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年明け③

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 さて、どうしよう。
 まずはラッピングを、開店していたもへじ生活で手に入れてから、ディレックスでお菓子をだね。うーん、ちゃんとした綺麗な個包装された、セレクトショップダリアのお菓子が、見栄えいいんだけど、仕方ない。
 あ、薬の神様、闘神様、樹の女神様の分もいるね。
 ………………………一番欲しがりそうな、マジックバッグコンビの顔が浮かぶ。あのマジックバッグコンビにも準備するなら、大地の女神様と灯火の女神様にも準備しなきゃ。て、ことは合計10人分。
 悩む時間が惜しか。
 私はもへじ生活でまずラッピング用品を手にいれる。
 それからエマちゃんとディレックスで、色々なお菓子を籠に入れる。個包装のお菓子。ケーキ、クッキー、チョコレートetc。10人分だから、1箱の中に数個入っている、皆同じ数じゃない、微妙に数が合わないので、合うように数個購入。エマちゃんとビニール袋を下げて、ルームに戻る。
 箱や袋を、エマちゃんとテオ君が手分けして開けて出してくれる。私が10人分の袋に入れていく。わあ、懐かしい、昔からあるチョコ菓子に、ピーナッツの入ったクッキー。10の袋に、同じ種類、同じ数を入れていく。個包装されたお菓子って、かなりの種類があるんだね。まるでバラエティーバッグみたいだ。元々確保していたもへじ生活の個包装も加える。女神様には赤のリボン、男神様には青いリボン。いい感じ。中身がディレックスのお菓子だけど、お許し頂こう。もう少し入れられるかな。
 コンコン
 ドアがノックされる。
『ユイさん、あの』
 ミゲル君や。
「どうぞ」
 そう答えると、困った顔のミゲル君がドアを開ける。
「どうしたん?」
「時空神様と新しい神様、いらっしゃいました」
「え? あ、分かった。ミゲル君、作業頼める?」
「はい」
 私はミゲル君にバトンタッチ。
 自室から出ると。
 ダイニングキッチンには、超絶イッケメン時空神様、鷹の目の皆さんお初の灯火の女神様。
 あーあ、チュアンさん、器用に片ヒザ突いたまま、気絶してるままや。晃太とホークさんはミニパフェを食べた魔法の三柱神様に、抱っこか肩車をしている。ホークさん、大丈夫? 顔色が。マデリーンさんは、始祖神様に新しくお茶を淹れている。
 スポーツ少女風の灯火の女神様は私に気付いて、ハキハキと挨拶してくれた。
「明けましておめでとうございます。昨日、たくさんお料理とケーキ、ありがとうございます」
「いえいえ、明けましておめでとうございます」
 丁寧な女神様だ。きっと時空神様と雨の女神様の教育だね。
「すまんな。チビどもが迷惑を」
 時空神様がイッケメンな顔して、申し訳ないような顔。眼福。眼福。
「そんな迷惑なんて」
 眼福眼福ポイントポイント、ぐふふ。
 私は灯火の女神様にも、ミニパフェをタップ。
「さ、灯火の女神様、どうぞ」
「あ、ありがとうございますっ」
 マデリーンさんが時空神様分のお茶を差し出す。
 お年玉の準備と、お茶の間に、ちょっとお話していると、時間があっという間に過ぎた。
 毎朝のお供えが、足りていないんじゃないかって、心配だった。だけど、始祖神様も時空神様も十分だって。あのマジックバッグコンビ、足りていないんじゃないのかな? そう言えば、今日はいらっしゃらないのかな?
「今は大地の女神監視で課題をしている」
 と、時空神様。ああ、見た目清楚系格闘美少女大地の女神様。お元気かしら?
 しかし、お正月から課題って、神様も大変。
 話をしていると、ミゲル君、エマちゃん、テオ君がラッピングされた袋を持ってきた。灯火の女神様もミニパフェ食べ終わる。気絶しているチュアンさんを物珍しそうに見ていた魔法の三柱神様が、ぱっ、と私の元に。キラキラしてる、かわいか。
「はい、細やかですが、お年玉です」
「「「わーいっ」」」
 にこっ、と笑って袋を受け取る。
「「「ありがとーっ」」」
「いえいえ~」
 かわいかあ。
 袋を抱き締めて、笑顔が輝く。神様でも、嬉しいんやね。中身がディレックスのお菓子なんだけど、来年はきちんと準備しよ。
「灯火の女神様、こちらをどうぞ」
「え?」
 呼ばれて戸惑う灯火の女神様。まさか貰えるとは思っていなかったのかな。お伺いを立てるように、時空神様を見上げる。
「頂きなさい」
「はいっ、ありがとうございますっ」
 嬉しそうに笑う灯火の女神様。中学生くらいだけど、かわいか。素直やん。残りの袋もお渡し。
「青いリボンは男神様、赤いリボンは女神様です。中身は一緒ですけど」
「ありがとう、きっと喜ぶ」
 時空神様も笑顔、あはははん、眼福。
 袋を抱えた灯火の女神様が、始祖神様にゴニョゴニョ。
「お嬢さん、すまんが、戦車馬(チャリオット・ホース)を連れてきてくれるか?」
「あ、はい。ホークさん」
「はい、ユイさん」
 ホークさんが厩舎にいき、ノワールに手綱をつける。私と晃太はマットを敷く。ずっと大人しくダイニングキッチンの前にお座りしていたビアンカとルージュが、少し後退し、場所を空ける。
「ブヒヒン……………」
 流石のノワールも不安そう。
「始祖神様、ノワールです」
 マットの上を誘導して、ノワールがダイニングキッチンの前に。
 たたた、と灯火の女神様が、ノワールの体をタッチ。あ、やっぱりそうなります? そんな感じはしてましたよ。
 ぶわあっ、とノワールの鬣が波打つ。わあ、灯火の女神様のブーストや。
「私は灯火の女神、旅する者達の道標」
 おお、神様みたいな説明が。いや、ちゃんとした女神様や。
「私のブーストは、旅の道中、迷った時に、目的地への目印になります」
 地図のよめない私に欲しいーっ。だけど、顔に出しません。ノワールは鬣が靡いただけで、特に他にないようす。
「ありがとうございます、灯火の女神様」
 お礼を言う。
「ちなみに、ダンジョンや魔の森でも迷子にならないぞ」
 時空神様の補足説明。ますます私に必要なやつやん。でも、顔に出しません。
 そんな私の横を、青い髪の左の魔法の神様が走る。
 え?
 左の魔法の神様が、ノワールに駆け寄り、タッチ。途端に。
「ブヒヒヒーンッ」
 ノワールが嘶き、前足で空を切る。ひゃーっ、やめてーっ、ここ、ルーム内ーっ。
 空を切る前足が、マットに着地。
 バキイィィィッ
 ギャーッ、いい音ーッ。
『落ち着くのですノワール』
『そうよ、すぐに慣れるわ』
 先に言ってやってっ。ノワールは頭を左右に振っている。
「ユイさん、俺が付いていますので」
「お願いします、ホークさん」
 マットの下、見たくない。絶対馬蹄の跡、付いてる。ホークさんがノワールを厩舎に誘導してくれる。左の魔法の神様は、ニコニコして私を見ている。
「左の神様。ノワールにブースト、ありがとうございます」
「いいよーっ」
 かわいか。もうよか、馬蹄の跡なんて、リフォームしてしまえばよか。よかよか。あはははん。
「さて、お嬢さん。こちらへ」
 始祖神様が私を呼び、晃太を手招き。なんやろ? はっ、ポチ袋っ? な、わけないか。
「手を」
 はいはい。言われて、私と晃太が手を差し出す。
 始祖神様のカサカサの手が触れると、暖かくなる。手が、でない、指輪が接している部分が。え? 解毒の指輪の所だけ?
「儂からのお年玉だ。帰って父親に確認してもらうとよいぞ。さあ、みな帰ろうかの」
「「はい」」
「「「はーいっ」」」
 時空神様にしがみついて、灯火の女神様と魔法の三柱神様が、ニコニコしながら帰って行った。

 てってれってー
【始祖神 時空神 灯火の女神 魔法の三柱神 降臨確認 ボーナスポイント80000追加されます】

 ポイントポイント。
 さ、ノワールも心配やし、指輪も気になるから帰ろう。その前に。
「チュアン、しっかりしてっ」
 マデリーンさんがチュアンさんを平手打ち。往復の平手打ち。
「……………はっ、神は何処にっ」
「帰りましたよ」
 チュアンさんは、私に祈りの姿勢。
「やはり、ユイさんは神の遣わした使徒なのですねっ」
「違いますって、もう」
 ちょっと強面チュアンさんがキラキラ視線を私に投げる。
「ビアンカ、ルージュ。ノワールが心配やから、今日は帰るよ」
「ブヒヒヒーンッ」
 私の言葉に反応したのは、ノワール。厩舎から凄まじい嘶きが。
『ユイ、ボス部屋行きたいって言っているのです』
『ブースト使いたいって』
「あ、やっぱり」
 うちのノワールはなぜ、こうも闘いたいのかね? ブーストついたから、ビアンカやルージュみたいにダンジョンとか魔境とか言わないか心配したけど。やっぱりねえ。たまに他の魔法馬見るけど、皆大人しいんだけどなあ。まあ、ノワールの個性やね、きっと。
 まずはフローリングを確認、案の定、ぼっこし凹んでた。リフォームして、いざ、復活したボス部屋に。
「ブヒヒヒーンッ」
 ノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で飛び込み、ビアンカとルージュは援護に回り、バキバキ。たまにちゅどん、ドカンしました。
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