もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
495 / 850
連載

行動計画②

しおりを挟む
 本日は寒さが身に染みて来たので、温かいシチューだ。冷蔵庫ダンジョンの貝柱、レーヌサーモンをたっぷり使ったシチュー。身体が資本の冒険者の皆さんもいるので、大型の鍋3つに作ってある。後はパンね。こちらはご飯よりパンが主食。どちらにせよシチューはご飯より、パンよね。私のイメージだけど。麦美ちゃんからたくさんのパンをゲットしてある。うん、コーンとマヨネーズのパンが美味しそうや。シチューだけじゃ足りないだろうからと、冷蔵庫ダンジョンの21階のフィレと野菜で、オイスター炒めを作ってくれていた。追加分で麦美ちゃんでエマちゃんとお買い物。たくさんあるから、大皿に乗せて、好きなのを取ってもらおう。
 買い物から帰ってきて、夕御飯の準備を進める。食事に関しては、各パーティーから毎日下拵えのお手伝いメンバーがきてくれている。これ、本当に助かる。
 準備の間、父はじっと窓からヤマタノオロチを見ていたが、流石に日が落ちてしまい、終了している。
「お父さん、どう?」
 やっとこちらに来た父に、イシスとアレスが張り付いている。私も心配だったしね。後ろで鷹の目の皆さんの緊張が走る。
「うん、そうやな。まずは現状の戦力では勝ち目はなか」
 はっきり言う父。ビアンカとルージュが言ってたからね。
「あ、やっぱり」
 サイズ的にもそうやないかなって思ってたけど。
「でも、アルコールには弱か」
「どれくらい?」
 そこそこ、あれだけのサイズのヤマタノオロチにどれだけ呑ませたらいいかって事。
「体質的にはかなりアルコールに対して弱か。ほら、ウイスキーボンボンあるやん」
「あるね」
 あれ、母が大好きで、バレンタインの時に家族チョコであげてた。
「あれで酩酊状態になるくらいやな」
「やけど、サイズ明らかにでかかやん。ウイスキーボンボンいくつ必要になるん?」
 と、晃太。
 確かに、あの小さなウイスキーボンボンで足りるわけない。
 父の説明はこうだ。
「例えばや、優衣の体格でウイスキーボンボン1個で酩酊状態になるとして」
 なんで私やねん。
「ヤマタノオロチと比較対象するのに、ちょうどよか」
 なんや、納得できんのやけど。
「向こうの体重は、約2万トン越え。優衣の約40万倍」
 私の体重バレバレやんっ。きぃーっ。
「ウイスキーボンボンに含まれるアルコールは約2ミリリットル。必要とされる量は約800リットル。今、準備している度数の高い焼酎なら、この半分以下でも十分やな。ただし、向こうはこの量で酩酊状態なるとしても、解毒能力が高いけん、アルコール中毒死するくらいの量が必要やろう、約この3、いや5倍やな」
 と、父が計算して必要な量を弾き出す。
「で、問題はどうやって飲ませるん?」
 花を抱えた晃太が更に肝心な事を聞く。確かに、量は分かっても、飲ませる方法や。
「まあ、妥当な方法としては桶やな。それにアルコールだけよりは、誤魔化す為に、甘いジュースをかなりの量を混ぜた方がよさそうや」
「つまり、カクテルみたいにするって事?」
 ロックや水割りではないのね。比率としてお酒1に対してジュースが9。焼酎で準備するとして、単純計算で2万リットル。
「それに関しては準備する分は問題はなかけど」
 異世界への扉があるから、アルコールやジュースの入手には問題はない。ないけど、それをどうやって飲ませるか、だ。なんとなくだけど、ビニールプールとか駄目かな、なんて思っていたけど。あのサイズみて、あ、無理って直感。絶対牙があるはずだから、突き破るわな。ルーティのダンジョンで出たワインの樽でも使えんかな? 上蓋をこじ開けて、さ。
「あのルーティで出たワイン樽、使えん? 晃太、お父さんに見せて」
「ん」
 晃太がアイテムボックスから250リットルと500リットルのワイン樽を出す。
 じっと、それを眺める父。
「駄目や、強度が足りん。それにヤマタノオロチの口、横のサイズが一番大きいのは7メートルはある。この小さいのなら丸飲みするかもしれんけど」
 使えないことはないか。
「なら、それより大きなサイズの桶が必要?」
「そうやな、1つとかじゃ、足りないやろうから。何個も必要やし」
 頭の中でイメージする。あの小山サイズのヤマタノオロチが首を突っ込む桶。普通の桶なら直ぐに粉砕するやろうなあ。絶対溢れそうやし。運良く250リットルのワイン樽を丸飲みするかどうかなんて、分からないし。ジュースをかなりの量を混ぜないといけないのには、理由があるはず。きっとアルコール特有の匂いを誤魔化すためやろうし。もし、ワイン樽のアルコールの匂いに気がついて、そっぽ向かれたら元も子もない。それに溢れたりするだろうから、必要量以上準備しないと。
 頭を寄せあって考える。ジュースたっぷりのカクテル桶を並べて、間にワイン樽をさりげなく並べてみる。ワイン樽の中身も半分は抜いて、ジュースを入れておこう。それでいけるやろうけど、問題は。
「桶、どうする?」
 アルコールやジュースの入手経路はある。問題は7メートルの口が入る桶。作ってもらうとしても、さてはて、誰に頼むか。作る口実として、仔達の夏のプールって事にして。
「なあ、優衣」
 うーん、と考えていると、父が気まずそうに告げる。
「問題はな、ヤマタノオロチだけやないみたいなんよ」
「え? まだ、あるん?」
 やだ、ヤマタノオロチだけでも手一杯なのに。
「あの王冠山の内部な」
「うん」
 魔境みたいな緑の絨毯が広がっていたけど。
「フィールド型ダンジョンや」
しおりを挟む
感想 670

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~

秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」  妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。  ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。  どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。