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マーファの日常①

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「お帰りなさいませミズサワ様」
 リティアさんが、いつものスマイルで出迎えてくれる。
「ただいま戻りました。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」
 はい、挨拶終了。
 いつもの応接室に向かう。仔達とノワールは先にパーティーハウスに戻し、ギルドに来た。恐らく長くなるだろうからね。パーティーハウスにはチュアンさんと、エマちゃんとテオ君が残ってくれる。
 前回あまり軍隊ダンジョンからドロップ品持ってこれなかったからね。晃太が早速ワイバーンの革以外のリストを出す。一言その事は説明する。
「拝見します」
 リティアさんがスマイル。ざっと見て。
「すべて買い取らせて頂きます。宝飾品はタージェルを呼びますので、お待ちください」
「はい」
 晃太が宝飾品を出し、いつもの倉庫に向かい、マデリーンさんとミゲル君が付いてくれる。すぐにタージェルさんが来てくれて、挨拶をしてダイヤモンドの宝飾品を見てくれる。
「素晴らしいですな。3800万でよろしいですか?」
「はい」
 結構な額。販売される時、もっとするかあ。
 出して貰ったお茶を頂く。
 ふー、ふー。
 そうだ、依頼聞いとかんと。それからチュアンさんの槍の付与とフライパンの作製依頼せんと。
 しばらくして、リティアさんが数枚の書類を持ち戻ってきた。
「お待たせしましたミズサワ様。これだけのドロップ品、マジックアイテム、魔法金属ありがとうございます」
「いえいえ」
 私は出される書類にサインと魔力を流す。魔法の水筒は50本。補助系は指輪やネックレス、ブレスレットもいくつもあるしね。残りのマジックバッグも出した。武器類もたくさんあるしね。前回かなりリティアさん落ち込んでたからね。よし、サインと魔力はいいかな。
「あとご相談したい事が」
「何でございましょう?」
「武器に付与をしてくれる工房と、私と弟の新しい武器を新調したいので、その工房を紹介して欲しいのですが」
「付与の属性は?」
 これはチュアンさんから聞いている。
「土です」
「でしたら、ティエ工房が宜しいでしょう」
 答えたのはタージェルさん。
「確かに、土属性に関してはティエ工房がいいですね。武器作製についてもマーファの5本の指に入りますから。直ぐに手配いたしましょう」
 リティアさんが、てきぱきと職員さんに指示を出していく。相変わらず仕事のできる人や。だけど管理力と言うか、把握力凄いなあ。マーファはユリアレーナ第二都市。たくさんの工房があり、それぞれの特性まで知っているなんて。ちなみにフロイスさんは水属性の革職人としてはユリアレーナでは、トップクラスだと。凄い人に頼んじゃったよ。どうしよう、ワイバーンの革でポンチョ作るの口約束してるけど。ついでに全員にズボンもお願いしようなんて思っていたけど、無理かなあ。
「あ、リティアさん」
「はい」
「また、数日後に冷蔵庫ダンジョンに行きますが、急ぎの依頼ってありますか?」
「お任せくださいミズサワ様」
 リティアさんのスマイルに磨きがかかる。そしてどこからか書類を出してきた。どこにあったの?
「このリティア、ミズサワ様がきっと冷蔵庫ダンジョンに潜る際に何階から望むか、お悩みになるかと思いピックアップしておりました」
 相変わらず仕事のはやか。
『この雌、変わらないのですね~』
『そうね、ユイに友好的だからいいけど』
 しー。
「やはりバーザタイラントの」
 蛇、シャットアウト。予感はしてたからね。目を回復するポーション、やはり需要に供給が追い付いていないんだ。それから鮫のサプリメントもね。化粧品となる貝の粉や、石鹸の材料になる不揃いの真珠。
「それから、カラーシープの羊毛もです」
 16階に出た、闘牛のような羊。以前卸したのが、好評であっという間に完売したと。
「特に属性のある羊毛が手に入るのであれば、是非に」
 属性魔法で身体強化をする戦闘職には欲しい1品だと。そういえば、マデリーンさんのワンピースにもカラーシープの羊毛混じっていたね。属性のある羊毛は、すごく珍しいんだって。なら、15階からスタートとして、20階で一旦出るかな。それから20階から再スタートかな。
「タージェルさんは、何かあります?」
「無事にお戻り頂ければ、何もございません」
 ですって。
 ティエ工房には、明日の午前中に伺うことになる。晃太達と合流し、リティアさんとタージェルさんに挨拶してギルドを後にした。そのままアトリスさんの工房に伺う。ギルドを通じて、加工に思った以上に手こずっていると連絡があった。父が私達がスカイランに行っている間に連絡を受けていた。
「予定していた納期が予定より2、3週間ほどずれそうです」
 対応してくれたアトリスさんが申し訳無さそうな顔。
「構いませんよ」
「それと一度魔法馬を連れてきて頂けませんか? サイズの微調整や確認したい事がありまして」
「分かりました。明日の午後、連れてきます。それから、ブーツ用のワイバーンの革です」
「これは素晴らしい、拝見します」
 アトリスさんは手慣れた様子で、いや、プロやったね、ワイバーンの革をチェック。
「流石ダンジョン産。もしまだお持ちでしたら、買い取らせて頂けませんか?」
「あー」
 どうしよう、明日フロイスさんの工房で、ポンチョやマントの依頼するし、もし受けてくれるなら、エマちゃんのジャケットや皆のズボンを作りたいし。どれくらい必要か分からないし。
「明日でいいですか?」
「もちろん。是非ご検討ください」
 丁寧にアトリスさんが見送ってくれた。
 そうだ、ノワールの装備、頑張ってもらっているから、差し入れしよ。帰ったら、もへじ生活のお菓子、たくさん持っていこう。
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