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結婚式まで①
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無事に輿入れ行列に合流出来て、その日は、数少ない夜営の日だった。輿入れ行列は普通の馬車とは違い、快速電車のように進む。出来るだけ夜営を避けてだけど、どうしても数日は夜営をしなくてはならない。数少ないその1日だ。
従者の方達が、てきぱきとテントを設営。
マーファの騎士の皆さんも簡易テントを設営している。私達は馬車があるし、ルームがあるからね。馬車内でこっそり開けよう。
さて、夕御飯は、作っておいたカレーにしようかな。時空神様のおかげで、自然とお腹減ってきたし。私は小盛りにしよう。シートを敷いて、簡易テーブルを設営する。
なんて考えていると、騎士の1人がこちらに来た。中年だけど、がっちりと鍛えられたアスリートのような人だ。
「忙しい時間に失礼。私はマーファ騎士団副団長のオダリスです。ミズサワ殿、少しお時間いただけませんか? 昨日の件の報告も兼ねて」
ああ、昨日の事。
一瞬、フラッシュバックしたが、胸の辺りが、温かくなり、それ以上はない。
きっと、時空神様が守ってくれたんや。
それに昨日の事は、疑問だらけやし、聞かんとね。
「はい。分かりました」
オダリスさんを、簡易テーブルにご案内。アイスティーも出す。お茶受けは、摘まめるものがよかね。
「晃太、バザーのマカロンば」
「ん」
「どうぞ、お気遣いなく」
「たくさんあるので、召し上がってください。グーテオークションのチャリティーバザーの物ですから」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
オダリスさんがグーテオークションと小さく繰り返す。一瞬、凄く嬉しそうな表情を浮かべる。だけど、すぐに、きり、となる。
「まず、ミズサワ殿。今回のご助力感謝します。王女殿下も、部下も皆無事にいられるのは、全てミズサワ殿のおかげです」
そう出された言葉には、心底安堵した響きが含まれる。
良かった、本当に良かった。
「いえいえ、ビアンカとルージュが優秀なだけです。皆さんが無事で良かったです」
オダリスさんの説明が始まる。
「現在、まだ、取り調べの最中ではありますが、分かったことだけ、お伝えします」
あの黒装束達ね。
「やつらは、東の大陸から来た闇ギルドでした。誰が手配したのかは直ぐに分かるでしょう」
別大陸で監視の厳しい航路をどうやって使ったか、それは唯一ノーチェックのガーガリア妃の荷物に紛れて、少しずつ密入国していたと。始まりはフェリアレーナ王女を皇帝の側室にって話の頃に遡り、約5年かけてかなりの人員が密入国。気の長い話や。こちらに来た黒装束達は、裏で犯罪行為をしながら仲間を増やし、瞬く間に巨大になっていった。最終目的はフェリアレーナ王女様だが、その間大人しくしているわけがない。人には言えないことで、荒稼ぎしていたそうだ。その稼ぎはどこにいったか? そりゃ考えなくても分かる。フェリアレーナ王女様を誘拐をしてまで、手に入れようとした者。
アルティーナ帝国皇帝ディーン。
友好国の王女の誘拐だけではなく、その友好国に闇ギルドなんて放っていたことがバレたらどうなるのだろう。
「おそらく蜥蜴の尻尾切りですよ。誰かに責を負わせるでしょうが、向こうにはその皇帝より権力のあるマクレデーナ上皇妃がいます。実の息子とは言え、両国の関係にヒビを入れ、開戦になる十分な理由を作った。それを許すとは思えないと、サエキ様からお聞きしました。この婚姻が正式に終われば、アルティーナ帝国は変わるでしょう」
そうなんや。
「向こうも少し焦っていたのは確かです。ガーガリア元妃の帰国が思ったより早まってしまい、搬送手段が絶たれる為です」
ああ、あの折り畳み傘ね。いくらで売り付けたんやろ?
「今回の輿入れが、最後のチャンスでしたから、何としても護衛の数を減らして成功率を上げたかったようです。まあ、あのオスヴァルト准将率いる赤騎士団の精鋭やハンターウルフ隊なんていたら、撃退されるのがおちですからね」
そ、そうなんや。あのオスヴァルトさん、冒険者に例えたらSランククラスの実力者だと。確かに、ブラックツナの頭も一刀両断してたしね。よく考えたら、すごいことよね、一刀両断だもん。
「ミズサワ殿が途中で合流してくれると聞いてどれだけ安堵したか。それにやつらは、王女殿下誘拐以外にも、捕縛命令が下っていたそうです。貴女です、ミズサワ殿」
「あ、やっぱり」
狙いは、私だけど、私はおまけだ。ビアンカとルージュ、5匹の仔達や。
「貴女を拘束して、従魔達を捕らえる、そんな算段だったのでしょう。それからもしもの時の為に、弟殿も生かして利用するつもりだったと」
「え? わいもですか? あ、姉を脅すため?」
「それもありますが、アイテムボックスが規格外に大きいでしょう? それを使わない手はないですからね」
晃太にはサイズ不明のアイテムボックスがある。国からスカウトが来るようなレベルだと。帝国は広大で、転移門も対となるものが1つだけ。物流を考えると、晃太の様な巨大アイテムボックス持ちが欲しいんだろう。
「ミズサワ殿の魔法馬の足の調子が悪く、トッパに逗留しているのは、向こうも把握していました。ただ、警備体勢が高い街中でミズサワ殿は襲えない為にチャンスを伺っていた」
あの時。
ビアンカが森に潜み、輿入れ行列が襲撃された時。
ルージュが助力に向かい、ホークさん達が向かった。
「やつらは戦力を2つに分けていた。輿入れ行列と、ミズサワ殿です。もし、貴女を襲えたとしても、王女殿下の馬車が逃れた場合に襲う算段だったと」
いくつもの作戦を練っていた。
最高戦力のビアンカとルージュが離れ、ホークさん達もいない。一般人の私と晃太、見習いのエマちゃんとテオ君、そしてまだ成体にもなっていない5匹の仔達。
それは黒装束達には、絶好のチャンスや。
「トッパに戻られたら厄介ですからね、一気に襲った」
ルージュが離れるまで、様子を伺っていただけで、殺意とかなく、警戒心だけは高かった。私達だけになり、邪魔になるだろうエマちゃんとテオ君に向けた殺意にビアンカとルージュが気がつかないわけがない。それで助けに走ってきてくれたんやね。
「こちらとしては、戦力を2つに分けたので、怪我人は出ましたが重傷者や死者がでなかった。そう、ミズサワ殿の戦闘奴隷から頂いたポーション代は、マーファに戻り次第お支払します」
これはチュアンさんから聞いてる。マーファの魔法馬の傷が酷かったそうで、上級ポーションを使ったと。よかよか、たくさんあるしの、上級ポーション。その魔法馬はポーションのおかげで普通に走れていると。
「やつらはあの森に戦力を置いていたので、これから先には潜んでいないようですが、何が起きるか分かりません。マーファまでご助力をお願いします。これが今朝までに分かったことです。また、詳しい事が分かればご報告します。おそらくマーファに到着後になると思いますが」
「はい、こちらこそ、お願いします」
オダリスさんは、挨拶して、戻っていった。
ふと、疑問に思った事。
「あの、ホークさん」
「はい」
「今回、ビアンカとルージュ欲しさに私や晃太に手を出して来たやないですか? 捕縛やなくて、殺しにかかったりしないんですかね?」
自分で言うのもなんだけど。私がいなくなれば、主人を失った従魔であるビアンカやルージュ達を手に入れやすいのでは? と安易に考える。
「従魔の主人を手にかけたら、その従魔が赦すわけないですよ。実際に従魔欲しさに主人を殺して、何倍にも逆襲された『ノディスの猪』って実話があるくらいですから」
「『ノディスの猪』?」
「はい、もう滅びましたがとある西の国の町です。キングボアを従魔にしていたテイマーがいたんです。その牙欲しさに主人を殺したのが、ノディスを治めていた領主だったんです。主人さえ殺せば、従魔は何も出来ないってね。でもそのキングボアは、主人を殺されて暴走。ノディスの町を破壊し、関係ない周辺の村まで襲い多数の犠牲者がでた。キングボアは矢を受けようが、魔法を受けようが何日も暴走。そして見つかったのは、殺された主人を守るように息絶えた姿で見つかった。傷だらけの姿で。この話の以降、テイマーに手をかけないと言うのが、暗黙とされてます。絆して、仲間に引き入れるのが最良ってね。東大陸で同じ話があるかは知りませんが、ビアンカさんとルージュさんの賢さは分かっているはず。ユイさんに手をかけることはない。オダリスさんが言ったように、コウタさんを人質にして言うこと聞かせるのが、最もなやり方です」
晃太が狙われるってことか。晃太は渋い顔。
「実際にそこまでするのは、よほどの事がなければしません。本当に従魔が欲しければ、主人と友好的に接する方が簡単ですからね。もし、コウタさんが人質にされたら、ユイさん、黙ってないでしょう?」
「まあ、そうですね」
そんなことしたら、ビアンカとルージュも黙ってない。どんな手段を使っても救出するはず。
「少なくとも、こちらの者が、ユイさんの家族を人質にはしません。ビアンカさんとルージュさんがいますからね。それにあのダイチ・サエキ様が後見人だ。手出し出来ませんよ。そんなことしたら、ユリアレーナが国を挙げて袋叩きにしますよ」
本当に凄か人なんやね、分かっていたつもりだったけど。でも、ちょっと安心。そんなリスクがないか、どこかで引っ掛かってたし。ダンジョンとかに行ってる時に、いくら御用聞きの人がいても、両親が心配だったし。
「それを聞いて安心しました」
「俺達もいますから」
「はい」
安心していると、遊んでいた仔達が戻ってきた。
「わんわんっ」
「にゃあ、にゃあ」
『るり、おなゃかちゅいた~』
『ねーね、ねーね、ごはん~』
『ひすい、おなかへった~』
あははん、かわいか。
「はいはい。ご飯にしようね。今日はカレーよ」
『ユイ、お肉焼いて乗せて欲しいのです』
『私もね』
ビアンカとルージュも戻ってきて、ちゃっかりリクエスト。
「もう、ちょっとよ」
わんわん、にゃんにゃん大合唱が始まる。コハクの声が、低音になってきてる。濁音つけたにゃあ、にゃあ、だよ。
でもかわいか。あははん、たまらん、かわいか。
従者の方達が、てきぱきとテントを設営。
マーファの騎士の皆さんも簡易テントを設営している。私達は馬車があるし、ルームがあるからね。馬車内でこっそり開けよう。
さて、夕御飯は、作っておいたカレーにしようかな。時空神様のおかげで、自然とお腹減ってきたし。私は小盛りにしよう。シートを敷いて、簡易テーブルを設営する。
なんて考えていると、騎士の1人がこちらに来た。中年だけど、がっちりと鍛えられたアスリートのような人だ。
「忙しい時間に失礼。私はマーファ騎士団副団長のオダリスです。ミズサワ殿、少しお時間いただけませんか? 昨日の件の報告も兼ねて」
ああ、昨日の事。
一瞬、フラッシュバックしたが、胸の辺りが、温かくなり、それ以上はない。
きっと、時空神様が守ってくれたんや。
それに昨日の事は、疑問だらけやし、聞かんとね。
「はい。分かりました」
オダリスさんを、簡易テーブルにご案内。アイスティーも出す。お茶受けは、摘まめるものがよかね。
「晃太、バザーのマカロンば」
「ん」
「どうぞ、お気遣いなく」
「たくさんあるので、召し上がってください。グーテオークションのチャリティーバザーの物ですから」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
オダリスさんがグーテオークションと小さく繰り返す。一瞬、凄く嬉しそうな表情を浮かべる。だけど、すぐに、きり、となる。
「まず、ミズサワ殿。今回のご助力感謝します。王女殿下も、部下も皆無事にいられるのは、全てミズサワ殿のおかげです」
そう出された言葉には、心底安堵した響きが含まれる。
良かった、本当に良かった。
「いえいえ、ビアンカとルージュが優秀なだけです。皆さんが無事で良かったです」
オダリスさんの説明が始まる。
「現在、まだ、取り調べの最中ではありますが、分かったことだけ、お伝えします」
あの黒装束達ね。
「やつらは、東の大陸から来た闇ギルドでした。誰が手配したのかは直ぐに分かるでしょう」
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アルティーナ帝国皇帝ディーン。
友好国の王女の誘拐だけではなく、その友好国に闇ギルドなんて放っていたことがバレたらどうなるのだろう。
「おそらく蜥蜴の尻尾切りですよ。誰かに責を負わせるでしょうが、向こうにはその皇帝より権力のあるマクレデーナ上皇妃がいます。実の息子とは言え、両国の関係にヒビを入れ、開戦になる十分な理由を作った。それを許すとは思えないと、サエキ様からお聞きしました。この婚姻が正式に終われば、アルティーナ帝国は変わるでしょう」
そうなんや。
「向こうも少し焦っていたのは確かです。ガーガリア元妃の帰国が思ったより早まってしまい、搬送手段が絶たれる為です」
ああ、あの折り畳み傘ね。いくらで売り付けたんやろ?
「今回の輿入れが、最後のチャンスでしたから、何としても護衛の数を減らして成功率を上げたかったようです。まあ、あのオスヴァルト准将率いる赤騎士団の精鋭やハンターウルフ隊なんていたら、撃退されるのがおちですからね」
そ、そうなんや。あのオスヴァルトさん、冒険者に例えたらSランククラスの実力者だと。確かに、ブラックツナの頭も一刀両断してたしね。よく考えたら、すごいことよね、一刀両断だもん。
「ミズサワ殿が途中で合流してくれると聞いてどれだけ安堵したか。それにやつらは、王女殿下誘拐以外にも、捕縛命令が下っていたそうです。貴女です、ミズサワ殿」
「あ、やっぱり」
狙いは、私だけど、私はおまけだ。ビアンカとルージュ、5匹の仔達や。
「貴女を拘束して、従魔達を捕らえる、そんな算段だったのでしょう。それからもしもの時の為に、弟殿も生かして利用するつもりだったと」
「え? わいもですか? あ、姉を脅すため?」
「それもありますが、アイテムボックスが規格外に大きいでしょう? それを使わない手はないですからね」
晃太にはサイズ不明のアイテムボックスがある。国からスカウトが来るようなレベルだと。帝国は広大で、転移門も対となるものが1つだけ。物流を考えると、晃太の様な巨大アイテムボックス持ちが欲しいんだろう。
「ミズサワ殿の魔法馬の足の調子が悪く、トッパに逗留しているのは、向こうも把握していました。ただ、警備体勢が高い街中でミズサワ殿は襲えない為にチャンスを伺っていた」
あの時。
ビアンカが森に潜み、輿入れ行列が襲撃された時。
ルージュが助力に向かい、ホークさん達が向かった。
「やつらは戦力を2つに分けていた。輿入れ行列と、ミズサワ殿です。もし、貴女を襲えたとしても、王女殿下の馬車が逃れた場合に襲う算段だったと」
いくつもの作戦を練っていた。
最高戦力のビアンカとルージュが離れ、ホークさん達もいない。一般人の私と晃太、見習いのエマちゃんとテオ君、そしてまだ成体にもなっていない5匹の仔達。
それは黒装束達には、絶好のチャンスや。
「トッパに戻られたら厄介ですからね、一気に襲った」
ルージュが離れるまで、様子を伺っていただけで、殺意とかなく、警戒心だけは高かった。私達だけになり、邪魔になるだろうエマちゃんとテオ君に向けた殺意にビアンカとルージュが気がつかないわけがない。それで助けに走ってきてくれたんやね。
「こちらとしては、戦力を2つに分けたので、怪我人は出ましたが重傷者や死者がでなかった。そう、ミズサワ殿の戦闘奴隷から頂いたポーション代は、マーファに戻り次第お支払します」
これはチュアンさんから聞いてる。マーファの魔法馬の傷が酷かったそうで、上級ポーションを使ったと。よかよか、たくさんあるしの、上級ポーション。その魔法馬はポーションのおかげで普通に走れていると。
「やつらはあの森に戦力を置いていたので、これから先には潜んでいないようですが、何が起きるか分かりません。マーファまでご助力をお願いします。これが今朝までに分かったことです。また、詳しい事が分かればご報告します。おそらくマーファに到着後になると思いますが」
「はい、こちらこそ、お願いします」
オダリスさんは、挨拶して、戻っていった。
ふと、疑問に思った事。
「あの、ホークさん」
「はい」
「今回、ビアンカとルージュ欲しさに私や晃太に手を出して来たやないですか? 捕縛やなくて、殺しにかかったりしないんですかね?」
自分で言うのもなんだけど。私がいなくなれば、主人を失った従魔であるビアンカやルージュ達を手に入れやすいのでは? と安易に考える。
「従魔の主人を手にかけたら、その従魔が赦すわけないですよ。実際に従魔欲しさに主人を殺して、何倍にも逆襲された『ノディスの猪』って実話があるくらいですから」
「『ノディスの猪』?」
「はい、もう滅びましたがとある西の国の町です。キングボアを従魔にしていたテイマーがいたんです。その牙欲しさに主人を殺したのが、ノディスを治めていた領主だったんです。主人さえ殺せば、従魔は何も出来ないってね。でもそのキングボアは、主人を殺されて暴走。ノディスの町を破壊し、関係ない周辺の村まで襲い多数の犠牲者がでた。キングボアは矢を受けようが、魔法を受けようが何日も暴走。そして見つかったのは、殺された主人を守るように息絶えた姿で見つかった。傷だらけの姿で。この話の以降、テイマーに手をかけないと言うのが、暗黙とされてます。絆して、仲間に引き入れるのが最良ってね。東大陸で同じ話があるかは知りませんが、ビアンカさんとルージュさんの賢さは分かっているはず。ユイさんに手をかけることはない。オダリスさんが言ったように、コウタさんを人質にして言うこと聞かせるのが、最もなやり方です」
晃太が狙われるってことか。晃太は渋い顔。
「実際にそこまでするのは、よほどの事がなければしません。本当に従魔が欲しければ、主人と友好的に接する方が簡単ですからね。もし、コウタさんが人質にされたら、ユイさん、黙ってないでしょう?」
「まあ、そうですね」
そんなことしたら、ビアンカとルージュも黙ってない。どんな手段を使っても救出するはず。
「少なくとも、こちらの者が、ユイさんの家族を人質にはしません。ビアンカさんとルージュさんがいますからね。それにあのダイチ・サエキ様が後見人だ。手出し出来ませんよ。そんなことしたら、ユリアレーナが国を挙げて袋叩きにしますよ」
本当に凄か人なんやね、分かっていたつもりだったけど。でも、ちょっと安心。そんなリスクがないか、どこかで引っ掛かってたし。ダンジョンとかに行ってる時に、いくら御用聞きの人がいても、両親が心配だったし。
「それを聞いて安心しました」
「俺達もいますから」
「はい」
安心していると、遊んでいた仔達が戻ってきた。
「わんわんっ」
「にゃあ、にゃあ」
『るり、おなゃかちゅいた~』
『ねーね、ねーね、ごはん~』
『ひすい、おなかへった~』
あははん、かわいか。
「はいはい。ご飯にしようね。今日はカレーよ」
『ユイ、お肉焼いて乗せて欲しいのです』
『私もね』
ビアンカとルージュも戻ってきて、ちゃっかりリクエスト。
「もう、ちょっとよ」
わんわん、にゃんにゃん大合唱が始まる。コハクの声が、低音になってきてる。濁音つけたにゃあ、にゃあ、だよ。
でもかわいか。あははん、たまらん、かわいか。
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