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年明け②

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 次の日、軍隊ダンジョンに。とほほ、寝正月。
 仔達が嬉しそうだから、いいかなあ。
 ノワールもブヒヒヒンッ言ってるし。
 うう、寒か。
 明日にはスカイランを出るから、あんまり遅くなりたくない。
「遅くまでせんよ。よかね?」
『分かっているのです』
『分かっているわ』
 仔達以上にルンルンのビアンカとルージュ。
 警備の人から明けましておめでとうございますと言われ、ご挨拶。お正月からお仕事お疲れ様です。
 転移石を使用して、30階に移動する。
 ボス部屋まで移動して、はい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。他に冒険者の人達もいないので、ルームを開ける。そりゃそうだ、だって寒いもんね。軍隊ダンジョンは、上級者向けのエリアは、外の季節と連動していて、この時期は寒い。下手な防寒で夜を過ごしたら凍死だ。セーフティゾーンなら少しいいそうだけど、5℃くらいしか違わないそうだ。初心者や中級者向けエリアは、夏は暑いがそれ以外の季節は春らしく過ごしやすいそうだ。なのでこの時期はそのエリアに冒険者が集中している。
 ドロップ品を拾う。今回はオルクだったと。私は外で待ってただけ。おびただしい武器類を拾う。宝箱には今回軍隊ダンジョンで、初めての宝飾品だった。小さなダイヤモンドがたくさん散りばめられたネックレスとイヤリングだ。わあ、素敵。買取りだね。
「皆さん、お疲れ様です。お昼ご飯にしましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
 ルームを開けて、皆ではいる。
 嗽、手洗いして、お昼ご飯の準備。私達は昨日のおせち料理の残りだ。足りない分はJOY-Pから単品料理をチョイス。ビアンカとルージュは年中無休のJOY-Pのメニューにした。ハンバーグとチキンステーキ、ハンバーグとエビフライを2人前ずつ。ご飯はしらたきを入れたかさ増しご飯だ。母の指示です。ノワールは野菜と洋梨。仔達は単品のハンバーグ、ハンバーグとチキンステーキに目玉焼きのトッピング、それにご飯だ。ただ、元気とコハクが食べるので、ご飯は大盛。
 ふう、満腹。おせち料理がきれいになくなった。
 さ、片付けよ。
 お皿を洗い、片付けて、一休憩。
 はい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。ドロップ品回収のいつものルーティーン。
「ユイさん、宝箱出ました」
 マデリーンさんが教えてくれる。ルージュがチェック。
『はい、罠は解除したわ』
「ありがとうルージュ、さて」
 ぱかり。中身はきれいな銀色の金属、ミスリルだ。買取りや。
「帰ろうか?」
『まだ、行けるのです』
『そうよ、行けるわ』
 気軽に近所のお散歩みたいな返事をするビアンカとルージュ。
 まあ、そうだと思ったよ。だけど、仔達は疲れたようで、従魔の部屋に入るとお昼寝。鷹の目の皆さんもお疲れだろうから、次の戦闘はお休み。ボス部屋復活まで、のんびりお茶。
 明日にはスカイランを出て、マーファに帰る。ノワールのスピードならかなり早く到着するし。雪は年明けて、すぐには降らないそうだけど、例外だってある。
 暖かいルームの中で、カップを洗いながら思わず欠伸。ふわあ。
 ふと、足に衝撃が。
 とん、とん、とん。
 あ、かわいか、魔法の三柱神様。皆さんお揃いで。
 同行者、おらんけど。
「どうしました?」
 視界の隅で、鷹の目の皆さんが、わたわたと膝をつく。チュアンさんが必死に意識を保っている。
 私が膝を突いて、視線を合わせる。
「んーっ」
「んーっ」
「んーっ」
 と、示すのはエマちゃんとテオ君。え、何々? 示されたエマちゃんとテオ君と戸惑いの表情だ。
「あれ、欲しいっ」
「欲しいーっ」
「あれーっ」
 だから、なんやねん。まさか、エマちゃんとテオ君なわけない。
「「「おとしだまーっ」」」
「あ、それ」
 お年玉という、お菓子の詰め合わせ。とは、言っても、中身のお菓子の仕入先のセレクトショップダリアは今は営業してないし。銀の槌も開いてないし。さくら庵も明日から営業だし。
「明後日、くらいまで待てます?」
「「「やーっ」」」
 凄まじい高周波ーっ。そして、びえーっ、みたいな。3人揃って高周波っ。
 仕方なか、ディレックスで調達しよ。その前に迷子のお知らせ。それからJOY-Pのミニパフェをタップ。
 ぴた、と止まる三柱神様達。勝手知ったる何とかか、椅子によじ登る。おててふきふき。あはははん、ちっちゃくてかわいか手。晃太に後を託して、ディレックスに行こうとすると、なんとお迎えに来たは始祖神様だ。
「これ、何をしておる。時空神が、探しておるぞ」
 穏やかに言う、始祖神様。流石に不味い事をしたと思ったのか、魔法の三柱神様が、しゅん、と沈む。あ、頑張っていたチュアンさんが白眼向いてる。
「すまんなお嬢さん、連れて帰るからの」
 魔法の三柱神様、ぷるぷるし始めた。
「お前達、いつも時空神や雨の女神に言われておるだろう? 勝手をしてはいけないと」
 ぷるぷる、更にきゅーん。効果音までかわいか。始祖神様は穏やかに続ける。
「さて、帰ろうか?」
 あ、三柱神様が、おんなじ顔して半泣き。まだ、ミニパフェ食べてないし。
「あの始祖神様、良かったらお茶でも」
「いやしかしなあ、昨日もあれだけの馳走を頂いたしのう」
「あれは年に一回しかないですから、お年玉もそうです、年に一回の大切な楽しみなんです。魔法の三柱神様には、ビアンカとルージュが大変お世話になっています。大したものはご準備できませんが、受け取って頂けると、私としてもありがたいのですが」
 この年に一回がポイントなんだよね。無性に嬉しいお年玉。私も毎年心待ちしていたしね。あのポチ袋。
「そこまで言ってくれるのなら、ありがたく頂こうかの」
「では、少しお待ちください。一旦失礼します」
 私は晃太に始祖神様のお茶を頼み、液晶を手に、エマちゃんとテオ君を連れて自室に引っ込んだ。
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