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素材確保⑥

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『ステーキになるのですっ』
『カレーの具材になりなさいっ』
 ワイバーンがパタパタ落ちてる。確か、山風の皆さんが一匹なら対応できるやつよね。パタパタ落ちてるー。普通なら空飛ぶワイバーンとの戦闘を避けて、進むそうだ。
 鷹の目の皆さんも、ルージュの光のリンゴ、本日スイカサイズに守られて戦闘している。晃太が支援して、まずはホークさんの矢が、翼を貫通。流石、シーサーペントの牙やな。落ちたら、仔達の魔法が集中砲火でフルボッコだ。合掌。
 で、ノワールは。
「ブヒヒヒヒヒヒヒーンッ」
 風蹄(ヴァンオーブ)になり、岩を踏み台にして、跳躍。空中でどうやったか分からないが、回転し、ワイバーンの首に馬蹄が直撃。
 吹っ飛ばされるのは、ワイバーン。そのまま地面に激突して、ドロップ品に。合掌。
 私もフライパンで参戦と思ったが、ビアンカとルージュが待ったをかけるし、ホークさんは至極真面目に控えるように言ってきたしね。フライパンちょいちょいできない。我ながら狡いけどさ。
 魔物はワイバーンだけではない。虫系の魔物も出てくる為、ルージュの光のスイカが忙しく動いている。
 しばらくしてワイバーンや他の魔物はいなくなる。ダンジョンの中は、その階で魔物を殲滅すると、再びボス部屋のように復活するまで時間がかかる。特に上層階になれば、更に時間がかかる。なので、辺り一帯の魔物を殲滅したので、落ち着いてドロップ品を拾う。
 よしよし、革ゲットや。サイズは様々だけど、これならマントによかし、ポンチョも出来る。あ、これでズボンとか作ろうかな? うんうん、ファンタジーのやり混み装備品。
『お肉なのです』
『カレーがいいわ』
『ステーキ、乗せてなのです』
『今日はたくさん動いたから、たっぷりね』
 きゅるん。
「もう、しょうがなかね。今日は時間ないから、明日食べれるように仕込むね」
『カレーなのです』
『カレーよ』
「はいはい」
「わんわんっ」
「がぅがぅっ」
『ねぇね、かれ~』
『くりちゅもかれ~』
『ねえね~、たべたい~』
「はいはい、かわいかね」
 大合唱を聞きながら、ドロップ品を拾う。よし、取りこぼしなしかな。ボス部屋近くのセーフティで一旦休憩。軍隊ダンジョンに入ってはや3週間。予定ではあと5日で出る予定。宿も予約したし、年末だからね。ダンジョンに入るために色々下ごしらえしていたのが、底をついた。私にはルームがあり、異世界への扉があるから困らないけど、本来の冒険者の皆さん大変だ。
 久しぶりに手に入ったワイバーンのお肉で豪勢にカレーにしよう。仔達も食べるからね。仔達は甘口なのよ。あ、神様にも作ろ。
 手分けして多量の野菜を切って炒めて、やっと煮込みに入る。夕方近いな。仔達は疲れていたのか、ぐっすり寝ている。
『ユイ、ボス部屋復活したのです』
『運動してくるわ』
「ブヒヒン」
「まだ闘うん?」
 言ってはみたが、結局、ボス部屋ちゅどん、ドカン、バキバキ。仔達と鷹の目の皆さんは、本日の疲労があり、参戦せず。
 お馴染みのちゅどん、ドカン、バキバキを聞きながら、私はルームで夕御飯の準備。仔達は親子丼、それも手羽元の親子丼。骨、と思ったけど、ビアンカとルージュ曰く、これくらいの骨は砕いてたべさせないといけないって。母が作ってくれていた出汁を使って簡単に出来上がる。ビアンカとルージュにも親子丼。2人のお米にはしらたきを細かくしてかさ増ししている。エマちゃんとテオ君が残ってくれて、手伝ってくれている。私達も親子丼にして、と。後はインスタントで申し訳ないがおすまし付けて、と。
『姉ちゃん、終わったばい』
 あ、終わったね。
 手を洗って私はルームの扉を開けた。

「なあ、姉ちゃん、今回マジックアイテム多いけど、どうすると?」
「お父さんの鑑定待ちや」
 ずらーっと並んだ革のポーチ、様々な指輪にネックレス、腕輪、魔法の水筒は60本だ。金属もそこそこ出てる。そのつぎに絵の具が出ている。ポーション類もポツポツ出ている。おそらく革のポーチは、化粧ポーチやないはず。
「ワイバーンの革とお肉も十分やね。マジックアイテムは鑑定をしてもらって、半分はマーファに持って行こうかね」
「ん」
『ユイさーん、終わりましたー』
 ホークさんの声が。ボス部屋終わったみたいやね。ビアンカとルージュ、ノワールだけで入っていた。
「晃太、行こう」
「ん」
 ボス部屋に入ると武器類が転がっている。
 動く鎧(リビングアーマー)やったんやね。剣やら槍やら大量だ。槍はチュアンさんのサブ・ウェポンやね。
 最後に出てきた宝箱。うわ、小さい宝箱。ルージュがチェック。
『手強いわね…………ちょっと待ってね』
「よかよ」
 しばらくして、ぱき、と音がなる。
『ふう、終わったわ』
 小さい割に時間かかったね。
「ありがとうルージュ、さ、開けましょう」
 サイズ的に、指輪かな? ぱかり。
「ん? なんなこれ?」
 晃太が一目見て呟く。
 中には1センチほどの金属。白い金属で、Cの形をしている。
「あ、イヤーカフや」
「イヤーカフ?」
「耳のここに付けるったい」
「ふーん」
 アクセサリーに興味のない晃太が、まさにふーん。
 しかし、最終階の宝箱の中身がイヤーカフ1個って。普通のイヤーカフやなかろうけど。
『ユイ、かなり魔力を感じるわ』
『そうね。さっきでた小さなわっかとは違うわよ』
「やっぱり、なんかのマジックアイテムなんやね。お父さんに鑑定してもらおうね」
 私は立ち上がる。
「さあ、お疲れ様です。夕御飯にしましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
 明日が最終日だ。
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