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行動計画②
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本日は寒さが身に染みて来たので、温かいシチューだ。冷蔵庫ダンジョンの貝柱、レーヌサーモンをたっぷり使ったシチュー。身体が資本の冒険者の皆さんもいるので、大型の鍋3つに作ってある。後はパンね。こちらはご飯よりパンが主食。どちらにせよシチューはご飯より、パンよね。私のイメージだけど。麦美ちゃんからたくさんのパンをゲットしてある。うん、コーンとマヨネーズのパンが美味しそうや。シチューだけじゃ足りないだろうからと、冷蔵庫ダンジョンの21階のフィレと野菜で、オイスター炒めを作ってくれていた。追加分で麦美ちゃんでエマちゃんとお買い物。たくさんあるから、大皿に乗せて、好きなのを取ってもらおう。
買い物から帰ってきて、夕御飯の準備を進める。食事に関しては、各パーティーから毎日下拵えのお手伝いメンバーがきてくれている。これ、本当に助かる。
準備の間、父はじっと窓からヤマタノオロチを見ていたが、流石に日が落ちてしまい、終了している。
「お父さん、どう?」
やっとこちらに来た父に、イシスとアレスが張り付いている。私も心配だったしね。後ろで鷹の目の皆さんの緊張が走る。
「うん、そうやな。まずは現状の戦力では勝ち目はなか」
はっきり言う父。ビアンカとルージュが言ってたからね。
「あ、やっぱり」
サイズ的にもそうやないかなって思ってたけど。
「でも、アルコールには弱か」
「どれくらい?」
そこそこ、あれだけのサイズのヤマタノオロチにどれだけ呑ませたらいいかって事。
「体質的にはかなりアルコールに対して弱か。ほら、ウイスキーボンボンあるやん」
「あるね」
あれ、母が大好きで、バレンタインの時に家族チョコであげてた。
「あれで酩酊状態になるくらいやな」
「やけど、サイズ明らかにでかかやん。ウイスキーボンボンいくつ必要になるん?」
と、晃太。
確かに、あの小さなウイスキーボンボンで足りるわけない。
父の説明はこうだ。
「例えばや、優衣の体格でウイスキーボンボン1個で酩酊状態になるとして」
なんで私やねん。
「ヤマタノオロチと比較対象するのに、ちょうどよか」
なんや、納得できんのやけど。
「向こうの体重は、約2万トン越え。優衣の約40万倍」
私の体重バレバレやんっ。きぃーっ。
「ウイスキーボンボンに含まれるアルコールは約2ミリリットル。必要とされる量は約800リットル。今、準備している度数の高い焼酎なら、この半分以下でも十分やな。ただし、向こうはこの量で酩酊状態なるとしても、解毒能力が高いけん、アルコール中毒死するくらいの量が必要やろう、約この3、いや5倍やな」
と、父が計算して必要な量を弾き出す。
「で、問題はどうやって飲ませるん?」
花を抱えた晃太が更に肝心な事を聞く。確かに、量は分かっても、飲ませる方法や。
「まあ、妥当な方法としては桶やな。それにアルコールだけよりは、誤魔化す為に、甘いジュースをかなりの量を混ぜた方がよさそうや」
「つまり、カクテルみたいにするって事?」
ロックや水割りではないのね。比率としてお酒1に対してジュースが9。焼酎で準備するとして、単純計算で2万リットル。
「それに関しては準備する分は問題はなかけど」
異世界への扉があるから、アルコールやジュースの入手には問題はない。ないけど、それをどうやって飲ませるか、だ。なんとなくだけど、ビニールプールとか駄目かな、なんて思っていたけど。あのサイズみて、あ、無理って直感。絶対牙があるはずだから、突き破るわな。ルーティのダンジョンで出たワインの樽でも使えんかな? 上蓋をこじ開けて、さ。
「あのルーティで出たワイン樽、使えん? 晃太、お父さんに見せて」
「ん」
晃太がアイテムボックスから250リットルと500リットルのワイン樽を出す。
じっと、それを眺める父。
「駄目や、強度が足りん。それにヤマタノオロチの口、横のサイズが一番大きいのは7メートルはある。この小さいのなら丸飲みするかもしれんけど」
使えないことはないか。
「なら、それより大きなサイズの桶が必要?」
「そうやな、1つとかじゃ、足りないやろうから。何個も必要やし」
頭の中でイメージする。あの小山サイズのヤマタノオロチが首を突っ込む桶。普通の桶なら直ぐに粉砕するやろうなあ。絶対溢れそうやし。運良く250リットルのワイン樽を丸飲みするかどうかなんて、分からないし。ジュースをかなりの量を混ぜないといけないのには、理由があるはず。きっとアルコール特有の匂いを誤魔化すためやろうし。もし、ワイン樽のアルコールの匂いに気がついて、そっぽ向かれたら元も子もない。それに溢れたりするだろうから、必要量以上準備しないと。
頭を寄せあって考える。ジュースたっぷりのカクテル桶を並べて、間にワイン樽をさりげなく並べてみる。ワイン樽の中身も半分は抜いて、ジュースを入れておこう。それでいけるやろうけど、問題は。
「桶、どうする?」
アルコールやジュースの入手経路はある。問題は7メートルの口が入る桶。作ってもらうとしても、さてはて、誰に頼むか。作る口実として、仔達の夏のプールって事にして。
「なあ、優衣」
うーん、と考えていると、父が気まずそうに告げる。
「問題はな、ヤマタノオロチだけやないみたいなんよ」
「え? まだ、あるん?」
やだ、ヤマタノオロチだけでも手一杯なのに。
「あの王冠山の内部な」
「うん」
魔境みたいな緑の絨毯が広がっていたけど。
「フィールド型ダンジョンや」
買い物から帰ってきて、夕御飯の準備を進める。食事に関しては、各パーティーから毎日下拵えのお手伝いメンバーがきてくれている。これ、本当に助かる。
準備の間、父はじっと窓からヤマタノオロチを見ていたが、流石に日が落ちてしまい、終了している。
「お父さん、どう?」
やっとこちらに来た父に、イシスとアレスが張り付いている。私も心配だったしね。後ろで鷹の目の皆さんの緊張が走る。
「うん、そうやな。まずは現状の戦力では勝ち目はなか」
はっきり言う父。ビアンカとルージュが言ってたからね。
「あ、やっぱり」
サイズ的にもそうやないかなって思ってたけど。
「でも、アルコールには弱か」
「どれくらい?」
そこそこ、あれだけのサイズのヤマタノオロチにどれだけ呑ませたらいいかって事。
「体質的にはかなりアルコールに対して弱か。ほら、ウイスキーボンボンあるやん」
「あるね」
あれ、母が大好きで、バレンタインの時に家族チョコであげてた。
「あれで酩酊状態になるくらいやな」
「やけど、サイズ明らかにでかかやん。ウイスキーボンボンいくつ必要になるん?」
と、晃太。
確かに、あの小さなウイスキーボンボンで足りるわけない。
父の説明はこうだ。
「例えばや、優衣の体格でウイスキーボンボン1個で酩酊状態になるとして」
なんで私やねん。
「ヤマタノオロチと比較対象するのに、ちょうどよか」
なんや、納得できんのやけど。
「向こうの体重は、約2万トン越え。優衣の約40万倍」
私の体重バレバレやんっ。きぃーっ。
「ウイスキーボンボンに含まれるアルコールは約2ミリリットル。必要とされる量は約800リットル。今、準備している度数の高い焼酎なら、この半分以下でも十分やな。ただし、向こうはこの量で酩酊状態なるとしても、解毒能力が高いけん、アルコール中毒死するくらいの量が必要やろう、約この3、いや5倍やな」
と、父が計算して必要な量を弾き出す。
「で、問題はどうやって飲ませるん?」
花を抱えた晃太が更に肝心な事を聞く。確かに、量は分かっても、飲ませる方法や。
「まあ、妥当な方法としては桶やな。それにアルコールだけよりは、誤魔化す為に、甘いジュースをかなりの量を混ぜた方がよさそうや」
「つまり、カクテルみたいにするって事?」
ロックや水割りではないのね。比率としてお酒1に対してジュースが9。焼酎で準備するとして、単純計算で2万リットル。
「それに関しては準備する分は問題はなかけど」
異世界への扉があるから、アルコールやジュースの入手には問題はない。ないけど、それをどうやって飲ませるか、だ。なんとなくだけど、ビニールプールとか駄目かな、なんて思っていたけど。あのサイズみて、あ、無理って直感。絶対牙があるはずだから、突き破るわな。ルーティのダンジョンで出たワインの樽でも使えんかな? 上蓋をこじ開けて、さ。
「あのルーティで出たワイン樽、使えん? 晃太、お父さんに見せて」
「ん」
晃太がアイテムボックスから250リットルと500リットルのワイン樽を出す。
じっと、それを眺める父。
「駄目や、強度が足りん。それにヤマタノオロチの口、横のサイズが一番大きいのは7メートルはある。この小さいのなら丸飲みするかもしれんけど」
使えないことはないか。
「なら、それより大きなサイズの桶が必要?」
「そうやな、1つとかじゃ、足りないやろうから。何個も必要やし」
頭の中でイメージする。あの小山サイズのヤマタノオロチが首を突っ込む桶。普通の桶なら直ぐに粉砕するやろうなあ。絶対溢れそうやし。運良く250リットルのワイン樽を丸飲みするかどうかなんて、分からないし。ジュースをかなりの量を混ぜないといけないのには、理由があるはず。きっとアルコール特有の匂いを誤魔化すためやろうし。もし、ワイン樽のアルコールの匂いに気がついて、そっぽ向かれたら元も子もない。それに溢れたりするだろうから、必要量以上準備しないと。
頭を寄せあって考える。ジュースたっぷりのカクテル桶を並べて、間にワイン樽をさりげなく並べてみる。ワイン樽の中身も半分は抜いて、ジュースを入れておこう。それでいけるやろうけど、問題は。
「桶、どうする?」
アルコールやジュースの入手経路はある。問題は7メートルの口が入る桶。作ってもらうとしても、さてはて、誰に頼むか。作る口実として、仔達の夏のプールって事にして。
「なあ、優衣」
うーん、と考えていると、父が気まずそうに告げる。
「問題はな、ヤマタノオロチだけやないみたいなんよ」
「え? まだ、あるん?」
やだ、ヤマタノオロチだけでも手一杯なのに。
「あの王冠山の内部な」
「うん」
魔境みたいな緑の絨毯が広がっていたけど。
「フィールド型ダンジョンや」
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