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帰る準備⑦

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 続いて蒼の麓。
 改めて、リーダーのフェリクスさんは魔族の一種である竜人の血を引き、ご年齢なんと90超え。見た目三十半ばくらいのアクション俳優さんみたいなイケメンさん。万能型と呼ばれるだけあり、ほとんどの戦闘術があるって。発現系発動系の、土と闇、無属性魔法も使えるし、支援魔法も使える。冒険者としても優秀だけど、指導者としても優秀で、それでSランク冒険者になったって。その場その場で戦闘スタイルを変え、前に出たり、後方支援に回ったりと大忙し。いっつも穏やかな顔だけど、時折鋭い突っ込みをいれてる。主にケルンさんにだけ、だけれどね。やけど、優秀な指導者ってのは納得。ヘルト君とドロテアちゃんに対して熱心に指導してるし、さっきはエマちゃんとテオ君にまで、特殊薬草の採取方法やどういったものに使われるか、分かりやすく説明していた。闘神様と右の魔法神様からのブーストで、エドワルドさんと連日訓練してた。
 で、次はサブ・リーダーのエルフのエリアンさん。中性的美人。金髪碧眼、王子様、みたい。すごく優秀な斥候で、罠解除に関しては、あちこちのギルドから講師依頼が来るんだって。エリアンさんの罠解除は技術によるものが多い。弓と魔法を使うが、ナイフも持ってる。発現系発動系の風、闇、木、無属性魔法を使う。左の魔法神様のブーストで絶好調。
 ドーラさん。ハーフエルフの綺麗なお姉さん。ヒーラー兼魔法使い。武器は基本的に杖。うん、固そうな杖。発現系発動系の水、無属性魔法を使う。闘神様のブーストで、杖振り回していた。何故に魔法職のドーラさんに、闘神様のブースト? って思ったけど、先日大柄なアンドレアスさんを杖で圧倒していた。うん、楽しそうやったなあ。後で聞いたら、単体で無手で模擬戦したら、この女性陣の中では誰も手出し出来ないくらい、元が強いらしい。綺麗なお姉さんなのに、見た目で騙されそう。
 アンドレアスさん。がっちりとした人族さんだけど、ミゲル君の様にドワーフの血が流れているって。ロッシュさんと同じように盾を持ち、剣で戦う。発動系の火、土、無属性魔法を使う。見た目三十過ぎてそうだけど、なんとまだ24歳。元々蒼の麓の見習いだったけど、諸事情があり継続して在籍。こちらはCランク冒険者。
 ヘルト君。人族の見習い剣士。属性魔法はなく、現在無属性魔法の覚醒の為に訓練中。ランクはF。
 ドロテアちゃん。人族の見習い剣士。風魔法があるけど、無属性魔法の覚醒の為に訓練中。ランクはF。
 ヘルト君とドロテアちゃん、フェリクスさんが大好きみたいね。みてるとそんな感じが溢れている。
 さ、ご飯にしようかな。
「皆さん、初日お疲れ様です。夕御飯にしましょう」
「「「「「「はーい」」」」」」

 あっという間に予定日が過ぎた。
「姉ちゃん」
「なんね?」
「ドロップ品がいつもに増しておかしかばい」
「仕方ないやん」
 だってイシスとアレスがボス部屋あけると、ウサギがわんさか出るんやもん。薬になるウサギの角が、3桁。アリスの闇魔法指導で来たので、せっせと皆でちゅどん、ドカン、バキバキ。成功率は7割くらいだ。これ絶対ワインよね? って宝箱、木っ端微塵でさあ大変。ワインが噴き出して皆ワインまみれ。従魔ズは、シャンプー行った。とほほ、数千万とんだ。で、私達は異世界の湯に行った。あー、極楽。
 夕食はこちら管理だけど、一度カレーにして、それ以外は異世界のメニューにした。波音の夜のコースにしたら、皆さんびっくりしてた。ただ、刺身がダメな人もいるため、あらかじめ聞いて注文。
 アルコールも解禁。
「ひゃっほい、エールッ」
 と、ツヴァイさん。
「現在地、分かってますよね?」
 フェリクスさんの突っ込みが早い。
「まぁまぁ、一杯だけ」
 と、私が宥めた。
 天麩羅の出汁を直接飲んだり、わさびをダイレクトに食べたりとハプニングはあったけど、楽しいお食事会になった。固形燃料には、びっくりされていたけどね。
「これがワショクなんですね」
 エドワルドさんがしみじみ言ってた。
「和食と言ってもこれはかなり本格的で、家庭料理となると様変わりしますよ」
 日本は食が豊かだ。よそから来た料理を、日本人好みに工夫して、根付いたものは多い。カレーとか、まさにそうやないかな。
「しかし、どれも味がいいですね」
「確かに、この小さな鍋のスープはすべて飲んでしまいたいです」
 フェリクスさんとエリアンさんは、一人前の鍋に感心している。K産黒毛和牛のしゃぶしゃぶ鍋だ。確かに美味しい。ジー、と。従魔の部屋から恨みがましい視線が来るが、無視。
「このお魚、なんて美味しいのかしら。ソースが絶品だわ」
「ああ、いくらでも入りそうだ」
 さわらの西京焼きをパクパクとドーラさんとアンドレアスさん。
「あ、火が消えたっ」
「ミズサワさんっ、火が消えましたっ」
 釜飯の固形燃料が消えたみたい。楽しみにしていたヘルト君とドロテアちゃんが私を呼ぶ。最初は蓋をよく開けてたので、我慢よー、と教えると我慢してた。
「ちょっと蒸らしてから混ぜるけんね。釜飯熱いから触らんよ」
「「「はーい」」」
 ケルンさんまで加わる。ヒェリさんは我関せずと、椀物のお出汁を堪能している。大きな人やから、お椀が小さく見える。
 釜飯はかしわだった。残ればおにぎりにしたけど、米粒一つ残らなかった。

 最終日。
 ちゅどん、ドカンして、ドロップ品回収。
 宝箱は小さかったけど、なにやら時間がかかってる。
 ぱきり。
『上手よアリス』
「わふんっ」
『ユイ、終わったわ』
「ありがとうルージュ、アリス」
 中身を確認。
 大きな卵の形の石が2つとビロードの箱1つ。
「魔力は?」
『感じるわ』
「姉ちゃん、転移石やないね?」
「やろうね。ビロードの箱は、と」
 ぱかり。
 キラキラ、キラキラ、キラキラ。
 でっかい赤い石。閉めよ。
 転移石は父の鑑定後、あれだったら皆さんに進呈しよう。
「さ、皆さん、お疲れ様でした」
 忘れ物ないかな。元気がちょろちょろしているので、ビアンカが回収。シルフィ達はバギーの中だ。
 脱出用の魔法陣に全員が乗ったのを確認。
『ヨシ、イイナ』
 イシスが魔力を流し、3泊4日のルーティダンジョンツアーは終わった。
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