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帰宅しましょう③

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 ダイニングキッチンの境目にお座りする面々。ビアンカ、ルージュ、イシス、オシリス、お兄さんだ。ホルスとお母さんウルフ、赤ちゃん達は従魔の部屋だ。赤ちゃんウルフに興味津々の元気だが、何故かルリとクリスとヒスイが、バリケードの様に立ちはだかる。100キロ越えてパワーもある元気が近づくと色々危ないと思ったのかね。お姉ちゃんになって。く、嬉しかっ。コハクは遠巻きに見ている。
 さ、手土産もばっちり。さくら庵の和三盆ロールケーキ、抹茶のロールケーキ、季節限定マンゴーのロールケーキ、人数分のプリンと。よし、オッケー。
 鷹の目の皆さんも準備万端。チュアンさん、もう、白目剥いてる。
「神様、新しい従魔になりました面々です」
 お祈り。
「久しぶりじゃな、お嬢さん」
 振り返ると、いらっしゃいました始祖神様。
 イシスが床に顔が着くまで伏せ、お兄さんもちらちらと両サイドを固めたビアンカとルージュを見ながらも、伏せている。
「はい。始祖神様、こちらが新しい従魔としてうちの一員となったイシス、オシリス、ビアンカとルージュのお兄さんです。後、従魔の部屋にイシスとオシリスの子供ホルス。お兄さんの奥さんと赤ちゃん達がいます」
「ふむ。戦力強化、上手くいったようじゃな」
 始祖神様が穏やかに微笑む。
「さて、エンペラーグリフォンよ」
『ハイ』
「お前さんは種族の中でも、最強クラスに属しておろう。お嬢さん達、人は、脆い。よく、自身の力をわきまえよ」
 いま、ちらっ、と怖い言葉が。
 深く殊勝な表情で頷くイシス。
『ハイ、神ヨ』
「お前さんは格段に賢いからこれは確認じゃ。お嬢さんの力になっておくれ」
『神ノ御心ノママニ』
「その伴侶よ、そちも、よく心がけよ」
「クゥッ」
 うむ、と満足気味な始祖神様。
「で、問題が」
 視線の先にはお兄さん。お言葉頂けると知ったのか、尻尾バタバタしてる。多分、花の何倍もぶっとい尻尾をバタバタ。
「リルの娘達よ、苦労をかけるな」
 ビアンカとルージュの顔に、ありありと言葉が浮かぶ。
 お兄さんに、魔境に残るように、説得して、と。
 だが、始祖神様の表情は、すまん、だ。
 がっくり、と項垂れるビアンカとルージュ。
「さて、リルの息子よ」
 バタバタ、尻尾バタバタッ。
「主人の許しなしに、勝手にどこかに行ってはならんぞ」
 バタバタ。
「人の街中では、主人の許しなしに、勝手に食べ物を食べてはならんぞ」
 バタバタ。
「無闇に人に牙を剥くでないぞ。キズつけてはならんぞ」
 …………………………さっき、私がお兄さんに説明した内容とほぼ一緒。神様に心配されてるよ、この子。
「良いな?」
『………………、あ、神の御心のままにっ』
 イシスの真似かな?
 尻尾、バタバタバタバタ、忙しない。
 分かっているのかな? 本当に。
 ふう、とため息をつく始祖神様。だが、その顔には、こいつ大丈夫か? と物語っている。
「さて、お嬢さん」
 こちらに振り返る始祖神様。お言葉、終わりかな。
「はい」
「一つ、儂から頼みたい事があるのだが」
「何でしょうか?」
 始祖神様からのお願いって、初めてやない?
「こちらに」
「はい」
 始祖神様はダイニングテーブルに、手を翳す。すると、いつか見た、近未来テクノロジーの様な地図が浮かぶ。この辺りみたいや。
「現在地点は、ここ」
 ふむふむ。多分そうかな。私、地図、読めんもん。
「で、この山」
 始祖神様が示したのは、水滴が水面に落ちた時に出きるような形をした山。
「この山周囲を回って貰えんかな?」
「周囲を? 山ではなく?」
「そう、周囲だけで構わん。直ぐにと言うわけではない。エンペラーグリフォンと合流した後で構わないのじゃが。もし、何かしらの異常を感じたら、儂を呼んでおくれ。異常はおそらく、従魔達にしか分からんだろう。だが、何もなければ、それまでじゃ」
 なんでだろ? でも、深く聞いたらいけない気がする。
「分かりました」
「すまんなお嬢さん。詳しい事情も話せんまま」
「いえいえ」
 きっと、深い事情があるんやろう。神様やもん、話したらいけないこと、たくさんあるはず。
 始祖神様は再び、すまんな、と繰り返す。
「お嬢さん、心配ないかと思うが、気をつけてカルーラに戻りなさい」
「はい、始祖神様」
 お帰りだ。私は手土産をお渡し。
「いつもすまんな」
「いいえ、神様達にはお世話になっています。特にこの『ルーム』がなければ、私達の生活は成り立ちませんから。どうぞ、受け取ってください」
「ありがとう、お嬢さん」
 お土産を持ち、始祖神様はお帰りに。

 てってれってー
【始祖神 降臨確認 ボーナスポイント20000追加されます】

 ポイントポイント。
 さ、やりますか。
「チュアン、しっかりしろーっ」
 ホークさんが、チュアンさんに軽く平手打ち。無事に戻ってきました。
『本当ニ神ヨリオ言葉ヲ頂ケルトハ』
「クゥッ」
『うむ、我も声をかけて頂いたぞ。だが、流石神、手足がでなかったぞっ』
『お前の場合は注意なのです』
『分かっているのかしら』
 やや興奮気味のイシス、オシリス、お兄さん。
「さあ、皆よか? そろそろ決めるよ」
『何をなのです?』
「名前たい、お兄さん達の」

『我も神の名がよいぞっ、さ、壮大な名にせよっ。わーはっはっはーっ』
 はいはい。
 あれから名前についての会議が始まる。で、上記の様な訴えあり。
 私達は色んな名前を提出。ギリシャ神話、北欧神話、日本神話にインド神話に、エジプト神話に。
『うむっ、一番最初だなっ』
 早く言ってよ。散々出し尽くしてからだもん。
「なら、アレスで」
『よいぞっ、わーはっはっはーっ。妹達よっ、これからは『アレスお兄様』とっ』
『『ああぁぁぁっ』』
 うひゃー、ビアンカとルージュの顔、顔。歪みすぎっ。や、のつく商売の人みたいっ。流石のお兄さんも、えっ、みたいな顔。いかんやろ、流石にその顔は。
「こら、ビアンカ、ルージュ。お兄さんにそんな顔せんと」
「きゅうーんっ、きゅうーんっ」
『ユ、ユイ…………』
『だってぇ……………』
 お兄さん、アレスがお腹を出して服従の姿勢。シャンプーしたから綺麗や。たまらず、もふーん。ビアンカとルージュは、ユイ、騙されないでっ、と繰り返す。
『マッタク、騒ガシイ』
 イシスが呆れたように呟く。
 で、お母さんウルフは、本人は神様の名前はどうも受け付けないようで、可愛らしい名前を出す。気に入ってくれた名前となる。
「じゃあ、アリスね」
「わふんっ」
 決定。
 で、赤ちゃん達の名前で揉めに揉めた。何せ、4匹いますからね。色々出すぎて、春夏秋冬でよかやん、という話しにもなったが、ここはファンタジーの世界。私の案が通りました。よしよし。もふもふ。
 第1子、フォレストガーディアンウルフ、雌。透き通るような緑の目。シルフィとなる。
 第2子、アーマーナイトウルフ、雄。ルージュのような赤い目を持つ。イフリィ。
 第3子、アーマーナイトウルフ、雄。コハクよりやや濃いめの茶色の目。ノーム。
 第4子、アーマーナイトウルフ、雌。ルリより薄い水色の目。ウインディ。
 一時、ファンタジーな話にはまっていたから、出てきた名前だ。一部もじりました。アレスもアリスもオッドアイなのに、仔達は全員対の色。仔達でもはっきり種族が違う。向こうで言うとミックス犬、いやウルフだけど。ビアンカ曰く、目は全く同じになるとは限らないそうだ。種族にしても、どちらかの種族に寄り、ミックスにはならない。母個体の種族になることが多い傾向はある。上位ウルフはそんなものだと。
 名前も無事に決まったし、さ、帰ろうかね。
 あ、ホークさんに特別ボーナス出さんと。
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