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一旦は①
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スーパー銭湯から数日。
日中はノワールは快調に進む。
明後日くらいから徒歩予定だ。
皆さんは快適にコテージ生活している。母が日本の調味料を使って、簡単料理指導もしている。ロッシュさん達はカレーにチャレンジして、なんとかなったそうだけど、焦げたみたい。
それから、皆さん仲良く? 戦闘訓練。さすがフル装備のエドワルドさんとフェリクスさんの模擬戦は、凄かったなあ。2人ともいい顔しながら、木刀振り回していたよ。
それから異世界への買い物もアルスさん以外、全員済み。何故かって、ファングさん達が私とアルスさんの二人きりにさせられないって。
エマちゃんも投薬止まったしね。朝の訓練にも参加しているし。スーパー銭湯の露天風呂も、まったり楽しんだ。毎日利用はできない。私達が行くと、必ず仔達が付いてきて大変なんだもん。修理代がね。だけど休憩所で休んでいたら、ヒスイが側でごろにゃん。あんなに小さかったヒスイが、こんなに無事に大きくなって、感慨深い。大きさはルージュにまだ届かないけど、顔立ちはそっくりだ。ふふん、美人さんになって。小さな頃は私の布団に潜り込んで寝て、抱き締めていたけど、今では横になった体勢では腕が回らない。食い千切られた右前肢をそっと触る。かわいか、肉球。視界の中でルリとクリスが、きょとん。ふふん、ルリとクリスはそのまま大きくなったね、かわいい系だね。
特別オプションでコインランドリーを選びたかった。皆さん、洗濯は手洗いしてるからね。だけど、父に見てもらうも、コインランドリーは許容範囲以上みたいでダメだった。自動販売機か移動販売車だったので、移動販売車を選択。なんと初回は高級食パンの移動販売車だった。いい匂いと思ったら、アレスとビアンカとルージュが突撃するので、ひっくり返る寸前となり大騒ぎ。母にしかってもらう。叱ってもらうけど、私は高級食パンを買い占める。
皆さん、興味津々。こちらでもリアカーみたいなのでマルシェで販売しているからね。
「これは向こうの自動で動くリアカーですね」
動くかと思ったけど、ガソリンが入ってないし、鍵もないし。残念。
各パーティーに高級食パンを2斤ずつ渡す。次回から自分達で購入してもらうことに。
『ユイ、いい匂いなのです』
『一口、一口』
『我も我も』
はいはい。
高級食パンを豪快にちぎってあげると、ばくばく。仔達もばくばく。何より気に入ったのはイシス達だ。
『モット所望スル』
「くぅっ」
「クルックルッ」
あっという間つついて食べてる。1斤、400もするんやけど。神様の分と、明日のうちらの朝御飯の分は確保、と。商品がなくなると、いつの間にか、移動販売車はなくなっていた。次の日はお弁当の移動販売車だった。これ、いいかも。日替わりだから、毎回違うので楽しみ。
夕御飯はわいわい焼き肉にした。コテージにはガスのバーベキューコンロがあるからね。私達も中庭でわいわいとバーベキュー。野菜やお肉をたくさんディレックスで買い込んでわいわい。
各パーティーでわいわい。
「かーっ、エドッ、腸詰め焼いてくれっ」
缶ビールを一気飲みしたツヴァイクさんがリクエスト。
「マシュマロ、マシュマロ」
ケルンさんはマシュマロを串に刺して炙って、パクパク。
「エド、肉乗せてくれ、これに」
ヒュリさんは分厚くカットした高級食パンに、焼いたお肉をのせてもらってる。それからディレックスのチーズを乗せて、掌を翳してる。あ、魔法ね、チーズがいいかんじに蕩けている。あれ、いいなあ。
エドワルドさん、ユリアレーナ最強の冒険者なのに、黙ったままバーベキューコンロの前で、せっせと焼いている。
「リーダー、はい、どうぞ」
「これ、うまく焼けたんですっ」
ヘルト君がドロテアちゃんとお肉や野菜を焼いて、せっせと運んでいる。エリアンさんやドーラさん、アンドレアスさんにも色々焼いている。それぞれアルコールを傾けながら、微笑ましい表情だ。途中で交代しながら食べてる。こちらもちょいちょい魔法を駆使している。
「俺、焼く」
「アルスちゃん、危ないから一緒にしましょうね」
「うん」
アルスさんが危なっかしい手つきでトングを使っているので、フリンダさんが優しく見守っている。リィマさんははらはらしながら後ろで待機。
ファングさんとガリストさんはそんな光景を、缶ビールを傾けながら穏やかに見ている。
「もうちょっと乗せるっす」
「無理じゃね」
ハジェル君が隙間なくお肉を並べ、マアデン君がなんとかしようとお肉を寄せている。
そんな2人を心配そうに見ているビール組。
で、私達は。
『ふごーっ、お肉がいいのですーっ』
『ふごーっ、エビーっ』
『我は肉ならなんでもいいのだっ』
『所望スル』
「くぅっくぅっ」
「はいはい、ちょっと待ってね」
元気達もきゅるんきゅるんと来る。散々食べたやろうに。皆総出で焼いた。わいわいと、楽しい。なめ茸大根もお裾分けすると、好評でした。お肉が無限に入るって。ふふん、なめ茸大根は焼き肉の禁断アイテムなんだよん。
缶チューハイ飲みながら、私はヒュリさんの真似をする。薄めにスライスした高級食パンで分厚い豚バラと、レタス、焼いたプチトマト、そしてマデリーンさんにラクレットをとろり、してもらいくるっと巻いて。
ぱくっ。
あ、あつっ。
うわっ、美味しいっ。パンがさすがに高級品。少し甘味があるけど、菓子パンとかの甘味ではない。いくらでも食べれて飽きなさそう。何よりふっくらもちもちした生地は、薄めにスライスしたのに、お肉や野菜やチーズに負けてない。がぶっ、とすると、焼いたプチトマトの熱いこと。だけど美味しい、次はプチトマト多めでもいいかも。
「ユイさん、私もそれ食べたいっ」
「はいはい、ちょっと待ってね。テオ君は? 一緒に作ろうか?」
「は、はいっ」
『私もなのですー』
『ユイ、私もー』
『我もー』
『所望スル』
「くぅっ」
はいはい。
明日お供え予定の神様用高級食パン以外、食べてしまった。
ふう、わいわいバーベキュー楽しかったなあ。
結局、ビアンカとルージュはばくばく食べて、母に肩の肉を摘ままれていた。仔達はコテージの食卓に顔を突っ込もうとしたりとわちゃわちゃしたけどね。アレスはひたすら母にきゅるんとおねだりしていた。イシス達はある程度満腹になったら、早々と寝ていた。
後片付けして、と。
それじゃ、明日と挨拶してそれぞれ引き上げる。
お風呂も入って、さ、明日も早いし寝ましょうかね。寝る前にあまりにも綺麗な月が見えていたので、ちょっと一人で見上げてみた。こちらの月は、一部破損したように抉れている。
あの月に関しては、ホークさんに話を聞いた。神の怒りに触れて、破壊された世界の名残だと。なんや、始祖神様から聞いたなあ。自分が介入して、修復不能までにねじまがってしまった世界と共に滅んだ神様がいたって。あの月がその世界なんかな? こちらに移住してきた人達は、こっちの世界で、安定した生活出来たんかな?
「ユイさん」
どきいっ。
振り返ると、ラフな格好のシュタインさんがいた。もへじ生活のスウェットだ。
「あ、ど、どうされました?」
動揺してしまった。だって、一人やと思ったし、何より、何より。
貴女に好意以上の感情を抱いてます。
マーファの見送りの時、そう、はっきり言われた。今まで、そんな風に言ってくれた人はいなかった私は動揺したし、舞い上がってしまった。落ち着いて考えて吊り橋効果とかなんとか思った。
そして今、私の心にホークさんがいるのは事実だ。
シュタインさんが、私に言ったこと、吊り橋効果とはいえ、あれは嘘やないと思う。悪ふざけで言うような人ではないから。だがら、きちんと話をせんといかん。
あんな風に初めて言われて、舞い上がる程嬉しかったのは事実。最後に思い浮かぶのは、熊に襲われ負傷したシュタインさんの姿だった。
私はシュタインさんと向かい合った。
日中はノワールは快調に進む。
明後日くらいから徒歩予定だ。
皆さんは快適にコテージ生活している。母が日本の調味料を使って、簡単料理指導もしている。ロッシュさん達はカレーにチャレンジして、なんとかなったそうだけど、焦げたみたい。
それから、皆さん仲良く? 戦闘訓練。さすがフル装備のエドワルドさんとフェリクスさんの模擬戦は、凄かったなあ。2人ともいい顔しながら、木刀振り回していたよ。
それから異世界への買い物もアルスさん以外、全員済み。何故かって、ファングさん達が私とアルスさんの二人きりにさせられないって。
エマちゃんも投薬止まったしね。朝の訓練にも参加しているし。スーパー銭湯の露天風呂も、まったり楽しんだ。毎日利用はできない。私達が行くと、必ず仔達が付いてきて大変なんだもん。修理代がね。だけど休憩所で休んでいたら、ヒスイが側でごろにゃん。あんなに小さかったヒスイが、こんなに無事に大きくなって、感慨深い。大きさはルージュにまだ届かないけど、顔立ちはそっくりだ。ふふん、美人さんになって。小さな頃は私の布団に潜り込んで寝て、抱き締めていたけど、今では横になった体勢では腕が回らない。食い千切られた右前肢をそっと触る。かわいか、肉球。視界の中でルリとクリスが、きょとん。ふふん、ルリとクリスはそのまま大きくなったね、かわいい系だね。
特別オプションでコインランドリーを選びたかった。皆さん、洗濯は手洗いしてるからね。だけど、父に見てもらうも、コインランドリーは許容範囲以上みたいでダメだった。自動販売機か移動販売車だったので、移動販売車を選択。なんと初回は高級食パンの移動販売車だった。いい匂いと思ったら、アレスとビアンカとルージュが突撃するので、ひっくり返る寸前となり大騒ぎ。母にしかってもらう。叱ってもらうけど、私は高級食パンを買い占める。
皆さん、興味津々。こちらでもリアカーみたいなのでマルシェで販売しているからね。
「これは向こうの自動で動くリアカーですね」
動くかと思ったけど、ガソリンが入ってないし、鍵もないし。残念。
各パーティーに高級食パンを2斤ずつ渡す。次回から自分達で購入してもらうことに。
『ユイ、いい匂いなのです』
『一口、一口』
『我も我も』
はいはい。
高級食パンを豪快にちぎってあげると、ばくばく。仔達もばくばく。何より気に入ったのはイシス達だ。
『モット所望スル』
「くぅっ」
「クルックルッ」
あっという間つついて食べてる。1斤、400もするんやけど。神様の分と、明日のうちらの朝御飯の分は確保、と。商品がなくなると、いつの間にか、移動販売車はなくなっていた。次の日はお弁当の移動販売車だった。これ、いいかも。日替わりだから、毎回違うので楽しみ。
夕御飯はわいわい焼き肉にした。コテージにはガスのバーベキューコンロがあるからね。私達も中庭でわいわいとバーベキュー。野菜やお肉をたくさんディレックスで買い込んでわいわい。
各パーティーでわいわい。
「かーっ、エドッ、腸詰め焼いてくれっ」
缶ビールを一気飲みしたツヴァイクさんがリクエスト。
「マシュマロ、マシュマロ」
ケルンさんはマシュマロを串に刺して炙って、パクパク。
「エド、肉乗せてくれ、これに」
ヒュリさんは分厚くカットした高級食パンに、焼いたお肉をのせてもらってる。それからディレックスのチーズを乗せて、掌を翳してる。あ、魔法ね、チーズがいいかんじに蕩けている。あれ、いいなあ。
エドワルドさん、ユリアレーナ最強の冒険者なのに、黙ったままバーベキューコンロの前で、せっせと焼いている。
「リーダー、はい、どうぞ」
「これ、うまく焼けたんですっ」
ヘルト君がドロテアちゃんとお肉や野菜を焼いて、せっせと運んでいる。エリアンさんやドーラさん、アンドレアスさんにも色々焼いている。それぞれアルコールを傾けながら、微笑ましい表情だ。途中で交代しながら食べてる。こちらもちょいちょい魔法を駆使している。
「俺、焼く」
「アルスちゃん、危ないから一緒にしましょうね」
「うん」
アルスさんが危なっかしい手つきでトングを使っているので、フリンダさんが優しく見守っている。リィマさんははらはらしながら後ろで待機。
ファングさんとガリストさんはそんな光景を、缶ビールを傾けながら穏やかに見ている。
「もうちょっと乗せるっす」
「無理じゃね」
ハジェル君が隙間なくお肉を並べ、マアデン君がなんとかしようとお肉を寄せている。
そんな2人を心配そうに見ているビール組。
で、私達は。
『ふごーっ、お肉がいいのですーっ』
『ふごーっ、エビーっ』
『我は肉ならなんでもいいのだっ』
『所望スル』
「くぅっくぅっ」
「はいはい、ちょっと待ってね」
元気達もきゅるんきゅるんと来る。散々食べたやろうに。皆総出で焼いた。わいわいと、楽しい。なめ茸大根もお裾分けすると、好評でした。お肉が無限に入るって。ふふん、なめ茸大根は焼き肉の禁断アイテムなんだよん。
缶チューハイ飲みながら、私はヒュリさんの真似をする。薄めにスライスした高級食パンで分厚い豚バラと、レタス、焼いたプチトマト、そしてマデリーンさんにラクレットをとろり、してもらいくるっと巻いて。
ぱくっ。
あ、あつっ。
うわっ、美味しいっ。パンがさすがに高級品。少し甘味があるけど、菓子パンとかの甘味ではない。いくらでも食べれて飽きなさそう。何よりふっくらもちもちした生地は、薄めにスライスしたのに、お肉や野菜やチーズに負けてない。がぶっ、とすると、焼いたプチトマトの熱いこと。だけど美味しい、次はプチトマト多めでもいいかも。
「ユイさん、私もそれ食べたいっ」
「はいはい、ちょっと待ってね。テオ君は? 一緒に作ろうか?」
「は、はいっ」
『私もなのですー』
『ユイ、私もー』
『我もー』
『所望スル』
「くぅっ」
はいはい。
明日お供え予定の神様用高級食パン以外、食べてしまった。
ふう、わいわいバーベキュー楽しかったなあ。
結局、ビアンカとルージュはばくばく食べて、母に肩の肉を摘ままれていた。仔達はコテージの食卓に顔を突っ込もうとしたりとわちゃわちゃしたけどね。アレスはひたすら母にきゅるんとおねだりしていた。イシス達はある程度満腹になったら、早々と寝ていた。
後片付けして、と。
それじゃ、明日と挨拶してそれぞれ引き上げる。
お風呂も入って、さ、明日も早いし寝ましょうかね。寝る前にあまりにも綺麗な月が見えていたので、ちょっと一人で見上げてみた。こちらの月は、一部破損したように抉れている。
あの月に関しては、ホークさんに話を聞いた。神の怒りに触れて、破壊された世界の名残だと。なんや、始祖神様から聞いたなあ。自分が介入して、修復不能までにねじまがってしまった世界と共に滅んだ神様がいたって。あの月がその世界なんかな? こちらに移住してきた人達は、こっちの世界で、安定した生活出来たんかな?
「ユイさん」
どきいっ。
振り返ると、ラフな格好のシュタインさんがいた。もへじ生活のスウェットだ。
「あ、ど、どうされました?」
動揺してしまった。だって、一人やと思ったし、何より、何より。
貴女に好意以上の感情を抱いてます。
マーファの見送りの時、そう、はっきり言われた。今まで、そんな風に言ってくれた人はいなかった私は動揺したし、舞い上がってしまった。落ち着いて考えて吊り橋効果とかなんとか思った。
そして今、私の心にホークさんがいるのは事実だ。
シュタインさんが、私に言ったこと、吊り橋効果とはいえ、あれは嘘やないと思う。悪ふざけで言うような人ではないから。だがら、きちんと話をせんといかん。
あんな風に初めて言われて、舞い上がる程嬉しかったのは事実。最後に思い浮かぶのは、熊に襲われ負傷したシュタインさんの姿だった。
私はシュタインさんと向かい合った。
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