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素材確保④

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 宿を予約していた3日間で、新たに軍隊ダンジョンに向かう為に準備をする。ドロップ品も宝箱の中身も買い取って貰えた。仏様のような笑顔のキーナさんもおかわりなさそうで良かった。
 中日に日帰り軍隊ダンジョンに、仔達とノワールの訓練の為に向かう。見ていた冒険者パーティーが呆然としていたけどね。はじめは、元気が尻尾ぷりぷりご挨拶して、可愛い連呼してたのに。
 帰り際も尻尾ぷりぷりご挨拶。引いていた冒険者パーティーも、あまりのうちの元気の可愛さに、破顔している。
「やっぱり可愛いっ」
「いやん、なつっこい~」
「おお、よしよし~」
「こっちおいで~」
 大好評でした。
 そして、今回2回目の軍隊ダンジョンの目的は、私達の装備品の素材確保だ。
 転移石で30階に移動してから、さあ、頑張りましょう。
 私は久しぶりに戦闘をした。しっかりビアンカとルージュに守られてだけどね。
「ひーっ」
『落ち着くのです』
『そうよ、たかが軍隊蟻よ』
「数ッ」
 わらわらわらわらわらわら。
 ひーっ、一杯いるーっ。
 ガンガンと、フライパンを叩き付ける。
『ユイ、魔力を全身に流すのです』
『倒しやすいわよ』
 鼻息でその軍隊蟻を蹴散らしているレベル500が、なんばいいようとっ。
 晃太もひーひー言いながらフライパンを振り下ろしている。仔達も鷹の目の皆さんも、せっせと倒しているが、いかんせん数が多い。ビアンカとルージュは完全に傍観者だし、ノワールは明後日の方向に駆けていき、いろんな魔物が撥ね飛ばされている。
「ひーっ」
 ガツンッ

 てってれってー
【レベルが75になりました】
【異世界のメニュー 解放されます】

「来たーっ、久しぶりーっ」
 私はフライパンを振り下ろしながら、奇声を上げる。
『ユイ、どうしたのです?』
『嬉しい様だけど、どうしたの?』
「新しいご飯よーっ」
『早く済ませるのですッ』
『スピード上げるわよッ』
 私の言葉に、現金にもギアを上げるビアンカとルージュ。
 あれだけいた軍隊蟻が、あっという間に蹴散らしていく。
「ど、どうしたん?」
 晃太が走り回るビアンカとルージュに引きぎみ聞いてくる。
「ふうふう、異世界のメニューが、解放されたんよ」
「へー。今度は何かね?」
「まずは確認せんと」
 確か、まだ選択していないのは、喫茶もののべ、丼定食門松だった。次は何が来るんだろう? 私が行ったことがあるはずのお店だろうけど。
『ユイッ、ここは私達が片付けておくのですッ』
『周囲には誰もいないわっ』
 色々欲望まみれやね。
「はあ、わい、ドロップ品回収するけん、確認ばせんね」
「そやな」
 私はホークさんに一言断り、ルームに入る。
「ユイさん、どうしたの?」
 エマちゃんが、奇声を上げた私を心配してくれる。
「新しい異世界のメニューが増えたんよ。今から確認しようと思ってね。ちょっと待っててね」
「新しいの、何が食べれるの?」
「なんやろうね。ちょっと待っとってね」
「うんっ」
「こら、エマ」
 ホークさんのお馴染みのこらが出て、エマちゃんと共にドロップ品を拾いに行く。
 私はルームに入り、液晶確認。

 下記の店舗から2店舗選んでください
 喫茶 もののべ
 丼・定食 門松
 御膳屋 波音
 ブドウの風 海辺のカフェ マリーン
 ピザハウス 松ぼっくり

 この選択、いつもよく分からん。
 波音はちょっと実家より離れている定食屋と言うより正に御膳屋だ。門松に比べたらお高め。晃太が好きで、理由は海鮮メニューが豊富なことだ。鯛の釜飯、美味しかったなあ。人気なお店で、
必ず予約していた。
 ブドウの風は、地元で幾つかお店を構えている。商人ギルドマスターのダーウィンさんが気に入ってくれたワインもここのだ。マリーンは海岸にある、おしゃれなカフェだ。JOY-Pのランチより高く、コース料理なんだけど、母と何度か行っている。1品1品がおしゃれで美味しいし、なにより母がここの魚料理がお気に入り。白身魚が好きな母は、必ずメインは魚を選んでいる。デザートも可愛いしね。
 ピザハウス松ぼっくりは、デリバリーのピザ屋だ。うーん、時折頼んでいるんだよねえ。寮で集まって、皆でワイワイ、あ、思い出す。ふー。ふー。ここのピザも好きだが、両親はそばいりお好み焼きが大好きなんだよねえ。
 しかし、これは選択に迷うなあ。私的にはマリーンを選びたい。でも釜飯捨てがたい。私だってそばいりお好み焼き食べたい、ピザ食べたい。うーん。
『姉ちゃん、終わったばーい』
「あ、はいはい」
 私はルームのドアを開ける。
『ユイ、何が食べれるのです?』
『新しいエビかしら?』
 ビアンカとルージュがぐいぐい来る。かわいかね。ちょうどお昼近いし。このままご飯にしようかね。
 嗽と手洗いをしている間に、晃太に液晶を見せる。
「新しいのは、これなんやけど」
「波音がよか、寿司、食べたか」
「そう来ると思ったよ」
「よかやん。姉ちゃん、食べるのあるやろうもん。わい、寿司が食べたか」
 刺身が好きな晃太は、寿司も大好きだ。
「寿司が食べたか、寿司が食べたか、寿司が食べたか」
「はいはい」
 晃太のアイテムボックスには、頼りっぱなしだしね。よかろう。後もう1つは、マリーンがいいかなあ。だけど、ピザ、うーん……………これは持ち帰ろう。両親と相談や。
 まずは、波音をタップして、と。

 海鮮御膳 波音 追加されました

「晃太、波音にしたよ」
「ん」
 口をとがらせ嬉しそうやね。
『ふごーっ』
『ふごーっ』
 鼻息荒かねえ。
「まずは、神様に報告してからよ。晃太、ノワールと元気達のご飯ば先にして。ビアンカ、ルージュよかよね?」
「ん、そうやな。分かった」
『そ、そうなのですね。神様が先なのです』
『そ、そうよね、そうよね』
 晃太は嗽と手洗いが終わった鷹の目の皆さんで、手分けして仔達のご飯の準備をする。その間に私は、お地蔵さんにお祈り。
「神様、新しい異世界のメニューが解放されました。お昼、いかがですか?」

 ……………………………………

「私達もそれにするんです。良かったら如何ですか? 私達が住んでた国の和食と言う食事なんです」

 ……………頂いていいのか?

 あ、時空神様だ。
「はい、是非ッ。ダンジョン内でも快適に過ごせているのはすべて、時空神様から頂いたルームのおかげなんです。どうぞお召し上がりください」

 ありがとう

「では、メニューを」

 お前に任せるよ

「はい。何人いらっしゃいます?」

 俺、1人
 商いの神、いまーすっ
 鍛冶の神、いまーすっ
 お前ら、不法侵入って言葉をな。
 ほっほっほっ、お前さんだけ、旨い飯はずるいぞ。お嬢さん、儂もそのうちいくからの。お嬢さん方にも恩恵が得られるときいたからの。

「はい、是非いらしてください」

 あの、始祖神様、あまり、要求するなって…………
 商いの神と鍛冶の神の事じゃよ。お前さんは自分の責任の様に思っているがなぁ。
 うっ
 うっ

 マジックバッグコンビのうめき声。
「あの始祖神様、この頂いたルームで、私達は恵まれた生活を送れています。すべて神様のおかげなんです」
 このルームはとんでもなく便利だ。日本の感覚がまだ抜けない私達の大きな支えだし、小さい頃の元気達のミルクだって問題なく手に入ったのは、すべてルームのおかげだ。

 ほっほっほっ、お嬢さんは変わらんなあ。そのままでいておくれ。

 なんの事やろ?
 なんて思っていると、賑やかな声が。

 お芋さん、食べたいー
 アイスッ、アイスッ
 うわぁーんっ

 あ、久しぶりの魔法の三柱神様っ。魔法の三柱神様にも、ブーストでお世話になってるし。主にビアンカとルージュがね。確か、お子様御膳があったなあ。私は手元に置いていた液晶をタップ。波音の画面を操作、あ、あるある。お子様御膳。フライドポテトにデザートにはソフトクリームはないが、かわいかゼリーが付いてる。よしよし。

 これ、いけませんよ。

 雨の女神様もいらっしゃいました。魔法の三柱神様を嗜めてる。
「始祖神様、ビアンカとルージュも色々お世話になっていますし」
 そこまで言ってくれるなら、ありがたく頂こう。
 では、まず確認は。
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