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確保と依頼⑤
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次の春祭りの準備をしながら、日々が過ぎていく。依頼の為にダンジョンに行ったり、孤児院の炊き出しの手伝いをしたり、薬草を摘んだり、アノに魚介類を買いに行ったり、教会の戦闘部隊の皆さんと冷蔵庫ダンジョン10階で共闘したりと何だかんだと忙しい日々。
寒さも随分いいけど。
私と晃太もせっせとフライパンを振り回す。
「だあああぁぁぁぁぁっ」
「ひいいぃぃぃぃぃぃっ」
20階のボス部屋で、私と晃太は悲鳴を上げる。嫌な手応えがっ。
てってれってー
【レベルが81にアップしました】
レベルが上がったけど、ひー、ひー。息が上がる。
『ユイ、これくらいで悲鳴を上げてはいけないのですよ』
『そうよ、魔境に行く途中、こんな蛇なんてわんさかいるんだから』
やめて、その情報。
だいたいね、レベル500が何ばいいようとよ。毎回ちゅどん、ドカンしているけどさ。今さらだけど、その魔境に行くのに不安が。例の『彼女さん』にたどり着くまでに、喉が悲鳴で潰れんかね? わんさかといるなんて、物凄く嫌やなあ。まあ、一番大変なのは、手綱を握るホークさんだけどさ。
「わい、ルームにおる」
おのれ。
ルーム内にいれば、自動的に私と一緒に移動できるからね。
ぶーぶー、と思いながらせっせとドロップ品を拾う。
みてません、目玉なんて見てません。
それからも戦闘したけど、なかなかレベルが上がらず。まあ、しょうがないか、なんだかんだと私のレベルはかなり高い。レベルって高くなると上がりにくくなる。神様から頂いた経験値5倍があるからね。それにかなりずるいレベルアップをしている。ビアンカとルージュのガッチリ援護の、接待戦闘だもんね。ホークさんに聞いたら、私のレベルにびっくりされた。ちなみに自分のレベルは他の人には話さない。それ以前に自分のレベルは、大まかにしか分からない。中にはレベルを詐称して、色々やらかす冒険者がいたらしく、しゃべらないんだって。それに私達には自己鑑定Sがあるから分かるだけ。ある程度の実力を確認したい場合は、冒険者ギルドにレベルを鑑定する魔道具がある。多少の誤差があるが分かるそうだ。
レベルの話は置いとこう。私の場合はルームや『異世界のメニュー』絡みが多いからね。
「ユイさん、宝箱出ました」
ミゲル君が教えてくれる。
「ありがとう、ルージュ、お願い」
『分かったわ』
さ、何が出るかな。
「姉ちゃん、今回のドロップ品どうする?」
「そうやね」
私は夕飯のカレーを準備しながら思案する。そろそろノワールの装具品が出来上がり、晃太の支援魔法のスキルアップもしそうだし。うーん、そうなればカルーラに移動だ。準備出来次第出発したい、下手したら魔境にいる『彼女さん』に会いに行くのが冬になる。それだけは避けたいし。冬は魔境の天候が厳しいから。
マーファには戻るつもりだけど、移動期間を考える。アルブレンを経由してカルーラへの移動、ノワールの馬力で約1ヶ月。それからノワールに乗って、ビアンカとルージュに守られて魔境を目指す。最低4~5ヵ月。もし、途中で天候やトラブルがあれば、半年は越す。無事に『彼女さん』に会えて、戦力強化のお願いがスムーズに出来れば問題ないけど。下手したら、断られる可能性もある。無理なら、時間をおいてもう一度お願いするしかないと、ビアンカとルージュから言われた。下手したら、次年度にまたお伺いだ。
『彼女さん』も気になるが、そのちょーっとシスコン臭のするお兄さんにもお会いしたい。きっとビアンカ以上の体躯のもふもふフォレストガーディアンウルフだしね。
そうそうドロップ品。
おそらくお祭りの終わった後くらいに、装備品が出来上がる。お祭りのバザーに私達は参加予定だから、しばらくその準備で冷蔵庫ダンジョンには来ない。つまり今回が、じっくり臨む最後になる。ビアンカとルージュ、サイズアップした仔達、そしてノワールの為にたくさんゲットしないと。ダンジョン内にあちこち植えた果樹がたわわに実っている。それも回収しなくては。甘い果実はみんな大好きだ。特にノワールが食べるからね。私達が派手にちゅどん、ドカン、バキバキしているからか、次の日には同じ量が実っている。試しに苺やメロンも植えてみたら、ちゃんと実っていたから、せっせと収穫しなくては。不思議とダンジョンの魔物は、果物は食べていない。お腹減らないのかね?
「残りの日程で出る、食べ物系ドロップ品は出来るだけ引き取るかね。果物の収穫しながらね。晃太、引き取る分のリストは別に作ってくれる?」
「ん」
夕食時に説明すると、みんな理解してくれた。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫という名の摘まみ食いをしているノワール、いい音立てて、実っているリンゴをそのまま食べている。もう。
『戦闘モード使った後だから、何時もより美味しいって言っているのです』
『確かに、ノワールは肉は食べないから消費が違うのかしらね』
ノワールは草食魔物だから、ルージュの言うように、エネルギーの消費が違うのかね? 以前より、運動力の多いノワールを心配して、たんぱく質を補う為に、食事に大豆とか混ぜてるけど、足りないかもしれない。よし、大豆、増やそう。そう思いながら、視界の隅で仔達がモグモグ。あーあー、苺をたべて口の回りが真っ赤やん。もう、かわいかね。
「ユイさん、リンゴ、洋梨、無花果、みかん、柿、キウイ、バナナ、苺、メロンの収穫終わりました」
ホークさんが報告に来てくれる。試しに色々植えたけど、季節感無視して実ってくれてありがたい。
「ありがとうございます。この辺りの果物は収穫終了ですね。晃太、次」
「場所覚える気はないんやね」
リストに書き加えていた晃太がぽつり。
「地図読めんもん、さ、次々」
「はいはい」
私達はダンジョン内をぞろぞろ移動。上層階なので、他の冒険者は皆さんもいないので気楽だ。次では巨峰やマスカット、梨、マンゴーを収穫。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫している横で、ノワールが景気よく食べている。ま、いっか、食べ盛りの男の子やからね。
残り日程を果物収穫と、食品系ドロップ品のボス部屋に挑んだりして過ごす。
「わうん、わうん」
「がうぅ」
「くうーん」
「くうーん」
『ねえね、いちご、いちご食べたい』
「はいはい」
仔達がすっかり苺の味をしめて、よくおねだりに来る。かわいかね、おっとっ、押し潰されそうっ。やめて、元気や、あんた体重いくらやと。すでに大型犬で表現していいものか。コハクもだ、2人とも無事に?なのかな、体重がなんと100キロ越えた。すでに抱っこ出来ない。すくすく成長していると思おう。
……………………………………………………………………
よく考えたら、ビアンカもルージュもでかいから、そのうちみんなこれくらいにはなるよね? あ、元気、下手したらビアンカより大きくなるかもって。コハクもルージュより大きくなる? ルリとクリスとヒスイもいるから、わー、もふもふー、海が発生するもふもふの海が。いや、大海が。じゃない、神様のお陰で従魔の部屋は拡張して今は問題ないけど、いずれ更なる拡張必要やな。ポイント大事にせんと。
仔達の催促大合唱。はいはい、分かったがな、私はおやつの苺を洗った。
最終日、コラーゲン部屋。
「ブヒヒヒーンッ」
支援を受けたノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で大爆走。フレアタートルの首がへし折れ、あっという間にドロップ品に。合掌。
晃太はデバフを連発。ルージュが援護に回り、仔達は魔法を連発し、鷹の目の皆さんも奮闘している。私にはビアンカが付いてくれる。目の前で氷漬け状態のフレアタートルが転がる。完全に接待だよ。だけど、申し訳ないが、すまん、コラーゲンよ。私はフライパンでちょいちょい。ドロップ品になる。あー、罪悪感ー。
てってれってー
【レベルが82にアップしました】
あー、罪悪感ー。
すべてのフレアタートルがドロップ品になった瞬間。
「ブヒヒヒーンッ」
「来たーッ」
ノワールとフライパンを掲げて晃太が叫ぶ。
どうした、どうした。
「ブヒヒン、ブヒヒヒンッ」
『レベルが上がったようなのです』
『200になったみたい』
「そうね」
ノワールは確か、馬車牽くための、いや、もう違うね。戦車馬(チャリオット・ホース)やもんね。
「で、晃太は?」
「支援魔法のスキルがDになったばいっ」
「おおっ、やったやん」
かなり詰め込みでやったけど、凄かやん。本来なら15年コースなのに。
「なら帰ってからお祝いかね」
なんて言いながら、『彼女さん』に会いに行くのが、実感が沸いてきた。後はノワールの装備品だけだ。アトリスさんに確認せんと。あ、リティアさんにも言わんとね。祭りもあるし、春先の薬草もゲットせんと。やっぱり忙しかな。
後ろで、ビアンカとルージュとノワールの荒い鼻息をスルーしながら、頭の中で簡単な行動計画を立てた。
寒さも随分いいけど。
私と晃太もせっせとフライパンを振り回す。
「だあああぁぁぁぁぁっ」
「ひいいぃぃぃぃぃぃっ」
20階のボス部屋で、私と晃太は悲鳴を上げる。嫌な手応えがっ。
てってれってー
【レベルが81にアップしました】
レベルが上がったけど、ひー、ひー。息が上がる。
『ユイ、これくらいで悲鳴を上げてはいけないのですよ』
『そうよ、魔境に行く途中、こんな蛇なんてわんさかいるんだから』
やめて、その情報。
だいたいね、レベル500が何ばいいようとよ。毎回ちゅどん、ドカンしているけどさ。今さらだけど、その魔境に行くのに不安が。例の『彼女さん』にたどり着くまでに、喉が悲鳴で潰れんかね? わんさかといるなんて、物凄く嫌やなあ。まあ、一番大変なのは、手綱を握るホークさんだけどさ。
「わい、ルームにおる」
おのれ。
ルーム内にいれば、自動的に私と一緒に移動できるからね。
ぶーぶー、と思いながらせっせとドロップ品を拾う。
みてません、目玉なんて見てません。
それからも戦闘したけど、なかなかレベルが上がらず。まあ、しょうがないか、なんだかんだと私のレベルはかなり高い。レベルって高くなると上がりにくくなる。神様から頂いた経験値5倍があるからね。それにかなりずるいレベルアップをしている。ビアンカとルージュのガッチリ援護の、接待戦闘だもんね。ホークさんに聞いたら、私のレベルにびっくりされた。ちなみに自分のレベルは他の人には話さない。それ以前に自分のレベルは、大まかにしか分からない。中にはレベルを詐称して、色々やらかす冒険者がいたらしく、しゃべらないんだって。それに私達には自己鑑定Sがあるから分かるだけ。ある程度の実力を確認したい場合は、冒険者ギルドにレベルを鑑定する魔道具がある。多少の誤差があるが分かるそうだ。
レベルの話は置いとこう。私の場合はルームや『異世界のメニュー』絡みが多いからね。
「ユイさん、宝箱出ました」
ミゲル君が教えてくれる。
「ありがとう、ルージュ、お願い」
『分かったわ』
さ、何が出るかな。
「姉ちゃん、今回のドロップ品どうする?」
「そうやね」
私は夕飯のカレーを準備しながら思案する。そろそろノワールの装具品が出来上がり、晃太の支援魔法のスキルアップもしそうだし。うーん、そうなればカルーラに移動だ。準備出来次第出発したい、下手したら魔境にいる『彼女さん』に会いに行くのが冬になる。それだけは避けたいし。冬は魔境の天候が厳しいから。
マーファには戻るつもりだけど、移動期間を考える。アルブレンを経由してカルーラへの移動、ノワールの馬力で約1ヶ月。それからノワールに乗って、ビアンカとルージュに守られて魔境を目指す。最低4~5ヵ月。もし、途中で天候やトラブルがあれば、半年は越す。無事に『彼女さん』に会えて、戦力強化のお願いがスムーズに出来れば問題ないけど。下手したら、断られる可能性もある。無理なら、時間をおいてもう一度お願いするしかないと、ビアンカとルージュから言われた。下手したら、次年度にまたお伺いだ。
『彼女さん』も気になるが、そのちょーっとシスコン臭のするお兄さんにもお会いしたい。きっとビアンカ以上の体躯のもふもふフォレストガーディアンウルフだしね。
そうそうドロップ品。
おそらくお祭りの終わった後くらいに、装備品が出来上がる。お祭りのバザーに私達は参加予定だから、しばらくその準備で冷蔵庫ダンジョンには来ない。つまり今回が、じっくり臨む最後になる。ビアンカとルージュ、サイズアップした仔達、そしてノワールの為にたくさんゲットしないと。ダンジョン内にあちこち植えた果樹がたわわに実っている。それも回収しなくては。甘い果実はみんな大好きだ。特にノワールが食べるからね。私達が派手にちゅどん、ドカン、バキバキしているからか、次の日には同じ量が実っている。試しに苺やメロンも植えてみたら、ちゃんと実っていたから、せっせと収穫しなくては。不思議とダンジョンの魔物は、果物は食べていない。お腹減らないのかね?
「残りの日程で出る、食べ物系ドロップ品は出来るだけ引き取るかね。果物の収穫しながらね。晃太、引き取る分のリストは別に作ってくれる?」
「ん」
夕食時に説明すると、みんな理解してくれた。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫という名の摘まみ食いをしているノワール、いい音立てて、実っているリンゴをそのまま食べている。もう。
『戦闘モード使った後だから、何時もより美味しいって言っているのです』
『確かに、ノワールは肉は食べないから消費が違うのかしらね』
ノワールは草食魔物だから、ルージュの言うように、エネルギーの消費が違うのかね? 以前より、運動力の多いノワールを心配して、たんぱく質を補う為に、食事に大豆とか混ぜてるけど、足りないかもしれない。よし、大豆、増やそう。そう思いながら、視界の隅で仔達がモグモグ。あーあー、苺をたべて口の回りが真っ赤やん。もう、かわいかね。
「ユイさん、リンゴ、洋梨、無花果、みかん、柿、キウイ、バナナ、苺、メロンの収穫終わりました」
ホークさんが報告に来てくれる。試しに色々植えたけど、季節感無視して実ってくれてありがたい。
「ありがとうございます。この辺りの果物は収穫終了ですね。晃太、次」
「場所覚える気はないんやね」
リストに書き加えていた晃太がぽつり。
「地図読めんもん、さ、次々」
「はいはい」
私達はダンジョン内をぞろぞろ移動。上層階なので、他の冒険者は皆さんもいないので気楽だ。次では巨峰やマスカット、梨、マンゴーを収穫。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫している横で、ノワールが景気よく食べている。ま、いっか、食べ盛りの男の子やからね。
残り日程を果物収穫と、食品系ドロップ品のボス部屋に挑んだりして過ごす。
「わうん、わうん」
「がうぅ」
「くうーん」
「くうーん」
『ねえね、いちご、いちご食べたい』
「はいはい」
仔達がすっかり苺の味をしめて、よくおねだりに来る。かわいかね、おっとっ、押し潰されそうっ。やめて、元気や、あんた体重いくらやと。すでに大型犬で表現していいものか。コハクもだ、2人とも無事に?なのかな、体重がなんと100キロ越えた。すでに抱っこ出来ない。すくすく成長していると思おう。
……………………………………………………………………
よく考えたら、ビアンカもルージュもでかいから、そのうちみんなこれくらいにはなるよね? あ、元気、下手したらビアンカより大きくなるかもって。コハクもルージュより大きくなる? ルリとクリスとヒスイもいるから、わー、もふもふー、海が発生するもふもふの海が。いや、大海が。じゃない、神様のお陰で従魔の部屋は拡張して今は問題ないけど、いずれ更なる拡張必要やな。ポイント大事にせんと。
仔達の催促大合唱。はいはい、分かったがな、私はおやつの苺を洗った。
最終日、コラーゲン部屋。
「ブヒヒヒーンッ」
支援を受けたノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で大爆走。フレアタートルの首がへし折れ、あっという間にドロップ品に。合掌。
晃太はデバフを連発。ルージュが援護に回り、仔達は魔法を連発し、鷹の目の皆さんも奮闘している。私にはビアンカが付いてくれる。目の前で氷漬け状態のフレアタートルが転がる。完全に接待だよ。だけど、申し訳ないが、すまん、コラーゲンよ。私はフライパンでちょいちょい。ドロップ品になる。あー、罪悪感ー。
てってれってー
【レベルが82にアップしました】
あー、罪悪感ー。
すべてのフレアタートルがドロップ品になった瞬間。
「ブヒヒヒーンッ」
「来たーッ」
ノワールとフライパンを掲げて晃太が叫ぶ。
どうした、どうした。
「ブヒヒン、ブヒヒヒンッ」
『レベルが上がったようなのです』
『200になったみたい』
「そうね」
ノワールは確か、馬車牽くための、いや、もう違うね。戦車馬(チャリオット・ホース)やもんね。
「で、晃太は?」
「支援魔法のスキルがDになったばいっ」
「おおっ、やったやん」
かなり詰め込みでやったけど、凄かやん。本来なら15年コースなのに。
「なら帰ってからお祝いかね」
なんて言いながら、『彼女さん』に会いに行くのが、実感が沸いてきた。後はノワールの装備品だけだ。アトリスさんに確認せんと。あ、リティアさんにも言わんとね。祭りもあるし、春先の薬草もゲットせんと。やっぱり忙しかな。
後ろで、ビアンカとルージュとノワールの荒い鼻息をスルーしながら、頭の中で簡単な行動計画を立てた。
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