もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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確保と依頼⑦

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 販売に再び加わり、販売員に扮する。
 ぼちぼち売れていく。ちらり見ると、と目玉の藍色のワンピースは、まだ残っている。数人のご婦人が気にされているが、肌色に合わなかったり、お値段で断念していた。別の服を買っていってくれた。
 私が戻ってすぐに、ざわざわとなる。
 なんやろ、と覗くと、セザール様とフェリアレーナ様が腕を組んで笑顔で歩いている。相変わらず、綺麗やなあ、フェリアレーナ様。後ろにはメイドさん達が付いている。あ、たしか、マーニさんだった。リティアさんの姪さん。
 セザール様は頭を下げている皆さんに、気楽にと声をかけている。私もミゲル君と頭を下げている。
「ミズサワ殿、今年もご出店されていたんですね」
 セザール様がお声をかけてくれる。あははん、ばれた。
「はい、母の手掛けた服を」
 フェリアレーナ様が美しい笑みを浮かべてお辞儀。本当にお美しいー。テント内で、晃太が綺麗な人やー、と呟いている。慌てて私もお辞儀。
「フェリア、ミズサワ殿の母上の服は、姉上や母上がとても気に入っているんだ」
「まあ、そうなんですの? 拝見したいですわ」
「ゆっくり見るといいさ」
 わあ、去年は美魔女イザベラ様がいらっしゃってくれたけど。今年は傾国の美女フェリアレーナ様が。
 パーカーさん達が、慌ててお辞儀している。メイドさん達とテント内に入るフェリアレーナ様、そして。
「まあ、素敵」
 目玉の藍色ワンピースが目に留まったようだ。
 製作者の母が説明している。晃太が綺麗な人やー、と繰り返している。試着にはメイドさん達がいい顔しないが、わが最強の警備員が顔を出すと納得してくれた。マーニさんと試着室に入っていく。その間に私はセザール様とお話する。
「ミズサワ殿、大活躍のようですね」
「ビアンカとルージュが優秀なだけですから」
 最近聞いていなかったけど、治験が順調のようで、良かった。
 それからノワールの話になる。ビアンカとルージュの後ろにいるが、それでもやはり、色々目立つノワール。たまにマーファ周辺を爆走しているのが、周辺を見回りしている騎士の皆さんに目撃されている。
「騎士団の魔法馬では、もう太刀打ちできないようですね」
「オホホ」
 もう魔法馬じゃないしね。Aランクのアイアンゴーレムも一撃だしね。オホホ。
 話していると、フェリアレーナ様の試着が終了。
「旦那様、どうでしょうか?」
「ああ、とてもよく似合うよフェリア」
 試着室から出てきた藍色ワンピースを着たフェリアレーナ様、あはははーん、お美しいーっ。グラデーションの藍色ワンピースが似合うのなんの。更にランクアップしているように見えるのは、フェリアレーナ様の美しさや。あはははーん、美しいー。
 手を取り合い見つめ合うセザール様とフェリアレーナ様。キラキラ~。キラキラ~。回りにキラキラ~が、ぽこんぽこんと当たっているのは気のせい?
「ますます美しいよ」
「まあ、旦那様」
 キラキラ~、キラキラ~。
 …………………………………おのれ、リア充。
 あ、いかん、いかん。セザール様とフェリアレーナ様はいろんな難関を潜り抜けて、やっと結婚できたんやもん、キラキラ~を放っても仕方ないか。セザール様もイケメンやし、フェリアレーナ様の美しさは形容できないもん。仕方ない、仕方ない、仕方ない。ちっ。
 もちろんご購入して頂きました。
 太っ腹なセザール様は付いてきてくれているメイドさん達にまで、普段着用にと、数点購入してくれた。フェリアレーナ様も楽しそうに、ブラウスやワンピースを持ち、どれが似合うかメイドさんと悩んでいる。その姿を見ていると、フェリアレーナさんって感じや。
 藍色ワンピースはそのままフェリアレーナ様がお召しのまま。もう1着、黄色のワンピース。レース生地を使いシースルーのワンピース。こちらも冷蔵庫ダンジョンから出たシルクとレース生地の為、28万と高価。それから若草色のブラウスと白地のスカートを選ぶ。何でもお似合いですう。メイドさん達の服は、ぺんたごんの生地で比較的お手軽値段のワンピースやブラウス、スカートを数点、それらを含めて合計80万、セザール様のカードでお支払。
 ニコニコとセザール様と腕を組んだフェリアレーナ様は、それは幸せそうに去っていく。たくさん購入していただいたから、ありがたい。お見送りする。晃太が最後まで綺麗な人やー、と繰り返していた。
 ふう、と息を付くと、ざわざわ。振り返ると、次は領主のダントン様が奥様の美魔女イザベラ様をエスコートして、いらっしゃいました。
「まあ、ケイコ様が出店されていますわ。ねえ、あなた、いいかしら?」
「もちろんいいさ」
 はい、美魔女、いらっしゃいませー。目玉の藍色ワンピースはもうないが、隣に並んでいたピンク色、フレンチローズ色のワンピースを手にして直ぐに試着。
「どうかしらあなた?」
「ますます綺麗だよ、イザベラ」
 キラキラ~、キラキラ~。
 フレンチローズというピンク色のワンピースを、完璧に着こなしているイザベラ様。本当に、お孫さんが3人もいるなんて思えない。思えないのだが、うふふ、とリア充を発生させて、なんだろ、ちっ。
 はっ、いかん、完全にひがみや、行き遅れ三十路女のひがみや。封印、封印と。
 イザベラ様はワンピースを購入。支払いはもちろんダストン様。イザベラ様は更にシルクのブラウスと、なんとミゲル君の作ったオーバーオールを購入してくれた。シーマス君にだって。ミゲル君、まあ嬉しそう。必死に表情押さえているけど嬉しそう。タチアナちゃんとリザベルちゃんにも、母が手掛けたお揃いのワンピースをチョイスしてくれた。
 ありがとうございます、ち、なんて思ってすみません。
 ちなみにシエナ様達は、家族ぐるみでお付き合いのある方の結婚披露宴に呼ばれているそうだ。
 ワンピースを着たままのイザベラ様と腕を組んだ、ダンディーなダストン様を見送り、うふ。
「先ほどイザベラ様がご覧になっていたのはどれですの?」
「フェリアレーナ様が手にされていた、ワンピース、まだございます?」
「あのかわいい子供服、サイズ違いあります?」
 わーっとご婦人達が来て、まあ、テント内は大盛況。
「まあ、こちらのシルク、色合いが素敵だわ」
「私、このブラウス頂けます?」
「このサイズがない? まあ、残念。あ、このシャツかわいい。これにします」
 わいわいわいわいわい。
 わいわいわいわいわいわい。
 売れた売れた。
 大人の服は冷蔵庫ダンジョン産の生地のものは数点。ぺんたごんの生地の服は完売していた。子供服も何点か残り。小物もあと僅かだ。
 はあ、疲れた。だけど、心地いい。売れたしね。良かった、良かった。
 多分、ハルスフォン伯爵様の皆様のおかげだね。
 ちょっと早いけど、片付ける。片付けている最中になぜか売れた。それでも数点残ったが、すべてパーカーさんのお店に並べてくれる。
 ダイアナちゃんが名残惜しそうに、ビアンカから離れて、バイバイと手を振る。
 パーカーさん一家と挨拶して離れ、私達は帰途についた。
 さあ、あと数日で、カルーラに向かって出発だ。
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