上 下
459 / 820
連載

ルーティ②

しおりを挟む
 次の日、朝早くから私のルームの部屋のドアをバリバリされる。
 まだ、5時過ぎやねん。
 眠か。昨日結局、夕御飯の準備していたら、居やしない、うちのバトルジャンキー達が。開けっ放しのサブ・ドアの向こうから、ちゅどん、どかん。やめて、もう。
 夜は冷えるから、ダンジョン内でも相応に寒い。防寒してからドロップ品を拾った。角は大小あるけど、長いのは50センチくらいある。こんなので勢いよく突かれたら、ファングさんの言うように鎧、貫通するわな。毛皮の大きいのは畳2畳はありそうだった。シルフィ達がおねむの時間になっていたので、母に叱ってもらい。私達は勿体ないから総出で拾った。ファングさんもロッシュさん達も拾って貰ったが、ドロップ品は受け取れないって。なのでウサギのお肉で、母が食事を作ることになった。宝箱も出てきて、中身はその時は現金だ。びっくり2000万。それも受け取れないとファングさんもロッシュさんも言うので、ルーティの孤児院の寄付に回すことにした。
 それからサブ・ドアを閉め、夕御飯を済ませて、私とホークさん、ファングさんとロッシュさんで話し合い。ドロップ品の引き取り割合の最終確認だ。
 晃太の支援を受けての戦闘は、ドロップ品と宝箱の中身はすべてそちら持ち。うちの従魔ズが挑むボス部屋はこちらに。
 コテージ代はすでにそれぞれのパーティーから、10万頂いた。
「テイマーさん、本当に10万でいいのか?」
「はい、構いません。こちらが弟の支援魔法のスキルアップの為に戦闘してもらうんですから」
「ユイさん。俺達が役に立てることあったら言ってください」
「ありがとうございますロッシュさん。恐ろしく出るドロップ品を拾うのを手伝っていただければ」
「それくらいしますよ」
「では、明日、9時にここを出発で」
 で、その場はお開き。さ、寝るかね、と思ったら、ビアンカとルージュがきゅるん、ときた。
『ユイ、ボス部屋行きたいのです』
『行きたいわ』
 きゅるん。
「勘弁して、何時やと? 元気達だって寝てるやん」
『不完全燃焼なのです~』
『目の前に、ボス部屋があるのに~』
 きゅるん、きゅるん、きゅるん。
 飼い主、陥落。
 しれっと、アレスとイシスとオシリスもやって来た。ノワールやアリス達、他は既に寝てる。晃太と、申し訳ないが鷹の目の皆さんに来て貰い、はい、ちゅどん、どかん。イシスが開けて、ビアンカが風乙女(シルフィリア)で、ルージュが火炎姫(フレアジャンヌ)で飛び込む。
 床に大量に転がる笹に包まったお肉や骨、角、毛皮を拾う。宝箱には宝飾品だ、キラキラとしたダイヤモンドのネックレスとイヤリング。買い取りやな。
 で、結局寝たのが、日付が変わりそうな時間だった。
 バリバリ、バリバリ。
「なんやねん~」
 目を擦って、ドアを開けると、ビアンカとルージュがきゅるん、と待機していた。
『『ボス部屋』』
 きゅるん。
「勘弁して。行くなら晃太ば起こして」
『もう、起こしたのです』
『行きましょう』
 ちらりと見ると、あくびをしている晃太が。どうやらアレスに起こされたみたい。
「眠か」
「私もよ」
 起きているのはビアンカとルージュとアレスだけみたいや。
「なあ、どうせ、今日行くやん。それで良くないね?」
『ユイ~、行きたいのです~』
『久しぶりのダンジョンだもの~』
 きゅるん、きゅるん、きゅるん。
 晃太の支援魔法訓練もあるし、そう何回もボス部屋挑めないからと。
 はあ、仕方ないね。
「せめて、顔を洗わせて、着替えさせて」
『ユイ、早く早くなのです』
『ユイ、早く早く』
『主よ、早くなのだ』
 顔を洗って、歯を磨いて、着替えて、と。
 ごそごそしていたら、ホークさんが気が付いたのか、パジャマのままで出てきた。
「どうしました?」
「いや、あの、ボス部屋行きたいみたいで」
「すぐに支度しますからっ」
「あ、ドロップ品拾うだけですよ」
 慌ててホークさんが鷹の目のスペースに取って返す。
『ユイ、行くのです』
『行きましょう』
「はいはい」
 せっつかれて、ホークさんを待たずにボス部屋に。
『我が行くのだ、我が行くのだ』
 アレスがヤル気満々だ。恐ろしか。ビアンカとルージュもあらかじめ決めていたのか、異論なし。
『その代わり、次は私達なのです』
『分かっているわよね』
『大丈夫なのだっ、分かったのだっ』
 ビアンカとルージュの目が、疑いの、眼差しだけど。
『久しぶりに、本気の戦闘モードをするのだ』
 ……………………………………厄災クラスの本気の戦闘モードって。
 いそいそと、ボス部屋の前に。
 お座りの体勢になり、す、と背筋を伸ばす。
 お、引き締まった横顔、かっこいいやん。
『我は魔の森の守護神、フォレスト『ガーディアン』ウルフ』
 アレスの白い毛並みが、ふわふわと靡く。
 うん? 守護神? 確かビアンカは守護者やなかったっけ?
『あれはアレスが使う上位の戦闘モードなのです』
 と、ビアンカが説明してくれる。
『風の戦闘モードでも、最上位よ』
「「へー」」
 私と晃太が、そんな返事しか出来ない。
『風神の名を借りて、我の爪に宿れ魔の力』
 おう、風神って言ったよ。
『我の前に愚かにも立ちはだかる者共に、その力で刃を下し、嵐を起こそうぞ』
 アレスの毛並みに鮮やか緑色のラインが浮かび上がる。
『戦闘モード 牙風神(クロ・テンペスト)』
 クラウチングスタートから、ビアンカが開けたボス部屋に、アレスが弾丸の様に飛び込んでいく。
 ボス部屋のドアが閉まる。

 ズバババババババッ
 ズバババババババッ
 ズバズバッ、ズバズバッ、ズバズバッ
 ズバババババババーッ

 音が、ちょっと違うー。何か、切れてそう。
 程なくして、ドアが開く。
『終わったのだ。ちょっと物足りないのだ』
 疲れた様子の全くないアレス。最上位の戦闘モードよね? 疲れんのかね? 
『妹よ、見たか? 我の勇姿をっ』
『『あー、はいはい』』
 わー、ビアンカとルージュがめんどくさそう。
『主よ、次だ、次』
「恐ろしい事言わんで」
 カートを出して、ボス部屋に入ると、あるある色々ある。鷹の目の皆さんも、合流してドロップ品を拾う。よし、いいかな。出てきた宝箱をルージュがチェック。上級ポーションが10本、中級ポーションが5本、解毒ポーションが10本、魔力回復ポーションが10本。この黒っぽいポーション、あれや、蛇の目玉ポーションやん。5本ある。引き取るかね。後は宝箱の底に現金があった。500万。
 はあ、時間見たら、6:30。予定の起床時間や。
 ルームに戻ると、ダイニングキッチンにはすでに母が作業していた。
「どこいっとったん?」
「リクエスト、ボス部屋」
 朝から疲れた顔に気づいてくれたのか、それ以上言わない。ご飯とじゃがいもと卵の味噌汁、レーヌサーモンの塩焼き、昨日の残りのがめ煮。明太子や海苔、サバフレークや鮭フレーク等も並べる。
 神様にお祈り。本日はセレクトショップダリアの高級デニッシュ食パンセットだ。ピッチャーにオレンジジュースとストレートティーも入れて、と。
 今日もお見守りください。
 朝御飯をしっかり食べて、片付けて、掃除・洗濯。出発までバタバタ。バタバタしていたら、来ました、きゅるんが。私にでなく、母におねだり。
『ねえ、お母さん、お尻のお肉をおとしたいのです』
『ボス部屋で、運動したいわ』
「そうね。優衣、行ってやらんね。掃除はしとくけん」
 そう来たか。もう、仕方なかね。仔達とシルフィ達は再びおねむだ。
 結局、出発ギリギリまで、ちゅどん、どかんしましたよ。出発前に、はあ、疲れてしまった。先が思いやられる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

別に構いませんよ、離縁するので。

杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。 他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。 まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~

大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア 8さいの時、急に現れた義母に義姉。 あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。 侯爵家の娘なのに、使用人扱い。 お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。 義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする…… このままじゃ先の人生詰んでる。 私には 前世では25歳まで生きてた記憶がある! 義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから! 義母達にスカッとざまぁしたり 冒険の旅に出たり 主人公が妖精の愛し子だったり。 竜王の番だったり。 色々な無自覚チート能力発揮します。 竜王様との溺愛は後半第二章からになります。 ※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。 ※後半イチャイチャ多めです♡ ※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。