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同郷?⑥
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天馬騎士(ペガサスナイト)?
あれよね、ファンタジーなペガサスに跨がった騎士よね? え? ホークさんペガサス乗れるの? いやまて、ペガサス見たことない。
フェリクスさんは、一瞬考える。
「そうですか。ならば、これ以上は言いますまい」
引いてくれた。
「あの、ホークさん」
私は色んな不安が沸き上がり、ホークさんを見上げる。
「ユイさん、黙っていてすみません」
私が半端に出した手を、ホークさんの手がそっと包む。
きっと黙っていなければならない理由があったんやろうけど。
見守っていた面々も、フェリクスさんが引いたことで、それぞれの荷物を抱え直す。
夕御飯まで、それぞれのコテージで休んでもらうことに。見送る際に、ふいにシュタインさんが私を見て、どきり、とする。シュタインさんはロッシュさんに呼ばれてコテージに向かった。
「ユイさん」
皆さんを見送って、ホークさんが私を呼ぶ。
「あ、はい」
「話を聞いてもらえますか?」
「はい、もちろん」
きっと、説明してくれるんやね。
ダイニングキッチンで、エマちゃんを除いた鷹の目の全員と、うちらがいる。
「ユイさん、いままで黙ったままで申し訳ありません」
「いえ、黙ってないといかんかったんでしょ?」
そう言うと、ホークさんは視線を落とす。
「そうですね。兄から誰にも言うなと言い聞かされてましたし。知っているのは、亡くなった両親と兄と先代のリーダーだけです」
ホークさんが静かに話し出す。
「理由は俺がジューバの血を引いていたからです。それと時期が悪かった」
ジューバ。馬の王国と呼ばれた草原の国。
今から30年以上前に、隣国の侵略を受けて滅ぼされてしまった国。目的は魔法馬を育成する大地と、その飼育技術だ。思えば、なんて非効率なやり方。ジューバにお願いして、技術員さんを呼び寄せたら良かったのに。そう簡単な事ではないだろうが、色々譲渡や条件とかつけたら良かったのに。
攻めいって来たワーズビードの当時の国王や国のトップ達は過激な考えだったようだ。ジューバにいきなり宣戦布告して、一方的に侵略。町や村を焼き払い侵略。多くの民が犠牲になった。だが、ジューバだって黙っていない。この大陸では珍しいペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)を何十頭も有していた騎士団は、総力を上げて抵抗。ノワールみたいな戦車馬(チャリオット・ホース)が何十頭って、怖か。すべては民を逃がす為だ。そして、ジューバにある各ギルドが手を尽くし、ディレナスに逃げ延びた。
ワーズビードの物量戦術に、ジューバの騎士団は破れてしまった。だけど、ワーズビードだって無傷ですむわけない。本来の目的である、魔法馬を生育する大地は破壊、魔法馬の上位種であるペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)はほとんど死亡。僅かに生け捕りにしたが、世話をするワーズビードの飼育員に襲いかかり、餌を食べず、衰弱死を選んだ。そして、ジューバの抵抗が激しかったのと、ワーズビードにあったギルドが戦争をしかけた王国の国王や国のトップ達に対して、ストライキを起こした。それによりとんでもないことになり、国の機能が一気に低下。
「それでも、国王や国のトップ達はしばらくその座を譲らず、ディレナスに逃げ延びた馬の飼育員の拉致を始めたのです」
うわあ。
本来の目的であるペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)が手に入らないのであれば、産ませればいい、そんな考えだ。
もちろんディレナスに難民として受けていたので、当然、ディレナスも激しい抗議をした。再びキナ臭い感じになりかけた。実際にぶつからなかったのは、それぞれの政務官や大使達が駆け回ったからだ。
「それでも水面下で拉致は続きました。特に狙われたのは『称号』持ちです」
馬に関した称号はいくつかある。ズバリ、一番多いのが『馬の飼育員』、そして『魔法馬騎士』『(属性)魔法馬騎士』『戦車馬騎士(チャリオット・ホースナイト)』、一番数が少ないのはホークさんの『天馬騎士(ペガサスナイト)』、そして『スレイプル騎士(ナイト)』。共通するのは、騎乗能力が高い事、馬との高いコミュニケーション能力がある事。馬に関した飼育員として、抜群の才能がある事。だから、ホークさん、うちのノワールに乗れるし、レディ・ロストークのお世話出来たんかな。いや、ホークさんが努力を続けたからやね。怠ると称号は消失するから。
馬の王国と呼ばれたジューバは、他の国に比べて魔法馬が生まれ、そして称号持ちが生まれた。戦車馬(チャリオット・ホース)とかの上位種に関しては、ジューバでしか生まれなかった。
「俺は難民キャンプで生まれた後、直ぐに家族でディレナスの国営牧場に移りました。そこで『称号』持ちだと、分かったんです」
ふう、と息をつくホークさん。
「5歳になる前に、たった一頭残った戦車馬(チャリオット・ホース)に乗ってましたから」
そりゃ、ばれません?
「俺は町の教会でなく、ギルドで審査を受けて『天馬騎士(ペガサスナイト)』の称号持ちだとはっきりしました」
それは個人情報の管理が、ギルドの方が厳重なことがある。当時、ワーズビードにより拉致が横行していた時期だったから。
ホークさんは先天的な称号持ちだと分かった。
拉致を恐れて、ホークさんは両親とお兄さん、ジューバから一緒に逃げてきた他の飼育員さん達に守られて成長。
それが変わったのは、戦争が終わり8年後。
ワーズビードでクーデターが起こる。
国王や国のトップ達がそのまま、その場にしがみついて、それらが一斉に引き下ろされた。
クーデターのトップに立ったのは、国王の妹だったそうだ。
「先代のエルファイナ女王です。彼女は、元国王。つまり兄王のやり方に異を唱えて監禁されていた王子達を救い、兄王達を粛清。彼らが王座に付くまで、国力回復に勤めました」
それから、ワーズビードは国交を再開。直ぐに、ではなかったが、ディレナスとも今はいい関係。
「ディレナスはいいかもしれませんが、我々ジューバの民にしては故郷を破壊した、侵略者です」
それはそうだよね。ホークさんは他の飼育員さん達の憤りを間近で見ていたし。
ホークさんの両親とお兄さんは、警戒心を決して解くことなかった。
「両親が亡くなり、牧場を出た後も兄は俺に決して話すなと言い続けました。先代リーダーもそうでした。女王の尽力とはいえ、俺が新人時代はまだ不安定な情勢でしたから。それでチュアン達にも言えず。皆、すまん」
ホークさんが申し訳なさそうな顔だけど、チュアンさんとマデリーンさんは肩をすくめる。
「いや、勘づいていた。お前が何かしらの『称号』持ちだと」
「あれだけの騎乗能力に、飼育能力だもの。分かるわよ」
長い付き合いだもんね。
「それでもさすがに『天馬騎士(ペガサスナイト)』とは、おもわなかったがな」
「そうね」
チュアンさんとマデリーンさんは気にしてない。ミゲル君も薄々分かっていたみたいだけど、テオ君はちょっと、むー、みたいな顔。
「でも、良かったんですか? 今回の件でばれましたよね?」
今まで黙っていたのは、ワーズビードを警戒していたからだよね。
「もう、ワーズビードも今は落ち着いてますし、ここは離れています。それに、あれだけノワールに乗っていますから、分かる人にしたら分かりますよ。おそらくマーファの商人ギルドのタージェルさんにはばれてますし、パーヴェル様にもばれてます」
「あ、だから、パーヴェルさんはホークさんを引き入れたかったんですね」
なるほど。
「俺はいまユイさんの戦闘奴隷ですから、手は出せませんよ」
「そうなんですね」
奴隷って、あまり好きな響きやないけど、それでホークさんが守れるのなら、いいかな? 今回の件で、何処かしらにばれても、主人の私が手離さなければ、ホークさんの安全確保される。
「それで、ユイさん」
「はい」
「俺ならオシリスに乗れる可能性があります」
「はい」
なんせ、天馬騎士(ペガサスナイト)ですからね。空飛ぶ馬に乗れるって事よね。称号のおかげで、騎乗能力が高いけど、そこにはホークさんの努力があったからだ。確かに、私をオシリスに縛り付けるより、ホークさんに乗ってもらうのが、確実性かな。私は餃子の具材や。
「ただ、絶対に必要なものがあります」
「はい」
「鞍と手綱です」
「ノワールのみたいな?」
「そうです。ノワールに俺1人で乗るなら、鞍は必要ないのですが、オシリスに乗るなら必要です。簡易なもので、軽量化したものが。それと訓練期間です」
「分かりました。カルーラのギルドに相談してみましょう。期間に関しては、お任せしますが、いつヤマタノオロチが這い出してくるか分からないので、神様に聞いてみましょう。もしかしたら、短期決戦の可能性がありますよ」
「はい」
とにかく、一旦、カルーラに帰らんとね。
やることリストにアップされた。
「でも、本当に大丈夫なんですよね?」
晃太が膝の花を抱え直す。
「オシリスはグリフォンやし、称号あんまり関係ないような気がするんですよ」
私もちょっと疑問は感じていた。
「確かにそう思われると思います。ただ、俺の称号は飛行可能な魔物に乗れる可能性を示唆してます。つまり、ワイバーンでも可能なんですよ。もちろんそれの性格もありますが。本当なら、ノワールがペガサスなら一番いいのですが。それに短期間ですが、オシリスを世話して直感してました」
「直感?」
「オシリスになら乗れるって。上手く言えませんが、そう感じたんです」
それはホークさんの称号が感じさせたのかな?
「イシスは?」
晃太が更に聞く。
「あ、無理です。絶対無理です」
即答ー。
「個人差? ですか?」
「そうですね」
晃太はそれでも心配そうだ。だけど、現状最も最良な手やと、思う。それに私がオシリスに縛り付けるより、ホークさんに手綱を持ってもらった方が断然安全や。ホークさんだって、自信なければ、乗れる可能性があるなんて、言わないやろうし。
神様が言ってたのはこれかな。私に手段があるって。ホークさんは私の戦闘奴隷やし、オシリスとは従魔契約しているしね。
よし。
「私はホークさんを信じます。お願いしますホークさん」
くだぐだ考えたって仕方なか。ホークさんにおんぶにだっこや。
「お任せください」
頼もしい。ほれぼれ。頬っぺた、温かくなる。
あれよね、ファンタジーなペガサスに跨がった騎士よね? え? ホークさんペガサス乗れるの? いやまて、ペガサス見たことない。
フェリクスさんは、一瞬考える。
「そうですか。ならば、これ以上は言いますまい」
引いてくれた。
「あの、ホークさん」
私は色んな不安が沸き上がり、ホークさんを見上げる。
「ユイさん、黙っていてすみません」
私が半端に出した手を、ホークさんの手がそっと包む。
きっと黙っていなければならない理由があったんやろうけど。
見守っていた面々も、フェリクスさんが引いたことで、それぞれの荷物を抱え直す。
夕御飯まで、それぞれのコテージで休んでもらうことに。見送る際に、ふいにシュタインさんが私を見て、どきり、とする。シュタインさんはロッシュさんに呼ばれてコテージに向かった。
「ユイさん」
皆さんを見送って、ホークさんが私を呼ぶ。
「あ、はい」
「話を聞いてもらえますか?」
「はい、もちろん」
きっと、説明してくれるんやね。
ダイニングキッチンで、エマちゃんを除いた鷹の目の全員と、うちらがいる。
「ユイさん、いままで黙ったままで申し訳ありません」
「いえ、黙ってないといかんかったんでしょ?」
そう言うと、ホークさんは視線を落とす。
「そうですね。兄から誰にも言うなと言い聞かされてましたし。知っているのは、亡くなった両親と兄と先代のリーダーだけです」
ホークさんが静かに話し出す。
「理由は俺がジューバの血を引いていたからです。それと時期が悪かった」
ジューバ。馬の王国と呼ばれた草原の国。
今から30年以上前に、隣国の侵略を受けて滅ぼされてしまった国。目的は魔法馬を育成する大地と、その飼育技術だ。思えば、なんて非効率なやり方。ジューバにお願いして、技術員さんを呼び寄せたら良かったのに。そう簡単な事ではないだろうが、色々譲渡や条件とかつけたら良かったのに。
攻めいって来たワーズビードの当時の国王や国のトップ達は過激な考えだったようだ。ジューバにいきなり宣戦布告して、一方的に侵略。町や村を焼き払い侵略。多くの民が犠牲になった。だが、ジューバだって黙っていない。この大陸では珍しいペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)を何十頭も有していた騎士団は、総力を上げて抵抗。ノワールみたいな戦車馬(チャリオット・ホース)が何十頭って、怖か。すべては民を逃がす為だ。そして、ジューバにある各ギルドが手を尽くし、ディレナスに逃げ延びた。
ワーズビードの物量戦術に、ジューバの騎士団は破れてしまった。だけど、ワーズビードだって無傷ですむわけない。本来の目的である、魔法馬を生育する大地は破壊、魔法馬の上位種であるペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)はほとんど死亡。僅かに生け捕りにしたが、世話をするワーズビードの飼育員に襲いかかり、餌を食べず、衰弱死を選んだ。そして、ジューバの抵抗が激しかったのと、ワーズビードにあったギルドが戦争をしかけた王国の国王や国のトップ達に対して、ストライキを起こした。それによりとんでもないことになり、国の機能が一気に低下。
「それでも、国王や国のトップ達はしばらくその座を譲らず、ディレナスに逃げ延びた馬の飼育員の拉致を始めたのです」
うわあ。
本来の目的であるペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)が手に入らないのであれば、産ませればいい、そんな考えだ。
もちろんディレナスに難民として受けていたので、当然、ディレナスも激しい抗議をした。再びキナ臭い感じになりかけた。実際にぶつからなかったのは、それぞれの政務官や大使達が駆け回ったからだ。
「それでも水面下で拉致は続きました。特に狙われたのは『称号』持ちです」
馬に関した称号はいくつかある。ズバリ、一番多いのが『馬の飼育員』、そして『魔法馬騎士』『(属性)魔法馬騎士』『戦車馬騎士(チャリオット・ホースナイト)』、一番数が少ないのはホークさんの『天馬騎士(ペガサスナイト)』、そして『スレイプル騎士(ナイト)』。共通するのは、騎乗能力が高い事、馬との高いコミュニケーション能力がある事。馬に関した飼育員として、抜群の才能がある事。だから、ホークさん、うちのノワールに乗れるし、レディ・ロストークのお世話出来たんかな。いや、ホークさんが努力を続けたからやね。怠ると称号は消失するから。
馬の王国と呼ばれたジューバは、他の国に比べて魔法馬が生まれ、そして称号持ちが生まれた。戦車馬(チャリオット・ホース)とかの上位種に関しては、ジューバでしか生まれなかった。
「俺は難民キャンプで生まれた後、直ぐに家族でディレナスの国営牧場に移りました。そこで『称号』持ちだと、分かったんです」
ふう、と息をつくホークさん。
「5歳になる前に、たった一頭残った戦車馬(チャリオット・ホース)に乗ってましたから」
そりゃ、ばれません?
「俺は町の教会でなく、ギルドで審査を受けて『天馬騎士(ペガサスナイト)』の称号持ちだとはっきりしました」
それは個人情報の管理が、ギルドの方が厳重なことがある。当時、ワーズビードにより拉致が横行していた時期だったから。
ホークさんは先天的な称号持ちだと分かった。
拉致を恐れて、ホークさんは両親とお兄さん、ジューバから一緒に逃げてきた他の飼育員さん達に守られて成長。
それが変わったのは、戦争が終わり8年後。
ワーズビードでクーデターが起こる。
国王や国のトップ達がそのまま、その場にしがみついて、それらが一斉に引き下ろされた。
クーデターのトップに立ったのは、国王の妹だったそうだ。
「先代のエルファイナ女王です。彼女は、元国王。つまり兄王のやり方に異を唱えて監禁されていた王子達を救い、兄王達を粛清。彼らが王座に付くまで、国力回復に勤めました」
それから、ワーズビードは国交を再開。直ぐに、ではなかったが、ディレナスとも今はいい関係。
「ディレナスはいいかもしれませんが、我々ジューバの民にしては故郷を破壊した、侵略者です」
それはそうだよね。ホークさんは他の飼育員さん達の憤りを間近で見ていたし。
ホークさんの両親とお兄さんは、警戒心を決して解くことなかった。
「両親が亡くなり、牧場を出た後も兄は俺に決して話すなと言い続けました。先代リーダーもそうでした。女王の尽力とはいえ、俺が新人時代はまだ不安定な情勢でしたから。それでチュアン達にも言えず。皆、すまん」
ホークさんが申し訳なさそうな顔だけど、チュアンさんとマデリーンさんは肩をすくめる。
「いや、勘づいていた。お前が何かしらの『称号』持ちだと」
「あれだけの騎乗能力に、飼育能力だもの。分かるわよ」
長い付き合いだもんね。
「それでもさすがに『天馬騎士(ペガサスナイト)』とは、おもわなかったがな」
「そうね」
チュアンさんとマデリーンさんは気にしてない。ミゲル君も薄々分かっていたみたいだけど、テオ君はちょっと、むー、みたいな顔。
「でも、良かったんですか? 今回の件でばれましたよね?」
今まで黙っていたのは、ワーズビードを警戒していたからだよね。
「もう、ワーズビードも今は落ち着いてますし、ここは離れています。それに、あれだけノワールに乗っていますから、分かる人にしたら分かりますよ。おそらくマーファの商人ギルドのタージェルさんにはばれてますし、パーヴェル様にもばれてます」
「あ、だから、パーヴェルさんはホークさんを引き入れたかったんですね」
なるほど。
「俺はいまユイさんの戦闘奴隷ですから、手は出せませんよ」
「そうなんですね」
奴隷って、あまり好きな響きやないけど、それでホークさんが守れるのなら、いいかな? 今回の件で、何処かしらにばれても、主人の私が手離さなければ、ホークさんの安全確保される。
「それで、ユイさん」
「はい」
「俺ならオシリスに乗れる可能性があります」
「はい」
なんせ、天馬騎士(ペガサスナイト)ですからね。空飛ぶ馬に乗れるって事よね。称号のおかげで、騎乗能力が高いけど、そこにはホークさんの努力があったからだ。確かに、私をオシリスに縛り付けるより、ホークさんに乗ってもらうのが、確実性かな。私は餃子の具材や。
「ただ、絶対に必要なものがあります」
「はい」
「鞍と手綱です」
「ノワールのみたいな?」
「そうです。ノワールに俺1人で乗るなら、鞍は必要ないのですが、オシリスに乗るなら必要です。簡易なもので、軽量化したものが。それと訓練期間です」
「分かりました。カルーラのギルドに相談してみましょう。期間に関しては、お任せしますが、いつヤマタノオロチが這い出してくるか分からないので、神様に聞いてみましょう。もしかしたら、短期決戦の可能性がありますよ」
「はい」
とにかく、一旦、カルーラに帰らんとね。
やることリストにアップされた。
「でも、本当に大丈夫なんですよね?」
晃太が膝の花を抱え直す。
「オシリスはグリフォンやし、称号あんまり関係ないような気がするんですよ」
私もちょっと疑問は感じていた。
「確かにそう思われると思います。ただ、俺の称号は飛行可能な魔物に乗れる可能性を示唆してます。つまり、ワイバーンでも可能なんですよ。もちろんそれの性格もありますが。本当なら、ノワールがペガサスなら一番いいのですが。それに短期間ですが、オシリスを世話して直感してました」
「直感?」
「オシリスになら乗れるって。上手く言えませんが、そう感じたんです」
それはホークさんの称号が感じさせたのかな?
「イシスは?」
晃太が更に聞く。
「あ、無理です。絶対無理です」
即答ー。
「個人差? ですか?」
「そうですね」
晃太はそれでも心配そうだ。だけど、現状最も最良な手やと、思う。それに私がオシリスに縛り付けるより、ホークさんに手綱を持ってもらった方が断然安全や。ホークさんだって、自信なければ、乗れる可能性があるなんて、言わないやろうし。
神様が言ってたのはこれかな。私に手段があるって。ホークさんは私の戦闘奴隷やし、オシリスとは従魔契約しているしね。
よし。
「私はホークさんを信じます。お願いしますホークさん」
くだぐだ考えたって仕方なか。ホークさんにおんぶにだっこや。
「お任せください」
頼もしい。ほれぼれ。頬っぺた、温かくなる。
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