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マーファの日常④
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次の日。
スライム部屋に向かい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。仔達も頑張っている。王冠スライムはすでに元気とコハクの敵じゃない。
「ワンワンッ」
「ガァーッ」
元気の雷が、王冠スライムを弾け飛ばし、コハクの土の砲弾が貫通する。
あはははん、一番最初はぽよんと弾かれていたのに。
せっせとコアを拾い、宝箱が出てくる。一粒のガーネットだった。何度か挑戦。よしよし、王冠スライムのコアはこれで十分かな。今回は宝石か宝飾品ばかりが出た。ギルドに持っていこう。
あの転移石、父が鑑定した結果、魔力補填型の転移石。一度に運べる人数はフル装備した成人冒険者男性を約10名まで20階の入り口まで運ぶと。壊れさえしなければ、繰り返し使えると。どうしようかと思ったけど、ビアンカとルージュが、
『そんな石ころなんていらないのです』
『そうよ、私達がいるんだら』
ですって。まあ、そうだね。20階ならビアンカとルージュなら行けるもんね。
王冠スライムのコア以外のドロップ品と一緒に提出すると、リティアさんが慌てている。
「ミ、ミズサワ様、これをギルドに回して頂けるのですか?」
「はい、うちにはビアンカとルージュがいますから。20階くらいなら、問題ありませんし」
「ありがとうございますミズサワ様」
リティアさんが深々と感謝してきた。この転移石、どうするのかな?
「これはギルドマスター会議にかけられます」
リティアさんが答えてくれる。おそらく1つは確実にギルド管理になり、冒険者を募り、ダンジョンアタックすると。このダンジョンアタックは挑む階が20階の為、Cランク以上のパーティーになる。得られるドロップ品や宝箱はすべてギルドに卸さなくてはならないが、ダンジョンに挑む為の食糧やポーションはギルドが手配してくれるそうだ。ふーん。
「その会議が終わるまで、こちらの転移石の査定が出ませんが、よろしいですか?」
リティアさんが申し訳なさそうな顔だ。
「はい、構いません」
急がないしね。ドロップ品の1%を鷹の目のパーティーカードに入れてもらい、挨拶して帰った。
次の日。
パーカーさんのお店に向かう。仔達はお昼寝の為にパーティーハウスに残した。父も今日は休みだし、チュアンさんとエマちゃんとテオ君が残ってくれる。
「あ、お姉ちゃんっ」
お店の2階にいたダイアナちゃんが、駆け寄ってきた。きゅう、と抱き締める。ああ、思い出す、従姉妹の可愛い娘を。
「ああ、ミズサワさん、明けましておめでとうございます」
パーカーさん一家がわざわざ店から出てきて、挨拶してくれるので、私達も挨拶。お変わりなさそうだ。
ビアンカとルージュがいるので、あまり長居出来ない。母がフィナさんと作製した服を並べに行く。私はダイアナちゃんに、お菓子の詰め合わせのお年玉を渡す。
「はい、ダイアナちゃん。お年玉だよ」
「おとしだま?」
「お正月に子供が年長者から貰えるものよ。年に一回だけの、子供の時だけの特権。私の故郷の風習なんよ。はい、どうぞ」
ぱあ、とダイアナちゃんの輝く。
「ありがとうお姉ちゃんっ」
ニコニコと笑うダイアナちゃん。髪の色も、目の色も違うのに、可愛い従姉妹の娘を思いだし、胸を突く。やっぱり、まだ、日本に未練があるんやなあ。帰れないって分かっていても、こちらに来て、もうすぐ2年近く経つのに。
まだ、私達はいいほうだよね。ルームがあるし、ビアンカやルージュ達がいる。神様だって見守ってくれている。いいほうに考えよう。私は暗くなりそうな思考を止める。
「良かったなダイアナ。ありがとうございますミズサワさん」
パーカーさんも深々とお礼を言ってきた。それから母を待つ間にお話をする。やはりパーカーさんのお店は忙しいようだ。きっかけはセザール様とフェリアレーナ様の結婚式だけど、その前々からマーファの人口増加で仕事が増えていると。それに今は半成人や成人の時の晴れ着の依頼が多いそうだ。それから親子コーデも、そこそこ裕福なご家庭からの依頼が来ていると。だけど、おかげで足踏みミシンの購入できたと。足踏みミシンは幾つもの改良が加わり、やっと発売されたのは半年前だ。受注製作で、結構いい額。だけど、セザール様とフェリアレーナ様の結婚式できていた外国からの特使達の目に留まり、現在、注文が殺到していると。
お話している間に、ダイアナちゃんはビアンカとルージュをもふもふ。片手にお年玉の袋を抱えているから、前みたいによじ登らない。母が戻って来て、私達は帰る。ダイアナちゃんがニコニコして、手を振ってくれた。
帰り道、マルシェでお買い物。それからハルスフォン伯爵経営のお店に行く。あれだけ買ったジャムが残り少なくなっていた。何度か朝のお供えの時にも添えたしね。店員さんが丁寧に対応してくれて、大量に購入した。
しばらくダンジョンに行くから、下拵えをせっせとする。残る両親の食糧もディレックスで確保。予定としては3週間だ。スタートは15階。
いつものレッツちゅどん、ドカン、バキバキだ。
鷹の目の皆さんも手伝ってくれて、かなりの食事を作った。
そして、もろもろの査定を受け取る。ドロップ品だけで、3億行った。マジックアイテムやマジックバッグは購入希望者が多く、抽選だって。ティエ工房にも行って、チュアンさんの槍、ホークさんの鎧を受け取った次の日、冷蔵庫ダンジョンに向かった。
スライム部屋に向かい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。仔達も頑張っている。王冠スライムはすでに元気とコハクの敵じゃない。
「ワンワンッ」
「ガァーッ」
元気の雷が、王冠スライムを弾け飛ばし、コハクの土の砲弾が貫通する。
あはははん、一番最初はぽよんと弾かれていたのに。
せっせとコアを拾い、宝箱が出てくる。一粒のガーネットだった。何度か挑戦。よしよし、王冠スライムのコアはこれで十分かな。今回は宝石か宝飾品ばかりが出た。ギルドに持っていこう。
あの転移石、父が鑑定した結果、魔力補填型の転移石。一度に運べる人数はフル装備した成人冒険者男性を約10名まで20階の入り口まで運ぶと。壊れさえしなければ、繰り返し使えると。どうしようかと思ったけど、ビアンカとルージュが、
『そんな石ころなんていらないのです』
『そうよ、私達がいるんだら』
ですって。まあ、そうだね。20階ならビアンカとルージュなら行けるもんね。
王冠スライムのコア以外のドロップ品と一緒に提出すると、リティアさんが慌てている。
「ミ、ミズサワ様、これをギルドに回して頂けるのですか?」
「はい、うちにはビアンカとルージュがいますから。20階くらいなら、問題ありませんし」
「ありがとうございますミズサワ様」
リティアさんが深々と感謝してきた。この転移石、どうするのかな?
「これはギルドマスター会議にかけられます」
リティアさんが答えてくれる。おそらく1つは確実にギルド管理になり、冒険者を募り、ダンジョンアタックすると。このダンジョンアタックは挑む階が20階の為、Cランク以上のパーティーになる。得られるドロップ品や宝箱はすべてギルドに卸さなくてはならないが、ダンジョンに挑む為の食糧やポーションはギルドが手配してくれるそうだ。ふーん。
「その会議が終わるまで、こちらの転移石の査定が出ませんが、よろしいですか?」
リティアさんが申し訳なさそうな顔だ。
「はい、構いません」
急がないしね。ドロップ品の1%を鷹の目のパーティーカードに入れてもらい、挨拶して帰った。
次の日。
パーカーさんのお店に向かう。仔達はお昼寝の為にパーティーハウスに残した。父も今日は休みだし、チュアンさんとエマちゃんとテオ君が残ってくれる。
「あ、お姉ちゃんっ」
お店の2階にいたダイアナちゃんが、駆け寄ってきた。きゅう、と抱き締める。ああ、思い出す、従姉妹の可愛い娘を。
「ああ、ミズサワさん、明けましておめでとうございます」
パーカーさん一家がわざわざ店から出てきて、挨拶してくれるので、私達も挨拶。お変わりなさそうだ。
ビアンカとルージュがいるので、あまり長居出来ない。母がフィナさんと作製した服を並べに行く。私はダイアナちゃんに、お菓子の詰め合わせのお年玉を渡す。
「はい、ダイアナちゃん。お年玉だよ」
「おとしだま?」
「お正月に子供が年長者から貰えるものよ。年に一回だけの、子供の時だけの特権。私の故郷の風習なんよ。はい、どうぞ」
ぱあ、とダイアナちゃんの輝く。
「ありがとうお姉ちゃんっ」
ニコニコと笑うダイアナちゃん。髪の色も、目の色も違うのに、可愛い従姉妹の娘を思いだし、胸を突く。やっぱり、まだ、日本に未練があるんやなあ。帰れないって分かっていても、こちらに来て、もうすぐ2年近く経つのに。
まだ、私達はいいほうだよね。ルームがあるし、ビアンカやルージュ達がいる。神様だって見守ってくれている。いいほうに考えよう。私は暗くなりそうな思考を止める。
「良かったなダイアナ。ありがとうございますミズサワさん」
パーカーさんも深々とお礼を言ってきた。それから母を待つ間にお話をする。やはりパーカーさんのお店は忙しいようだ。きっかけはセザール様とフェリアレーナ様の結婚式だけど、その前々からマーファの人口増加で仕事が増えていると。それに今は半成人や成人の時の晴れ着の依頼が多いそうだ。それから親子コーデも、そこそこ裕福なご家庭からの依頼が来ていると。だけど、おかげで足踏みミシンの購入できたと。足踏みミシンは幾つもの改良が加わり、やっと発売されたのは半年前だ。受注製作で、結構いい額。だけど、セザール様とフェリアレーナ様の結婚式できていた外国からの特使達の目に留まり、現在、注文が殺到していると。
お話している間に、ダイアナちゃんはビアンカとルージュをもふもふ。片手にお年玉の袋を抱えているから、前みたいによじ登らない。母が戻って来て、私達は帰る。ダイアナちゃんがニコニコして、手を振ってくれた。
帰り道、マルシェでお買い物。それからハルスフォン伯爵経営のお店に行く。あれだけ買ったジャムが残り少なくなっていた。何度か朝のお供えの時にも添えたしね。店員さんが丁寧に対応してくれて、大量に購入した。
しばらくダンジョンに行くから、下拵えをせっせとする。残る両親の食糧もディレックスで確保。予定としては3週間だ。スタートは15階。
いつものレッツちゅどん、ドカン、バキバキだ。
鷹の目の皆さんも手伝ってくれて、かなりの食事を作った。
そして、もろもろの査定を受け取る。ドロップ品だけで、3億行った。マジックアイテムやマジックバッグは購入希望者が多く、抽選だって。ティエ工房にも行って、チュアンさんの槍、ホークさんの鎧を受け取った次の日、冷蔵庫ダンジョンに向かった。
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