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ルーティ⑥
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「あ、シュタインさん」
「ユイさん」
仔達の間をすり抜けて来たシュタインさん。ルリとクリスは歓迎のはみはみ。
「「あの」」
あ、被った。
き、気まずい。
「あー、ユイさん。どうぞ」
流石、紳士や。
やけどちらほらとこちらをみてくる。視線の先には私の腕にしっかり掴まったエマちゃん。その後ろでテオ君。そして何故か2人とも、しゃー、みたいな感じ。子猫が威嚇している感じやけど。かわいか。
「エマちゃん、テオ君。いまからシュタインさんに聞くことは、内緒よ」
「ユイさん…………」
な、なんや、エマちゃんの顔に、まさにショックを受けたような表情が。テオ君まで。ど、どうしたんやろ。後で聞くしかない。今はシュタインさんや。
「あのシュタインさん」
「はい、ユイさん」
何やら、嬉しそうなシュタインさん。
「先日ですね。カルーラのパーティーハウスで、各リーダーさん達と集まって、はなしあった時」
ん? と、シュタインさん。
「あの時ですね、どうもロッシュさんの様子がおかしくて。私は気がつかなかったんですけど、ビアンカとルージュが、おかしいって気がついて。ロッシュさん、顔には出さないから、ちょっと気になって。だからと言って、聞いても答えてくれなさそうだし。シュタインさん、何か心当たりはありませんか?」
「あー」
と、顔を押さえるシュタインさん。そっちかー、だって。
エマちゃんとテオ君は、ショック顔からニコニコだ。どうしたんやろ。
「俺から聞いたって内緒にしてくますか?」
ふう、と息をついて、シュタインさんが釘を刺す。
「勿論」
「リーダーの上の子、マシュー君は今度半成人なんです。俺達、本来はそれに合わせてマーファに戻る予定だったんです」
「あ、やっぱり」
そうやないかなって、思っていた。こちらの半成人は、重さが違う。半成人までに無事に成長できる可能性が、現在日本より格段に低いからだ。魔法やポーションが発達し、他の医療知識や技術が乏しいからだろうけど。だから、マーファで行った私の乏しい感染予防策が、家庭内感染とかに、すぐに効果が出たんやと思う。他にも栄養とか要素はあるやろうけど。
それに半成人は一生に一度だ。かわいい息子の晴れ舞台、父親なら、みたいはずや。
「リーダーは、半成人ではなく、こっちを選びました。判断としては、間違ってないと思います。でも、やっぱり引っ掛かってると思います」
やっぱりとかのレベルじゃないと思うけど。絶対半成人に参加したいはず。
一旦マーファに時期を合わせて帰ろう。
「あの、ユイさん」
「あ、はい」
考え込んでいると、おずおずとシュタインさんが告げる。
「もしかして、この為にマーファに帰ろうとか考えてないです?」
「分かります?」
「それはリーダー絶対に、反対しますよ。そういう人ですから」
あ、真面目さんなんやね。分かっていたけど。
「でも、息子さん、マシュー君。ロッシュさんを待っていると思うし、奥さんだって」
一度だけお会いした、ロッシュさんの奥さん。落ち着いた感じの女性だった。
「リーダーの奥さんは、きっとリーダーの判断を理解してくれます。すごく出来た奥さんで、冒険者の妻の鑑だって言われているんです」
「そうかも、知れませんが………………」
でもなあ、無事に半成人を迎えることができるって、大切な気がする。だって、ダイアナちゃんの件を見てるからね。
「うーん、どうしたものか…………」
何とかして、帰る理由を。うーん、うーん、うーん。
「あ、シュタインさん、話は?」
「あ、もういいです、はい」
なんやったんやろ? ビアンカとルージュがデカイ鼻面で迫るように、シュタインさんのすぐ後ろにお座りしているけど。
その後、エマちゃんとテオ君に、しゃー、な理由を聞いたけど、なんでもないよってさ。なんやったんやろ?
次のボス部屋は15階まで、ノワールに騎乗だ。
皮のホークさんに包まれて、具材の私は大人しくする。あー、安心感ー。
ルージュが先頭に立ち、アレスとビアンカ、アリス、仔達にがっちり守られて進む。イシス飛行部隊は上空だ。
歩いたら数日かかるそうだが、まったく関係なし。しかもノワールには灯火の女神様のブーストもあるしね。時折ルージュに、ブヒヒンと訴えている。
3時間程で15階に突入する。
う、ジャングル。しかも生暖かい。
て、ことは、いるよね、あれ。
『ぬっ、いたのだっ。行くぞ甥っ子、姪っ子どもよーっ』
「ギャーッ」
絶対、あれやろうもんっ。
アレスが仔達を引き連れて行く。
『アッチニモ、イルナ。ピザニナッテモラウゾッ』
「ギャーッ」
イシス飛行部隊まで行ってしまう。イシスのピザと交換って、あれやないねーっ。
『後で追い付くのだーッ』
『合流スルッ』
結局。
元気とコハクにぶら下げたマジックバッグを膨らませて帰って来たし、イシス達飛行部隊は、それぞれあれをぶら下げているし。もう勘弁。
「ユイさん」
仔達の間をすり抜けて来たシュタインさん。ルリとクリスは歓迎のはみはみ。
「「あの」」
あ、被った。
き、気まずい。
「あー、ユイさん。どうぞ」
流石、紳士や。
やけどちらほらとこちらをみてくる。視線の先には私の腕にしっかり掴まったエマちゃん。その後ろでテオ君。そして何故か2人とも、しゃー、みたいな感じ。子猫が威嚇している感じやけど。かわいか。
「エマちゃん、テオ君。いまからシュタインさんに聞くことは、内緒よ」
「ユイさん…………」
な、なんや、エマちゃんの顔に、まさにショックを受けたような表情が。テオ君まで。ど、どうしたんやろ。後で聞くしかない。今はシュタインさんや。
「あのシュタインさん」
「はい、ユイさん」
何やら、嬉しそうなシュタインさん。
「先日ですね。カルーラのパーティーハウスで、各リーダーさん達と集まって、はなしあった時」
ん? と、シュタインさん。
「あの時ですね、どうもロッシュさんの様子がおかしくて。私は気がつかなかったんですけど、ビアンカとルージュが、おかしいって気がついて。ロッシュさん、顔には出さないから、ちょっと気になって。だからと言って、聞いても答えてくれなさそうだし。シュタインさん、何か心当たりはありませんか?」
「あー」
と、顔を押さえるシュタインさん。そっちかー、だって。
エマちゃんとテオ君は、ショック顔からニコニコだ。どうしたんやろ。
「俺から聞いたって内緒にしてくますか?」
ふう、と息をついて、シュタインさんが釘を刺す。
「勿論」
「リーダーの上の子、マシュー君は今度半成人なんです。俺達、本来はそれに合わせてマーファに戻る予定だったんです」
「あ、やっぱり」
そうやないかなって、思っていた。こちらの半成人は、重さが違う。半成人までに無事に成長できる可能性が、現在日本より格段に低いからだ。魔法やポーションが発達し、他の医療知識や技術が乏しいからだろうけど。だから、マーファで行った私の乏しい感染予防策が、家庭内感染とかに、すぐに効果が出たんやと思う。他にも栄養とか要素はあるやろうけど。
それに半成人は一生に一度だ。かわいい息子の晴れ舞台、父親なら、みたいはずや。
「リーダーは、半成人ではなく、こっちを選びました。判断としては、間違ってないと思います。でも、やっぱり引っ掛かってると思います」
やっぱりとかのレベルじゃないと思うけど。絶対半成人に参加したいはず。
一旦マーファに時期を合わせて帰ろう。
「あの、ユイさん」
「あ、はい」
考え込んでいると、おずおずとシュタインさんが告げる。
「もしかして、この為にマーファに帰ろうとか考えてないです?」
「分かります?」
「それはリーダー絶対に、反対しますよ。そういう人ですから」
あ、真面目さんなんやね。分かっていたけど。
「でも、息子さん、マシュー君。ロッシュさんを待っていると思うし、奥さんだって」
一度だけお会いした、ロッシュさんの奥さん。落ち着いた感じの女性だった。
「リーダーの奥さんは、きっとリーダーの判断を理解してくれます。すごく出来た奥さんで、冒険者の妻の鑑だって言われているんです」
「そうかも、知れませんが………………」
でもなあ、無事に半成人を迎えることができるって、大切な気がする。だって、ダイアナちゃんの件を見てるからね。
「うーん、どうしたものか…………」
何とかして、帰る理由を。うーん、うーん、うーん。
「あ、シュタインさん、話は?」
「あ、もういいです、はい」
なんやったんやろ? ビアンカとルージュがデカイ鼻面で迫るように、シュタインさんのすぐ後ろにお座りしているけど。
その後、エマちゃんとテオ君に、しゃー、な理由を聞いたけど、なんでもないよってさ。なんやったんやろ?
次のボス部屋は15階まで、ノワールに騎乗だ。
皮のホークさんに包まれて、具材の私は大人しくする。あー、安心感ー。
ルージュが先頭に立ち、アレスとビアンカ、アリス、仔達にがっちり守られて進む。イシス飛行部隊は上空だ。
歩いたら数日かかるそうだが、まったく関係なし。しかもノワールには灯火の女神様のブーストもあるしね。時折ルージュに、ブヒヒンと訴えている。
3時間程で15階に突入する。
う、ジャングル。しかも生暖かい。
て、ことは、いるよね、あれ。
『ぬっ、いたのだっ。行くぞ甥っ子、姪っ子どもよーっ』
「ギャーッ」
絶対、あれやろうもんっ。
アレスが仔達を引き連れて行く。
『アッチニモ、イルナ。ピザニナッテモラウゾッ』
「ギャーッ」
イシス飛行部隊まで行ってしまう。イシスのピザと交換って、あれやないねーっ。
『後で追い付くのだーッ』
『合流スルッ』
結局。
元気とコハクにぶら下げたマジックバッグを膨らませて帰って来たし、イシス達飛行部隊は、それぞれあれをぶら下げているし。もう勘弁。
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