いよいよマーファに帰る日が迫ってる。
同時に、元気達、仔達がビアンカとルージュと訓練の為に魔境に籠る日が近く。心配でたまらないが、必要な事や。皆を信じるしかない。
パーティーハウスに戻ると、花の歓迎のはみはみを受けながら、母から報告がある。明日、ホークさんと一緒にパーヴェルさんもいらっしゃるようや。ちょうど良かった。あの簡易セーフティゾーンを渡そう。お茶やら、なんやら準備せんとね。
まだ、こちらでも庇護下にあるはずの子供なのに、死にたかったと発する程の思いをした。でも、アレスが気がついて、いろんな人達が協力してくれて、ルージュの闇魔法で阻害系の魔法を破壊して。現場で治療に携わってくれた人達、継続してくれた治療院の人達、そして、現在この修道院が受け入れ、ケアの継続をしてくれている。自立出来そうならば、受け入れ先をギルドが探してくれる。そんな環境にいる。
たくさんの人達の力で、現在がある。
それが分かっているのか、分かっていないのか。理解しているか、理解したくないのか。
アクヴァ君は、激変した環境に馴染めず、気持ちも付いていけず、混乱しているんやないかな。
その混乱は現状のきっかけとなる私達にあるって、怒りをぶつけてる。余計な事をして、って思っているんやろう。
ああ、あの時のケルンさんの言葉、ちょっと引っ掛かっていたのは。ケルンさんは「見つかった」と言った。何故、「助かった」と言わなかったのか。それはつまり、アクヴァ君の様に考える子供がいることが分かっていたんや。こんな風に、死にたかったと叫ぶと。救助したとしても、それを受け入れきれない子供がいるって。まだまだ長い時間がかかる問題があるから、安易に「助かった」なんて言わなかったんやないかな。
「なんだよっ、偉そうにっ」
アクヴァ君は叫ぶ。
発散しきれない、理不尽に受けてきた痛み、変わりすぎた環境にたいして、癇癪の様に叫ぶ。
「少なくとも、私は君より立場は偉いやろうね」
私は嫌な役をすることにした。
そうすれば、アクヴァ君だって、燻っていたろう怒りだって爆発させられる。一度膨らませて、弾けさせてあげないと、後々厄介な事になりそうな気がする。この後のことも考える。アクヴァ君の中で怒りの矛先を私に向けて、思っている事を吐き出させる必要がある。そうすれば、現在の状況を振り返るきっかけになる。そうしないと、周りが見えないままだ。その後の事は修道院の皆さんにお任せになってしまうが。
至極全うに感じさせるように放たれた私の言葉に、アクヴァ君は一瞬止まる。
「なんだよっ、なんだよっ、お、女の癖にっ」
うーん、子供やなあ。ボキャブラリーが乏しい。
「なら君は? ああ、男の子やねえ? それ以外、他の人に、自己紹介できるのあるね?」
「はあっ?」
「だから、君は何者かって事よ。なんね? ああ、種族は知っとるからせんでよかよ。なんね? 君は?」
私の問いに、言葉を絞り出そうとして、出てこないアクヴァ君。まさか、最近まで愛玩奴隷にされそうになって捕まってました。なんて言えないわな。
「え、えっ、と…………なんで、そんなこと聞くんだよっ」
「偉そうって言ったのそっちやん。私は君よりも社会的地位はあるよって話よ。なら、聞いた君には何あがるん?」
ぐ、と言葉に詰まるアクヴァ君。
「はぁ」
わざとらしく、私はため息を吐き出す。
「君さ、何がしたいと?」
「何?」
「そう。大声出して、修道院の人達困らせて、何がしたいと?」
私が少し首をかしげて聞いてみる。
小さな声で、何、を繰り返すアクヴァ君。
「何、何って、あ、俺は、俺は、死にたかったんだ。なのに、勝手に助けやがってっ。余計な事っ、しやがってっ」
「だから、私は間違ってないって言っとるやろ?」
「うるさいっ、うるさいっ、勝手に、しやがってっ」
アクヴァ君の叫びは怒りと悲痛さと、やはり混乱が混じっている。
「俺はっ、あんな目に会うくらいならっ、あのままっ、死にたかったんだっ」
最後に吐き出した言葉。吐き出して、アクヴァ君は少しうつむき、肩で息をしている。全部出たかな?
「誰にだってね、曲げられないと思う信念があるとよ」
私は静かに言う。
「それは他から見たら間違っていると受け取られる事はあるやろうね。特にアクヴァ君にはね。でもね、あの時、私はあのまま君をほったらかしに出来んかったんよ」
アクヴァ君はうつ向いたまま、先ほどより小さな声になってる。
「余計な、お世話なんだよ…………」
「アクヴァ君にはね。そうかもしれんね。やけど、君には私に、何これ言えるだけの立場はあるね?」
「う、うるさいっ、うるさいっ、うるさいっ」
「アクヴァ君が怒ってるのは私だけね?」
その言葉に、アクヴァ君は絶句。
いろんな理不尽な怒りの沸き上がる理由は、様々なはず。
自分を誘拐したあの商会、痛みを与えただろう商人達、そして、自分を売った親。なんで自分がこんな目に合うんだという境遇。そして、愛玩奴隷というものを望む、私にしてみたら悪人の見本のような連中。
向こうからしたら、私が悪人なんやろうけど。
綺麗なアクアマリンの目が、動揺している。
「ねえ、アクヴァ君。どうしたいの?」
「……………かんないよ……………そんなの………………分かんない…………………」
やろうね。混乱しているんやね。
「アクヴァ君。今の君は何ができる?」
「何って?」
「読み書き出来るね? 計算出来るね? かけ算引き算出来るね?」
私の視線から逃れるように、目をそらすから、出来ないんやね。
「この街の、社会の仕組みは分かるね? 身分証を持ったらどんな恩恵があるか分かるね? ギルドに所属している職業が何種類あるか知っとる?」
「わ、分かるわけないだろっ」
「なら、勉強し。まずはそれから」
私は淡白に言う。
「勉強して、出来るようになったら、改めて、私の所に文句ば言いにきい」
私の言葉に、意味が分からないと言う顔で見上げるアクヴァ君。
「私はテイマー、ユイ・ミズサワ。Aランク冒険者や。私は逃げも隠れもせん。やから、修道院の皆さんが、外に出てもいいって言って貰えるまで、勉強ばし」
「勉強?」
困惑気味のアクヴァ君。
「そう。世の中ね、力だけで生きていけると思っとる? そんなのおるわけないやん。力は使い方次第では単なる暴力や、犯罪や。それを正しく使わんといけん。それと知識がない事を補えるだけのカリスマ性がなければね、すぐに犯罪者や。生き抜くには最低限の知識が必要や。誰にも騙されないように、搾取されないように、迷惑かけないようにね」
先ほどとは異なり困惑しながらも、思案を始めたアクヴァ君。
「もう一度、よく考えり」
そう言うと、アクヴァ君は小さな声で聞いてくる。
「なんで、助けたんだよ」
「理由? ないよ、そんなの」
「なんで?」
「誰かを助けるのに、私には理由なんていらんと。アクヴァ君が迷惑やと思っているやろうけど。私は、結果として良かったと思っとる」
「なんで? 他人なのに?」
「だから、理由はなかと。強いていえば、アレスが子供達が怯えて泣いてるって、言ったからやね。なら、助けるのが、大人の役割や。私はそう思っとる」
「………………母ちゃんは、俺を売った………………」
ああ、まだ、残ってた。怒りの火種。
「そんなのと、一緒にせんでくれる? 不愉快や」
私は嫌味な役に徹する。
やけど、一緒にして欲しくはない。私には子供はいないけど、愛玩奴隷なんかにするために売ったりする親と一緒にして欲しくない。まあ、ちょっと無責任なのはあるよ。これからアクヴァ君を修道院にお任せするからね。ハッキリ言い放った言葉に、びくり、と震えるアクヴァ君。
「大人にはいろいろある。それはアクヴァ君だって分かっておるやろう? 君にはまだ選択権がある。どんな大人になるか、たくさんの未来があるんよ」
「未来……………」
「そう。だから、たくさん勉強し。そして、おいで」
私は少しだけ、いつもの顔になる。
「私はテイマー、ユイ・ミズサワや。文句言えるだけの立場になれば、いつでもおいで。私は逃げも隠れもせんけん」
私は言葉を切る。
「待っとるからね」
そう言うと、すう、とアクヴァ君の目が、付き物が落ちるように落ち着く。
ああ、少し冷静になれたかな。吐き出せたかな。
「さあ、アクヴァ」
見守ってくれていたシスター・アモルが声をかける。ちら、私を見て、視線を床に落とす。掴まれていた腕を払うと、ドアの向こうに走って行く。牧師さん達が追いかけていく。
「申し訳ありませんミズサワ様」
シスター・アモルが頭を下げる。
「ありがとうございます。あのシスター・アモル、あの子を焚き付ける様な事を言ってしまって」
「いいえ、あの子にはいずれ必要な事ですから。後のフォローをお任せください」
「お願いします」
私はシスター・アモルに見送られて、チュアンさんと修道院を出る。出るとドアの前にビアンカが鎮座している。
『ユイ、騒がしかったようなのですが』
「大丈夫よ、チュアンさんおったしね」
心配してくれたみたいや。
シスター・アモルに挨拶して修道院を後にする。
「チュアンさん」
「はい、ユイさん」
「さっき、黙って見ていてくれてありがとうございます」
「いいえ」
チュアンさんは首を振る。
「あの子の叫びたくなる気持ちは、分からない訳ではないので」
そうやった。チュアンさんも保護されたんやった。亡くなった弟さんを抱えて。
私には想像出来ないような辛い気持ちやったんやろう。
「きっとシスター・アモルがあの子を導いてくれます」
「そうですね」
私達は言葉少なくパーティーハウスに戻る。
明日はホークさんが帰って来る。いよいよマーファに帰る日が迫ってる。
同時に、元気達、仔達がビアンカとルージュと訓練の為に魔境に籠る日が近く。心配でたまらないが、必要な事や。皆を信じるしかない。
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