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同郷?⑪

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 で、夕方。
 念願のスーパー銭湯、ひゃっほい。
 しかし、問題がある。戦闘奴隷の鷹の目の皆さんは後だし、エマちゃんがいるしね。エマちゃんはずいぶんいいし、普通にお風呂大丈夫みたいだけど。
 仕方ない。私も後で鷹の目の皆さんと行こう。スーパー銭湯の説明は、晃太と両親にお願いして、と。
「ユイちゃん、一緒に入ろっ」
 アルスさんが混じりっけなしに言ってきて、私は悶絶。いくら、その、アルスさんの精神が幼くてもアウトや。だって、身体は立派な男性やもんっ。
 湯煙の向こうでぼやっ、と浮かぶ。あかん、興奮してきたーっ。
『ユイ、どうしたのです?』
『興奮してるわよ』
「すまないっ、テイマーさんっ」
「あんたって子はーっ」
「アルスちゃん、家族でもない女性とは、一緒にお風呂はダメなのよ」
「そうだぞアルス」
「ぶー」
「「「「ぶー、じゃないっ」」」」
 ファングさん達が、アルスさんを回収。
 私は息を整える。母が呆れた視線を向けるけどさ、だって、10代後半の男の子と、三十路女が一緒にお風呂って。
 捕まる、私が捕まる。あかん、興奮する。はーっ。
 はっ、見られてる。
 こほん。
「皆さん、私、後で入りますので、お先どうぞ」
 と、言うと、皆さん、え? みたいな顔だ。
「え? ユイさん、なんでっすか? じゃない、何でですか?」
「ちょっとね」
 私は誤魔化す。
「ミズサワ殿の奴隷の為ですか?」
 さっき、リスみたいな顔してたケルンさん、鋭いなあ。
「えっと、どうしてそう思われます?」
 私の問いに、ケルンさんは肩をすくませる。
「貴女の戦闘奴隷への待遇を見たら分かりますよ。あの体調を崩した少女の介抱している姿勢みたらね。まあ、貴女の戦闘奴隷ですから、貴女がどう扱うか自由なんですが。貴女を見ていたら、彼らの為に、後で入りそうだなって、そう思えるんです」
 お見事。
「え? そうなんすか? ユイさんらしいっすけど、あ、です」
 ハジェル君、なかなか語尾の修正が出来ないね。
「そうなんやけど、ほら、やっぱり説明せんといかんしね。足ば伸ばして入って、リフレッシュした方がよかろうし」
 私はこちらの奴隷のお風呂ルールとか分からないし、別になんとも思わないが、そうじゃない人もいる。ここは、こちらのルールに従わないと行けないかなって。ホークさんにも聞いたが、やはり皆さんが出た後に、自分達が入るって。
 ちらっと、ケルンさんとフェリクスさんはパーティーメンバーに振り返り、こしょこしょ。
「我々は気にしませんよ」
「私達もです。ここはミズサワ殿の領域なんですから、貴女のルールに従いますよ」
 と。
「テイマーさん、俺らも別に気にしませんよ」
「俺達もです」
 と、ファングさんとロッシュさんまで。皆さんのご好意だけど。
「いえ、ありがたいのですが、我々は奴隷です。後で入ります」
 と、ノワールのブラッシングをしていたホークさんは、真面目に答える。
 だけどすぐに考えを変える。
「ユイちゃん、一緒に入ろっ」
「はうっ」
 キラキラ青い目のアルスさんに迫られて、私は悶絶する。いかんっ、想像してしまうーっ。湯煙の向こうにーっ。
 すぐにファングさんとガリストさんが回収するが、それを見たホークさんの決断が早い。
「ご好意に甘えます」
 そしてすぐにマデリーンさんを呼び、なにやらこしょこしょ。
「いざとなれば」
「任せて、殴り倒すわ」
「風呂に入るだけなのに、物騒やな」
 晃太がこしょこしょしている姿に、呆れた視線を向けた。

 父が帰宅。
 魔境にいって、色々済ませる。ビアンカとルージュ曰く、暖房器具のお陰でずいぶん温度が違うと。でも、夕方になると一気に寒い。特に小さな赤ちゃんウルフ達には注意が必要。ディレックスで購入した、暖めた湯タンポを提供。毎日のルーティーンになってる。赤ちゃんウルフ達の栄養ゼリー、お母さんウルフの食事もいいかな?
 今日は鼻水君もいて、すりすりとビアンカに寄っていく。当然アレスが邪魔して、唸りあい。
『ユイ、今のうちに帰るのです』
「あんたね」
『あっ、待つのだっ、我も行くのだーっ』
『ちっ』
「ビアンカさん、もうちょっと隠さんね」
 私は補佐役のウルフ達におやつを上げて引き上げる。皆、ちゃんと整列して待ってるんやもん。
 さ、スーパースーパー、スーパー銭湯。
 ひゃっほい。
 まずは準備と。ビアンカとルージュ達のご飯も済ませた。仔達はたっぷり走ったからね、すぐにおねむになるかな。お風呂に関しては、食べ物ではないので、ビアンカとルージュは全く興味を示さない。館内は晃太に聞いたら、システムは変わらないようで、お金があれば、タオルやら館内着やら借りれるようや。
 エマちゃんもお熱なし。
「私も入っていいの?」
「よかよ、ただし、短時間ね。しっかり髪ば乾かすよ」
「うん、じゃない、はい」
 念のため、マスクをしてもらう。
 鷹の目のスペースを出て、中庭に出ると、皆さんすでに待機してた。
「体調は?」
 そう、優しく聞いてきたのはフェリクスさん。
「はい、大丈夫です。ご迷惑おかけしました」
 ぺこり、とするエマちゃん、私もね。
 皆さん、いいよ~、と。
「さ、行きますよ」
 バスガイドみたいな感じで誘導。
 皆さん、わいわいと続く。
 うふふふん、うふふふん、楽しみー。
『異世界の湯』と書かれた提灯には、灯りが灯ってる。
 ワクワク。
 中に入ると、まずは靴置き場。
「はい、皆さん、銅貨の準備をー、これは返ってきますよー」
「「「はーい」」」
 人によってはごついブーツの人もいて、2つ使用する。
 うん、ここからでもスーパー銭湯や。受け付けカウンターの向こうには、畳の休憩所。その向こうは食事処と、自動販売機コーナー。そして、赤い暖簾と青い暖簾。あははははん、お風呂。
 まずはお金を人数分お支払い。水澤家と鷹の目の分ね。お支払いはこちら仕様、カウンターに水晶があるので、私のギルドカードでお支払いして、タオルや館内着の入った手提げを受けとる。
 こちらにも公衆浴場があるにはあるが、普通の銭湯タイプ。
「へー」
「広いっすー」
「はいはい、こちらですよー。女性はこちらー」
「こらアルス、お前はこっちだ」
 とことことこちらに来るアルスさんをがっちりファングさんが捕まえる。マデリーンさんが私の前に樫の杖を構えてる。え、武器構えてるよ。おほほ、とな。
「じゃあ、晃太、お父さん、後頼むね」
「ん」
「さ、皆さん、こちらですよー」
 私は再びバスガイド風になる。
 ワクワク、ワクワク、脱衣場に向かう。うん、ロッカーと、椅子、扇風機に体重計。立派な鏡もあり、化粧水や乳液、クレンジング、櫛やコットン、ドライヤーも完備。
「へえ、すごい設備だね」
 リィマさんが並ぶ化粧品に感嘆の声。やっぱり女性だね、フリンダさんもドーラさんも興味津々。
「さ、お風呂入りましょ」
 ワクワク。私はぱっぱっと服を脱ぐ。母もぱっぱっと脱ぐ。手提げの中のタオルは2枚。バスタオルとタオルだ。タオルを持ち、エマちゃんとマデリーンさんを引き連れて、いざ、浴場へ。
 ひゃっほい。
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