もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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マーファの日常⑥

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 蛇部屋4日目。
 本日初回のボス部屋終了し、セーフティでのんびり休憩していると、ビアンカとルージュが気配を察知。
『ユイ、来るのです』
『あの強い雄がいるわ』
「誰やろ?」
 慌ててルームを閉める。待っていると、冒険者一行が。
「あ、フェリクスさんや」
 なんとSランク冒険者のフェリクスさんや。それから、あ、金の虎の皆さんまで。どうしたんやろ?
「ああ、テイマーさん。奇遇ですね」
 フェリクスさんが穏やかに挨拶してきたので、私も挨拶。
「ユイちゃん、ユイちゃん」
 アルスさんが、私に向かって来ようとするが、ファングさんとガリストさんがしっかりホールド。かわいか未成年が、ユイちゃん連呼、かわいか。ほのぼの。
「どうされたんですか?」
「マーファのギルド依頼で、ダンジョンアタックですよ」
 あ、リティアさんが言ってたやつね。
 20階は上級者向けだから、稼ぎはいいけどリスクもある。普通冷蔵庫ダンジョンは下から上りが、初心者向けは案外簡単に上がれるが、中級者向けになると、1日に1階ずつしか上がれない。ボス部屋が総力戦になるからだ。途中でケガでもしたら更に日数はかかる。だいたい山風や鷹の目のCランクパーティーなら、20階に到着するのは、早くて2週間はかかる。その分の食糧や水の確保、マジックバッグやアイテムボックスがあればいいけど、なければリュックに入れての移動だ。大変。転移石があれば、ひょいっと行ける。私には魔力保有量の多いビアンカとルージュがいるし、何よりルームがある。そうルーム。お風呂にトイレにキッチンがあり、異世界への扉にメニューがある。あ、今日の夕御飯、神様がいらっしゃるならお供えしよ。指輪の件もあるしね。
 なのでこの依頼は、マジックバッグやアイテムボックスのある、ランクの高いパーティーにしか受けられないそうだ。そしてかなり旨味のある依頼。マーファは冷蔵庫ダンジョンがあるので、Cランク以上のパーティーはそこそこいる。
「どうやって決まったんですか?」
 私の知ってる代表的なCランク冒険者パーティーは、山風だけど。
「抽選です」
 ちなみに山風とクラベルも挑戦したそうだが、外れたそうです。
 今回は20階のボス部屋メインに挑むそうだ。
「ああ、私のパーティーメンバーを紹介しましょう」
 フェリクスさんがメンバーを紹介してくれる。見習いのヘルト君とドロテアちゃんは知ってる。
 フェリクスさんがリーダーをしている冒険者パーティー『蒼の麓』。ランクは今までで最高のA。Sランクのフェリクスさん。土魔法も使えるが、闇魔法が得意で、武器はなんでもござれの万能型。サブ・リーダーのエリアンさんは中性的で、すらっとした綺麗なエルフ男性。なんと冒険者ランクはこちらもS。斥候で弓と魔法を使う。アンドレアスさん、がっちりとした人族男性で盾士。ドーラさん、ハーフエルフの綺麗な女性、ヒーラーだけど、魔法使いも兼務していると。見習いの2人は人族。
 元気が尻尾ぷりぷりしながらご挨拶に向かう。まずはガリストさんね。わざわざ膝を突き、よしよししてくれた。
 セーフティで少しお話する。やはり、バーザタイラントの目玉の依頼があちこちから来ているそうだ。ずいぶん卸したけど、足りなかったんだね。それから鮫のサプリメントは、関節を痛めた高齢者や、怪我をした戦闘職の冒険者や騎士達が待っていると。そうなんだ。どうしよう、後、2、3回蛇部屋挑んで、目玉手に入れようかな? でも、そうなると、しばらく皆さんと一緒になるから、ルーム開けられない。じーっと私を見てくるアルスさんの視線が。キラキラの青い目。す、とホークさんが遮るように立ってくれる。
「ユイちゃん、カレー、アップルパイ」
 食欲かい。
「もう、アルス、おやめ」
 リィマさんがあきれたように注意。
 晃太が、私に耳打ちしてくる。
「姉ちゃん、上に行こうや。蛇の目玉、かなりあるし、こん人達もかなり手に入るはずやし。鮫に行こうや」
「うーん、そうやね。そうするかね」
 そっとホークさんに相談。異論はないと。
「あの、私達、このまま上に行きますので」
 そう言うと、アルスさんがするる、と来ようとしてガリストさんががっちり掴む。むー、みたいなアルスさん。
「ユイちゃんっ、俺っ、やっぱり、むーっ」
 慌てた様子で、がっちりと口を塞ぐのはファングさん。あはははと嫌な汗かいてる。
 本当になんやろ。あまり、だらだらおらんほうがよかね。ぷりぷりとご挨拶していた元気を回収して、私達はいそいそと21階に向かった。
 私達はその日の内に22階に入る。貝柱欲しいしね。それに貝の粉や不揃いの真珠はリティアさんが待ってるし。ちゅどん、ドカン、バキバキが終わった後に、回収。ビアンカとルージュ、仔達がモグモグ。もう。
 宝箱を確認。大粒の真珠のネックレスとピアスだった。
「お疲れ様。さ、今日はこの辺で休みましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
『モグモグ、お腹減ったのです』
『ハグハグ、エビは今日はいいわ、お肉ね』
「あんた達ね。もう、よかか」
 稼ぎ頭だし、今日も随分走り回っていたしね。嗽、手洗いして、鷹の目の皆さんが手分けしてブラッシングしてくれる。
「まずは神様に聞いてからね」
『分かったのです』
『そうね、神様が先ね』
 気持ち良さそうにブラッシングされているビアンカとルージュ。
 私は神棚に手を合わせる。
「神様、いらっしゃいますか? お夕飯如何ですか?」
 ………………………………
「お留守か、仕方なかね」
 いますっ、いますっ、商いの神でーすっ
 いたたっ、引っ張るなーっ
 鍛冶の神もいまーすっ
 あーあー、賑やかな。商いの神様と鍛冶の神様に引っ張られた時空神様が浮かぶ。
「今日は3名様ですか?」
 まあ、そうだな
 うわーんっ、うわーんっ、うわーんっ
 いるやん。
 魔法の三柱神様やん。
 私もいまーすっ
 僕もーっ
 闘神様と薬の神様もね。
 了解しました。さて、タップタップタップタップタップ。
 みつよしからオムライス・ビーフシチュー付き×5、オニオングラタンスープ×8、I市特産野菜のサラダ×5、生ハムサラダ×5、サーモンのカルパッチョ×3、チキンソテー×5、国産和牛サーロインステーキ×5、本日の魚のポワレ×5、シーフードグラタン×3、フライドポテト×5、フライドチキン×5、ボロネーゼ×3、サーモンとキノコのクリームパスタ×3。
 八陣から、明太子入りだし巻き×3、串の盛り合わせ×5、チキン南蛮×3、カレーナンピザ×5、水烏賊の天麩羅×3、揚げ出し豆腐×3、アジフライ×5、山芋の鉄板焼き×3、じゃがバター×3、焼おにぎり×3、焼きうどん×3。
 せっせとチュアンさんが上げてくれる。
 マジックバッグコンビがいるから、足りないかな?
 ピザにしようかな。中華にしようかな。
 両方ーっ
 両方ーっ
 ゴチンッ
 痛いーっ
 いってーっ
 賑やか。時空神様が、商いの神様と鍛冶の神様にげんこつしたね。
 はいはい、タップしますよ。お二人のブーストには、お世話になっていますからね。
 せっせとチュアンさんが、上げてくれた。神様が済み、ビアンカとルージュや仔達にもたっぷり食べさせて、やっと落ち着き、私達もその日は異世界のメニュー、町の洋食みつよしにした。
 私はオムライス・ビーフシチューにして、晃太は国産和牛サーロインステーキ。I市特産野菜のサラダ、サーモンのカルパッチョ、オニオングラタンスープも付けて、と。鷹の目の皆さんにも聞きながらタップ。ホークさんとミゲル君は国産和牛サーロインステーキ、チュアンさんはチキンソテー、マデリーンさんは本日の魚のポワレ、エマちゃんとテオ君はオムライス・ビーフシチュー。各自オニオングラタンスープを付けて、と。生ハムサラダとサーモンのカルパッチョ、シーフードグラタン、フライドポテトをシェア用にね。
「いただきます」
 オムライス一口。やっぱり伯父さんのオムライス美味しい。神様に感謝だ。異世界にいても、こうやってふるさとの味が食べられる、感謝や。もう一口、ぱくり、うーん、美味しい。
『ユイ、失くなったのです』
『おかわり食べたいわ、ユイの食べてるのね』
「まだ食べるん? 帰ったら、お母さんに絞られるばい」
『ぶー』
『ぶー』
 皿を咥えて訴えるが、流石に食べすぎや。私はスルーした。
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